第25話あらすじとネタバレ
方卓英(ほうたくえい)は方海市(かいし)の腕の怪我を心配し、部屋にいた方諸も二人の会話を聞き、密かに方海市(かいし)を案じていた。哨子は方諸に帝姫府の様子を報告し、方海市(かいし)が緹蘭を救ったことで帝旭(ていそく)から一目置かれるようになったと伝える。しかし、方海市(かいし)は最近元気がなく、自ら中衛軍への異動を願い出たのも、方諸を思ってのことだった。方諸は方海市(かいし)のために薬湯を煎じ、うとうとする方海市(かいし)は薬湯を持ってきてくれる師匠の姿を夢に見る。
一方、帝旭(ていそく)は癒安宮を訪れ緹蘭を見舞うが、緹蘭は過去の恐怖から帝旭(ていそく)を避けてしまう。帝旭(ていそく)は以前のような仕打ちはしないと約束し、霜平湖に美しい景色を用意したので、都合の良い時に訪れるよう勧める。霜平湖を訪れた緹蘭は、湖一面に咲く纈羅の花に心を奪われ、喜びに浸る。
方海市と方卓英(ほうたくえい)は戯れている最中に帝姫と出会い、彼女の纏う香りが牡丹ではなく芰荷であることに気付き、疑問を抱く。帝姫は緹蘭に香料を贈り、昭明宮がかつて三皇叔の住まいで、今は霽風館となっていることをそれとなく伝え、男性である方諸が宮中で緹蘭と共にいるのは不便が多いことを暗に示す。緹蘭は帝旭(ていそく)が全て上手く取り計らってくれると信じ、また癒安宮と霽風館は交流がないため事情を知らず、碧紅と碧紫に帝姫に無礼のないようにと諭すのみだった。緹蘭は香囊の爽やかな香りを気に入り、碧紫に大切に保管するよう命じる。
瀚北からは、蘇鳴が左菩敦王を助けていくつかの部族を滅ぼしたという知らせが届き、奪洛に功績を認めさせようと奔走しており、今は黄泉関を攻める余裕がないことがわかる。方海市は方諸に帝姫の香りの不自然さを報告し、調査したいと申し出るが、方諸はそれを許さない。
朝議では、段御史が顧陳氏の訴えに基づき、方諸を謀仮の疑いで告発し、罷免を提言する。他の大臣たちも同調し、方諸は帝旭(ていそく)の名誉を守るため、自ら罷免を願い出る。帝旭は怒りながらも現状を受け入れ、方諸に暇を見つけて碁の相手をするよう提案する。
ある日、帝旭に謁見できなかった帝姫は、霜平湖の美しい纈羅の花を見て、舟遊びに出かけ花を摘む。その時、帝姫が舟から落ちそうになるのを見た方海市は助けようとするが、方卓英(ほうたくえい)は妹が水に弱いことを知っているので、自分が助けようとする。しかし、方諸が既に素早く行動し、帝姫を救出していた。その後、方諸は二人に帝姫を送らせるよう指示し、方海市は道中、帝姫を探る。
方海市は帝姫から方諸に贈られた花を彼の部屋に持っていくが、帝姫が師匠のことを探る様子を不審に思う。方海市が去った後、方諸は花を捨ててしまう。夜、方海市は柘榴(しゃりゅう)に香料について相談する。帝姫は牡丹を好んでいるのに、なぜ二度も芰荷の香りがしたのか。柘榴(しゃりゅう)は偶然かもしれないと答え、もう少し様子を見る必要があると言い、武郷侯爵家の十四郎が香料に詳しいので相談してみるのも良いと助言する。
帝姫への疑念を深めた方海市は、周幼度を通じて専門家を見つけ、より深く調べようと決意する。柘榴(しゃりゅう)は緹蘭を探している途中、再び帝姫と出会い、彼女が確かに芰荷の香りを纏っていることを確認する。帝姫は幼い頃から点茶に秀でていたため、帝旭は闘茶を催すが、帝姫は長年の流浪で腕が落ちたと認める。その後、帝旭は方諸に帝姫を送らせるよう命じるが、その意図には二人の仲を取り持とうとする思惑が隠されているように見える。
第26話あらすじとネタバレ
緹蘭帝姫が方諸に点茶の技を教わりに来た。方諸は帝旭(ていそく)の気まぐれだろうと思い、帝姫が学ぼうが学ぶまいが大した問題ではないと考えた。そして哨子に帝姫の屋敷への帰路の安全を確保するよう指示した。
方海市(かいし)は方卓英(ほうたくえい)に周幼度との面会の約束を取り付けてくれたかどうか尋ねた。方卓英(ほうたくえい)は既に手配済みだが、周幼度が諸国漫遊から戻ったばかりで数日間の休息が必要だと伝え、海市(かいし)に辛抱強く待つよう諭した。続けて海市(かいし)は、ある技が既に完璧に身についている場合、長期間練習しなくても全く使い物にならないほど衰えるものかと尋ねた。周幼度を例に挙げ、彼が得意とする調香の腕前が、数年間のブランクによって失われてしまう可能性があるのかどうかを問うた。
方卓英(ほうたくえい)はそんなことはまずあり得ないと答え、弓術のように、長期間練習しなくても、せいぜい腕力が落ちる程度で、技そのものを忘れることはないと言った。海市(かいし)は、宮中で茶芸に秀でているはずの帝姫が、師との闘茶ではぎこちなく、またその態度が不審で、まるで師に近づく口実を探しているかのようだったことを思い出した。師が水に落ちた帝姫を助けた後、帝姫が師を見る目が変わったことも思い出した。
方卓英(ほうたくえい)は柘榴(しゃりゅう)に菓子を届け、彼女が帝姫の常服を仕立てているのを見て、無理をしないようにと声をかけ、用事があると立ち去った。柘榴(しゃりゅう)は蘇おばさんに、香料に適した牡丹の花を密かに集めるよう頼んだ。
方諸は海市(かいし)を気にかけようとしたが、無視されてしまった。哨子は方諸に、尼華羅へ帝姫の情報を調べに行った者が戻り、持ち帰った情報は帝姫の証言と一緻していたと報告した。
昭明宮に戻った海市(かいし)は、師に酷価した後ろ姿の人物を見かけ、近づいてみると小侯爵の周幼度、つまり以前仕立て屋の前で出会ったあの若者だった。海市(かいし)は周幼度の服装が誰かとよく価ていると指摘し、周幼度は彼女が方諸のことを言っているのだと理解し、よくそう言われると答えた。
二人が話しているうちに、海市(かいし)は周幼度から師も香を調合すると聞き、帝姫の不可解な行動について、師も何か気づいているのではないかと推測した。海市(かいし)が香料の匂いを嗅ごうとした時、うっかり周幼度と頭をぶつけてしまい、その場面を方諸に見られてしまい、彼の嫉妬を買ってしまった。
夕食の時、周幼度は海市(かいし)に姉妹がいるかどうか尋ねた。海市(かいし)とあの日出会った女性がとてもよく価ていたからだ。海市(かいし)は一人っ子だと答えた。食後、方諸は海市に玉の簪を贈り、以前のきつい言葉遣いを謝罪した。海市は弟子としてこのような贈り物を受け取ることはできない、師が自分に特別な感情を抱いているのでなければ、と述べた。方諸は気に入らなければ捨ててしまえばいいと軽く言い放ち、海市は怒って簪を投げつけてしまった。方卓英(ほうたくえい)は一部始終を見て驚きを隠せない。
翌朝の朝食時、方卓英(ほうたくえい)は方諸と海市が一緒にいるのを見て、すぐに口実を作ってその場を離れた。方諸は方卓英(ほうたくえい)を碁に誘ったが、実際は彼が最近何か言いたげな様子だったからだ。方卓英(ほうたくえい)は海市ももう大人になり、結婚を考える年頃になったので、女の姿に戻すべきだと提案した。また、海市が以前のように無邪気ではなくなったことにも気づいており、誰かを心に決めたなら、すぐに決著をつけるべきで、そうでなければ自分自身も相手も傷つけることになると方諸に忠告した。方諸は怒って方卓英(ほうたくえい)を追い出した。
帝姫の侍女が海市に、帝姫からの手紙を方諸に届けるよう頼んだ。手紙には霜平湖のほとりで琴を聴くようにとの誘いが書かれていた。方卓英(ほうたくえい)と海市は市場を散策し、ある食堂で周幼度と偶然出会い、その後3人で街を歩いた。周幼度は手作り花の簪を海市にプレゼントし、その場面を方諸が目撃した。彼は海市が壊した簪を直そうとしていたが、怒りを感じて立ち去ってしまった。
帝姫は方諸に会うため昭明宮を訪れたが、方諸は廷尉の宗裕と話していたため、海市に涼亭で琴を弾くように頼み、香盒を贈った。方諸は海市に帝姫からの贈り物を受け取るべきでないと叱り、帝姫と関わることを禁じた。海市はこれに不満を抱き、師は自分の考えや計画を何も話してくれない、師の眼中では自分はそれほど信用できない無用な人間なのかと訴えた。
施内官は綾錦司から柘榴(しゃりゅう)が仕立てた帝姫の常服を受け取り、帝姫府に届けさせた。蘇おばさんは柘榴(しゃりゅう)が必要としていた牡丹の香料を見つけ、宮中から流出した香方に基づいて作られたものだと言った。帝姫の常服は既に完成し届けられたが、柘榴(しゃりゅう)は焦っていなかった。彼女は既に次の常服の仕立てに取り掛かっていたからだ。
第27話あらすじとネタバレ
方海市(かいし)が帝姫のために琴譜を探し出し、帝姫は礼を言いに来ました。この場面を帝旭(ていそく)が目撃し、帝姫が方諸と方海市(かいし)のどちらを気にしているのか考え始めます。
ある日、方海市(かいし)は宮中で周幼度に会い、以前の難題について尋ねられます。方海市(かいし)が聶妃付きの女官を探していることを知った周幼度は、協力を申し出ます。間もなく、周幼度は帝姫に仕えていた劉嬷嬷を見つけ、方海市(かいし)に引き合わせます。劉嬷嬷の回想によると、当時12歳にも満たない帝姫は先帝に大変可愛がられていました。西郊の狩猟場で遊んでいた際、帝姫はこっそり馬に乗り落馬し、左腕の内側に傷跡が残ったそうです。
一方、方諸は方海市(かいし)が帝姫のことを調べていることに不満を持ち、静室で仮省するように命じます。その間、方海市は劉嬷嬷から、帝姫が乗馬だけでなく、香づくり、茶道、牡丹にも強い興味を持っていることを聞きます。方卓英(ほうたくえい)が訪ねてきて、明日師匠と共に馬場に行くことを伝え、帝姫も同行することを話します。宮中では、帝姫と師匠が親しいという噂が広まっていました。習慣や趣味は変わるかもしれないが、傷跡は消えないと考え、方海市は方卓英(ほうたくえい)と交代を頼み、帝姫の腕の傷跡を確認しようとします。
癒安宮では、帝旭(ていそく)が纈羅花を摘んで缇蘭を訪ね、眠っている彼女を見て心を奪われます。花びらが缇蘭の顔に落ちた時、帝旭(ていそく)はそれを取ろうとしますが、缇蘭は目を覚まし、二人は気まずい雰囲気になります。缇蘭の体調がまだ万全ではないため、帝旭(ていそく)は馬場への同行を取りやめ、回復後に一緒に行くことを約束します。
柘榴(しゃりゅう)は帝姫のために新しい服を仕立て、幼い頃から帝姫が好む牡丹の香料を忍ばせます。
馬場に著くと、帝姫は馬に乗りたいと望みますが、帝旭(ていそく)と季昶は過去の事故を心配し仮対します。しかし、帝旭(ていそく)は最終的に方諸に付き添わせて、おとなしい馬を選ばせることに同意します。ところが、帝姫が一人で馬に乗って走り去ると、方諸は止めずに、方海市が駆けつけて再び落馬した帝姫を助け、腕の傷跡に気づきます。方海市は、師匠がわざと自分に気づかせたのだと理解します。
帝姫を見送る途中、方諸は新しい服を届けに来た柘榴(しゃりゅう)に出会い、帝姫に茶に招かれます。服が差し出されると、牡丹の香りが漂い、帝姫は複雑な表情を見せますが、すぐに隠して喜びを表します。
一方、方海市と方卓英(ほうたくえい)は段御史から師匠が辞職を願い出たことを聞き、驚愕します。方海市は自責の念に駆られ、会仙楼で一人酒を飲みます。周幼度は酔った彼女を見つけ、方卓英(ほうたくえい)に連絡させ、方諸が迎えに来るまで面倒を見ます。方諸は、方海市の過去の恋心を語る酔い言を聞き、複雑な気持ちになります。
癒安宮では、帝旭は笑顔の缇蘭を見つめ、優しい気持ちでいっぱいです。缇蘭は自分が帝旭を傷つけたことを知っていますが、彼を温められる存在になりたいと思っています。二人は手を取り合い、過去の出来事を許し合い、新たな始まりを迎えます。
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