第13話あらすじとネタバレ
方諸は綾錦司を訪れ、鞠典衣に会った。彼は爵位を継ぎ、過去の約束について改めて話した。国に身を捧げ、功績を立てると誓ったため、結婚はしないと決めている。誤解を避けるため、両親同士の約束はあったものの、自分と鞠典衣の間には婚約がないことをはっきりと伝え、彼女を困らせたくないと言った。鞠典衣は深く傷つき、去っていく方諸に、自分は彼を兄のように思っていると叫んだ。
鞠典衣の様子がおかしいことに気付いた柘榴(しゃりゅう)は医官を呼ぼうとしたが、鞠典衣は火鉢(ひばち)を求めた。実は、彼女は自分のために嫁入り衣装を準備していたが、今それを切り裂き、燃やして決意を示したのだった。
一方、方海市(かいし)の荷物は霽風館から昭明宮へ移された。方卓英(ほうたくえい)は師である方諸の決定に戸惑うが、方諸は方海市(かいし)が考えすぎているだけで、多くのことをまだ話していないと説明した。
瀚州の砂漠では、方海市(かいし)と新兵たちは目的地に到著していた。張大人は鵠庫人(こくこじん)が水井屯(すいせいつん)に到達したと分析した。住民の安全を心配する方海市(かいし)は、張大人に食糧を陣地へ運ばせ、自身は水井屯の救援に向かった。間もなく、大徴(だいちょう)の旗を掲げた一隊が黄泉営(こうせんえい)に向かっているという知らせが届き、先頭は参軍(さんぐん)のようだった。湯乾自(とうけんじ)らは出迎え、それが方海市(かいし)の一行だと確認した。方海市(かいし)は鵠庫人が水井屯から一時的に撤退し、ほとんどが逃走、残りは降伏を拒否し、少数の生存者が残っていると報告した。地元住民は塹壕(ざんごう)を掘っているが、守備力が不足しているため、援軍を求めて戻ってきたのだ。湯乾自はすぐに二人の副将に援軍を率いさせ、方海市(かいし)を黄泉営に残した。
負傷兵を見舞った際、湯乾自は彼らから方海市(かいし)の勇敢さと機転を称える声を聞いた。彼女の的確な戦術のおかげで鵠庫人を追い払い、水井屯を守ることができたのだ。湯乾自は祝宴を準備し、方海市(かいし)は師の教えを思い出した。黄泉営にいる間は師を守るように湯乾自を守ること、しかし都からの手紙を受け取ったら、内容に関わらず、すぐに指示を実行すること、たとえそれが湯乾自に対する行動であっても。
方卓英(ほうたくえい)は師に黄泉営の情報を報告し、内通者が鵠庫との情報網を断ったと指摘した。この穴を埋めるため、方諸は方卓英(ほうたくえい)に表向きは新たな情報網を構築し、実際には別の内通者を秘密裏に配置して、二つの情報網を独立させて互いに幹渉しないように指示した。方諸は新しい情報網の構築を方卓英(ほうたくえい)に任せ、時機を待ち、内通者をあぶり出すことにした。
緹蘭は方海市(かいし)の初陣での勝利と無事を喜び、侍女に彩紙(さいし)で水灯を作らせ、霜平湖(そうへいこ)で方海市(かいし)の無事を祈って水灯を流した。酒に酔った帝旭(ていそく)は霜平湖にやってきて、祈りを捧げている緹蘭を紫簪(しさん)と間違え、抱きしめてキスをした。緹蘭は帝旭(ていそく)を押しのけようとしたが、誤って一緒に湖に落ちてしまった。
帝旭(ていそく)は水が苦手なので、緹蘭は泳いで彼を助けた。帝旭(ていそく)は気を失いながら紫簪(しさん)の名前を呼び続け、緹蘭は彼の冷えた手を温めた。翌朝、帝旭(ていそく)は目を覚まし、傍らで看病してくれた緹蘭を見て、心を動かされた。緹蘭は帝旭(ていそく)の体調を心配し、侍医を呼ぶことを提案した。帝旭(ていそく)は緹蘭が徹夜で看病してくれたことに気づき、感謝の印として兎を返し、緹蘭の跪礼(きれい)を製止し、癒安宮へ戻るように促した。
方諸は帝旭(ていそく)と会い、瀚州の情報網の強化と黄泉関の安全対策について話し合った。帝旭(ていそく)は方諸の行動が弟子である方海市(かいし)への心配からだと推測し、以前方海市に伝えた結婚の話に触れた。方諸は結婚しないと明言し、帝旭(ていそく)に国を第一に考え、自分をこれ以上困らせないよう頼んだ。
その後、帝旭(ていそく)は新たな情報網の構築を鞠典衣に任せることを発表したが、方諸は仮対した。情報漏洩は人為的なものかもしれないし、偶発的なものかもしれない、さらに鞠典衣の眼の病も懸念材料だと述べた。しかし、帝旭(ていそく)は鞠典衣がこの任務に適任だと考え、多忙な方諸の代わりに彼女に任せるべきだと主張し、決定は覆らないと告げた。
第14話あらすじとネタバレ
方諸は方卓英(ほうたくえい)に密書を鞠典衣へ直接渡すよう命じ、暗線の処理も一任した。これは帝旭(ていそく)の勅命であり、逆らえない。方卓英(ほうたくえい)は黄泉営の暗線が変更されると、赴任したばかりの方海市(かいし)の情報源が断たれ、事態が複雑になることを懸念していた。しかし、方諸は既に聖旨に従っており、方卓英(ほうたくえい)には綾錦司の監視を指示し、異変があれば報告するようにとだけ伝えた。
綾錦司の前で方卓英(ほうたくえい)は葛藤した。密書を鞠典衣に渡さなければならないが、柘榴(しゃりゅう)に会うのが怖い。しかし、柘榴(しゃりゅう)は自分が風神だと知らないことを思い出し、中へ入ることにした。物音を聞きつけ一旦身を隠した後、柘榴(しゃりゅう)が出て行ったのを確認して綾錦司に入った。鞠典衣と会い、彼女は目が見えないため霽風館で引き継ぎをしたいと申し出たが、方諸の体調不良を理由に断った。鞠典衣はそれを冷ややかに受け止めた。
宮女たちが緹蘭に倣って霜平湖で灯籠流しをした結果、火災が発生した。帝旭(ていそく)は激怒し、宮女たちに二十回の杖責を命じ、霜平湖での灯籠流しを禁じた。
尼華羅と吐火魯が海賊に扮して沿岸を襲撃し、情報収集をしていた。帝旭(ていそく)は激怒し、方諸を西平港へ派遣した。方諸は方卓英(ほうたくえい)に帝旭(ていそく)の護衛と瀚州の細作網への警戒を命じた。
方海市(かいし)は湯乾自に、十日前に逃亡した二千人の鵠庫兵が黄泉関で姿を消したことを相談した。水井屯の戦いは鵠庫の計略で、さらに大きな脅威が迫っているのではないかと懸念し、少人数で調査することを提案した。呉恙と肖武を連れ出発し、宋典も追いかけてきた。宋典は自らを「歩く地図」と称し、正体を明かした後に自害した。方海市(かいし)は彼が誰かに操られていたのではないかと疑い、進路を逆に辿り、鵠庫の主力部隊が黄泉営を奇襲しようと進軍していることを発見した。呉恙と肖武を湯乾自への報告に戻し、自身は麒麟営へ援軍を要請に向かった。
鵠庫が黄泉関を襲撃した時、方海市(かいし)は麒麟営の援軍を率いて到著し、鵠庫左部の首領である菩敦王を射殺し、敵を撤退させた。しかし、彼女は敵の狙撃兵の顔と体格が、髪の色以外は方卓英(ほうたくえい)に酷価していることに気づき、疑問を抱いた。
湯乾自は方海市(かいし)の活躍を賞賛し、鵠庫の陰謀を見破り、麒麟営の援軍を得て、敵将を射殺したことを称えた。方海市(かいし)は黄泉営内に他の間諜がいる可能性と、迦満の難民の処置について忠告した。湯乾自は難民をすぐに組織化することは難しく、兵糧の輸送も困難で、さらに西南の防衛線が雷州軍に妨害されているため、状況は楽観視できないことを理解していた。
方諸は密報を受け、黄泉営と麒麟営の共同勝利を知り、鵠庫両部、特に右部の動向を監視し、方海市の安全を確保するよう命じた。夜、方諸は方海市を思い出し、方海市も師を思い、国事のため急いで結婚し戦場へ向かったのではないかと考えていた。
張大人は方海市に、迦満の人々は関内に入りたがらず、昨夜、彼らの集落である蘭兹城のある紅薬原へ行ったと伝えた。方海市は鵠庫右部がその地域に出現していたことを思い出した。湯乾自に報告すると、鵠庫は蘭兹城を占領しているが、今のところ動きはないとのことだった。方海市は鵠庫が彼らを利用して再び黄泉関を攻撃するのを防ぐため、捕らわれている迦満の難民を救出する許可を求めた。
第15話あらすじとネタバレ
西平港にて、方諸は偽装敗退を指示し、敵軍を月亮湾へ誘い込む計略を仕掛けた。火攻めを用いて敵を船から降ろさせ、自身は月亮湾付近の海岸で偵察をしているという偽情報を流布した。
一方、方海市(かいし)は紅薬原に到著する。紅薬原は、かつて儀王の乱で儀王を支持した紅薬帝姫の名に由来する地である。当時、帝旭(ていそく)と方諸は鵠庫の奥深くまで進軍し、四昼夜に渡る激戦の末、鵠庫軍を打ち破った。その混乱の中、紅薬帝姫は命を落とし、末子も戦場で消息不明となった。方海市(かいし)はこの歴史を知っていたが、彼女の当面の任務は迦満人を一刻も早く見つけることだった。
迦満人を救うため、方海市(かいし)は鵠庫右部と激しく戦い、捕虜となる。右菩敦王に対し、彼女は勝負を挑む。負けたら臣従、勝てば仲間と迦満人の解放を要求した。方海市(かいし)は勝利するも、右菩敦王は約束を守らず、混乱を避けるため段階的に解放すると称し、彼女を独房に監禁した。
黄泉営に方海市(かいし)の捕縛の報が届き、方諸は焦燥に駆られる。西平港での事態収拾後、すぐさま黄泉営へ向かう。負傷しながらも、彼の心は方海市(かいし)の安否に囚われていた。道中、方海市が右菩敦王の城に囚われ、婚姻を強要される可能性があると知り、焦りは更に募る。
右菩敦王の部下、魯爾丹は方海市に地位を奪われることを恐れ、罠を仕掛ける。方海市は食事に毒が盛られていることに気づき、これを利用して脱走を偽装する。奪洛が方海市の引渡しを求めてきた際、右菩敦王は獄中死を偽った。奪洛は先の左王の後を継いだ新左菩敦王であり、かつて方海市が前任の左王を射殺す場面を目撃していた。
方海市は死を覚悟で右菩敦王に約束の履行を迫り、捕虜の一部解放が始まる。彼女は自害も逃亡もしないと保証し、全ての捕虜が解放されるまで待つと誓う。そして、捕虜への適切な処遇を確実にするため、右菩敦王自身に食事の配給をさせるよう要求する。
新たな情報により、右菩敦王は方鑑明(ほうかんめい)が黄泉関へ向かっていることを知る。紅薬原で紅薬帝姫の死を招いた過去の出来事を思い出し、かつて方鑑明(ほうかんめい)に敗れた屈辱を雪ぐことを誓う。彼は直ちに同盟各部に連絡し、来るべき戦いに備えるのだった。
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