第28話あらすじとネタバレ
宮中の涼亭で、方諸は帝旭(ていそく)のために琴を奏でていました。そこに帝姫が現れ、帝旭(ていそく)は自ら淹れたお茶を振る舞います。帝旭(ていそく)は、幼い頃の帝姫の優れた琴の腕前を思い出し、方諸に牡丹茶道と琴の稽古をつけるよう命じた過去を語ります。今回の帝姫への召見は、幼い頃の乳母である劉嬷嬷との再会のためで、帝姫はすぐに馴染みの顔を見分けました。この様子を見ていた方海市(かいし)は、以前抱いていた疑念に胸を痛め、方卓英(ほうたくえい)は師の決定に海市(かいし)が心を乱すのではないかと案じます。方諸の突然の辞職の申し出に対し、普段は感情を表に出さない師の真意を汲み取り、冷静に受け止めようとする海市(かいし)の成長に、卓英は安堵します。
一方、帝旭(ていそく)は緹蘭の脈を診るよう御医に命じます。御医は苦渋の表情で、緹蘭の身体は既に損なわれており、子を身籠ることは二度と葉わないだろうと告げます。この知らせに帝旭(ていそく)は深く悲しみますが、緹蘭は逆に彼を慰め、誰をも恨むつもりはないと言います。彼女はこれを運命と受け止め、帝旭(ていそく)に自分を責めないよう諭します。深く心を打たれた帝旭(ていそく)は、緹蘭を治癒する方法を必ず見つけると誓います。
季昶は帝姫府を訪れ、彼女の体調が優れない様子に気づき、相思病ではないかと冗談めかして言います。季昶は帝姫が方諸に深い想いを寄せていることを見抜きますが、方諸の現在の立場では、たとえ帝姫の想いが真実であっても、二人が結ばれるのは難しいと危惧します。方諸は職を失っただけでなく、ある事件の責任を問われ、天啓を離れ流觴へ戻る可能性もあるからです。大臣たちは帝旭(ていそく)に方諸の罷免を迫っており、方諸が都を去ることはなくても、戻ることは非常に困難です。民衆の間では彼を佞臣と呼ぶ声が上がっており、帝姫は焦燥し、すぐに帝旭(ていそく)に謁見を求めます。
帝旭(ていそく)は帝姫が方諸のために来たことを知り、ようやく面会を承諾します。帝姫は、長年方諸を慕っており、彼の出発を見送ることができないため、自分と方諸の結婚を許してほしいと懇願します。帝旭(ていそく)は帝姫の気持ちを汲み取り、この願いを聞き入れますが、帝姫は方諸が承諾するかどうかを心配します。帝旭(ていそく)は自分が方諸を説得すると約束します。
しかし、帝旭から結婚の話を持ちかけられた方諸は、生涯結婚しないと誓った過去を理由に拒否します。帝旭は現状の政情を鑑みて、結婚によって天啓に留まるよう進言しますが、方諸は自らの立場を崩しません。最終的に帝旭は勅命を出し、方諸に従うよう命じます。穆徳慶が聖旨を読み上げると、方諸は諦めた表情を見せます。方海市(かいし)は内心では深く傷つきながらも、一番に師を祝福します。方海市(かいし)の心情を察した方卓英(ほうたくえい)は、不安を抱きながらも何も言えません。
ある日、劉嬷嬷は帝姫の大好物である牡丹の花びらを練り込んだ菓子を届けます。この菓子は帝姫の幼い頃の記憶を呼び覚まします。しかし、劉嬷嬷が去った後、帝姫は突然咳き込み始め、侍衛は急いで薬を用意します。夜になり、侍衛はこっそりと薬の残りを捨てます。
夜番を終えて戻った方海市(かいし)は、一人で酒を飲んでいる師を見つけ、婚礼を控えているのに飲み過ぎないようにと忠告します。方諸は海市(かいし)が自分に不満を抱いていると誤解し、深く悲しみます。季昶は方海市(かいし)を訪ね、方諸と帝姫の婚礼の準備を任されたが、方諸の好みがわからないため、協力を依頼します。これは方海市(かいし)にとって辛い仕事でしたが、彼女は最終的に引き受けることにしました。
綾錦司には、帝姫の婚礼衣装を作るための布地が届きます。季昶は方海市(かいし)を連れ、布地を選びに訪れます。方卓英(ほうたくえい)は方海市(かいし)を不憫に思い、もし彼女が望まないのであれば、他の人に任せても良いと提案しますが、方海市(かいし)はこれを将来方卓英(ほうたくえい)の婚礼準備をするための勉強の機会と捉え、自ら行うことを選びます。
方卓英(ほうたくえい)が綾錦司を訪れた際、柘榴(しゃりゅう)は彼の心事を感じ取ります。方卓英(ほうたくえい)は霽風館で長年過ごしてきたが、まさか師が帝姫と結婚することになるとは思わなかったと嘆きます。柘榴(しゃりゅう)は、既に起こってしまったことは受け入れるべきであり、今は都の安全を守ることに集中し、他のことは成り行きに任せるのが良いと慰めます。
方海市は師の結婚祝いを選ぶため街に出かけ、ある店で周幼度と出会います。周幼度は店主によい品物を見せるよう指示します。方海市が一対の燭台を見た時、かつて師に赤い蝋燭を贈った時のことを思い出し、暗い表情になります。彼女の心中を察した周幼度は、その燭台は自分が使うと言い、この結婚が彼女を喜ばせていないことを理解していることを示します。その後、周幼度は方海市に玉如意を贈り物として選び、一緒に付いてきてくれれば無料で譲ると提案します。他に買うものもあるため、方海市は少し迷いますが、周幼度は品書きを見て彼女の買い物を全て済ませ、街を案内して気分転換に付き合います。
第29話あらすじとネタバレ
周幼度は方海市(かいし)に貴重な扳指を贈ったが、方海市(かいし)はその高価さに戸惑い、返そうとした。しかし方卓英(ほうたくえい)は、周幼度の遠い地からの真心だからと、返すのを止めた。
方海市(かいし)が師である方諸のために用意した結婚祝いが受け取られた後、彼女は静かにその場を去った。間もなく、方諸は帝旭(ていそく)に、任期を終えた方海市(かいし)を黄泉関へ戻すよう願い出た。しかし帝旭(ていそく)は、天啓城は人材が必要な時期であり、婚礼の準備で尽力した方海市(かいし)を今戻すのは適切ではないと、その願いを退けた。
そこに帝姫が訪れ、帝旭(ていそく)は彼女の意見も求めた。太平の世では、方海市(かいし)が黄泉営に戻る必要はないと考えているようだった。帝姫は方諸と婚礼の打ち合わせをするために来たのだが、方諸は全て帝姫の意向に従うと述べ、すぐに退出した。
その後、方諸は方海市に黄泉関へ戻ることを勧め、自身の将来について考えるように促した。方海市は、自分の想う人が誰かを師が知りながらこのような提案をすることに深く悲しんだ。
季昶が帝旭(ていそく)の元へ婚礼の具体的な段取りについて相談に訪れ、帝旭(ていそく)は伝統に従うよう指示した。緹蘭は帝旭(ていそく)を待つ間、彼が婚礼の贈り物よりも、冷えた自分の手に気を配り、早く宮殿に戻って温めてあげたいと思っていることに気づいた。
方海市は帝旭に別れを告げ、黄泉関へ戻ろうとした。帝旭は仮対しなかったものの、方諸がなぜ彼女を急いで帰そうとするのか疑問に思った。方海市は周幼度にも会い、扳指を返したが、周幼度は預かっておくと言った。
昭明宮で、方海市は霽風樹を眺めながら思いを巡らせ、翌朝早く黄泉関へ出発することを決意した。彼女は出発前に、扳指と別れの手紙を師に残した。方卓英(ほうたくえい)はこのことを聞き、胸を痛めた。
癒安宮で、帝旭は緹蘭のために新しい服を作り、皇后にのみ許される栄誉である帝姫の婚礼の付き添いを共にしようと誘った。婚礼当日、帝姫の屋敷は内外共に慌ただしかった。変装した男が屋敷に潜入し、何かが起こることを予感させた。
婚礼の儀式が滞りなく終わった後、帝姫は突如本性を現し方諸を人質に取り、同時に蘇鳴が現れた。しかしこれは、帝姫の正体を暴くための方諸と帝旭の策略だった。混乱の中、張英年は仕掛けを作動させて逃げようとしたが、帝姫と張英年は捕らえられた。蘇鳴は方諸に追われ、森の中で始末された。
方海市は都で鵠庫人の不穏な動きを察知して戻り、金城宮へ忍び込んだ。彼女は帝旭に現状への対処に協力させてほしいと願い出て、帝旭は彼女を自分の内侍に扮させて許した。方海市は偽の帝姫の背景について考え始め、表面的な事柄だけでなく、もっと複雑な理由があるはずだと気づいた。
第30話あらすじとネタバレ
方諸は偽の帝姫を問い詰め、蘇鳴と帝旭(ていそく)暗殺を企てた理由を尋問した。そして、彼女の正体が汾陽郡王の庶子、聶若菱であり、鄢陵帝姫の従姉妹であることを暴いた。二人の容姿が価ているのも当然だった。聶若菱は黒幕の正体を明かさず、その者が必ず帝旭(ていそく)を倒してくれると信じていた。彼女は帝旭(ていそく)が帝位を簒奪した偽帝であり、正統ではないと罵り、自分の家族を殺した報いを受けると呪った。そして、突然かんざしで自害した。
崔内官は逃亡を図ったが、帝旭(ていそく)と方諸の会話を盗み聞きするように指示した小内侍に一緒に逃げようと迫られた。二人は最終的に方卓英(ほうたくえい)に捕らえられた。施内官は帝旭(ていそく)に罪を詫び、崔内官は小内侍への指示も含め、全て自分の仕業だと白状した。帝旭(ていそく)は二人を捕らえ、詳細を尋問するよう命じた。緹蘭はこの日の出来事を聞き、帝旭(ていそく)を案じて訪れたが、邪魔をしてはいけないと思い、知らせずに立ち去ろうとした。帝旭(ていそく)は心を打たれ、緹蘭を探し出し、心ゆくまで語り合った。
会仙楼で酒を飲んでいた方海市(かいし)と周幼度は、店の外で待っていた方諸に送られて帰路についた。方諸は酔った方海市(かいし)を昭明宮に連れて帰り、寝かしつけた。朦朧とする意識の中、方海市(かいし)は方諸と一緒にいたいと願望を口にしたが、方諸は自分に気はないと思い込んでいた。実際には、方諸は方海市(かいし)を深く愛していたが、その想いは誰にも知られていなかった。
自分の部屋に戻った方諸は、毒に侵され、倒れてしまった。三日間の昏睡の後、目を覚ました方諸は、その間の出来事を知らされた。天啓城内の内通者やスパイは一掃され、廷尉は残りの細作を審問中であり、帝旭(ていそく)は方諸の勤王の功績を認め、名誉と地位を回復した。方海市(かいし)は師匠に薬を届け、明るく振る舞おうとしたが、師匠の体があと数年しか持たないと悟り、心配をかけまいとしていた。
帝旭(ていそく)は自分の身代わりとなって毒矢を受け、負傷した季昶を気遣った。御医の治療により、季昶の毒は解け、大事には至らなかった。帝旭(ていそく)は季昶の身を挺した行動を責めたが、季昶は注輦で人質だった頃、帝旭(ていそく)との幼少期の思い出が支えだったと語った。だからこそ、帝旭の無事を願うのだと。この一件で、帝旭は方諸と季昶への信頼を深め、季昶には二度と無茶をしないよう忠告した。
鵠庫左王奪洛は再び帝旭と方諸に出し抜かれたことに激怒し、自ら二人を討つ決意を固め、天啓城内の協力者への指示を出した。
方卓英(ほうたくえい)は帝姫府で多くの証拠を発見し、蘇鳴の仲間とスパイ網が露呈した。しかし、方諸は崔内官があまりにもあっさり自白したことを不審に思い、誰かを庇うために犠牲になった者がいるのではないかと方卓英(ほうたくえい)に警告した。方海市(かいし)が薬を届けに来た際、最近の出来事について尋ね、偽の帝姫の正体をどうやって見破ったのかを尋ねた。実は劉嬷嬷も方諸の協力者であり、偽の帝姫の薬滓を調べ、牡丹の花粉アレルギーがあることを突き止め、それが偽物である決定的な証拠となったのだ。
雷雨の夜、帝旭は紫簪(しさん)を思い、癒安宮を訪れ緹蘭と共に過ごした。帝旭は緹蘭に紫簪(しさん)の勇敢な逸話を語り、緹蘭は帝旭を慰め、紫簪(しさん)は帝旭が悲しむ姿を見たくないだろう、どうか幸せに生きてほしいと願った。帝旭は穆徳慶に紫簪(しさん)の肖像画と装飾品を片付けるよう命じ、彼女を永遠に心に刻むことにした。
周幼度は宮中で方諸を訪ね、薬を煎じている方海市(かいし)に視線を止めた。方諸に会った周幼度は、方海市(かいし)に恋心を抱いていると告白したが、方海市(かいし)の心は既に方諸のものだと理解していた。彼は方諸が方海市(かいし)に想いを寄せていないと思っていたが、あの夜、毒に侵されながらも雨の中、方海市(かいし)の帰りを待っていた姿を見て、考えを改めた。周幼度は方諸に想いがあるなら、なぜ方海市(かいし)を幸せにしないのかと問うた。方諸は自分の命が長くなく、方海市に未来を与えられないと考えた。周幼度はたとえ一日だけでも、方海市は幸せを感じられるはずだと仮論した。彼は身を引くことを選び、方海市が愛する人と幸せになり、美しい思い出を残し、後悔のない人生を送ることを願った。
天啓城の騒動が一段落し、方卓英(ほうたくえい)は綾錦司を訪れ柘榴(しゃりゅう)に会った。柘榴(しゃりゅう)は偽の帝姫と崔内官が鵠庫と通じていた証拠が残っているか尋ね、暗号が刺繍された布を確認し、見落としがないか調べたいと考えた。
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