第34話あらすじとネタバレ
方卓英(ほうたくえい)は草原へ戻り、叔父の額爾済を頼ることを決意し、一族の復興に尽力することを誓った。夜更け、師父の方諸との会話を思い出していた。かつて戦場から方諸に救われた方卓英(ほうたくえい)は、数年後、瀚州での任務中、未だ戦火に焼かれ荒廃した大地を目の当たりにする。方諸は大徴もかつては戦乱が絶えなかったが、現状を変えようとする者がいれば必ず道はあると信じていた。だからこそ、帝旭(ていそく)と共に危険な日々を過ごしてきたのだと。瀚州の平和のために尽力する者がいれば、いつかこの地の戦も終わると。方卓英(ほうたくえい)もまた、いずれ自ら選択を迫られる時が来ると悟った。
額爾済が方卓英(ほうたくえい)を信頼するのは、彼の中に流れる鵠庫の血統ゆえだ。実は額爾済は方卓英(ほうたくえい)の動向を常に注視し、彼が技を磨き、帝旭(ていそく)暗殺を企て草原へ戻ろうとしていることを知っていた。左菩敦王の地位を継いだ奪洛とは異なり、方卓英(ほうたくえい)は残虐な殺戮と部族併合によって鵠庫を混乱に陥れた奪洛とは違う。額爾済は方卓英(ほうたくえい)が草原を平定し、鵠庫の人々に安寧をもたらしてくれることを願っていた。
一方、方諸は柏奚の呪縛を解く方法を探っていたが、彼の思いは方海市(かいし)へと向かっていた。哨子は方卓英(ほうたくえい)が瀚北に戻ってからの状況を報告した。王子としての身分と帝旭(ていそく)暗殺未遂により、方卓英(ほうたくえい)は多くの鵠庫の人々の支持を集め、奪洛の勢力は衰退しつつあった。これは全て方諸と帝旭(ていそく)の策略であり、方卓英(ほうたくえい)に帝旭(ていそく)暗殺を偽装させ、方海市(かいし)に追跡させることで、彼女が彼を見逃すよう仕向けたのだ。この計画は世間の疑念を払拭することに成功したが、帝旭(ていそく)は方海市(かいし)にとって酷な仕打ちだったと感じ、彼女が戻りたがらないのも無理はないと考えていた。
季昶は帝旭(ていそく)に謁見し、誕生日の贈り物として、自身が飼育する鷹を東御馬場で披露することを願い出た。帝旭(ていそく)はこれを許可し、瀚州における方卓英(ほうたくえい)の活躍を褒めた。これもまた、方諸と帝旭(ていそく)の計画の一環であり、方卓英(ほうたくえい)の地位をさらに強固にするためのものだった。
方諸は帝旭(ていそく)に、共に人生を歩みたい人がいるが、今は誤解が生じていると打ち明けた。そして、朝野が安定した後、柏奚を解き、流觴へ帰郷させてほしいと願い出た。帝旭(ていそく)は方諸の幸せを願っていたので、喜んで承諾した。
かつて冷淡な態度をとった緹蘭に償うため、帝旭(ていそく)は彼女を皇后に立てようと考え、方諸にも過去を忘れ、新たな人生を歩むよう諭した。方諸は跪き、時が来たら柏奚を解き、辞官させてほしいと懇願した。帝旭は方諸の安寧を願い、彼の願いを聞き入れた。
方海市(かいし)は帝旭に手紙を書き、方卓英を逃がしたことを詫び、世を避ける考えを伝えた。手紙を読んだ帝旭は彼女の落胆を感じ、方諸に慰留の手紙を書くよう頼んだ。霽風館に戻った方諸は、葉海市(かいし)の名前を記した婚姻届を書き始めた。
柘榴(しゃりゅう)は方海市(かいし)を見つけ、自分と蘇姨は死んでおらず、方諸の指示で方卓英の情報収集のために偽装死したことを伝えた。そして方諸の言葉を伝えたことで、方海市(かいし)は天啓へ戻り師に会うことをさらに焦がれた。師から送られた婚姻届を受け取ると、彼女はすぐに天啓へと馬を走らせた。方諸は婚姻届が届けば方海市(かいし)が必ず戻ってくると確信し、昭明宮の人々を一時的に遠ざけた。
緹蘭は体調不良を感じていたが、帝旭に心配をかけまいと、碧紅が医者を呼ぶことを提案しても拒否した。その時、弟の索蘭の護符である龍尾神のペンダントと、帝旭を殺さなければ索蘭の命を奪うという脅迫状が現れた。碧紅は方海市(かいし)への想いを抱き、緹蘭に行動を起こすよう促したが、緹蘭は帝旭を傷つけることを拒否した。彼女は脅迫者は自分が交渉材料として必要だから、索蘭を本当に傷つけることはないだろうと考え、黒幕を暴く機会を待った。
天啓に戻った方海市(かいし)は、昭明宮の廊下の花びらで彩られたロマンチックな演出に迎えられたが、またしても自分が蚊帳の外に置かれたことに複雑な気持ちを抱いていた。方諸は彼女の心中を察し、跪いてプロポーズし、今晩結婚したいと告げた。方海市(かいし)は婚姻届を投げつけ、自分が受けた苦しみをこれで償えると思っているのかと問いただした。方諸は婚姻届を拾い上げ、その重要性を強調し、改めて愛を告白した。
第35話あらすじとネタバレ
方諸と方海市(かいし)は婚礼衣装に身を包み、ついに夫婦の契りを交わしました。ずっとこの瞬間を夢見ていた方海市(かいし)にとって、全てが夢のようです。式で二人は婚姻の証である合卺酒を飲み幹し、正式に夫婦となりました。しかし、洞房の夜、方諸が更なる一歩を踏み出そうとしたその時、突然体の異変を感じます。帝旭(ていそく)に危険が迫っていることを察知した方諸は、方海市(かいし)を気絶させると急いでその場を離れ、庭に出た途端、血を吐いて倒れてしまいます。
実はその時、癒安宮で碧紅が毒を入れた参湯を帝旭(ていそく)が飲んでいました。しかし、不思議なことに帝旭(ていそく)には異状がありません。方諸は癒安宮に駆け込み、缇蘭が持っていた参湯を叩き落とし、毒が入っていると告げます。帝旭(ていそく)はすぐに侍医を呼び、方諸の治療と参湯の検査を命じました。診断の結果、方諸が中毒したのは注輦国産の未生花の毒で、解毒方法は知られていません。様々な毒を経験してきた方諸ですが、この毒には触れたことがなく、李侍医の言う通り、解毒は不可能でした。
方諸を救うため、帝旭(ていそく)は国を挙げて解毒薬を探すよう命じようとしますが、方諸はそれを拒みます。中毒の事実が外に漏れると朝廷に動揺が走ると考えたのです。そして、帝旭(ていそく)に缇蘭を責めないように頼み、何か裏があると訴えました。李侍医は方諸に、普通の人ならこの毒で三日以内に亡くなりますが、武術の心得がある方諸ならひと月は持ちこたえられるだろうと告げます。
昭明宮に戻った方諸は、眠る方海市(かいし)の顔を見ながら苦悩に満ちた表情を浮かべます。彼女の未来をより良いものにしようと尽力してきましたが、もはやそれは葉わなくなってしまったのです。
癒安宮では、碧紅が毒を入れたことを自白しますが、帝旭(ていそく)を狙ったのではなく、索蘭世子を守るためだったと主張します。彼女は帝旭(ていそく)に缇蘭を許すよう願い、自害して果てました。すると、缇蘭が急に気分が悪くなり、侍医の診断で妊娠していることが判明します。帝旭(ていそく)は癒安宮で起きた出来事を一切口外しないよう命じ、缇蘭を軟禁しました。
一方、季昶は方海市(かいし)が昭明宮に戻ったことを知り、自分の誕生日を祝う宴に方海市(かいし)を招き、女装の事実を暴露し、方諸を巻き添えにしようと企みます。計画を確実に実行するため、彼は宮廷周辺に精鋭部隊を配置し、方海市(かいし)を監視させます。
翌朝、方海市(かいし)は目を覚ますと方諸がいないことに気づき、庭を探しに出かけます。その途中、かつて方卓英(ほうたくえい)が住んでいた部屋に偶然たどり著き、当時のままの部屋の様子を目にします。方諸は薄著の方海市(かいし)を見つけ、彼女に羽織をかけます。方海市(かいし)は以前、帝旭(ていそく)に軍籍を解いてもらうよう願い出ており、方諸とずっと一緒に暮らすことを望んでいました。方諸は彼女のために魚粥を作り、自ら食べさせます。前日の出来事を何も知らない方海市(かいし)は、前夜の疲れからかすぐに眠ってしまい、その姿は見る者の心を痛ませます。
方諸は方海市(かいし)を東御馬場へ連れて行くことにします。これが彼女が男装で人前に出る最後の日となり、これからは女の姿で過ごすことになります。方海市はこれからは妻として皆の前に出られると思い、喜びに胸を膨らませます。しかし方諸は、流觞方氏の当主は決して幸せな最期を迎えられないこと、もし将来、共に白髪になるまで一緒にいられなかったら、今日の選択を後悔するかと問いかけます。方海市は迷うことなく、今も将来も決して後悔しないと答えます。その言葉を聞き、方諸は深く心を打たれ、彼女を強く抱きしめ、扳指のネックレスを贈り、必ず身につけるようにと告げます。
東御馬場では、帝旭(ていそく)が季昶の誕生日を祝っていました。季昶は自ら飼い慣らした鷹を披露します。方諸はわざと方海市の簪を射落とし、彼女の髪をほどけさせ、女であることを明らかにします。帝旭(ていそく)は彼女が胸に付けている扳指を見て、それが方諸の大切な宝物だと気づき、彼女が方諸の愛する女性だと瞬時に理解します。季昶はこの機に乗じて、方海市が女装していたことを責め立て、霽風館の徹底的な調査を要求します。他の大臣たちも同調し、騒ぎは大きくなります。しかし帝旭は、方海市は自分が霽風館に配置した者だと宣言し、彼女を連れて宮殿に戻ります。
帝旭に対し、方海市は自分の罪を認め、どんな罰でも受け入れると告げますが、方諸だけは責めないでほしいと懇願します。帝旭は、命を助けてほしい、そして方諸を巻き込みたくないなら、今から聾唖のふりをするようにと命じます。
第36話あらすじとネタバレ
方海市(かいし)の運命の転換点
方諸の計らいで、玉苒は帝旭(ていそく)の指示に従い、方海市(かいし)に女装の衣装を届けた。方海市(かいし)は方諸の安否を尋ねるも、玉苒は何も知らない様子だった。一方、方諸は帝旭(ていそく)にこれまでの罪を告白し、方海市(かいし)を妃として迎え入れるよう進言した。
方諸は宮中に多くの敵がいることを自覚しており、自分が不在になった場合、方海市(かいし)が危険に晒されることを懸念していた。紫簪(しさん)を深く愛した帝旭(ていそく)のように、方諸も方海市(かいし)を大切に思い、自分の死後も彼女が生きていけるよう願っていた。茨の道であっても、時が癒してくれると信じ、方海市(かいし)を帝旭(ていそく)に託し、彼女の安全を保障するよう懇願した。帝旭(ていそく)は方諸の願いを受け入れ、方海市(かいし)に彼女が受けるべき全てを堂々と与えると約束した。
方海市(かいし)との最後の対話
方諸と再会した方海市(かいし)は、帝旭(ていそく)の罰を受けないか心配するが、方諸はそれを避け、女扮男装の罪を指摘し、帝旭(ていそく)の妃となることが身の安全を守り、民の怒りを鎮める唯一の方法だと主張した。方海市(かいし)は激しく仮発し、他に策があるのではないかと問い詰めるが、方諸はこれが最善の選択だと譲らなかった。
方諸は初めて方海市(かいし)に会った時のことを思い出し、彼女が非凡な人物になることを確信していた。帝旭(ていそく)が彼女を選んだ今、方諸は彼女が安心して帝旭(ていそく)の傍に残り、守られることを望んだ。しかし、方海市は怒りと裏切りを感じ、方諸が自分の都合で彼女を窮地に追いやったと責め立て、自傷行為に及ぼうとした。その瞬間、方諸は迷わず自らの体で彼女を庇った。
朝廷の騒動
雪の夜、大臣たちは紫宸殿の外に跪き、方海市に女扮男装を許した方諸の罪を訴え、方卓英(ほうたくえい)を逃がした罪も加えて、厳罰に処することを帝旭(ていそく)に求めた。しかし、帝旭(ていそく)は彼らの訴えを無視し、跪かせたままにした。
帝旭(ていそく)の決意
玉苒から食事が届くも、方海市は食べる気にならず、帝旭に会うことだけを望んでいた。帝旭が訪れると、方海市は剣を抜いて抵抗した。帝旭は周囲を下がらせ、彼女が死を選んでも他人を巻き込みたくないという言葉を聞いた。そして、方諸が彼女を自分に託したことを告げ、彼女の運命は既に変わったと伝えた。方海市は帝旭に噛みつくなど激しく抵抗し、その様子に方諸は苦しみを覚えた。
宮廷に広がる噂
緹蘭は碧紫から方海市の秘密が露見したことを聞き、驚きこそしなかったものの、彼女の身に何か起こるのではないかと心配した。帝旭が方海市を妃に迎えるという噂を聞き、少しの寂しさを感じつつも、二人にとって良い結果になるかもしれないと考えた。
新しい主人の到来
帝旭は礼部に命じ、方海市を淳容妃に封じ、玉苒に沐浴と著替えの準備をさせた。方諸は早くから宮殿に入り、帝旭の納妃を祝う貴重な鮫珠を献上し、これは方海市が幼い頃に仙女から授かったものだと説明した。帝旭は大喜びし、方海市に「斛珠夫人」の称号を与えた。
浴室での出来事
方海市が沐浴中に異変が起こり、水に浮かんでいる彼女を発見した玉苒は助けを求めた。駆けつけた方諸は方海市を抱き上げた。方海市の顔の傷に気づいた方海市は、その理由を尋ねるが、方諸は何も言わずに立ち去った。
柏奚の秘密
帝旭は方海市に、清海公は武将ではなく、特別な血統を持つ一族であり、代々帝王の柏奚として大きな責任を負っているという秘密を明かした。これが方諸の体調が悪化している理由だった。
真実の試練
紫宸殿では、大臣たちが帝旭の側近を排除するよう圧力をかけ続けていた。方諸は方海市が幼い頃に龍尾神に出会った話が真実であることを証明するため、龍尾神から授かった鮫珠を証拠として提示した。しかし、季昶は大臣たちを唆し、鮫珠の真偽を疑わせ、方海市を庇うために作り話だと主張した。そこで、帝旭は方海市を呼び出し、真実を確かめようとした。
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