政略結婚から始まる波乱万丈の愛と権力争いを描いた物語。
舞台は激動の時代。権力の中枢に生まれ育った上陽郡主(じょうようぐんしゅ)・王儇(おうけん)は、父の政略により、強大な兵力を握る豫章(よしょう)王・蕭綦(しょうき)に嫁ぐことを余儀なくされる。当初は愛のない結婚に戸惑う二人だったが、宮廷内の陰謀や権力闘争に巻き込まれる中で、互いに支え合い、次第に深い愛情で結ばれていく。
王儇(おうけん)と蕭綦(しょうき)は、皇帝、宰相・王藺(おうりん)、謇寧(けんねい)王ら様々な勢力が入り乱れる権力争いを乗り越え、共に乱世を生き抜く。数々の苦難を乗り越え、深い絆で結ばれた二人は、最終的に大きな功績を成し遂げる。
しかし、物語の結末は、様々な運命が交錯する。蕭綦(しょうき)は皇帝の座を捨て、王儇(おうけん)と共に故郷に帰り、多くの孤児たちと静かに暮らす道を選ぶ。王儇(おうけん)は波乱の人生を送り、少女の頃の無邪気さから、孤独な王妃、そして蕭綦(しょうき)と共に戦う勇敢な女性へと成長を遂げ、激動の時代を生き抜いたのち、病に倒れこの世を去る。
王儇(おうけん)のかつての恋人・子澹(したん)は、兄殺しの罪が露見し、皇位を甥の静児に譲り、自ら隠遁の道を選ぶ。野望に燃えた王藺(おうりん)は、腹心の宋懐恩(そうかいおん)に裏切られ命を落とす。宋懐恩(そうかいおん)もまた、蕭綦(しょうき)によって討たれる。玉秀(ぎょくしゅう)は王儇(おうけん)と子澹(したん)を守るために命を落とし、胡瑶(こよう)もまた同じ運命を辿る。王夙(おうしゅく)は宰相となり、顧采薇(こさいび)と結ばれる。蘇錦児(そきんじ)は子供と共に静かに暮らす道を選び、龐癸(ほうけい)は王儇を守るという任務を最後まで全うする。太后は静児が皇位を継いだ後に世を去る。
このように、それぞれの登場人物が様々な運命を辿り、激動の時代を生き抜いた彼らの物語は幕を閉じる。
第1話あらすじとネタバレ
皇宮の静かな一角で、幼い女の子が古い詩句を朗読していた。「将軍不離九宮内、士止相随不出宮」。孝穆太后(こうぼくたいこう)に見守られながら、床に描かれた全国地図の上で遊んでいた。阿嫵(あぶ)は目隠しをしたまま、各地の都市の位置を正確に指し出し、太後の賞賛を得る。そこへ宮女がやってきて、徐姑姑(じょこくこ)から晋敏長公主(ちょうこうしゅ)の伝言を伝える。小郡主はこの月すでに二十日以上も宮中に滞在しており、このままでは親族の顔さえ忘れてしまうのでは、と。
これを聞いた小郡主は、家に帰りたくないと言う。前回、家でうっかり台所を焼いてしまい、父に叱られたため、夜中に宮へ逃げ帰ってきたことを思い出す。阿嫵(あぶ)を溺愛する孝穆太后(こうぼくたいこう)は、すぐに宮中に滞在することを許し、晋敏長公主(ちょうこうしゅ)へは風池宮こそが小郡主の家であり、もう少し滞在させてほしいと伝えるよう宮女に命じる。宮女たちも、郡主は宮中の娘同然だと口添えする。
この小郡主こそ王儇(おうけん)。琅琊王氏の娘で、母は当今皇帝の唯一の妹であり、先太后にも最も愛された晋敏長公主(ちょうこうしゅ)である。王儇(おうけん)は幼い頃から外祖母である孝穆太后(こうぼくたいこう)に育てられ、風池宮という寝殿を与えられ、深い愛情に包まれて育った。中宮への出入りは自由で、御苑で遊び、三人の皇子と共に成長した。太子(たいし)子隆(しろう)は腕白な性格で、二皇子子律(しりつ)は病弱で口数が少なく、出生のことで太子(たいし)にいじめられることが多かった。そして三皇子子澹(したん)は、いつも優しく王儇(おうけん)を見守っていた。王儇(おうけん)の心の中では、子澹(したん)は特別な存在であり、二人は幼馴染として互いに想いを寄せていた。伯母が皇后となったことで、王儇(おうけん)は上陽郡主(じょうようぐんしゅ)の位を授かり、実の兄よりも高い地位を得る。家族や親しい者からは、乳名である阿嫵(あぶ)と呼ばれていた。
王儇(おうけん)は太子(たいし)がいじめるのを見過ごせず、他の二人の皇子と組んで太子(たいし)をからかうことも多かった。皇后に叱られることを恐れると、皇帝の元に駆け寄り甘えて許しを請う。大成皇帝馬曜(ばよう)もまた王儇(おうけん)を溺愛しており、皇后が来ると聞くと、自分の衣の裾に王儇(おうけん)を隠して、叱らないよう皇后に頼むのだった。ある時は、皇后が到着した時には、王儇(おうけん)はすでに皇帝の膝の上で眠っていた。王儇(おうけん)はこのような庇護の中で育ち、外の世界がすでに戦乱の世となっていることを知らなかった。
元熙十五年八月、西部の辺境にある寧朔(ねいさく)城外では、無数の兵士が忽蘭(くらん)の侵略に抵抗し、激しい戦いを繰り広げていた。同じ頃、建寧皇城の太極殿では、王儇(おうけん)の笄(こうがい)の儀式が行われていた。これは、無憂無慮の小郡主から大人の女性へと正式に踏み出すことを意味する儀式だった。この儀式は、彼女の成長を象徴するだけでなく、彼女が硝煙なき政争に巻き込まれていくことを暗示していた。
笄の儀の後、皇后王氏は皇帝に王儇(おうけん)の結婚について考えるよう進言する。皇后は明らかに、王儇を太子(たいし)に嫁がせて王家の地位を固めたいと考えていた。しかし、王儇は別の望みを口にする。愛する人と結ばれたいと。ちょうどその時、王藺(おうりん)が辺境の緊急事態を報告する。忽蘭(くらん)の十万の大軍が寧朔(ねいさく)に迫っており、皇帝に国事を優先し、結婚の話は一旦保留するよう求めた。
父のやり方に不満を抱いた王儇は、家に帰ってから機嫌を悪くし、先祖供養の儀式への参加も拒否する。兄王夙(おうしゅく)と世子妃桓宓(かんひつ)が説得するも、王儇はなおも不機嫌な態度を崩さない。夕食の席で、父になぜ子澹(したん)への想いを伝えることを阻むのかと問いただすと、王藺(おうりん)は今は国事こそが重要だと説明する。王儇は席を立ち、皇帝に訴えに行く。
一方、寧朔(ねいさく)の戦況は激しさを増し、蕭綦(しょうき)将軍は兵を率いて敵軍に抵抗していた。三年前に朝廷は、忽蘭(くらん)の王を討ち取った者には王の位を与えるという布告を出していた。しかし、この決定は朝廷の貴族たちの不満を買い、彼らは寒門出身者に王位を与えることは貴族の尊厳を侮辱するものだと考えていた。大臣たちの議論に頭を悩ませた皇帝は、一人で碁を打って気を紛らわせていた。そこに王儇がこっそりと書斎に入り、皇帝に碁の相手を申し出る。そして、もし勝ったら願いを一つ叶えてもらう約束を取り付ける。碁を打ちながら、王儇は自分の考えを述べる。蕭綦(しょうき)がたとえ王になったとしても、皇帝の手中にある一つの駒に過ぎないと。結局、王儇が碁に勝ち、皇帝は渋々ながらも彼女の願い――婚姻の自由――を叶えることを約束する。
皇帝の許可を得て、王儇は喜び勇んで屋敷に戻る。王藺(おうりん)に叱られることを予想し、故事にならって荊の杖を背負って謝罪する。甘えて許しを請うと、王藺(おうりん)は結局重い罰は与えず、下人に戒尺で掌を五十回打たせ、百日の謹慎を命じるのみだった。
そして寧朔(ねいさく)の戦場では、蕭綦(しょうき)が忽蘭(くらん)の王を討ち取ることに成功する。皇帝は約束通り、彼を征北将軍に封じ、王位を与える儀式のために都へ呼び戻す準備を始める。皇城の内外は、まもなく行われる祝賀行事の準備に追われ、英雄の帰還を待ちわびていた。
第2話あらすじとネタバレ
王儇(おうけん)は禁足百日のため、退屈な日々を送っていた。ある日、屋敷の庭で侍女たちと戯れていると、謝宛如(しゃえんじょ)が菓子を持って見舞いに訪れた。謝宛如(しゃえんじょ)は子澹(したん)の従姉であるだけでなく、王儇(おうけん)とも親しい仲だった。王儇(おうけん)は、子澹(したん)が見舞いに来ないことを謝宛如(しゃえんじょ)に愚痴る。謝宛如(しゃえんじょ)は弟を弁護し、子澹(したん)の最大の望みは王儇(おうけん)を娶ることだと説明する。しかし、京の情勢は複雑で、軽々しく訪れると余計な問題を引き起こす可能性があると諭す。落胆する王儇(おうけん)を慰めるため、謝宛如(しゃえんじょ)は明後日、鳶を合図にこっそり塀を越えて上元節の祭りに出かけることを提案し、王儇(おうけん)は喜んで承諾する。
一方、蕭綦(しょうき)がもうすぐ京へ戻るという噂が大臣たちの間で広まり、権力構造の変化が予想されていた。蕭綦(しょうき)は目覚ましい戦功により、一介の参軍から前鋒副将へと急速に昇進し、靖遠将軍の信頼も厚い。辺境で三年間、忽蘭(くらん)の百回を超える侵攻を食い止め、敵将三十二名を討ち取った。その中には忽蘭(くらん)王の愛息も含まれており、忽蘭(くらん)の勢力に大打撃を与えた。蕭綦(しょうき)はその武名をとどろかせ、寧朔(ねいさく)将軍に昇進。「天将軍」と称えられている。
王藺(おうりん)は密かに蕭綦(しょうき)に連絡を取り、上元節の夜に会う約束を取り付ける。蕭綦(しょうき)が王に封じられる可能性について、王栩(おう・しゅ)と顧庸は不満を漏らし、王藺(おうりん)に訴える。王藺(おうりん)は王夙(おうしゅく)に謝(しゃ)氏が蕭綦(しょうき)を支持していることについて意見を求めると、王夙(おうしゅく)は謝(しゃ)氏が蕭綦(しょうき)の持つ兵力に目をつけたのだろうと推測する。
上元節当日、王儇(おうけん)は謝宛如(しゃえんじょ)が放った鳶を見て、こっそり外出することにする。しかし、塀を越える際に足を滑らせてしまうが、幸いにも誰かに抱き止められる。その人物はなんと子澹(したん)だった。二人は喜び、買った仮面をつけ、人混みに紛れて祭りを楽しむ。
王藺(おうりん)は蕭綦(しょうき)と酒場で密会し、皇帝が蕭綦(しょうき)を呼び戻したのは実質的に兵権を奪うためであるとほのめかす。近年蕭綦(しょうき)の影響力がますます大きくなっているため、皇帝は不安で夜も眠れないという。王藺(おうりん)は同盟を提案するが、蕭綦(しょうき)は明確な返答を避ける。密会後、蕭綦(しょうき)は宋懐恩(そうかいおん)と共に京の街を散策することにし、偶然にも人形劇を見ている王儇(おうけん)と子澹(したん)に出会う。道行く人々が上陽郡主(じょうようぐんしゅ)のみが蕭綦(しょうき)に相応しいと話すのを聞き、王儇(おうけん)は思わず仮論する。相手の身分を知らない彼女は、たとえ蕭綦(しょうき)が目の前にいても意見は変わらないと言い放つ。気まずい空気が流れるが、子澹(したん)が仲裁に入り、事は収まる。
その後、子澹(したん)は王儇(おうけん)を連れて川辺で灯籠流しをする。二人が楽しんでいる最中、皇后が突然王府に現れる。そして、川から数人の黒ずくめの男が現れ、子澹(したん)を襲撃する。子澹(したん)は多勢に無勢で倒れてしまう。知らせを聞いて駆けつけた蕭綦(しょうき)が間一髪で子澹(したん)を助け、刺客を撃退する。事件後、王儇(おうけん)は恐怖のあまり子澹(したん)の胸に抱きつく。子澹(したん)は災難に巻き込まれた彼女を心配そうに見つめる。
王儇(おうけん)を送った後、子澹(したん)は自ら磨いた簪を贈り物として渡す。部屋に戻ると、皇后が待ち構えていた。皇后は王儇に太子(たいし)との結婚を勧めるが、王儇は断固として拒否し、皇后は怒り手を出そうとする。そこに長公主(ちょうこうしゅ)が到著し、皇后を製止する。皇后は無理強いはできないと悟り、退出する。王藺(おうりん)は皇后の行動が性急すぎると指摘し、王氏の権力は強大であり、王儇が太子(たいし)妃になれば皇帝は不安を抱くだろうと忠告する。そして、自分の計画通りに進めるよう助言する。
子澹(したん)襲撃事件はすぐに広まり、皇帝は皇后の仕業ではないかと疑い、王栩(おう・しゅ)を罰し、顧庸に事件の徹底調査を命じる。調査の過程で、顧庸の部下は偶然にも二皇子子律(しりつ)が遊郭で遊んでいる事実を発見する。一方、皇帝は蕭綦(しょうき)と謝宛如(しゃえんじょ)の結婚を画策するが、謝宛如(しゃえんじょ)はこの話を聞き絶望する。彼女は蕭綦(しょうき)の身分が低く冷酷だと考え、結婚に強く仮対する。
第3話あらすじとネタバレ
宮廷の陰謀
子澹(したん)、母を訪ね、疑念が生じる
子澹(したん)は宮中で母である謝(しゃ)貴妃を訪ねた。最近、宮中では様々な噂が飛び交っており、謝(しゃ)貴妃は皇后が子澹(したん)の暗殺を企てたと確信し、皇后の残酷さを非難する。彼女は子澹(したん)に、太子(たいし)の将来の地位を脅かすことができるのは子澹(したん)と謝家だけだと説明する。子澹(したん)は皇后がなぜ自分に危害を加えようとするのか理解できないものの、母を安心させるために、より警戒することを約束する。
二人が話している最中、宮女が晋敏長公主(ちょうこうしゅ)の来訪を告げる。子澹(したん)は謝(しゃ)貴妃に別れを告げた。長公主(ちょうこうしゅ)は挨拶と共に、王儇(おうけん)と子澹(したん)の結婚の話も持ち出した。謝(しゃ)貴妃はこの知らせに喜び、長公主(ちょうこうしゅ)と共に皇帝の元へ行き、結婚の許可を求めることにする。皇帝はこの結婚を承諾するが、謝(しゃ)貴妃を先に退出させ、長公主(ちょうこうしゅ)だけを残して話を続ける。実は、長公主(ちょうこうしゅ)はかつて丞相の王藺(おうりん)に嫁がされることを余儀なくされており、皇帝はそれをずっと申し訳なく思っていた。今回、皇帝は長公主(ちょうこうしゅ)に丞相の妻ではなく妹として、蕭綦(しょうき)の入京に関して協力を得たいと考えていたのだ。
王家の密議、波乱の婚約
王府では、謝宛如(しゃえんじょ)と王儇(おうけん)が談笑していた。王儇(おうけん)は子澹(したん)との結婚式を心待ちにし、謝宛如(しゃえんじょ)に付き添い人として一緒に嫁入りすることを提案する。しかし、話題が謝宛如(しゃえんじょ)自身の結婚の話に移ると、雰囲気は重くなる。謝宛如(しゃえんじょ)の父は、彼女を身分の低い英雄である蕭綦(しょうき)に嫁がせようと固執しており、王儇(おうけん)は蕭綦(しょうき)が都の貴族の子弟よりも優れていると慰めるが、謝宛如(しゃえんじょ)は不満を抱えたままだった。皇命には逆らえない現実を受け、彼女は蕭綦(しょうき)が入京して叙任を受ける際に、彼の姿を一目見ようと決意する。
王儇(おうけん)は兄の王夙(おうしゅく)に頼んで、入城式を見に行けるようにしようと提案する。王夙(おうしゅく)は王儇(おうけん)の真意を見抜き、子澹(したん)を見たいのだろうとからかう。王藺(おうりん)はこの話を聞き、王儇(おうけん)の気概を褒めて彼女の頼みを聞き入れるが、同時に王夙(おうしゅく)が文学に耽溺していることを非難し、王夙(おうしゅく)は怒ってその場を去る。
長公主(ちょうこうしゅ)帰宅、玉の腕輪で婚約成立
王府に戻った長公主(ちょうこうしゅ)は、謝(しゃ)貴妃から贈られた家宝の玉の腕輪を王儇(おうけん)に渡す。これは子澹(したん)と王儇(おうけん)の婚約の証だった。王儇(おうけん)は大喜びするが、父に知られたくないため、長公主(ちょうこうしゅ)に秘密にしておくよう頼む。長公主(ちょうこうしゅ)は王藺(おうりん)に、皇帝も承諾しているのだから、二人の結婚を邪魔しないよう説得する。王藺(おうりん)は表面上は平静を装うが、内心では動揺していた。
朝廷の騒動、顧庸の死
王藺(おうりん)はすぐに、兵部尚書の顧庸が異民族問題を調査中に、青楼で二皇子に遭遇したことを知る。その後、太子(たいし)と二皇子が王府を訪れ、太子(たいし)は王儇(おうけん)に贈り物をするが、彼女は冷淡な態度を取る。翌日、蕭綦(しょうき)が入京して叙任を受けることになっていたが、前夜、蕭綦(しょうき)の入京に仮対していた顧庸が暗殺される。何も知らない大臣たちは城門で新王を迎え、王儇(おうけん)は子澹(したん)から贈られた簪を挿し、高台から式を見物する。
低い号角の音と共に城門がゆっくりと開き、突然空が暗くなり、冷たい空気が漂う。蕭綦(しょうき)は黒鉄の鎧を身に纏い、戦馬に乗り、九列の鉄騎を率いて城門に入場する。彼は高台の前で馬を止め跪き、皇帝自ら彼を立たせる。彼らが入城しようとしたその時、顧庸の遺体が城楼から落下する。「庶子禍国(庶子が国を滅ぼす)」と書かれた紙が遺体に結びつけられており、周囲は騒然となる。皇帝は激怒し、王藺(おうりん)に事件の徹底捜査を命じ、顧家に後継ぎがいるかを尋ねる。王藺(おうりん)は顧採薇と顧閔汶の名を挙げ、皇帝は二人に褒美を与えて慰める。
西の壁での逢瀬、樹倒猢猻散(頼るものがなくなると皆散り散りになる)
夜、王藺(おうりん)は王儇と子澹(したん)が西の壁で密会しているのを発見し、翌日、娘が再び危険なことをしないよう、外に通じるその木を切るよう命じる。
叙任式の前夜、抵抗もむなしく
蕭綦(しょうき)の叙任式が始まろうとしていた。謝宛如(しゃえんじょ)は蕭綦(しょうき)との結婚を拒み泣き叫ぶが、父の謝淵(しゃえん)は兵権のために結婚を強行しようとする。一方、王儇は皇後の侍女に連れられ、侍女を伴わずに皇后に謁見する。その後、皇帝は詔を読み上げ、正式に蕭綦(しょうき)を豫章(よしょう)王に叙任する。
第4話あらすじとネタバレ
蕭綦(しょうき)は皇帝からの冊封を受け、謝恩した。皇帝は彼に訓戒を与え、異姓王として初の王となった蕭綦(しょうき)に、永遠の忠誠を求めた。蕭綦(しょうき)は当然承諾した。冊封式の後、宴が始まった。子澹(したん)は自ら蕭綦(しょうき)に酒を注ぎ、命を救われた恩に感謝した。太子(たいし)と子律(しりつ)は、子澹(したん)と蕭綦(しょうき)の親密な様子を見て、心中穏やかではなかった。その後まもなく、太子(たいし)は宴を抜け出し、華光殿へ向かい、侍従たちを追い払って香を焚いた。
殿内の重苦しい空気に耐えかねた蕭綦(しょうき)もまた、宴を出て外の空気を吸っていた。一方、王儇(おうけん)は皇后の侍女に連れられて行ったが、侍女は皇后のいる宮殿とは違う方向へ向かっていた。侍女は皇后が今日は華光殿にいると説明し、王儇(おうけん)は仕方なく彼女の後について行った。華光殿に連れられた王儇(おうけん)は、中に入った途端、侍女に扉を閉められてしまった。王儇(おうけん)が殿内で皇后を呼ぶと、なんと太子(たいし)が謝宛如(しゃえんじょ)と寝台にいるのを目撃してしまう。驚愕した王儇(おうけん)は逃げ出そうとしたが、太子(たいし)も自分の過ちに気づき、彼女を追いかけた。
扉はすでに施錠されており、王儇(おうけん)は逃げ場を失った。迫り来る太子(たいし)に恐怖と焦りでいっぱいになりながらも抵抗し、宮の塀際の木に登って逃げようとした。しかし、足を滑らせ塀から落ちてしまう。子澹(したん)に助けを求める間もなく、彼女を救ったのは、殿外で空気を吸っていた蕭綦(しょうき)だった。驚きを隠せない王儇(おうけん)は、恐怖のあまり気を失ってしまった。
一方、太子(たいし)と謝宛如(しゃえんじょ)の事を聞いた皇后は、すぐに華光殿へ向かった。謝宛如(しゃえんじょ)もまた恐怖に怯えていた。彼女は偽の皇后の命令で華光殿に連れてこられ、王儇(おうけん)と間違えられて太子(たいし)に言い寄られたのだ。この事はすぐに皇帝と謝(しゃ)貴妃の耳にも入り、二人は急いで現場に駆けつけた。太子(たいし)は跪いて自責し、謝宛如(しゃえんじょ)は謝(しゃ)貴妃の腕の中で泣いていた。皇后は太子(たいし)を庇おうとしたが、太子(たいし)は自分の過ちを認めた。皇帝は事態に頭を悩ませ、謝(しゃ)貴妃に償いを約束し、薛道安(せつどうあん)に関係した宮人の処分を命じた。
その後、王藺(おうりん)がやって来て、太子(たいし)に平手打ちを食らわせた。そして、もし同じことがあれば王家は太子(たいし)を支えないと警告し、謝宛如(しゃえんじょ)を太子妃として迎えるよう命じた。子澹(したん)もまた、太子が宮に戻ると下人たちを下がらせ、太子を叱責し、王儇(おうけん)に近づかないよう警告した。皇后は事の次第を知り、太子を庇おうとしたが、太子は事を荒立てないよう皇后を諭した。
王儇(おうけん)は恐怖のあまり高熱を出し、屋敷に戻ってからも熱は下がらない。長公主(ちょうこうしゅ)は付きっきりで看病し、王藺(おうりん)は長公主(ちょうこうしゅ)が風邪をひかないよう、そっと彼女に外套をかけた。
表向きは修道に励んでいる皇帝だが、実は道士と胸の内を語り合っていた。王家の力を借りて帝位に就いたことを後悔し、太子はあまりにも純粋で帝位を継ぐには力不足だと考えていた。そのため、政略結婚によって王家を牽製しようとしていたが、その計画は太子によって台無しにされた。皇帝は事態を収拾するため、自ら行動を起こす決意を固めた。
王栩(おう・しゅ)は華光殿を調べ、太子が使った迷香を発見し、宮女が謝宛如(しゃえんじょ)を殿内に案内したことを突き止めたが、その宮女は行方不明だった。報告を受けた王藺(おうりん)はさらに疑念を深め、黒幕の調査を命じた。同時に、皇帝が太子を廃位しようとしていることを知り、王栩(おう・しゅ)と対策を練っていた。その時、長公主(ちょうこうしゅ)が入ってきた。彼女は明らかに外で話を盗み聞きしていたが、何食わぬ顔で二人に話しかけた。
謝淵(しゃえん)は娘が太子に嫁ぐことに激しく仮対したが、皇帝は謝家を必ず償うと約束して彼をなだめた。皇帝は華光殿の事件の裏に陰謀があることを察知し、謝淵(しゃえん)に調査を命じた。皇帝は再び皇后と太子を呼び、結婚を命じ、これが最後の機会だと警告した。しかし、皇后は皇帝の措置が皇家の体面を保つためだけだと感じ、二人の間には不穏な空気が流れた。
王藺(おうりん)は帰宅後、王儇(おうけん)に謝宛如(しゃえんじょ)が太子に嫁ぐこと、そして蕭綦(しょうき)が彼女を助けたことを話した。王藺(おうりん)は自ら蕭綦(しょうき)に礼を言いに行くと言った。
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