第61話あらすじとネタバレ
朝廷の大臣たちが宮殿の外でひざまずき、子澹(したん)に政務を執るよう懇願していた。蕭綦(しょうき)がもうすぐ都へ到著するという知らせは、朝廷の上下を敵襲のような緊張状態に陥れていた。子澹(したん)はこの事態を無視できないことを深く理解し、熟慮の末、朝廷の威厳を保つため、蕭綦(しょうき)を都に迎えるための勅令を出すことに決めた。
宋懐恩(そうかいおん)はかつて朝廷で独り立ちできると考えていたが、蕭綦(しょうき)の帰還により、皆がまだ自分を蕭綦(しょうき)の部下としか見ておらず、蕭綦(しょうき)と比べる者さえいないことを悟った。玉秀(ぎょくしゅう)もまた、宋懐恩(そうかいおん)を蕭綦(しょうき)の部下でしかないと考えていた。しかし、宋懐恩(そうかいおん)の心には豫章(よしょう)王に取って代わり、真の粛穆伯となる野望が芽生え始めていた。
間近に迫った蕭綦(しょうき)の到著に対し、子澹(したん)は江夏王を遣わし、勅令を読み上げさせた。しかし蕭綦(しょうき)は慣例通りにひざまずいて勅命を受けることはせず、勅令を受け取って自ら読み上げた。彼は今回の帰京は勅令によるものではなく、楝羽山の変の真相を究明し、寧朔(ねいさく)軍の将兵たちの汚名を晴らすためだと強調した。蕭綦(しょうき)が率いてきた十万の大軍は朝廷の人々を不安に陥れ、彼は楝羽山事件の真相解明に固執した。温相たちも子澹(したん)に協力するように説得していた。
ついに子澹(したん)は自ら城門まで蕭綦(しょうき)を迎えに行った。蕭綦(しょうき)は子澹(したん)に対し、自分の目的は楝羽山の変の真相を明らかにすることだけだと告げた。子澹(したん)と大臣たちはすでに対応策を用意しており、事件の責任者である顧閔汶に杖刑を加え、蕭綦(しょうき)の地位を回復させることなどを提案した。しかし蕭綦はこれらの行為を止め、顧中書を罰しても現状は変わらないと述べた。双方は持中王夙(おうしゅく)に仲裁を依頼することで合意し、蕭綦が真相究明にこだわるのであれば、自分で調査させることにした。蕭綦はこの提案を受け入れ、ついに都へと入った。
玉秀(ぎょくしゅう)は王妃のために身の回りの品を用意しようと張り切っていたが、宋懐恩(そうかいおん)は彼女に今の身分は粛穆伯の妻であり、豫章(よしょう)王府の侍女ではないことを諭した。一方、王儇(おうけん)は徐姑姑(じょこくこ)から蘇錦児(そきんじ)が貴妃に昇格したことを聞き、不安を感じ、これからさらに大きな危険が待ち受けていることを予感した。
第62話あらすじとネタバレ
王夙(おうしゅく)は王儇(おうけん)に父親の王藺(おうりん)の居場所を教えようとしたが、結局言えず、王儇(おうけん)が王藺(おうりん)を許せるかどうか尋ねた。王儇(おうけん)は、どんなことがあっても王藺(おうりん)は父親だと答えた。
蕭綦(しょうき)の部下は楝羽山事件の真相をずっと調べていたが、関係者は皆、太皇太后の命令でやったと証言していた。しかし蕭綦(しょうき)はそれを信じなかった。太皇太后が自分に殺意を抱いていたとしても、実の子供たちに危害を加えるとは思えなかったからだ。今や太皇太后の体調は悪化し、意識がはっきりしている時間も短くなっていた。温丞相は相変わらず見舞いに来て、気遣いを示していた。
蘇錦児(そきんじ)は、王儇(おうけん)が自分を問い詰めてこないことを不審に思っていた。一方、王藺(おうりん)は宋懐恩(そうかいおん)を監視させており、彼が蕭綦(しょうき)に会いに行かないことから、宋懐恩(そうかいおん)が蕭綦(しょうき)の地位を狙っていることを見抜いた。そして、一度そのような考えを抱くと、容易には捨てられないと指摘した。王儇(おうけん)は翌日、太皇太后の見舞いを口実に、蘇貴妃に会うことにした。
翌日、王儇(おうけん)は錦繍宮を訪れた。蘇錦児(そきんじ)は王儇が来ると予想していた。子澹(したん)も王儇が入宮したと知り、錦繍宮へ急いだ。蘇錦児(そきんじ)は長年心に秘めていた思いを吐露し、王儇への不満をぶつけた。自分が手に入れられなかったものを、王儇は簡単に捨てられると嘆き、かつて安平王との仲を取り持ってくれなかったこと、自分を本当の姉妹と思ってくれていなかったことを責めた。王儇は驚き、これで姉妹の縁は終わり、今後会うこともないと言い放った。
胡瑶(こよう)は豫章(よしょう)王が都に戻ったと聞き、急いで駆けつけた。王儇が永安宮を訪れると、そこは廃墟のように静まり返っていた。桂嬷嬷は泣きながら、太医から太皇太后が三ヶ月以内に失明すると診断されたことを告げた。王儇に会うと、太皇太后は動揺し、王儇を陥れようとしたことを認め、謝罪した。王儇は王静が生きていることを伝え、太皇太后は驚き、喜んだ。
一方、胡瑶(こよう)は豫章(よしょう)王府に到著し、ようやく蕭綦(しょうき)に楝羽山の真実を伝えることができた。胡光烈(ここうれつ)は死ぬ間際、蕭綦(しょうき)の鎧を著せ、顔を焼かせ、密かに寧朔(ねいさく)へ連れて帰るように胡瑶(こよう)に頼んだという。蕭綦(しょうき)を馬に乗せた後、胡瑶(こよう)は気を失い、目が覚めると安平王に助けられ、宮殿に連れて来られていた。蕭綦(しょうき)は寧朔(ねいさく)軍の運命を悔やんでいたが、胡瑶(こよう)は、兵士たちは蕭綦(しょうき)のために命を懸けることを誇りに思っていたと慰めた。その後、蕭綦(しょうき)は胡瑶(こよう)と共に兄と寧朔(ねいさく)軍の墓参りをし、胡瑶は蕭綦(しょうき)に兄と寧朔(ねいさく)軍の名誉を回復してほしいと頼んだ。
この経験を通して、王儇は世の中の様々な現実を目の当たりにし、以前は民衆の苦しみを本当に理解していなかったことに気づいた。王氏の家訓である「母儀天下」とは、自分の安楽のためではなく、天下の人々の母となることだった。上陽郡主(じょうようぐんしゅ)として、王儇は皇族と民衆双方への責任を深く自覚した。豫章(よしょう)王が朝覲に現れた時、彼は剣を帯び、喪服で宮殿に入り、皇帝に跪拝せず、楝羽山で無実の罪で死んだ兵士たちの名誉回復を求めてきた。子澹(したん)に自ら寧朔(ねいさく)軍の慰霊祭を行い、汚名をすすぐように要求した。最終的に、宋懐恩(そうかいおん)までもが皇帝自ら慰霊祭を行うべきだと進言した。
第63話あらすじとネタバレ
蕭綦(しょうき)率いる十万の寧朔(ねいさく)軍を前に、群臣は已む無く子澹(したん)に楝羽山での慰霊祭を執り行うよう進言した。心中忸怩たるものがあったものの、子澹(したん)はついにこの要請を受け入れ、壮絶な戦いで命を落とした数万の兵士の霊を慰めた。王儇(おうけん)は自ら戦死した兵士たちの名を書き記し、一人一人の位牌を祀り、勇敢な魂が冥福を得られるよう祈った。祭典の後、子澹(したん)は豫章(よしょう)王に一礼し、静かに立ち去った。楝羽山の戦いの記憶が蕭綦(しょうき)の胸を締め付けた。
慰霊祭の後、温相は王夙(おうしゅく)を呼び出し、王儇(おうけん)が慌てて城を出た際に誰か重要な人物を連れ出したかどうか尋ねた。王夙(おうしゅく)は小皇子が連れ出されたことを否定せず、今は小皇子の行方が喫緊の課題だと指摘した。しかし、朝廷では誰もこの件に触れようとしない。皆、皇帝の心を探りかねているからだ。小皇子が戻れば、必ずや皇太子(たいし)となる。それは今の皇帝の地位を脅かすことになる。それでも温相は小皇子の行方を問い詰め、決して口外しないと約束した。しかし、王夙(おうしゅく)はそれ以上は何も知らない、知りたくもないと言い、このような大事には「糊塗」を装う方が賢明だと答えた。
太后は子澹(したん)が子隆(しろう)の死を明かしたことを知り、心中穏やかではなく、王静を呼び戻して擁立しようと考えた。一方、子澹(したん)は宋懐恩(そうかいおん)を呼び出し、なぜ豫章(よしょう)王に挨拶に行かないのかと問いただした。宋懐恩(そうかいおん)は党派を作るのを避けるため、距離を置いていると説明した。子澹(したん)はこれに満足し、宋懐恩(そうかいおん)が永遠に自分に忠誠を尽くすことを期待した。宋懐恩(そうかいおん)は大成や陛下を裏切る者は誰であろうと自分の敵だと誓った。子澹(したん)は、宋懐恩(そうかいおん)が自分を裏切らなければ、自分も決して宋懐恩(そうかいおん)を裏切らないと約束した。
蕭綦(しょうき)は小禾(しょう か)と沁之(しん ち)に王儇(おうけん)を母として認めるよう提案し、二人は喜んで受け入れた。こうして、二人は正式に王儇(おうけん)と蕭綦(しょうき)の子となった。王儇(おうけん)は蕭綦(しょうき)に過去のことは忘れ、穏やかな生活を送るよう説得したが、蕭綦(しょうき)は復讐に固執し、王儇(おうけん)は落胆した。間もなく、宮中から太后が病に倒れ、王妃に会いたいと望んでいるという知らせが届いた。面会で、意識が朦朧としている太后は、子隆(しろう)を狩場に行かせないようにと警告し、そこには罠が仕掛けられていると言い、王儇の追及に答える形で、子澹(したん)が帝位を簒奪し、蕭綦(しょうき)に罪を著せようとした事実を明かした。太后によると、これは全て子澹(したん)と賀蘭箴(がらんしん)が共謀した結果だという。
真実を知った王儇はすぐに式乾殿に駆け込み、子澹(したん)を問い詰めた。彼女はついに全ての陰謀を理解し、子澹(したん)に全てを白状するよう迫った。子澹(したん)は自分の行動は妻を奪われた恨みからだと認め、王儇が自分をこうさせたのだと責めた。しかし、太后は実は狂気を装っており、王儇を利用して子澹の陰謀を暴こうとしていたのだ。一方、太医が蘇錦児(そきんじ)の脈を診たところ異常に気づき、彼女は忽蘭(くらん)の兵士に連れ去られた時の記憶を思い出し、不安に駆られた。そして王藺(おうりん)は宮女から蘇錦児(そきんじ)が身ごもっている子供は子澹の子ではないかもしれないと聞き、これを天の恵みだと考えた。
第64話あらすじとネタバレ
朝廷の動揺と後宮の秘密
王藺(おうりん)は王夙(おうしゅく)に、他の官吏たちが蕭綦(しょうき)に九錫の礼を奏請している件について尋ねた。王夙(おうしゅく)によると、全ての奏状は温宗慎(おんしゅうしん)によって差し止められ、子澹(したん)の手に渡っていないという。しかし、この事は既に朝廷内で噂になっている。王藺(おうりん)は王夙(おうしゅく)に、顧家の現状を鑑み、再婚を考えるなら顧採薇は賢明な選択ではないと忠告した。落胆しながらも、王夙(おうしゅく)は理解を示した。
その後、温宗慎(おんしゅうしん)は太后宮を訪れた。王儇(おうけん)も同席していることを知り、温宗慎(おんしゅうしん)は彼女に面会を求め、九錫の礼について話し、蕭綦(しょうき)に諦めるよう説得してほしいと懇願し、土下座までして嘆願した。王儇(おうけん)は蕭綦(しょうき)の性格をよく理解しており、この事件の背後には必ず黒幕がいると考えたが、誰が首謀者かは分からなかった。
蘇錦児(そきんじ)的秘密と王夙(おうしゅく)の陰謀
申太医(しんたいい)は蘇錦児(そきんじ)に安胎薬を処方した。服用後まもなく、宮女から王夙(おうしゅく)が彼女を屋敷に招いていると伝えられた。訝しみながらも、蘇錦児(そきんじ)は招待に応じることにした。王夙(おうしゅく)は表ではなく、かつて王儇(おうけん)と暮らしていた庭に彼女を案内した。王夙(おうしゅく)は蘇錦児(そきんじ)的王府での生活の思い出を呼び起こし、妹のように大切に思っていると伝えた。そしてついに、蘇錦児(そきんじ)が妊娠9ヶ月であるという秘密を明かし、その事実を隠蔽する代わりに皇帝の玉璽(ぎょくじ)を手に入れる協力を求めた。仕方なく、蘇錦児(そきんじ)は彼の要求を受け入れた。
子澹(したん)に醒酒湯を届ける機会を利用し、蘇錦児(そきんじ)は彼が酔って眠っている間に玉璽(ぎょくじ)を盗んだ。子澹(したん)がうっすらと目覚め、何かを呼ぶ声を聞いた蘇錦児(そきんじ)は、自分を呼んでいると勘違いしたが、子澹(したん)が口にしていたのは王儇(おうけん)の名前だった。怒りに駆られた蘇錦児(そきんじ)は、醒酒湯を子澹(したん)が描いた王儇(おうけん)の肖像画に浴びせかけた。子澹(したん)は絵が汚されていることに気づき、蘇錦児(そきんじ)が来たことを知ると、激しく彼女を問い詰めた。蘇錦児(そきんじ)は自分の行為がバレたと勘違いし、仕方なくやったのだと弁明した。しかし、子澹(したん)が見せた絵を見て誤解に気づき、自分の行為を認め、次に王儇(おうけん)が宮中に来た時も同じことをすると宣言した。蘇錦児(そきんじ)的言動に失望した子澹(したん)は、彼女が王儇(おうけん)には決して及ばないと断言し、その場を去った。
王藺(おうりん)と宋懐恩(そうかいおん)の密謀
王藺(おうりん)と王夙(おうしゅく)は宋懐恩(そうかいおん)を呼び出し、子澹(したん)が賀蘭箴(がらんしん)に送った密書を渡した。これらの手紙は、子澹(したん)が外敵と結託し、子隆(しろう)の暗殺を企て、その罪を蕭綦(しょうき)に著せようとした動かぬ証拠となった。この証拠によって、子澹(したん)の皇位は風前の灯火となった。王藺(おうりん)は宋懐恩(そうかいおん)にこれらの手紙を蕭綦(しょうき)に渡し、苦労して手に入れたと偽るよう指示した。宋懐恩(そうかいおん)は、この行動が蕭綦(しょうき)との溝をさらに深めるのではないかと躊躇した。王藺(おうりん)は、だからこそ、宋懐恩(そうかいおん)はこの機会を利用して関係を修復すべきだと強調した。宋懐恩(そうかいおん)は、もし蕭綦(しょうき)が本当に仮乱を起こしたらどうするのかと尋ねた。王藺(おうりん)は、檄文を出し、各地の勢力を招集して仮逆者を討伐し、先帝の遺詔に従って馬静(ばせい)を新たな皇帝に擁立すると答えた。宋懐恩(そうかいおん)は既に心づもりをしていた。
彼らが密談をしている最中、徐姑姑(じょこくこ)は慈安寺に長公主(ちょうこうしゅ)の旧居を掃除に訪れ、赤ん坊の泣き声を聞き、屋根裏部屋を確認に行った。王夙(おうしゅく)は彼女を止めようとしたが、徐姑姑(じょこくこ)は赤ん坊を連れて行こうと譲らなかった。その過程で、徐姑姑(じょこくこ)は宋懐恩(そうかいおん)と王藺(おうりん)を発見した。秘密を守るため、宋懐恩(そうかいおん)は非情にも徐姑姑(じょこくこ)を殺害した。息を引き取る間際、徐姑姑(じょこくこ)は王夙(おうしゅく)に王儇(おうけん)の安全を守るよう言い残した。
王藺(おうりん)は王安(おうあん)に徐姑姑(じょこくこ)を長公主(ちょうこうしゅ)の墓の隣に埋めるよう命じ、自身は宋懐恩(そうかいおん)と共に急いでその場を離れた。夜になり、徐姑姑(じょこくこ)が戻らないことを心配した王儇(おうけん)と蕭綦(しょうき)は、慈安寺に彼女を探しに行った。慈安寺の尼僧は徐姑姑(じょこくこ)を見ていないと答えたが、王夙(おうしゅく)が長公主(ちょうこうしゅ)の旧居に住んでおり、赤ん坊の泣き声が聞こえたことを話した。王儇(おうけん)は長公主(ちょうこうしゅ)の旧居を調べに行ったが、王夙は既に言い訳を用意していた。
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