北椋の世子、徐鳳年(シュー・フォンニエン)は、王位継承への思いはなく、世間からは自堕落な道楽息子と思われていました。しかし、それは仮の姿。父である北椋王・徐驍( シュー・シャオ)の命により、老馬夫の老黃(ラオ・ホワン)と共に3年間、各地を放浪の旅に出ます。その旅は波乱に満ち、幾度となく刺客に襲われますが、徐鳳年(シュー・フォンニエン)は持ち前の才覚と武芸で危機を乗り越えていきます。
旅を終え故郷に戻ると、北椋と朝廷との間の複雑な政情、そして北椋内部の権力争いという厳しい現実が待ち受けていました。徐鳳年(シュー・フォンニエン)は知略と勇気を駆使し、数々の困難に立ち向かい、北椋の安定を守り抜きます。最終的に、彼は王位を継ぐことなく、愛する姜泥(ジャン・ニー)と共に静かに暮らす道を選びました。
物語のクライマックスでは、徐鳳年(シュー・フォンニエン)は母の仇である韓貂寺(ハン・ディアオシ)を討ち果たし、宿敵の趙楷(チャオ・カイ)も命を落とします。趙楷(チャオ・カイ)の用心棒である金甲(キン・コウ)も力を失いました。
主要人物のその後は以下の通りです。
- 徐驍( シュー・シャオ):北椋の王であり、多大な功績を残した大将軍。最後は北椋王府で安らかに息を引き取ります。
- 李義山(リー・イーシャン):北椋の軍師として20年間仕え、病によりこの世を去ります。
- 徐鳳年(シュー・フォンニエン):北椋の王となる資格を持ちながらも、王位を辞退し、姜泥(ジャン・ニー)と隠遁生活を送ります。
- 徐念涼(ジョ・ニェンリャン):徐鳳年(シュー・フォンニエン)と紅薯(ホンシュー)の娘。両親と共に隠遁します。
- 徐脂虎(シュー・ジーフー):北椋の長女。800年もの間、洪洗象(ホン・シーシャン)に想い続けられていた女性。転生した洪洗象(ホン・シーシャン)と結ばれます。
- 徐渭熊(シュー・ウェイシオン):北椋の次女。徐鳳年(シュー・フォンニエン)と共に隠遁生活を送ります。
- 徐龍象(シュー・ロンシャン):北椋の末っ子。北莽(ほくもう)の郡主である慕容龍水(ムロン・ロンシュイ)と結婚し、徐鳳年と共に隠遁します。
- 陸丞燕(ルー・チェンイェン):北椋の正室。徐鳳年と共に隠遁します。
- 王初冬(ワン・チュートン):北椋の側室。徐鳳年と共に隠遁します。
- 南宮仆射(ナンゴン・プシェ):絶世の美女。徐鳳年と結ばれます。
- 轅青鋒(ユエン・チンフォン):轅敬城(ユエン・ジンチョン)の娘。徐鳳年とは結ばれませんでした。
この物語は、権力闘争、復讐、愛憎、そして家族の絆など、様々な要素が複雑に絡み合い、壮大なスケールで描かれています。徐鳳年の成長と、彼を取り巻く人々の運命、そして北椋の未来が、手に汗握る展開で繰り広げられます。
第1話あらすじとネタバレ
神州大地、山河絵巻の如し
かつて、神州大地は乱世の渦中にあり、九国が割拠し、民は苦しみに喘いでいました。しかし、この乱世の中、離陽朝が彗星の如く現れ、鉄騎をもって八国を滅ぼし、天下統一を成し遂げました。特に北椋王 徐驍( シュー・シャオ)の功績は大きく、彼がいなければ天下は未だ戦乱の中にあったかもしれません。今や徐驍( シュー・シャオ)は離陽の筆頭権臣として辺境三州を守り、三十万の大軍を率いて風雪の中で外敵を防いでいます。
徐鳳年(シュー・フォンニエン)の奇遇
ある日、ボロボロの服を著た若者が焼き芋売りの老人と話をしていました。彼は北椋王 徐驍( シュー・シャオ)の武勇伝を語りながら、自分は北椋王の世子、「天下第一の放蕩息子」と呼ばれる徐鳳年(シュー・フォンニエン)だと名乗ります。その時、彼の従者である老黃(ラオ・ホワン)が焼き芋を盗もうとしますが、老人に気づかれ追いかけられます。二人は別々に逃げますが、結局老人に捕まってしまいます。徐鳳年(シュー・フォンニエン)は仕方なく焼き芋を返し、老黃(ラオ・ホワン)は呑気に焼き芋を食べていました。徐鳳年(シュー・フォンニエン)は怒って老黃(ラオ・ホワン)を連れ、腹いせに川で魚を捕まえようとします。
その時、数人の騎馬の男たちが通りかかり、別の場所で食事をご馳走するから一緒に行こうと誘います。腹ペコの徐鳳年(シュー・フォンニエン)は喜んで誘いに乗ります。道中、一行は北椋王の嫡男 徐鳳年(シュー・フォンニエン)を探す懸賞金の話をします。男たちのリーダーは目の前の徐鳳年が探している人物ではないかと疑い、武芸を試そうとします。しかし、この「放蕩息子」には全く武芸の心得がありませんでした。徐鳳年は男たちが馬賊ではないと気づき、機転を利かせて自分も楚国の人間だと偽り、同情を得て難を逃れ、食べ物も手に入れます。
白衣の剣士の登場
さらに進むと、徐鳳年は白衣の剣士に出会います。この剣士は武芸の達人であるだけでなく、徐鳳年に特別な興味を持っているようでした。再び兵士たちが徐鳳年を追って来た時、白衣の剣士は颯爽と現れ、兵士たちを簡単に倒します。徐鳳年の正体を知った剣士は、朝廷に入る手助けをしてほしいと頼みます。徐鳳年はある目的のために、この頼みを引き受けます。
夜になり、白衣の剣士は非凡な武芸を披露し、徐鳳年を暗器から守り、襲ってきた敵を懲らしめます。夜、老黃(ラオ・ホワン)は白衣の剣士の意図を疑い、こっそり彼の食べ物に蒙汗薬を混ぜ、二人で安全に逃げられるようにします。
北椋王府への帰還
翌朝、徐鳳年と老黃(ラオ・ホワン)は陵州の境に到著し、故郷への思いを募らせます。束の間の休息を楽しもうとしたその時、以前出会った騎馬の男たちのリーダーが再び現れ、白衣の剣士もその後を追ってきます。危機に瀕した徐鳳年は口笛を吹き、北椋王府の鉄騎を呼び寄せます。弟の徐龍象(シュー・ロンシャン)と寧将軍が到著し、事態は収拾します。そして、賑やかな笑い声の中、徐鳳年は久々に北椋王府へと帰還するのでした。
第2話あらすじとネタバレ
徐鳳年(シュー・フォンニエン)、三年間の放浪の旅を終え、酔いどれながら故郷へ戻ってきた。弟の徐龍象(シュー・ロンシャン)は自ら兄を背負い、屋敷まで歩いた。護衛は馬に乗るよう勧めたが、徐龍象(シュー・ロンシャン)は頑なに歩みを止めなかった。老黃(ラオ・ホワン)も共に帰還し、乾いた喉を潤すかのように何杯も水を飲み幹した。長らく使っていなかった酒壺の埃を払い、感慨深げに見つめた。
門の前では、父の徐驍( シュー・シャオ)が出迎えていた。老黃(ラオ・ホワン)への三年間の労いと共に、徐鳳年(シュー・フォンニエン)は侍女たちに介抱され、汚れた旅装を脱ぎ、湯浴みへと向かった。しかし、一見穏やかなこの夜、覆面の刺客が眠りについた徐鳳年(シュー・フォンニエン)に忍び寄り、小刀を突き立てようとした。だが、徐鳳年(シュー・フォンニエン)は既に刺客の存在に気付いており、間一髪でその手首を掴んだ。覆面の下の顔は姜泥(ジャン・ニー)、かつての西楚の太平公主だった。亡国後、北椋王府の侍女として仕え、心に深い国恨家仇を抱いていた。
父に見つかることを恐れた徐鳳年(シュー・フォンニエン)は、姜泥(ジャン・ニー)に静かにするように合図を送った。その時、徐驍( シュー・シャオ)が様子を見に来た。徐鳳年(シュー・フォンニエン)はとっさに怒りを装い、手近にあった物を徐驍( シュー・シャオ)に投げつけ、追いかけ回した。その騒ぎの中で高価な宝物を壊してしまったが、徐驍( シュー・シャオ)は驚きながらも息子を咎めなかった。
まるで役割が逆転したかのような、親密な父子のやり取り。徐驍( シュー・シャオ)は息子に気を遣い、徐鳳年が捕らえられた楚の老兵に会いたいと言うと、すぐに願いを聞き入れた。老兵との会話の中で、徐鳳年は鋭い洞察力を発揮し、背後に潜む大きな陰謀の存在を予感する。そして、楚の軍旗を老兵に返し、義理堅さと過去の恩義を忘れない心を示した。
実は、徐鳳年は政治に通じており、意図的に放蕩息子を演じて真の目的を隠していた。将来の責任について、徐驍( シュー・シャオ)は息子にいずれ跡を継がせると告げる。徐鳳年は普通の少年のように振る舞い、老黃(ラオ・ホワン)と共に焼き芋を食べ、酒を酌み交わした。世子としての風格は微塵も見せず、これまでの放浪は父の用意した試練であったことを理解していた。
翌朝、徐鳳年はまだ眠っている姜泥(ジャン・ニー)の元を訪れた。姜泥(ジャン・ニー)は大事そうに小銭の入った箱を抱きしめ、寝息を立てていた。昨夜の失敗した暗殺の賭けにより、姜泥(ジャン・ニー)は苦労して貯めた金を徐鳳年に渡さなければならなかった。それでも二人は共に釣りに出かけ、道中で白衣の南宮僕射(ナンゴンプーイエ)と出会う。交渉の末、南宮僕射(ナンゴンプーイエ)は聽潮亭に留まる時間を稼ぐため、徐鳳年の護衛となることを承諾した。
その時、徐鳳年の鷹が褚祿山 (チョ・ロクザン)の来訪を告げた。老臣は徐鳳年への想いを伝え、紫金楼に新しく来た花魁を見に行こうと誘う。「放蕩息子」である徐鳳年は、当然その誘いを断ることはなかった。
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