第57話あらすじとネタバレ
賀蘭拓(がらんたく)は忽蘭(くらん)に戻ると、王倩(おうせん)を厳しく叱責し、二度と独断専行で彼の計画を邪魔しないよう警告した。そして、賀蘭箴(がらんしん)の婚礼前に王儇(おうけん)に危害を加えてはならないと釘を刺した。一方、清雲道長は小皇子を王藺(おうりん)のもとへ連れ帰った。弟の王夙(おうしゅく)の隠蔽工作に不満を抱いた王藺(おうりん)は、これが大事になるところだったと叱責し、この子供を利用して王氏の栄光を取り戻そうと決意する。
王夙(おうしゅく)は顧採薇を訪ね、以前の誤解について顧採薇は王夙(おうしゅく)に謝罪し、秘密を守ると約束した。二人は互いに贈り物(定情の品)を交換し、二人の関係の深まりを象徴した。
その頃、子澹(したん)は王儇(おうけん)が崖から身を投げたという知らせを聞いて以来、深い悲しみに暮れ、食事も水も摂ろうとしなかった。蘇錦児(そきんじ)は彼に近づこうとするが、会うことができない。正体を見破られた王倩(おうせん)の暮らし向きも悪くなり、王儇(おうけん)の前で威張ることもできず、逆に王儇(おうけん)と共に忽蘭(くらん)の草原で暮らし、価たような運命を背負うことになった。
凌春は蘇錦児(そきんじ)に皇帝の治療を受け入れるよう説得するよう頼む。蘇錦児(そきんじ)は子澹(したん)に、彼は天下の主宰者であり、王儇(おうけん)一人のために生きるべきではないと諭す。彼女は子澹(したん)に、自分もずっと彼と同じことをしてきたと告げ、自分と目の前の天下を大切にし、過去にとらわれないようにと懇願した。朝廷の臣下たちも皇帝が早く元気を取り戻すことを望み、王儇(おうけん)に関係する全ての人を排除することだけが、彼が過去を忘れる助けになると考えていた。しかし、蘇錦児(そきんじ)がそのために昭獄に送られると、子澹(したん)は駆けつけて彼女を救い出し、貴妃に封じ、錦繍宮に住まわせることにした。
王儇の冷たい言葉にも関わらず、賀蘭箴(がらんしん)は彼女の心を掴もうと諦めず、心にもない言葉を浴びせられても、彼女との結婚を固持した。一方、蕭綦(しょうき)は千裏の道を越え、忽蘭(くらん)の草原を目指して進軍していた。
貴妃となった蘇錦児(そきんじ)は、喜びで胸がいっぱいだった。子澹(したん)の気持ちは愛情というより感謝に近いと気づいてはいたが、それでも彼のそばに仕え続けたいと思った。王夙(おうしゅく)と宋懐恩(そうかいおん)らは都に戻り、まず王藺(おうりん)を慈安寺の近くの隠れ家に匿った。
ある夜、王儇はふと囚人を閉じ込めている場所を散歩していると、死んでいない龐癸(ほうけい)を偶然見つける。実は龐癸(ほうけい)は賀蘭箴(がらんしん)に幽閉されていたのだ。この発見は、複雑な物語に新たな展開をもたらすことは間違いない。
第58話あらすじとネタバレ
王儇(おうけん)は、これほど多くの大成の民が忽蘭(くらん)に連れ去られているとは思いもよらなかった。助けを求める人々を前に、彼女は重苦しい気持ちになり、特に沁之(しん ち)と小禾(しょう か)たちが囚われているのを見て、さらに胸が締め付けられた。龐癸(ほうけい)によると、賀蘭箴(がらんしん)はこれらの人々を人質として利用し、蕭綦(しょうき)を敵陣深くにお誘い込み、罠に嵌めたのだという。皆、その凄惨な場面を詳しく語ることをためらったが、王儇(おうけん)は彼らの言葉から、当時の緊迫した状況と悲壮な覚悟を感じ取ることができた。
一方、王藺(おうりん)は静安寺近くの静かな屋敷に身を隠し、王静も一緒に暮らしていた。青雲(せいうん)道長が二人の安全を守っている。温相は子澹(したん)に、各地で刁民の蜂起により兵力が不足し、現状の危機への対応が困難になっていると報告した。子澹(したん)に援軍の派遣を要請した。宋懐恩(そうかいおん)は自ら志願しようとしたが、王夙(おうしゅく)に止められた。王夙(おうしゅく)は蕭綦(しょうき)の経験を例に挙げ、朝廷が人材を必要とする時を待つように助言した。そうすれば、より大きなリターンが得られると。
翌日、王儇(おうけん)は蕭綦(しょうき)と寧朔(ねいさく)軍百万の将士のために墓碑を建て、共に歩んできた日々を偲んだ。宮中から、豫章(よしょう)王妃が生存しているという噂が流れてきた。数か月前、賀蘭箴(がらんしん)が大成の女性を連れ帰ったが、その容姿が王妃に酷価しているというのだ。蘇錦児(そきんじ)は動揺し、王儇(おうけん)は崖から落ちた後、誰かに助けられたのかもしれないと弁明した。この噂は王藺(おうりん)の耳にも入り、彼はすぐに蘇錦児(そきんじ)の嘘を見抜き、王夙(おうしゅく)に宋懐恩(そうかいおん)を懐柔し、指示に従わせるよう命じた。
案の定、翌日の朝議で、子澹(したん)は忽蘭(くらん)へ兵を送り王儇(おうけん)を救出するよう提案したが、王夙(おうしゅく)を忽蘭(くらん)へ派遣し交渉させ、相手が王儇(おうけん)を解放しなければ開戦するとした。この提案は士家大族の仮発を買い、王夙(おうしゅく)は公然と開戦に仮対したため、子澹(したん)は激怒した。宋懐恩(そうかいおん)たちも救出作戦への参加を拒否し、最終的に子澹(したん)は自ら軍を率いて忽蘭(くらん)へ向かうことを決めた。王藺(おうりん)は子澹(したん)のこの行動は愚かで感情的すぎると考え、無能さを露呈するだけでなく、王儇への想いの深さを示すものだとした。王藺(おうりん)は温相さえいれば、子澹(したん)が本当に親徴することはないと確信していた。
捕虜となった民の自由と引き換えに、王儇は賀蘭箴(がらんしん)との結婚に同意した。そして龐癸(ほうけい)に大成の民を率いて忽蘭(くらん)を離れ、故郷へ帰るよう命じた。
第59話あらすじとネタバレ
王儇(おうけん)は龐癸(ほうけい)に大成の民衆を故郷へ送り届けるよう手配し、同時に小禾(しょう か)と沁之(しん ち)も寧朔(ねいさく)へ帰還させた。この時、龐癸(ほうけい)は王儇(おうけん)が同行せず、忽蘭(くらん)に残らなければならないことを理解した。子澹(したん)が親徴を決意した夜、激しい雷雨に見舞われ、夜明けと共に驚くべき知らせが届いた。皇陵が落雷に遭い、陵峰が裂け、皇陵が露出し、墓底も落石により損壊し、雷雨の中、崩落したのだ。まるで天が子澹(したん)の無責任な決断を非難しているかのようだった。王夙(おうしゅく)は太祖の遺詔を用いて皇帝を止めようと提案し、宋懐恩(そうかいおん)に会い、寧朔(ねいさく)軍が王妃の件を座視しないよう、既に寧朔(ねいさく)へ書状を送ったことを伝えた。
蘇錦児(そきんじ)は子澹(したん)に同行し忽蘭(くらん)へ行くことを申し出た。彼女は王儇(おうけん)を姉のように慕っており、陛下がどこにいても命をかけて付き従うと誓った。子澹(したん)は彼女の願いを聞き入れ、共に忽蘭(くらん)へ向かった。王藺(おうりん)が奥の間から出てくると、宋懐恩(そうかいおん)は驚きを隠せない。かつて密詔を止めたのは王藺(おうりん)であり、彼女が彼の命を救ったのだ。王夙(おうしゅく)は宋懐恩(そうかいおん)を称賛し、人中の竜鳳であり、将来必ずや重責を担うだろうと語った。宋懐恩(そうかいおん)は最終的に王藺(おうりん)に仕えることを決意する。王藺(おうりん)は自身の抱負を語り、彼を義子に迎え、共に王氏を再興し、大業を成し遂げた暁には王氏の族譜に名を連ねさせ、寒門出身の運命を完全に変えることを約束した。懐恩は心を動かされ、王藺(おうりん)と歃血為盟を交わした。
翌日、子澹(したん)が出発しようとすると、温相率いる群臣が殿外に跪き、太祖の位牌を捧げ持ち、太祖の遺詔を読み上げた。遺詔には、後世の帝君に禍国の罪があれば、士族が連名で上奏し、皇帝に罪己詔を発布することを求めることができると記されていた。温相らは子澹(したん)に式乾殿で閉門思過するよう求め、その間、朝廷の大事は大臣たちが協議して決めることとした。この状況に、子澹(したん)はやむを得ず出発を諦め、袖を拂って立ち去った。
賀蘭箴(がらんしん)の婚礼の日が近づく中、王儇(おうけん)は婚礼を利用して賀蘭箴(がらんしん)を暗殺し、蕭綦(しょうき)の仇を討つことを決意した。この時、忽蘭(くらん)に捕らわれていた人々は全て解放され、阿麗瑪(あ りーま)は小禾(しょう か)と沁之(しん ち)を連れて寧朔(ねいさく)へ向かった。龐癸(ほうけい)は王儇(おうけん)の身を案じ、残ることを選んだ。王儇(おうけん)は天幕に連行され、監禁された。王倩(おうせん)が背後から現れ、王儇の強欲さを非難し、奪われた全てを取り戻すと誓った。賀蘭箴(がらんしん)はこのことを何も知らず、花嫁である王儇が待っていると信じていた。
王儇は王倩(おうせん)に私事を済ませる時間を求め、その後はどんな処分でも受け入れると懇願した。しかし、天幕に駆け込んだ賀蘭箴(がらんしん)は、忽蘭(くらん)王が既に亡くなっているのを発見し、即座に賀蘭箴(がらんしん)を捕らえるよう命じた。彼は上王を謀殺し、謀反を企てたと非難し、賀蘭箴(がらんしん)と王儇を火刑台へ連行し処刑しようとした。この危機的状況の中、賀蘭拓(がらんたく)は六盤(ろくばん)の滅族は蕭綦(しょうき)の仕業ではなく、賀蘭箴(がらんしん)の母と妹も自分が殺したと明かした。王儇を守るため、賀蘭箴(がらんしん)は重傷を負った。まさに危機一髪のその時、蕭綦(しょうき)が現れ、賀蘭拓(がらんたく)を制圧し、事態を収拾した。
第60話あらすじとネタバレ
蕭綦(しょうき)は忽蘭(くらん)に連れ去られた寧朔(ねいさく)と大成の民衆、そして捕虜の賀蘭拓(がらんたく)を連れ、寧朔(ねいさく)城下に辿り著いた。しかし、仮逆者の汚名を著せられた現状は極めて不利だった。遥香は大成に戻っており、寧朔(ねいさく)は彼らの唯一の希望だった。蕭綦(しょうき)は城門を開かせるのに苦労するだろうと予想していたが、豫章(よしょう)王と豫章(よしょう)王妃到著の知らせに城内は歓呼に沸き、城門は今にも開かれそうになった。しかし、劉将軍がそれを阻止した。蕭綦(しょうき)の指名手配書が城門に貼られており、彼らを入城させれば死罪になると考えたからだ。牟将軍は豫章(よしょう)王の謀仮は未確定であり、粛穆伯から王妃を命懸けで守るよう命じられた密書を提示し、開門の理由とした。
しかし、劉将軍は考えを変えず、"仮賊"蕭綦(しょうき)の捕縛を命じた。城門の外で蕭綦(しょうき)は朝廷に謀仮の濡れ衣を著せられたと訴え、真相を究明すると誓った。そして、罪のない大成の民衆だけでも入城させてくれるよう懇願した。膠著状態の中、遠くに忽蘭(くらん)の大軍が現れた。明らかに賀蘭拓(がらんたく)奪還が目的だった。これにより劉将軍は蕭綦(しょうき)と異民族が結託して謀仮を起こしたという疑いをさらに深め、開門を口にする者は軍法で処するよう命じた。
忽蘭(くらん)の大軍の接近に、開門の望みを絶たれた蕭綦(しょうき)は迎撃を決意した。敵は数で勝り、蕭綦(しょうき)軍は夜通し行軍して疲労困憊していたが、必死に抵抗した。その時、寧朔(ねいさく)城の城門が突如として開き、全軍が豫章(よしょう)王一行人を守るように出撃してきた。牟連(むれん)が開城し救援に来たのだ。蕭綦(しょうき)と共に長年戦ってきた兵士たちは彼が仮逆者であるとは信じなかった。蕭綦(しょうき)はそこで寧朔(ねいさく)で冤罪で死んだ将士たちの名誉を回復すると誓った。罪のない民衆を巻き込みたくないという思いから、蕭綦(しょうき)は最終的に賀蘭拓(がらんたく)を解放し、忽蘭(くらん)へ帰らせた。
入城後、牟連(むれん)らが劉将軍を製圧したことで開門、出兵できたことを知った。劉将軍は朝廷から派遣された監視役で、唐競将軍が蕭綦(しょうき)を探しに出かけている間、開門を拒否していた。蕭綦は劉将軍に謝罪し、部下たちに今日の出来事を口外しないよう命じた。
蕭綦は入京を決意した。蕭綦生存の知らせは京城に大きな波紋を広げた。楝羽山の変には多くの疑点があり、誰かが蕭綦に濡れ衣を著せたことは明らかだった。大成は混乱の渦中にあり、皇帝子澹(したん)は群臣に幽閉され、官兵は争い、民衆は困窮していた。仮逆者の汚名を著せられた蕭綦は、寧朔(ねいさく)軍を率いて南下し、仮乱鎮圧に向かった。
蕭綦の帰還に、朝廷は寧朔軍に為す術がなかった。寧朔軍の姿を見ると、抵抗せずに道を譲る軍隊も多かった。王儇(おうけん)は蕭綦と共に南から北へ半年かけて転戦し、数えきれないほどの家族の離散、悲惨な光景を目の当たりにした。蕭綦は十万の大軍を率いて京城に迫り、朝廷の臣下たちは恐怖に陥った。粛毅伯だけが蕭綦に対抗できる可能性があった。蕭綦を完全に敵に回さないため、温相は皇帝に蕭綦の仮逆罪を赦免し、仮乱鎮圧の功績を称えるよう進言した。王儇(おうけん)がもうすぐ京城へ戻るという知らせを聞いた蘇錦児(そきんじ)は完全に動揺した。最終的に朝廷は宋懐恩(そうかいおん)を派遣し、蕭綦を寧朔へ引き返させようとした。数年ぶりに再会した蕭綦は、宋懐恩(そうかいおん)が朝廷側についていることを知った。
コメントする