空桑(くうそう)の皇太子であり、強大な法力を持つ大神官でもある時影(じえい)と、情熱的で義理堅い赤(せき)族の郡主・朱顔(しゅがん)の、切なくも美しい愛と宿命の物語――それが『玉骨遥(ぎょっこつよう)』です。
二人は偶然の出会いをきっかけに「一輪の花の恩」で結ばれ、師弟の関係から恋へと発展していきます。しかし、平穏な日々は長くは続きません。時影(じえい)は、朱顔(しゅがん)の傍に仕える鮫(こう)人の止淵(しえん)を海皇(かいこう)と誤解し、封印してしまいます。そして、空桑王朝が滅亡の危機に瀕した時、朱顔は時影に玉骨を突き刺すという悲劇が起こり、二人の愛は深く傷つけられます。
数々の苦難を乗り越え、時影は朱顔のために帝位を捨てて摂政王となり、朱顔もまた様々な出来事を経て、時影を蘇らせます。互いを想い続ける二人の愛は、ついに結実し、夫婦となるのです。
物語の舞台は、古代中国の神話や天文学、そして『山海経』の世界観を取り入れた幻想的な大陸「雲荒(うんこう)」。登場人物たちの衣装も、古典的な要素とそれぞれの個性を融合させた、新中式と呼ばれる美しいデザインで彩られています。
第1話あらすじとネタバレ
赤(せき)族の郡主、朱顔(しゅがん)は、帝君から賜った婚約に縛られ、心ならずも愛していない相手との結婚を控えていた。一族に迷惑をかけまいと、華やかな婚礼衣装を身に纏い、天幕の中で最後の準備をしていた。
しかし、朱顔(しゅがん)は運命に屈するつもりはなかった。彼女は術を使い、自分と瓜二つの傀儡を作り出し、自分が逃げるまでの間、傀儡を身代わりに残す計略を立てた。侍女の諫言にも耳を貸さず、自分の意思を貫く決意を固めていた。
跪拝の儀式が始まろうとしたその時、砂魔が襲来した。朱顔(しゅがん)は冷静にその場に立ち、彼女の策略通り、偽りの死体が砂漠に飲み込まれていく中、彼女は赤い天幕を翻し、馬を駆って自由を求めて走り出した。
道中、休息を取っていた朱顔(しゅがん)は師匠と出会い、喜びに満ちた。時は遡り、数年前、若き日の時影(じえい)は重責を担い、来る日も来る日も修行に励んでいた。まだ未来の弟子、朱顔(しゅがん)とは出会っていない頃のことである。
ある日、朱顔(しゅがん)は両親の留守に、世子(せいし)に功法を教わるため、花を摘みにこっそり外出した。彼女の独特な魅力は時影(じえい)の目に留まり、強い印象を残した。
宮中では、皇后娘娘が偶然、鮫(こう)人の秋水(しゅうすい)娘娘と出会い、寛大な心で道を譲り、周囲の噂話を制止し、誰に対しても平等に接するべきだと諭した。
あるアクシデントで、朱顔は桃の木から落下し、妊娠中の秋水(しゅうすい)を驚かせてしまった。寵愛(ちょうあい)を笠に着る秋水(しゅうすい)は、わざと朱顔を困らせた。その時、時影(じえい)が間に入り事態を収拾した。朱顔は目の前の人物が噂に聞く世子(せいし)だと気付いた。
宴に戻った後、秋水(しゅうすい)は帝君に時影(じえい)が詩経を書写する罰を与えたと訴えた。帝君は讒言を信じ、時影(じえい)を衆人の前で叱責した。それでも気が済まない秋水(しゅうすい)は、さらに他の人間と共謀し、時影(じえい)を陥れようとした。激怒した帝君は時影に手を出そうとしたが、皇后が駆けつけ息子を守り、夫の愚かさを責めた。
ついに、時影と母は身の潔白を証明するため、自ら火に身を投じることを決意した。宮外の朱顔はこの知らせを聞き、悲しみに暮れ、火の中に飛び込もうとしたが、父に止められた。火が消えた後、帝君は時影の位牌を立てることを禁じ、その名を口にすることすら許さなかった。
朱顔は死罪を覚悟の上で、時影を弔いに行った。止淵(しえん)も付き添うことに同意した。二人は知らなかったが、本当の時影は母によって師匠に託され、修行の旅に出ていたのだ。
朱顔が弔いの最中、大司命(だいしめい)は異変を感じ、時影に弔いに来た者を排除するように進言した。五年後、成長した朱顔は師匠を探し出し、かつて自分を助けてくれた世子(せいし)を蘇らせてほしいと願った。師匠は九嶷(きゅうぎ)山へ行くようにと告げた。そこで、白衣の男が修行に励んでいた。彼こそが時影だった。
第2話あらすじとネタバレ
九疑山(きゅうぎざん)で修行に励む時影(じえい)は、母の誕生日プレゼントに特別なものを用意しようと、術の鍛錬に余念がない。一方、赤(せき)族の郡主(ぐんしゅ)である朱顔(しゅがん)は、長い旅から帰郷し、家族の心配をよそに、祭司大典(さいしたいてん)の知らせに心を躍らせる。早速両親に祭司大典への参加を願い出て、献舞(けんぶ)の準備に精を出す。
時影(じえい)は、九疑山大典の話を耳にするも、全く興味を示さず、18歳の誕生日までに母の苦しみを和らげる贈り物を完成させるべく、修行に没頭する。修行を終えた時影(じえい)は、重明(ちょうめい)という神鳥(しんちょう)と出会い、新たな冒険へと導かれる。
一方、朱顔(しゅがん)は祭司大典へ向かう途中、同行者に枯木逢春(こぼくほうしゅん)の伝説について尋ねる。道中、大司命(だいしめい)と出会い、思いがけない話を聞く。信じ難いながらも、大司命(だいしめい)の警告に毅然と答え、九疑山で待ち受ける危険について忠告を受ける。
時影(じえい)は九疑山を離れて外の世界に関わることを嫌がる。朱顔(しゅがん)は神鳥の影を追いかける途中、怪我をした小鳥を見つけ、助けようとする。その時、目の前の神鳥こそが探し求めていた奇跡ではないかと気づく。
祭司大典に到著した朱顔(しゅがん)は、準備不足を痛感するも、友人である白雪鶯(はくせつおう)がいじめられているのを見て、助け舟を出す。献舞を終えた白雪鶯(はくせつおう)には、周囲から称賛の声が集まる。その頃、黒衣(こくい)の男が空桑(くうそう)を狙う陰謀を企てていた。
その後、白雪鶯(はくせつおう)と朱顔(しゅがん)は舞裙(まいぐん)を手に喜び合うが、白雪鷺(はくせつろ)の妨害により舞裙を失ってしまう。朱顔(しゅがん)は友人のために、夜中に崖下(がけした)へ降り、恐怖を乗り越え、舞裙を探す。朱顔(しゅがん)が舞裙を見つけ、試しに舞っていると、時影(じえい)が見ていた。時影(じえい)は朱顔を助け、彼女の正体を知る。
この出来事は、二人の距離を縮めると共に、それぞれの旅の大きな転換点となる。
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