斛珠夫人~真珠の涙~あらすじ19話・20話・21話、ネタバレ

第19話あらすじとネタバレ

方諸は急ぎ天啓に戻り、帝旭(ていそく)に謁見した。帝旭(ていそく)は鞠典衣を流觴へ送り返すことを決め、方諸に告げた。鞠典衣と方諸は幼馴染みであることを考慮し、罪を犯したとはいえ、彼女に相応の尊厳を与えるべきだと考えたのだ。ここ数日、帝旭(ていそく)は夜遅くまで古い地図を研究し、多くの過去の出来事を思い出していた。方諸はかつて蘇鳴の命だけは助けるよう帝旭(ていそく)に願い出たが、結局蘇鳴は逃亡してしまった。帝旭(ていそく)は今、方諸に蘇鳴の残党狩りを命じた。

哨子は方諸に綾錦司の事件当夜の状況を報告した。彼はすぐに蘇鳴の屋敷に駆けつけたが、手がかりとなる物は何一つ見つからなかったという。明らかに蘇鳴は用心深く、危険を察知するとすぐに証拠を隠滅したのだ。残されたスパイたちは潜伏を続けるだろうから、今は時機を待つしかない。方諸は哨子に、普段通りに振る舞い、帝旭(ていそく)の安全を確保するよう指示を出した。

また、哨子は方卓英(ほうたくえい)が最近落ち込んでいることについても触れた。蘇鳴の暗殺に失敗したことを方諸に詫びているという。方諸は方卓英(ほうたくえい)を責めなかった。蘇鳴を捕らえるのは時間の問題であり、今は天啓を守る事が最優先だと考えたからだ。方諸はこの件の責任は自分にあると言い、方卓英(ほうたくえい)を慰めた。

方海市(かいし)は蘭茲城を離れ、黄泉営へ戻る準備をし、薩莉亜に別れを告げた。方諸は綾錦司へ行き、鞠典衣の送葬の準備をした。綾錦司には柘榴(しゃりゅう)ただ一人しか残っていない。もし柘榴(しゃりゅう)が鞠典衣の棺と共に故郷へ帰ることを望むなら、方諸は彼女のために適切な場所を用意すると約束した。しかし、柘榴(しゃりゅう)は綾錦司に残り、鞠典衣の遺誌を継ぐことを選んだ。方諸はそれを聞き、柘榴(しゃりゅう)と共に綾錦司を再建することを決めた。

方卓英(ほうたくえい)は医佐から柘榴(しゃりゅう)の状況を聞いた。彼女の体には別状はないものの、残念ながら二度と目が見えることはないという。鞠典衣の唯一の親戚であり、綾錦司最後の刺繍女である柘榴(しゃりゅう)を、方諸は医佐によく面倒を見るよう頼んだ。方卓英(ほうたくえい)は深く後悔し、目が見えるうちに柘榴(しゃりゅう)に会っておけばよかったと悔やんだ。

医佐は方諸の傷を診て、傷が癒えるどころか悪化していることを発見し、健康に注意するよう警告した。このままでは命に関わるかもしれない。医佐は方諸にきちんと療養するよう懇願した。このままでは、やがて名医でも手の施しようがなくなるだろうと。

緹蘭は金城宮で帝旭(ていそく)のために奏状を読んでいたが、うっかり眠ってしまった。それを見た帝旭(ていそく)は、いたずらっぽく彼女の顔に落書きをした。穆徳慶が漢方薬の煎じ薬を届けに来た時、帝旭(ていそく)は緹蘭を起こさないよう静かにするように合図し、緹蘭を癒安宮へ送り返すための輿を用意させた。

方海市(かいし)と張大人は黄泉営に戻ると、符義は二人に早く休むよう促した。湯乾自が既に営帳で待っているという。湯乾自は営内は既に休養期間に入っていると述べ、方海市(かいし)に体力を回復させるよう指示した。方海市(かいし)は何かあればいつでも指示してほしいと伝えた。一方、方諸は哨子に方海市(かいし)へお菓子の詰め合わせを届けるよう命じ、水に濡らしたり壊したりしないよう念を押した。千裏の彼方から届いた甘い贈り物に、方海市(かいし)は心温まる思いだった。

碧紅は宮女たちが湖面にたくさんの水灯が浮かんでいることについて話しているのを耳にした。以前帝旭(ていそく)は湖に水灯を浮かべることを禁じていたが、湖の氷が解け、再び水灯が浮かび上がったのだ。碧紅は緹蘭を誘って水灯を見に行った。緹蘭は碧紅に押し切られ、一緒に水灯を見に行き、真冬の美しい光景に感嘆した。その時、帝旭(ていそく)が現れ、これは大徴宮中の恩月節の行事だと説明した。突然、帝旭(ていそく)はくしゃみをした。穆徳慶は帝旭の体調を心配し、宮に戻って休むよう勧めた。帝旭は緹蘭を気遣い、彼女にも早く戻るように言った。緹蘭は帝旭が風邪を引いたのを見て、粥を炊いて届けた。帝旭は椀が一つしかないのを見て、もう一つ持ってこさせ、緹蘭を一緒に食事に誘った。食事中、帝旭は穏やかに紫簪(しさん)の話を緹蘭とし、あまり気を遣わず、呼ばなくても自由に宮殿に出入りしていいと伝えた。

しばらく療養した後、医佐は方諸の脈が良くなっていることを確認し、これまでの療養が効果を現していると判断した。それと同時に、方諸は方海市(かいし)が黄泉営で完全に回復し、毎日元気に兵士たちの訓練を指揮しているという知らせを受けた。方海市(かいし)は都に帰って報告するために戻ってくる途中であり、もうすぐ天啓に到著するという。今回、方諸は方海市(かいし)が昭明宮に直接引っ越すことを許可し、方卓英(ほうたくえい)はすぐに準備に取り掛かった。

注輦の使者が大徴にやって来て、自然災害に見舞われたため援助を求めた。注輦が今年二度目の水害を報告してきたことに、帝旭は彼らが法外な要求をしていると考え、方諸の意見を求めた。方諸は帝旭が既に心の中で結論を出していることを知っていた。帝旭は緹蘭に偏殿で注輦の使者と会うことを許可した。使者は緹蘭の前で貧困を訴え、援助を懇願した。穆徳慶は後で帝旭に、緹蘭の目が赤く腫れていて、泣いたばかりのようだったと報告した。帝旭は激怒し、彼らの恥知らずな行為に憤慨し、食欲も失せてしまった。

第20話あらすじとネタバレ

提蘭の嘆願と帝旭(ていそく)の怒り

注輦部のために提蘭は帝旭(ていそく)に嘆願しようと、心を込めて作った菓子を持って訪れた。しかし、この行動は逆に帝旭(ていそく)の怒りを買ってしまった。提蘭は遠回しな方法ではなく、直接頼み事をすれば良かったのだ。帝旭(ていそく)は他人に自分の心を読まれることを極度に嫌うため、激怒し提蘭を追い出し、注輦の使節にも即刻都からの退去を命じた。方諸は帝旭(ていそく)に謁見し、注輦の使節は厄介だが正式な使節として礼儀を尽くすべきであり、上表と辞去を許すべきだと進言した。帝旭(ていそく)は不満ながらも、この件を方諸に任せることにした。

柘榴(しゃりゅう)と綾錦司の物語

柘榴(しゃりゅう)は現在、綾錦司の典衣であり、宮中で唯一の盲目の刺繍師でもある。施内宮が春の刺繍用の布地を選びに来た際、柘榴(しゃりゅう)を深く気遣い、周りの者に柘榴(しゃりゅう)を丁重に扱うよう、決して怠慢しないようにと命じた。

方卓英(ほうたくえい)と柘榴(しゃりゅう)の出会い

方卓英(ほうたくえい)は綾錦司を訪れた。彼は今や堂々と柘榴(しゃりゅう)に会うことができるが、柘榴は永遠に風神大人の真の姿を見ることはできない。しかし、聡明な柘榴は方卓英(ほうたくえい)の言葉から彼の正体に気づいていたが、用心のため気づかないふりをした。方卓英(ほうたくえい)は頻繁に綾錦司へ「小兎(シャオトゥ)」に会いに行くことを提案し、柘榴は喜んで承諾した。

方海市(かいし)の帰還と昇進

方海市(かいし)は都へ到著し、兄妹は再会を喜んだ。朝議にて穆徳慶は聖旨を読み上げ、左菩敦王を射殺し、迦満と同盟を結び蘭兹城を奪還した方海市(かいし)の功績を称え、帝旭は彼女を従三品雲麾将軍に任命した。この栄誉に方海市(かいし)は不安を感じ、これらの功績は黄泉営の将士全員の努力によるものだと述べた。帝旭は彼女の謙虚さと胆識を賞賛したが、方海市(かいし)は最終的に任命を受け入れた。

宮廷晩餐会と疑念

帝旭は将士たちを労うため、翌日宮中で晩餐会を開くと宣言した。その時、季昶が持っていた鷹の卵が誤って落下し割れ、帝旭の話を遮ってしまった。方海市(かいし)は湯乾自が怪しい手信号を送るのを見て、疑念を抱いた。

昭明宮に戻った後、方諸は方海市に、女性として出世が早すぎると危険が伴うと警告した。方海市は方諸への疑念を口にし、湯乾自は蘇鳴が黄泉営に送り込んだ内通者ではないかと疑い、さらに新しい左菩敦王である達洛が方卓英(ほうたくえい)に酷価していることにも気づいたと告げた。方諸は彼女が経験を積んで大胆になったと叱責したが、方海市は自分が戻ってきたのはある人に会うためだと告げ、方諸に近づいていく。方諸は動揺し、彼女と結婚する夢まで見てしまう。

晩餐会での出来事

晩餐会で、方卓英(ほうたくえい)は方海市に宮中の様子を説明し、綾錦司へ柘榴に会いに連れて行った。柘榴の失明した目を見て、方海市は深く悲しみ、彼女が綾錦司の事件で唯一の生存者だと知ると、犯人を見つけ出し復讐を誓った。その時、彼女は朝議での湯乾自の手信号を思い出し、ハッとした。

提蘭の誤った試み

提蘭は紫簪(しさん)に扮して帝旭の機嫌を取ろうとしたが、紫簪(しさん)は帝旭にとって禁句であった。碧紫は止めようとしたが、提蘭は聞き入れず、結果的に帝旭の怒りを買い、厳しい仕打ちを受けた。

第21話あらすじとネタバレ

宴の後、昭明宮に宿泊することになった方海市(かいし)は湯乾自に別れを告げた。それを見た方諸も他の役人たちに挨拶し、方海市(かいし)と共に昭明宮へ戻った。帰る途中、月を見ながら、方諸は方海市(かいし)が故郷を恋しがっていることに気付いた。

翌朝、癒安宮で、穆徳慶は缇蘭に冷罨剤を差し出した。帝旭(ていそく)に嫡子がおらず、そのため彼女が身籠っている子供は産めないという掟に従うためだと聞かされ、缇蘭は腑に落ちないながらも薬を飲み幹した。それを聞いた帝旭(ていそく)は、缇蘭の素直さと自覚を褒め、満足した様子を見せた。

朝議にて、帝旭(ていそく)は注輦への物資支援を命じた。その後、宦官は癒安宮に、帝旭(ていそく)が缇蘭を金城宮に呼び出したことを伝えた。金城宮に著くと、帝旭(ていそく)の要求に缇蘭は緊張したが、帝旭(ていそく)は彼女に銅鏡の前に座って自分の化粧を直させ、さらに今後は天啓城内では宮廷の礼儀作法に厳格に従う必要はないと告げた。

夜、方海市(かいし)は方卓英(ほうたくえい)と共に綾錦司を訪れ、柘榴(しゃりゅう)を釣りに連れて行く計画を立てていた。その途中、方海市(かいし)は鵠庫左部の新王、奪洛のことを思い出した。髪の色と瞳の色以外は方卓英(ほうたくえい)と瓜二つの顔。方卓英(ほうたくえい)が師匠に紅薬原で拾われた子供だと知ってはいても、その類価点に驚かざるを得なかった。しかし、方卓英(ほうたくえい)はこの件について深く語りたがらなかった。

柘榴(しゃりゅう)を迎えに行き、方海市(かいし)は綾錦司を後にした。その時、方卓英(ほうたくえい)は柘榴(しゃりゅう)が持っている真珠の腕輪に気付いた。それは会ったことはないが、宮中で一番の親友から贈られたものだった。方卓英(ほうたくえい)は嬉しく思った。彼にとっても、柘榴(しゃりゅう)の友達でいられることは大切なことだった。

帰る途中、方海市(かいし)は湯乾自が侍衛の中に紛れているのを見つけ、癒安宮まで尾行した。そして、湯乾自が缇蘭の寝所の前で覗き込んでいるのを目撃する。その様子を見て、方海市(かいし)は静かに立ち去り、捕夢網を作った。それを弔るせば悪夢を見ずに済み、たとえ夢を見ても良い夢が見られるようにという願いを込めて。方海市(かいし)は二つだけ作り、その一つを親友の缇蘭のために取っておいたため、捕夢網を欲しがった方卓英(ほうたくえい)には断った。

休暇中、方諸は海辺で過ごすことに決め、以前方海市(かいし)が故郷を恋しがっていたのを思い出し、彼女を誘った。方海市(かいし)は湯乾自に裏帰りすると言って休みを取り、方卓英(ほうたくえい)に捕夢網を缇蘭に渡すよう頼んだ。故郷へ帰る馬車の中で、目を閉じている師の横で、方海市(かいし)はこの時間がずっと続けばいいのにと願った。途中、揺れた拍子に頭をぶつけそうになった方海市を、方諸が優しく支えた。

一方、柘榴(しゃりゅう)は庭で刺繍をしていた。突然の雨粒が手に落ちたが、すぐに止んだ。方卓英(ほうたくえい)が傘を差してくれたのだ。二人は一緒に刺繍台を屋内に運び、手をつないで雨宿りした。雨上がり、柘榴(しゃりゅう)は虹が出ているか尋ねた。方卓英(ほうたくえい)は、柘榴(しゃりゅう)が見えないことを知りながら、次に虹が出たら必ず連れて行くと約束した。心の中では少し悲しかったが、柘榴(しゃりゅう)は、かつて見た美しい景色が心に残っていると彼を慰めた。

最近心身ともに疲れていた缇蘭は、兎の世話を続けることができなくなり、侍女に命じて綾錦司の柘榴(しゃりゅう)の兎と一緒にさせてほしいと頼んだ。しかし、これが帝旭(ていそく)の耳に入り、彼は穆徳慶に命じて缇蘭を今夜金城宮に来るように伝えた。その後、缇蘭は風邪をひき、碧紅は彼女の容態を心配して帝旭(ていそく)に報告した。それを聞いた帝旭(ていそく)は激怒し、缇蘭が本当に起き上がれないほど病気なのかどうかを自ら確かめに行くことにした。癒安宮に著くと、缇蘭は弱った体でどうにか彼を迎えたが、ついに力尽きて倒れてしまった。帝旭(ていそく)はすぐに御医を呼び、診察の結果、缇蘭は毎日冷罨剤を飲んでいたため体が冷え、激しい痛みを感じており、回復には時間がかかると分かった。苦しむ缇蘭を見て、帝旭(ていそく)は憐れに思った。

その頃、柘榴(しゃりゅう)は綾錦司の典衣となり、鞠典衣の部屋に移り、鞠典衣と綾錦司に毒を盛った真犯人を探し出すことを誓った。調査を進めるうちに、彼女は鞠典衣が敵国に内通していた事実を偶然発見し、大きな衝撃を受けた。

故郷に戻った方海市と方諸は、阿娘の温かい歓迎を受けた。成長した娘を見て、阿娘は感激した。方海市は方諸を幼馴染だと紹介し、阿娘は方諸に強い興味を示し、彼のことをしきりに尋ねた。