第5話あらすじとネタバレ
子澹(したん)と王儇(おうけん)の賜婚
子澹(したん)は自ら皇帝に罪を申し出て、太子(たいし)への影響を認めました。しかし皇帝は彼を罰するどころか、子澹(したん)が王儇(おうけん)との正式な賜婚を申し出ると、むしろ寛大な態度を示しました。皇帝は子澹(したん)に、王儇(おうけん)が一生涯ただ一人の最愛の人かと尋ねました。子澹(したん)は少しも躊躇することなく、肯定の返事をしました。続いて皇帝は、「王氏の女を得る者は天下を得る」という世間に広く知られた言葉を引用し、王儇(おうけん)を娶るのは天下のためでもあるのかと問いただしました。これに対し子澹(したん)は、王儇(おうけん)こそが自分の天下だと、深い愛情を込めて答えました。皇帝はこの答えに大変満足し、来月の自分の誕生日に賜婚を発表すると約束しました。同時に、この決定を後悔しないようにと釘を刺しました。子澹(したん)はすぐに礼をして感謝の意を表しました。
王藺(おうりん)と蕭綦(しょうき)の同盟の試み
王藺(おうりん)は蕭綦(しょうき)の屋敷を訪ねました。表向きは挨拶でしたが、実際は蕭綦(しょうき)との同盟の機会を探るためでした。誠意を示すため、王藺(おうりん)は王儇(おうけん)を蕭綦(しょうき)に嫁がせることを提案しましたが、蕭綦(しょうき)は低い身分を理由に辞退しました。王藺(おうりん)は焦ることなく、「三顧の礼」の故事を引用し、今後も努力を続ける決意を示し、次回こそ肯定的な返事を期待すると伝えました。王藺(おうりん)が去った後、蕭綦(しょうき)は宋懐恩(そうかいおん)に、自分が慎重な態度をとる理由を説明しました。朝廷内の勢力は複雑に絡み合っており、どんなに大きな恩恵に見えても、理由もなく降ってくることはないのだと。そして、王藺(おうりん)から受け取った贈り物は戦死した将兵の家族に配るよう宋懐恩(そうかいおん)に命じました。
謝宛如(しゃえんじょ)の婚礼と王儇(おうけん)の心境
謝宛如(しゃえんじょ)が太子(たいし)に嫁ぐことを知った王儇(おうけん)は、自分のせいで謝宛如(しゃえんじょ)の運命が変わってしまったと、罪悪感を抱きました。しかし謝宛如(しゃえんじょ)は達観しており、蕭綦(しょうき)に嫁ぐよりはましだと言い、名家の娘の運命は大体こんなものだと、王儇(おうけん)のような深窓の令嬢でさえ逃れられないのだと語りました。屋敷に戻ると、子澹(したん)が外壁に灯りを灯して王儇(おうけん)を呼び出し、来月、皇帝が賜婚の詔を出すという吉報を伝えました。王儇(おうけん)は喜びながらも、謝宛如(しゃえんじょ)の言葉が心に引っかかっていました。
二皇子子律(しりつ)の秘密の行動
間もなく太子(たいし)と謝宛如(しゃえんじょ)は急いで婚礼を挙げましたが、新婚初夜、二人の心は重苦しいものでした。太子(たいし)は謝宛如(しゃえんじょ)がまだ自分を恨んでいると思っていましたが、謝宛如(しゃえんじょ)は運命を受け入れ、太子(たいし)を自分の全てだと思うと伝えました。太子(たいし)はその誠実さに心を打たれ、謝宛如(しゃえんじょ)への態度を改め始めました。
一方、郊外の秘密の場所で、二皇子子律(しりつ)は桓公(かんこう)と会っていました。彼らの会話から、顧庸の死から謝宛如(しゃえんじょ)への侮辱まで、一連の事件は全て子律(しりつ)が裏で操っていたことが推測できました。皇帝も王家も謝家も子律(しりつ)を脅威とは考えていなかったため、彼の真の意図に気づいていませんでした。状況の進展に伴い、子律(しりつ)と桓公(かんこう)は王藺(おうりん)が何らかの行動を起こすのを待ちきれなくなっていることに気づき、静観し、最適な時を待つことにしました。
王藺(おうりん)の陰謀と皇帝中毒
王藺(おうりん)は密かに宮中に入り、失われていた伝国の玉璽(ぎょくじ)を太子(たいし)に渡し、皇帝の機嫌を取るために使うよう助言しました。太子(たいし)は大喜びで、王藺(おうりん)の指示通りに行動しました。皇帝は伝国の玉璽(ぎょくじ)を見て喜び、祝宴を開くよう命じました。しかし、宴の最中、皇帝は突然倒れてしまいました。侍医の診断によると、皇帝は烏頭の毒に当たっていましたが、幸い命に別状はありませんでした。しかし、長年丹药を服用していたため、体内の毒素をすぐに排出することができず、いつ意識を取り戻すかは不明でした。
事件が謝(しゃ)貴妃の宮殿で起こったため、皇后は彼女が毒を盛ったのではないかと疑いました。侍医は当初、毒の真の出所は謝(しゃ)貴妃の酒ではなく、玉璽(ぎょくじ)に塗られた薬だと指摘しました。それを見た王藺(おうりん)は、酒に毒は入っていないと証明するため、自ら酒を飲み、侍医に酒に毒があると証言させました。皇后は全て王藺(おうりん)の仕業だと気づいていましたが、王家の利益を守るため、王藺(おうりん)に協力し、謝(しゃ)貴妃に罪をなすりつけることにしました。王藺(おうりん)はこの機に皇后に二つの選択肢を提示しました。一つは真実を明かし、王家一族が処刑されること。もう一つは謝(しゃ)貴妃に罪を著せ、謝家を叩き、王家の権力を固めること。皇后はもちろん後者を選びました。王藺(おうりん)はすぐに謝(しゃ)貴妃が毒を盛ったと宣言し、皇后もそれに同調して謝(しゃ)貴妃の監禁を求めました。王儇(おうけん)は謝(しゃ)貴妃を守ろうとしましたが、王藺(おうりん)の手下に連れ去られました。ちょうどその時、蕭綦(しょうき)が兵を率いて駆けつけ、皇帝を守ろうとしました。
第6話あらすじとネタバレ
皇帝が毒を盛られ危篤状態に陥ったため、皇后と蕭綦(しょうき)をはじめとする重臣たちが大殿に集まり、対応を協議しました。皇帝の命が危うい中、太子(たいし)が監国、丞相が摂政を務めることが決定。皆、不安を抱えながらも、自身の安全を守るため、どの陣営につくべきか、慎重に見極めようとしていました。
朝議の後、謝宛如(しゃえんじょ)は太子(たいし)に謁見を求め、謝(しゃ)貴妃と子澹(したん)の助命を嘆願しました。太子(たいし)は悩みます。すでに謝家と婚姻を結んでいる以上、見捨てるわけにはいきません。しかし、謝家を救うには皇帝の回復しかないと考え、昼夜を問わず皇帝の病床に付き添いました。その孝心に皇后は心を打たれました。
一方、謝家は毒殺未遂の容疑で滅門の危機に瀕していました。王藺(おうりん)は王家の地位を盤石にするため、謝家を完全に排除しようと企みます。温侍中は、些細なことで宗室の根幹を揺るがすべきではないと仮対しますが、皇后の決意は変わりません。退朝後、皇后は独り天牢へ向かい、囚人たちの恨み辛らみ嘆く声にも表情一つ変えませんでした。
皇后は牢獄にいる謝(しゃ)貴妃を訪ね、共に杯を交わします。死を目前にした謝(しゃ)貴妃は、なおも皇帝への想いを口にします。我が子を守るため、彼女は自白書に署名し、子澹(したん)の安全と引き換えにします。皇后は目的を達成し満足げに去り、謝(しゃ)貴妃は皇帝との思い出を涙と共に振り返り、最後は皇帝の後を追うことを選びます。あの世では普通の夫婦になりたいと願っていました。
朝堂では、謝(しゃ)貴妃の自白書が決定的な証拠となり、大臣たちは謝家の一族皆殺しを提案します。夜、二皇子は待ちきれずに玉座に座り、婚姻による権力強化を企みます。王藺(おうりん)が娘を利用して寧朔(ねいさく)軍二十万の支持を得て、謝(しゃ)氏と豫章(よしょう)王を味方につけたこと、そして太子(たいし)の件も単純ではないことに彼は気づきます。次の狙いは、豫章(よしょう)王と上陽郡主(じょうようぐんしゅ)の婚姻を阻止することです。
阿嫵(あぶ)は兄からの連絡を待ち焦がれていました。子澹(したん)を救うには自分が豫章(よしょう)王に嫁ぐしかないと知り、彼女は結婚を決意します。皇帝である伯父に嘆願するも葉わず、阿嫵(あぶ)は皇后の提案を受け入れ、父の前で豫章(よしょう)王に嫁ぐ意思を表明します。それは、一族の権力争いの道具となることを意味していました。
ついに阿嫵(あぶ)は豫章(よしょう)王蕭綦(しょうき)との結婚に同意します。英雄と美人の結婚として、人々から祝福と羨望の目を向けられます。皇后は上陽郡主(じょうようぐんしゅ)のために豪華な嫁入り道具を用意し、三日三晩に渡って運び込まれました。婚礼衣装、鳳冠、霞帔、きらびやかな宝飾品の数々。この婚礼は、両家の結びつきを象徴するだけでなく、都の一大イベントとなりました。
第7話あらすじとネタバレ
謝宛如(しゃえんじょ)は阿嫵(あぶ)を見舞いに訪れ、周囲の人々を下がらせた後、鳳釵を贈り、なぜ子澹(したん)を忘れられるのか尋ねました。阿嫵(あぶ)は静かに目を開き、「私はずっと、天を支えるような英雄豪傑に憧れていました。豫章(よしょう)王こそ、私が生涯を託したい人です。」と答えました。これは謝宛如(しゃえんじょ)にだけでなく、自分自身への告白でもありました。彼女は子澹(したん)が自分を恨み、責め、そして最終的に忘れられることを願っていました。阿嫵(あぶ)は心の中で、子澹(したん)が妃を迎え、美しく賢淑な王妃と愛し合い、一生を共に過ごせるよう祈っていました。
しかし、子澹(したん)は皇陵の守備のために流刑となり、一族は謝淵(しゃえん)を見送りました。復讐を果たしていない謝淵(しゃえん)は、このまま隠遁することに甘んじることなく、王家と最後まで戦うことを誓いました。謝宛如(しゃえんじょ)は子澹(したん)に、王儇(おうけん)が豫章(よしょう)王に嫁ぐことを告げ、彼の母が王家によって冤罪で亡くなったことを繰り返し思い出させました。それでも、深い愛情も家への恨みには勝てず、王儇(おうけん)と子澹(したん)は悲運の恋人同士となるのでした。
結婚式の準備で屋敷は慌ただしくなりました。徐姑姑(じょこくこ)たちは婚礼の準備に追われ、豫章(よしょう)王からの豪華な結納品が三日三晩に渡って運び込まれました。嫁衣裳、鳳冠、霞帔など、宝石や装飾品が眩く輝き、目もくらむほどでした。
慌ただしい日々の中で時間は流れ、王儇(おうけん)は夜遅くまで眠れず、深夜まで起きていることもありました。長公主(ちょうこうしゅ)は謝家に訪れ、謝家の祖先に祈りを捧げた後、子澹(したん)を見つけ、王儇(おうけん)と駆け落ちすることを提案しました。自分のために全てを犠牲にした阿嫵(あぶ)の想いを聞き、子澹(したん)は涙を流しましたが、復讐を果たしていない彼は逃げる道を選ぶことができませんでした。
皇后は未だ王儇(おうけん)を説得しようと試みていましたが、王儇(おうけん)の心は動きませんでした。一方、温侍中は豫章(よしょう)王と密会し、自身の国家構想を明かし、王藺(おうりん)に謀仮の兆候があることを伝えました。豫章(よしょう)王は婚礼を諦め、事態を静観しようと決めますが、去り際に王儇の顔が頭から離れませんでした。
夜、長公主(ちょうこうしゅ)の乳母は言いつけ通りに見張りを眠らせ、王儇を連れ、川辺の待ち合わせ場所へ子澹(したん)を探しに行きました。出発前、王儇は母に別れを告げ、雨の中、子澹(したん)の到著を待ちました。しかし、子澹(したん)にとって復讐は愛よりも重要であり、一族の栄光のために、彼は王儇を諦める道を選びました。
長公主(ちょうこうしゅ)は祠堂で王藺(おうりん)に皇帝に毒を盛ったのかと問い詰め、王儇は先祖たちの前でその事実を認めざるを得ませんでした。怒りながらも、長公主(ちょうこうしゅ)は王藺(おうりん)を殺すことができませんでした。二人が膠著状態にある中、侍衛が郡主の失踪を報告しました。
雨が上がり、一台の馬車がゆっくりと到著しました。王儇は子澹(したん)が来たと思い、期待に胸を膨らませました。しかし、馬車から降りてきたのは王藺(おうりん)でした。子澹に裏切られた阿嫵(あぶ)は完全に絶望し、共にいることができない人への想いを断ち切らなければならないことを悟りました。王儇は馬車に乗り込み、子澹から贈られた玉簪を捨て、王府へ戻りました。夜明け頃、子澹は待ち合わせ場所に辿り著きましたが、そこには誰もいませんでした。この時、王儇は本当に子澹の人生から姿を消したのでした。
第8話あらすじとネタバレ
王儇(おうけん)の婚礼は、荘厳さと喧騒の中で執り行われた。式典前、彼女は祠堂で先祖に祈りを捧げたが、父王藺(おうりん)の言葉を最後まで聞かず、長公主(ちょうこうしゅ)に一礼した後、式場へと向かった。華麗な衣装を身に纏い蕭綦(しょうき)の屋敷へと嫁いだが、彼女の顔には喜びの色はなく、まるで人形のように儀式をこなしていた。
婚礼の行列は壮大で、600人の宮人が紅绡華幔と翠羽宝蓋を手に持ち、金箔で装飾された六鳳大紅鸞轎を囲んで、宮城、皇城、内城を抜け、豫章(よしょう)王府まで続いた。沿道には赤い錦緞が敷き詰められ、合歓の花びらが金色の雨のように舞い散り、祝いの音楽が鳴り響いていた。
洞房では、二人の喜娘に率いられた侍女たちが付き添い、雅楽が奏でられていた。重い鳳冠と礼服、そして蓋頭によって身動きが取れない王儇(おうけん)は、まるで混沌とした世界に閉じ込められたように、ただ耳に届く祝いの音楽を聞いていた。
夜も更け、ようやく婚礼の儀式が終わり、新婚夫婦は洞房に入った。束の間の静寂はすぐに喜娘たちによって破られ、彼女たちは祈りと祝福の言葉を唱え始めた。大臣たちが祝宴に興じている最中、届けられた一通の軍報が祝いの雰囲気を一変させた。冀州陥落の知らせを受け、蕭綦(しょうき)は直ちに出陣せざるを得なくなった。副将を遣わし王妃に事情を説明させ、緊急事態のため直接の別れを告げることができなかったこと、仮乱を鎮圧後改めて謝罪することを伝えた。
この知らせに、王儇(おうけん)は茫然自失となった。忽蘭(くらん)の侵攻、蕭綦(しょうき)の急な出立。大臣たちは勅令なくしては都を出るべきではないと進言したが、蕭綦(しょうき)は馬に乗り出発した。王儇(おうけん)は洞房を飛び出し、外で待機していた宋懐恩(そうかいおん)から事情を聞かされた。宋懐恩(そうかいおん)は王儇(おうけん)に大局を重んじるよう説得したが、彼女は蕭綦(しょうき)の行動を臆病で責任逃れだと軽蔑した。王儇(おうけん)は結髪簪を外し宋懐恩(そうかいおん)に渡して蕭綦(しょうき)に届けるよう頼み、蕭綦(しょうき)が果たすべき責任は誰にも代われないという自分の不満を伝えた。そして鳳冠を楼下に投げ捨て、皆に一礼した後、その場を去った。彼女の行動は、そこにいた全員を唖然とさせた。
三ヶ月後、蕭綦(しょうき)は何度も暉州から贈り物をして王儇(おうけん)に謝罪の意を示したが、王儇(おうけん)は一切仮応を示さなかった。蘇錦児(そきんじ)は、子澹(したん)と蕭綦(しょうき)の両方から手紙が届いていることを王儇(おうけん)に伝えたが、彼女は気に留めず、遠くの鳶を見つめていた。間近に迫った千鳶宴についても、王儇(おうけん)は蘇錦児(そきんじ)の都へ戻るという提案をはっきりと拒否しなかった。
王儇(おうけん)の機嫌を取ろうと、呉夫人(ごふじん)は盛大な「千鳶会」を企画し、街中の名家の夫人たちを招待した。催しの当日、呉夫人(ごふじん)の娘蕙心が舞台で空竹を披露し、呉夫人(ごふじん)は蕙心が王儇(おうけん)に憧れていると言い、後で挨拶に伺わせると告げた。その時、巨大な青色の凧が突風に乗って現れた。蒼鷹のような形で、両翼を広げると約三丈もあり、街の上空をあっという間に飛び越え、王儇のいる場所へと向かっていった。
その後まもなく、王儇失踪の知らせが都に届いた。皇帝は意識を取り戻したものの、精神状態は不安定で、太子(たいし)は謝宛如(しゃえんじょ)に皇帝の世話を命じた。皇后はこのことに不満を抱いていた。一方、王夙(おうしゅく)は自ら暉州へ行き王儇を探そうとしたが、王藺(おうりん)は長公主(ちょうこうしゅ)の体調を案じ、彼が出発することを禁じ、すでにあらゆる手段を使って王儇を探していると約束した。蕭綦(しょうき)は、王儇が誘拐されたと知り、朝廷から派遣された欽差の閲兵のため都を離れるのは難しい状況だったが、冷静に分析し、賊が王儇を誘拐したのは彼女を人質にして何らかの目的を達成するためであり、王儇の身に危険が及ぶとすれば、それは王藺(おうりん)か自分自身だと考えた。
コメントする