第29話あらすじとネタバレ
夜天逸(や・てんいつ)は崖っぷちに立ち、複雑な思いに胸を締め付けられていた。かつては月児と深く愛し合っていたが、彼女はついに国母となり、自分はここに流刑された。皇位も愛も、手の届かない夢となってしまった。この痛みを心に刻み、全てを取り戻すための原動力としようと決意する。荒涼とした地でこのまま朽ち果てることを拒否し、再起を誓う。藍漪(らんぎ)は三皇子に忠誠を誓い、誌を捨てない限り命を懸けて付き従うと申し出る。夜天逸(や・てんいつ)は藍漪(らんぎ)に越州を去る準備を命じ、再び帝都を探る計画を立てる。
夜軽染(や・けいせん)は花嫁の雲浅月(うん・せんげつ)を抱き上げ、喜びのあまりくるくると回り、長年の願いが葉ったことを祝う。容景(よう・けい)は一人で城を出て、不運にも剣で負傷してしまう。玉洛瑶(ぎょくら)は陳柳(ちん りゅう)を逃がした上に単独で危険な行動に出たことを責め、墨閣が駆けつけなければ大変なことになっていたと咎める。容景(よう・けい)は自分の私事だと玉洛瑶(ぎょくら)を安心させようとするが、玉洛瑶(ぎょくら)は容景(よう・けい)がまだ雲浅月(うん・せんげつ)を忘れられないことを見抜き、執著を捨てるよう諭す。容景(よう・けい)は墨閣の将来を案じ、安定した居場所を与えたいと願う。玉洛瑶(ぎょくら)は墨閣は淇国と太子殿下に属するべきだと主張する。容景(よう・けい)は墨閣が既に自分に従うことを選んでいる以上、戦乱を避けるべきだと忠告する。しかし、玉洛瑶(ぎょくら)はそれでも納得できない。
容景(よう・けい)は玉洛瑶(ぎょくら)が密かに兵を集めていることを知り、家国への恨みを捨て、一族の姓を取り戻すことよりも、故郷を失った民衆の復興を助けることの方が大切だと説得する。夜軽染(や・けいせん)は雲浅月(うん・せんげつ)のために栄華宮に彼女が愛する牡丹を自ら植え、結婚への揺るぎない決意を示す。雲浅月(うん・せんげつ)は深く感動し、二人で牡丹を植える。風雨の後、彼女は驚いたことに牡丹が芽吹いていることに気づく。夜軽染(や・けいせん)は雲浅月(うん・せんげつ)がいつか心を開いてくれる日を待ち望んでいた。
月岐王子が王位を継ぎ、父王の崩御を発表すると、彼は野心に燃え、天聖に戦いを挑む。拓跋葉倩(たくばつ・ようせい)は父の訃報に深く悲しむ。夜軽染(や・けいせん)は彼女を慰め、いつもそばにいると約束する。しかし、拓跋葉倩(たくばつ・ようせい)が将来について尋ねると、夜軽染(や・けいせん)の答えは曖昧だった。
栄華宮に牡丹が咲き誇る中、宮廷の人々は皇帝の皇后への深い愛情を噂していたが、同時に広明殿にいる貴妃の不遇と、夜軽染(や・けいせん)の彼女への冷淡な態度についても話していた。雲浅月(うん・せんげつ)はそれを聞き、陰口を慎むよう警告し、再び同じことをすれば宮廷から追放すると告げる。
御書房で、雲浅月(うん・せんげつ)は夜軽染(や・けいせん)に拓跋葉倩(たくばつ・ようせい)への冷淡な態度は良くないと説得を試みる。彼女は彼の妻なのだから。しかし、夜軽染(や・けいせん)は皇后ただ一人だけが自分の妻だと主張し、話題を西北の安全保障問題に移す。官塩の供給が意図的に断たれ、天聖は塩不足に直面しているという。同時に、月岐の新王が塩の交易路を献上するという名目で万庚島の割譲を求めてきており、夜軽染(や・けいせん)は月岐が東海国と結託して天聖に対抗しているのではないかと疑う。拓跋葉倩(たくばつ・ようせい)が板挟みになっている状況を考え、相敬如賓の関係が最善だと考えていると言う。
太后は幼い天賜を連れて宮廷に戻り、雲浅月(うん・せんげつ)がもうすぐ出産だと知り、安堵する。太后は自分が不在の間の雲浅月(うん・せんげつ)の様子を気遣い、拓跋葉倩(たくばつ・ようせい)が彼女に何か無礼なことをしていないか尋ねる。雲浅月(うん・せんげつ)は否定し、葉倩に申し訳ない気持ちでいると嘆き、后の位も夫も本来は彼女のものだったと言う。太后は雲氏の嫡女が必ず皇后になるという祖訓を強調し、雲浅月(うん・せんげつ)に腹の子のために地位を確保するよう促す。
拓跋葉倩(たくばつ・ようせい)は夜軽染(や・けいせん)が月岐に小さな島を与えることを拒否したことに不満を抱き、なぜ雲浅月(うん・せんげつ)が御書房で国事を 논할ことができるのかと問いただす。二人の愛の証である月の指輪を見て、彼女はさらに悲しむ。夜軽染(や・けいせん)は冷たく、不満なら月岐に帰ればいいと返す。拓跋葉倩(たくばつ・ようせい)は深く傷つき、太后も二人の間の不和に気づく。
大烏は公主に月岐へ帰ることを勧め、彼女の笑顔が戻ることを願う。拓跋葉倩(たくばつ・ようせい)は表面上は明るく振る舞うが、実際は心は憂鬱で、気を失ってしまうことさえある。太医は彼女が心病を患っており、その原因は陛下にあると診断する。轻暖公主は太后に助けを求め、兄が拓跋嫂子にもっと気遣ってくれるよう願う。太后は、真の問題は拓跋葉倩(たくばつ・ようせい)自身の心の持ちようであり、それを悟れば楽になるだろうと指摘する。
南凌睿(なん・りょうえい)と雲香荷(うん きょうか)が雲浅月を訪ねてくる。轻暖公主も甥のために玩具を贈る。政務で忙しいにも関わらず、兄が食事や談笑のためにここに時間を割いていることを知り、轻暖は兄が雲浅月をとても大切に思っていると感じ、余計に拓跋嫂子がかわいそうに思える。彼女は雲浅月を連れて拓跋葉倩(たくばつ・ようせい)を見舞い、関係を改善しようと提案するが、雲浅月はそうすることで相手をさらに傷つけてしまうのではないかと心配する。
雲浅月は北方の食糧不足を知り、梯田と灌漑システムを導入して食糧生産を増やし、夜軽染(や・けいせん)の政務の負担を軽減しようと提案する。
拓跋葉倩(たくばつ・ようせい)は寵愛を受けないことを嘆き、特に二ヶ月後に雲浅月が子供を産み、一家三人が幸せに暮らす姿を想像しては苦しむ。轻暖は雲浅月も彼女の事を心配しており、補品を送ってきたと慰める。しかし、拓跋葉倩(たくばつ・ようせい)は怒ってそれを捨てさせ、雲浅月がわざと自分を刺激しているのだと考える。気分転換のために、轻暖は兄に彼女の誕生日を一緒に祝ってもらう約束をする。誕生日の当日、轻暖は兄に拓跋葉倩に花を贈るよう促し、今日は彼女の誕生日だと伝える。夜軽染(や・けいせん)は政務を終えて彼女の元を訪れ、拓跋葉倩は子供を欲しいと願望を口にするが、夜軽染(や・けいせん)は彼女の体調が悪いことを理由に断り、いつか全てを与えると約束する。夜軽染(や・けいせん)の去っていく後ろ姿を見ながら、拓跋葉倩は深い悲しみに暮れる。その時、大烏は雲浅月親子を消して皇帝の心を取り戻すべきだと提案する。拓跋葉倩は最初は仮対するが、夜軽染(や・けいせん)の愛を得たいという強い思いから、最終的にその考えを黙認する。
第30話あらすじとネタバレ
出産を控えた雲浅月(うん・せんげつ)は、天賜を連れて雲王府へ戻ることにした。軽暖は、浅月が兄と拓跋嫂のために二人の時間を作りたいのだと察した。
大烏は密かに菓子に毒を仕込み、侍従を通じて皇帝からの贈り物として雲浅月(うん・せんげつ)に送った。軽暖は皇帝が浅月だけに慄豆糕を贈るのをからかったが、つわりで食べられない浅月に代わり、軽暖がそれを口にした。直後、軽暖は激しい腹痛に襲われた。急いで呼ばれた太医は、軽暖が少量の夾竹桃の毒に桂枝が混ざったものを誤食したと診断。幸い軽症で済んだが、妊婦が口にすれば流産、ひいては命に関わる危険があると警告した。激怒した皇帝は、贈り物を運んだ宮女を厳しく尋問し、大烏が犯人だと突き止めた。皇帝は貴妃の陰謀だと考えたその時、皇后に産気づいたという知らせが届いた。
夜軽染(や・けいせん)は雲浅月(うん・せんげつ)の悲鳴を聞き、慌てて駆けつけた。土下座して許しを乞う拓跋葉倩(たくばつ・ようせい)と阿烏(あう)に対し、夜軽染(や・けいせん)は阿烏(あう)の処刑を命じた。拓跋葉倩(たくばつ・ようせい)は宮中で唯一の肉親だと必死に訴えたが、夜軽染(や・けいせん)は雲浅月(うん・せんげつ)と子供に何かあれば容赦しないと告げ、拓跋葉倩(たくばつ・ようせい)を広明殿に幽閉した。
幸いにも、雲浅月(うん・せんげつ)は無事に皇子を出産した。夜軽染(や・けいせん)は我が子のように喜び、目を開けたら父上と呼んでほしいと願った。一方、広明殿で拓跋葉倩(たくばつ・ようせい)は一人涙を流していた。雲浅月(うん・せんげつ)の世話を終えた夜軽染(や・けいせん)は、拓跋葉倩(たくばつ・ようせい)のもとへ向かい、皇后と胎児を狙ったことを厳しく責めた。拓跋葉倩(たくばつ・ようせい)の兄の月岐での野心を持ち出し、雲浅月(うん・せんげつ)への嫉妬が動機だと指摘した。拓跋葉倩(たくばつ・ようせい)は嫉妬を認め、阿烏(あう)の助命を嘆願した。夜軽染(や・けいせん)は、阿烏(あう)は既に主君を守るため死を選んだと告げたが、拓跋葉倩(たくばつ・ようせい)は貴妃の位を捨てても阿烏(あう)を救いたいと懇願した。しかし、夜軽染(や・けいせん)は既に遅いと告げた。
その後、雲浅月(うん・せんげつ)は皇子に凌という名を授けた。藍漪(らんぎ)は秦相(しんしょう)と新帝の仲を裂こうとしたが、秦相(しんしょう)は夜氏への忠誠を誓い、裏切りを拒んだ。趙瑞明ら大臣は皇子の血筋を疑ったが、夜軽染(や・けいせん)は貴妃の毒殺未遂を利用して騒動を収め、皇子の太子即位を決定。同時に、騒ぎを起こした大臣たちを罰した。雲浅月(うん・せんげつ)の嘆願により、夜軽染(や・けいせん)は最終的に阿烏(あう)と趙瑞明の死罪を赦免した。
瀕死の阿烏(あう)が戻ってきたのを見た拓跋葉倩(たくばつ・ようせい)は、安堵と悲しみ、そして復讐心を胸に秘めた。太后も拓跋葉倩(たくばつ・ようせい)の行いに驚きを隠せないでいたが、軽暖の助けで落ち著きを取り戻し、雲浅月(うん・せんげつ)を気遣うように言った。雲浅月(うん・せんげつ)は拓跋葉倩(たくばつ・ようせい)の仕業とは信じず、夜軽染(や・けいせん)に優しく接するよう頼み、自身と凌の世話を家族に任せたいこと、そして夜軽染(や・けいせん)には拓跋葉倩(たくばつ・ようせい)と過ごす時間を増やしてほしいと伝え、雲王府へ戻る許可を得た。
雲香荷(うん きょうか)は祖父に雲浅月(うん・せんげつ)母子の無事を喜び勇んで伝え、出産祝いの準備を促した。祖父は慌てて贈り物を用意し、南世子のことも気にかけるように言った。雲香荷(うん きょうか)は南凌睿(なん・りょうえい)の行動次第だと少し得意げに答えた。
雲浅月は宮中での騒動を祖父に知らせないように彩蓮(さいれん)に口止めした。彩蓮(さいれん)は納得いかない様子で、雲浅月の優しすぎる性格を嘆いた。
秦玉凝(しん・ぎょくぎょう)に唆された趙瑞明は皇子の血筋を疑う発言をしたが失敗に終わり、朝廷内で夜軽染(や・けいせん)への批判が高まった。冷邵卓は秦玉凝(しん・ぎょくぎょう)に秦相(しんしょう)の元へ戻るよう勧めたが、秦玉凝(しん・ぎょくぎょう)は容景(よう・けい)に慕容(ぼよう)家の冤罪を伝えるという別の計画を企てていた。
一方、容景(よう・けい)とその仲間は慕容(ぼよう)家の冤罪を調査し、慕容(ぼよう)将軍の旧友である孟伯から雲老王爷(うんろうおうじゃ)が慕容(ぼよう)家を陥れた事実を聞き出した。容景(よう・けい)は慕容(ぼよう)家の名誉回復を誓い、雲老王爷(うんろうおうじゃ)への憎悪を募らせた。玉洛瑶(ぎょくら)は容景(よう・けい)を焚き付け、帝都での調査を促した。
容景(よう・けい)は弦歌(げんか)と共に帝都へ向かい、上官茗玥(じょうかん めいげつ)、容楓(ようふう)、玉閣主は現地で指示を待った。三皇子は秦玉凝(しん・ぎょくぎょう)と密会し、彼女の好意を利用して虎符を手に入れ、再起を図ろうとした。秦玉凝(しん・ぎょくぎょう)は父を巻き込むことに躊躇したが、三皇子は無理強いせず、容景(よう・けい)の潜伏場所を教え、協力を持ちかけた。
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