恋に落ちると重病を患ってしまうという特異体質の武術の天才少女、周縁(しゅうえん)。男装して京の都の名門「青雲書院(せいうんしょいん)」に潜り込んだ彼女は、そこで結婚を切望しながらもなぜか婚約がことごとく破談になってしまう、生まれついての妻難持ちの小侯爵、衛起(えいき) と出会う。笑いと温かい感動に満ちた二人の物語が、ここから始まる。
周縁(しゅうえん)には、人と人との縁が見える不思議な力がある。しかし、その力の副作用として、誰かに恋心を抱くと動悸やめまいを起こし、最悪の場合、寝込んでしまう。一方、侯爵家の跡取り息子である衛起(えいき) は、容姿端麗でプライドも高いが、過去の辛い経験から結婚を強く望んでいる。結婚を恐れる周縁(しゅうえん)と結婚を夢見る衛起(えいき) 。境遇も性格も全く異なる二人は、幾度となく衝突を繰り返しながら、次第に惹かれあっていく。
周縁(しゅうえん)は、自らの特殊能力のせいで心を閉ざし、決して恋に落ちてはいけないと自分に言い聞かせてきた。青雲書院(せいうんしょいん)で出会った衛起(えいき) との間にも、確かに特別な縁を感じていたが、想いを抑えようと必死になる。衛起(えいき) も、周縁(しゅうえん)との間に不思議な繋がりを感じながらも、彼女の冷たい態度に戸惑い、もどかしい日々を送る。
やがて、衛起(えいき) は周縁(しゅうえん)への抑えきれない恋心に気づく。周縁(しゅうえん)もまた、衛起(えいき) への想いを自覚するが、それは同時に、自身の体に危険が及ぶことを意味していた。周縁の体質を知った衛起は、彼女を守るためならどんなことでもすると誓う。そばにいるべきか、それとも離れるべきか、葛藤しながらも、二人の愛は深まっていく。
第1話あらすじとネタバレ
紅線廟(こうせんびょう)の中で、衛起(えいき) は跪き、誠心誠意、良縁を祈願していた。廟の外では、侍衛たちが噂話をしていた。ある侍衛は、衛起(えいき) が国の平和を祈っているのだと推測し、別の侍衛は、そこは縁結びの神を祀る廟だと指摘し、衛起(えいき) の真の目的を憶測し始めた。ある者は、衛起(えいき) が恋愛成就を願っていると考え、別の者は、待婚ランキング一位の彼がなぜそんなことで悩む必要があるのかと疑問を呈した。
その頃、廟の中の衛起(えいき) は、今年こそ結婚できますようにと心から祈っていた。大師によると、そうでなければ、彼は一生独身でいることになるかもしれないという。待婚ランキング一位の座に居続けるのはもう嫌で、本当に独身生活に別れを告げたいと願っていた。大師は彼に、黄道吉日に百年ものの桃の木を見つけ、血の契りを結び、貨幣を添え物として花神に運を借りるようにと助言していた。いささか信じ難い話ではあったが、衛起(えいき) は香炉に向かって真剣に祈り、貨幣を空中に投げた。
突然、仮面をつけた男が現れた。晴天狐 (せいてんこ) (せいてんこ)と名乗り、多くの学徒が衛起に主考官を辞めてほしいと願っているため、彼を懲らしめに来たのだ。突然の邪魔に、武術に長けた衛起は自分の祈願香が壊されないよう守ろうとしたが、最終的には仮撃せざるを得なくなった。しかし、神への敬意から、全力で抵抗することはしなかった。
晴天狐 (せいてんこ) (せいてんこ)は衛起がなぜそれほど香炉を大切にしているのか理解できなかったが、時間の都合もあり、再び攻撃を仕掛けた。失敗した後、彼はわざと香炉に触れ、衛起にそれを守らせ、その隙に彼を抑え込んだ。実際に殴りはしなかったものの、晴天狐 (せいてんこ) (せいてんこ)は衛起の帯を解き、香炉を川に投げ捨てた。
良縁祈願の香炉が水に落ちる様を見て、衛起は怒り立ち、戦闘態勢に入ったが、ずり落ちたズボンにつまずいてしまった。このハプニングで、彼は思わず晴天狐 (せいてんこ) (せいてんこ)の唇にキスをしてしまい、そのまま気を失った。廟の外で話していた侍衛たちは異変に気付き、中に入ると、桃の木の下に衣服が乱れた状態で横たわる衛起を発見した。
目を覚ました衛起は晴天狐 (せいてんこ) (せいてんこ)を探して青雲書院(せいうんしょいん)へ行った。晴天狐 (せいてんこ) (せいてんこ)は兄の周平(しゅうへい)の詮索を巧みにかわし、寮に戻った。その後、晴天狐 (せいてんこ)は周平(しゅうへい)への陳崇の暗器攻撃に報復するため変身し、彼をこっぴどく懲らしめた。
衛起は書院で晴天狐 (せいてんこ)を探し回ったが見つからず、逆に陳崇に縁談が破談になったことを嘲笑され、怒って彼を殴ってしまった。そして、誤って浴室に押し入り、入浴中の周縁(しゅうえん)を驚かせてしまった。衛起は自分も入浴することにしたが、周縁(しゅうえん)の存在に気付き、一悶著あった後、周縁(しゅうえん)は仮面を拾い上げ、素早く立ち去り、衛起は一人悔しがることになった。
ある日、周縁(しゅうえん)は衛起が李眠(りみん)と手合わせをしている際に、桃の木に掛かっているピンク色の布切れという弱点に気付いた。彼女がそれを手に取って見ていると、誤って周平(しゅうへい)の足元に落ちてしまい、衛起は周平(しゅうへい)が晴天狐 (せいてんこ)だと勘違いしてしまった。誤解を解くため、周縁(しゅうえん)は再び晴天狐 (せいてんこ)に変身して布切れを取り戻し、二人は再び戦い、互いに傷を負った。正体がバレることを恐れた周縁(しゅうえん)は急いで逃げ、衛起は彼女を執拗に追いかけた。
逃げる途中、周縁は偶然にも絵の世界に入り込み、紅線を引く裴因(はいいん)に出会い、彼女と衛起の間には縁の糸があると聞かされた。この知らせに彼女は驚きを隠せない。なぜなら、彼女は恋をすると動悸の病が引き起こされることを知っていたからだ。
第2話あらすじとネタバレ
翌日、城外の道で、周縁(しゅうえん)は馬車にゆったりと寄りかかり景色を眺めていたが、突然水音が聞こえた。彼女はすぐに警戒し、入水自殺を図ろうとした陳姑娘を素早く岸に引き上げた。実は、陳姑娘は強製された結婚に絶望していたのだ。周縁(しゅうえん)はすぐさま彼女を助け、結婚を迫る者たちを阻止することを誓った。
陳姑娘は死を決意していたにも関わらず、宿の部屋をそのままにしていた。このことに周縁(しゅうえん)は困惑する。しかし、深く考える暇もなく、彼女は迷香の効力によって意識を失い、機の上に倒れこんでしまった。
山賊の頭領、甯嵐(ねいらん)はこの偽りの結婚を企てた張本人だった。彼は周縁(しゅうえん)に陳姑娘の代わりに嫁ぐよう仕向け、侯府の屋根に登り、衛起(えいき) が花嫁が男だと知った時の狼狽した様子を眺めようと待ち構えていた。
周縁(しゅうえん)が迷香から目覚めると、既に侯府にいて、赤い婚礼衣装を著て婚礼の床に座っていた。その時、酔った衛起(えいき) が新房に入ってきた。周縁(しゅうえん)は隙を見て逃げようとしたが、身体が思うように動かず、衛起(えいき) の指示通りに婚礼の床に戻り、自ら彼にキスをした。女性にキスされたのは初めての衛起(えいき) は、その陶酔感に浸り、更なる親密な接触を求めたが、すぐに深い眠りに落ちてしまった。
月下楼の謎の人物、裴因(はいいん)が突如現れ、周縁の異様な行動は人を操る呪術「言霊(ことだま)」によるものだと告げた。衛起(えいき) の支配から逃れるため、周縁は裴因(はいいん)に師事し、呪いを解く方法を学ぶしかなかった。裴因(はいいん)の指示に従い、彼女は衛起(えいき) の唇を噛むことで言霊(ことだま)の効果を逆転させたが、この行動は衛起に誤解を与えてしまった。
衛起は周縁の本当の性別には気づかず、男が女装していると思い込み、不快感を抱き、彼女に仕返しをしようと考えた。しかし、彼は知らず知らずのうちに周縁の言霊(ことだま)にかかり、彼女の指示のままに侯府から背負われて出て行くことになった。
翌日、衛起が今日の出来事を思い出さないように、周縁は彼の記憶を消し、一人で侯府に帰るように仕向けた。ところが、小舟に水漏れが発生し、衛起は湖に落ちてしまう。生死の境を彷徨う衛起を、周縁は水に飛び込んで救い出した。この時、衛起はかつてない孤独と恐怖を感じたが、最後は目を閉じた。
次の日、衛起は自分のベッドで目を覚まし、姉の衛晴(えいせい)の過剰な心配に戸惑いながらも安堵した。一方、周縁は更なる助けを求めて裴因(はいいん)を探し始めた。彼女は青雲書院(せいうんしょいん)で偶然にも裴因(はいいん)の隠れ家を見つけ出した。それは蜘蛛の巣と埃にまみれた奥の部屋だった。軽く引くと、鍵のかかっていた扉は開き、思いもよらない世界が姿を現した。
目を覚ました裴因(はいいん)は、すぐに周縁を助けると言い、彼女に指輪を渡した。その指輪は、相思蝶が見えるようになるなど、一時的に彼の能力を使えるようにする力を持っていた。妻の失踪に心を痛める衛起は、深い眠りに落ちた時だけ、体に相思蝶を止まらせていた。彼が目を覚ますと、すぐそばに周縁がいることに気づき、二度と失いたくないと彼女を強く抱きしめた。
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