ドラマ『双燕秘抄 乱世を舞う二羽の絆』は、唐末の動乱期を舞台に、茉喜(まき)と白鳳瑶(ほうよう)という二人の姉妹の絆と成長を描いた物語です。
家族に起きた変故で故郷を追われた二人は、女学で働き始めます。激動の時代の中、様々な困難や危機に直面しながらも、互いに支え合い、強い友情と揺るぎない正義感で運命を切り開いていきます。
茉喜(まき)は幼くして両親を亡くし、叔父のもとで育てられました。控えめで優しい性格ながらも、逆境では芯の強さと勇気を発揮します。一方、白鳳瑶(ほうよう)は裕福な家庭で育ったお嬢様でしたが、家を追われたことで過酷な現実を経験し、それでもなお強く生き抜こうとします。
物語は「家庭 - 女学 - 戦乱」の三部構成で展開されます。最初の部分はコミカルな雰囲気で描かれ、続く女学時代ではサスペンスやミステリー要素が加わり、最後は戦乱の世を背景にした愛の物語へと変化していきます。コミカルな場面から緊迫感あふれるシーンまで、様々な展開を通して、二人の女性が逆境に立ち向かいながら成長していく姿と、複雑に絡み合う人間模様が描かれます。
それぞれの結末は次のとおりです。
茉喜(まき)は、一途に彼女を愛した陳文德(ちんぶんとく)と結ばれます。陳文德(ちんぶんとく)は茉喜(まき)を救うために命を落としますが、改編されたドラマ版では、茉喜(まき)の尽力により冤罪が晴らされ、二人は静かに暮らす道を選びます。
白鳳瑶(ほうよう)は、幼馴染であり文武両道に秀でた萬嘉桂(ばんかげつ)と結婚します。萬嘉桂(ばんかげつ)は当初茉喜(まき)に想いを寄せていましたが、最終的には白鳳瑶(ほうよう)を選び、幸せな人生を歩みます。
陳文德(ちんぶんとく)は、草莽の出身でありながら誠実で正義感の強い人物。役人のご機嫌取りを嫌い、茉喜(まき)とは複雑な愛憎劇を繰り広げます。
萬嘉桂(ばんかげつ)は若くして文武両道に秀でた貴公子。茉喜(まき)に深い愛情を抱いています。
このように、様々な困難を乗り越え、それぞれの愛の形を見つけ出す、感動的な物語となっています。
第1話あらすじとネタバレ
茉喜(まき)は幼くして両親を亡くし、二叔母の家で暮らしていました。毎日重い家事をこなしていましたが、二叔母からは役に立たないといつも叱られ、「二叔母」と呼ぶことさえ許されていませんでした。ある日、二叔母は茉喜(まき)を御者(ぎょしゃ)の王大光(おうたいこう)に嫁がせようと決めます。醜い老人に嫁ぐことを恐れた茉喜(まき)は、二叔母の服を掴んで必死に懇願しました。しかし、作業著で汚れた服を見た二叔母は激怒し、洗濯棒で茉喜(まき)を殴り始めます。茉喜(まき)は逃げ出し、追いかける二叔母を振り切ろうとしたその時、高官が訪ねてきたという知らせが届き、二叔母は追跡を止め、その重要人物を出迎えるために向かいました。
高官は出迎えた二叔母には目もくれず、茉喜(まき)を探し出し、妻として迎える意思を伝え、二叔母の茉喜(まき)への仕打ちを非難しました。二叔母は慌てて自分が茉喜(まき)の二叔母であることを明かし、許しを請いますが、長年の虐待に耐えてきた茉喜(まき)はついに怒りを爆発させ、洗濯棒を振り上げました。怯えた二叔母は、自ら平手打ちをして謝罪しました。
二叔母の息子、白鵬鹍は放蕩息子で、賭博と女遊びに明け暮れ、いつも母に金銭を要求していました。二叔母は息子の要求にはいつも応じていましたが、娘の白鳳瑶(ほうよう)の学費は出し渋り、女に学問は不要だと学業を諦めるよう説得していました。白鳳瑶(ほうよう)は深く傷ついていましたが、両親を説得することはできませんでした。そんな時、成功を収めた茉喜(まき)が大量の金銀を持って訪ねてきて、全て白鳳瑶(ほうよう)に渡すと告げます。二叔母と二叔父は羨望の眼差しを向けました。茉喜(まき)は事前に白鵬鹍の借金を全て返済し、その借用書を白鳳瑶(ほうよう)に渡すことで、彼女を家の中で最も力のある立場にしました。これは茉喜(まき)の理想の人生でしたが、実際には、彼女は貧しく、街で数件の仕事をしてやっと3文銭を稼ぎ、肉を少し買っただけでした。粗末な家に帰るため、彼女は梯子を使って屋根をよじ登りました。
美味しい食事を作ろうと台所に向かった茉喜(まき)は、偶然白家(はくけ)が相府の宴に招待されていることを知ります。茉喜(まき)は木箱に隠れて相府に潜り込み、食べ物を盗んで床下に隠れて食べました。そこで偶然、宴で白鳳瑶(ほうよう)が注目を集めていること、相府夫人が白鳳瑶(ほうよう)を義理の娘に迎え、陳文徳と結婚させようとしていることを耳にします。驚いた茉喜(まき)は持っていた皿を落とし、隠れ場所がバレて捕まりそうになります。必死に逃げた茉喜(まき)は、屋上で覆面の男に出会います。男は武器を持っていましたが、茉喜(まき)は怯むことなく、逆に男を威圧しました。茉喜(まき)が宴会場に情報を伝えたいと知ると、男は自分の服を切り裂き、茉喜(まき)の指を傷つけて血書を書かせ、宴会場に手紙を届けることを約束しました。
呉相府での騒動により、白鳳瑶(ほうよう)の義理の娘縁組は実現せず、二叔母は悔しがります。翌日もう一度試みると心に決め、この好機を逃すまいとします。二叔父は六品秘書郎という低い役職でしたが、旧友から呉相夫人が白鳳瑶(ほうよう)を義理の娘にしたい理由は陳文徳と結婚させるためだと聞きます。二叔父は娘を思い、陳文徳がもし謀仮を起こしたら白鳳瑶(ほうよう)の立場が危うくなると心配します。しかし、二叔母は息子の白鵬鹍の将来と夫の出世のことしか頭に無く、危険な選択だと知りながらも白鳳瑶(ほうよう)を陳文徳に嫁がせようとします。
茉喜(まき)は幼い頃、遊郭で暮らし、小石を脇に挟んで脈拍を乱す方法を学んでいました。彼女はそれを利用し、白鳳瑶(ほうよう)が翌日相府へ行くのを避けさせます。それでも二叔母は権力に縋り付こうと、白鳳瑶(ほうよう)を犠牲にするつもりでした。茉喜(まき)は二叔母が息子と夫のことしか考えていないことを見抜いており、白鳳瑶に自分のことを考えるよう忠告します。白鳳瑶はこれが罠だと気づいていましたが、家族を捨てることはできませんでした。茉喜(まき)は白鳳瑶を励まし、いざとなったら翻意すればいい、白府から壁を乗り越えて逃げ、街の人混みに紛れれば誰にも見つからないと提案します。
二人が話していると、外から馬の蹄の音が聞こえてきました。何かが起こったと感じた茉喜(まき)は、夜に屋根に登り、街のあちこちで火の手が上がり、人々が殺し合っているのを目撃します。戦が始まったことを悟り、さらに不安を募らせます。
陳文徳は忠臣でしたが、侯爵は自分の悪事が皇帝に知られることを恐れ、皇帝を拉緻して逃亡します。その結果、陳文徳は仮逆者として扱われることになりました。
第2話あらすじとネタバレ
茉喜(まき)は如意郎君との夢を見る。街へ繰り出し、美男の夫に多くの女性が群がる。彼女たちに夫の傍から押しやられた茉喜(まき)は、怒って棒を手に取り夫を取り戻そうとするが、夫は自ら女性たちを追い払い、茉喜(まき)への変わらぬ愛情を示す。目覚めた茉喜(まき)は、夢の余韻に浸り、花が咲いたように笑みを浮かべていた。
しかし現実は厳しい。白家(はくけ)はかつて相府と繋がりがあったため、陳文徳の命により財産没収の処分を受け、千匹もの絹を差し出すことになる。白家(はくけ)にとってそれは肉を削られるような苦しみであり、特に二夫人にとっては耐え難いものだった。白家(はくけ)は代々役人であったが、官位は徐々に下がり、財産もわずかしか残っていなかったため、今回の処分は家底をほぼ空にするに等しかった。陳文徳の手下たちは容赦なく白家(はくけ)の財産を持ち去り、二老爷と二夫人にとって大切な「一樹金財」の宝飾品でさえ、懇願する二人を無視して奪っていった。
隅でこの様子を見ていた茉喜(まき)は、母に連れられて白家(はくけ)に引き取られた時のことを思い出す。父が亡くなってから二年、病に伏せる母は、茉喜(まき)を白家(はくけ)に返す代わりに屋敷と家宝の「一樹金財」を渡したのだった。しかし二夫人と二老爷は金品を受け取っても、母娘には冷たく当たった。今、その宝物が奪われるのを見て、茉喜(まき)は因果応報だと感じた。
千匹の絹を没収されたことで、白家(はくけ)の暮らしは苦しくなる。白鵬鹍と二老爷だけは以前と変わらぬ生活を送っていた。ある日、茉喜(まき)の食事はカビの生えた蒸しパン二切れだけだった。憤慨した茉喜(まき)は、二夫人を息子と夫の享楽だけを優先し、他の人々の食糧を削っていると非難する。その時、白鳳瑶(ほうよう)が茉喜(まき)に点心を差し入れさせた。同じように実母から冷遇されている白鳳瑶(ほうよう)の姿に心を痛めた茉喜(まき)は、点心を返し、自ら銅銭を持って街へ行き、羊肉を数枚買った。
茉喜(まき)の住む小院の外では、兵士たちが逃亡犯を追っていた。男は茉喜(まき)の小院の塀を乗り越え、塀際に倒れ込んだ。羊肉を買って戻ってきた茉喜(まき)は、その光景を目にする。男はまだ息があり、関わり合いになりたくない茉喜(まき)だったが、男に助けを求められ、部屋へ引きずり込んだ。灯を灯してみると、男は驚くほど美しく、茉喜(まき)が夢に見ていた萬嘉桂(ばんかげつ)だった。茉喜(まき)は重傷を負った萬嘉桂(ばんかげつ)が箱を持っていることに気づき、好奇心から開けてみると、中には令牌が入っていた。萬嘉桂(ばんかげつ)が目を覚ましそうな気配を感じ、茉喜(まき)は素早く令牌を元の場所に戻した。
目を覚ました萬嘉桂(ばんかげつ)は、自分が茉喜(まき)の部屋にいることに気づき、傷薬を買ってきてくれるよう頼む。萬嘉桂(ばんかげつ)から金塊を受け取った茉喜(まき)は薬屋へ向かう途中、萬嘉桂(ばんかげつ)の価顔絵を持って通行人に尋ねる者たちと遭遇し、薬屋へ行く目的を疑われる。茉喜(まき)は毅然とした態度で、有力者と親戚関係にあると主張し、相手を怯ませてそれ以上何も聞かせなかった。そして、以前白鳳瑶(ほうよう)の頼みを聞いてくれた黄大夫を見つける。刀傷の薬を買うと知った黄大夫は、茉喜(まき)が指名手配犯を匿っていると察し、賞金を得るために密告しようとする。しかし茉喜(まき)は、黄大夫が以前の行いで陳文徳の怒りを買っていることを持ち出し、脅迫した。怯えた黄大夫は密告どころか、必要な薬を無料で提供した。
白鵬鹍は放蕩な生活に慣れており、戦の影響で京州城内の遊興施設が閉鎖されたことで、楽しみを失っていた。ある日、家で賭博をしている時に美しい茉喜(まき)を見かけ、不埒な思いを抱く。その夜、友人から金を受け取り、手下と共に茉喜の小院に押し入り、茉喜を襲おうとする。茉喜は白鵬鹍の企みに気づき、箒を手に取り激しく抵抗し、白鵬鹍を服を脱ぎ捨てて逃走させた。その後、茉喜は白鵬鹍の隠し財産を奪った。
萬嘉桂(ばんかげつ)は茉喜と白鵬鹍が争っている隙に街を出ようとするが、仮乱軍が至る所にいて脱出できない。仕方なく、再び茉喜の部屋に戻り、匿ってくれるよう懇願する。萬嘉桂(ばんかげつ)が以前自分を誤解していたことを思い出した茉喜は、不満を抱き、薬を飲んだら出ていくと言ったのに何故戻ってきたのかと皮肉る。茉喜のところにいるのが一番安全だと理解した萬嘉桂(ばんかげつ)は、後日必ず恩返しをすると約束する。茉喜は他のいかなる形でもなく、婚姻の証である婚書だけを求めた。
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