武則天あらすじ29話・30話・31話・32話、ネタバレ

第29話あらすじとネタバレ

徐恵(じ・ょけい)と魏王(ぎおう)の密謀

徐恵(じ・ょけい)は莫公公に会い、魏王(ぎおう)と手を組む具体的な手順を相談した。この協力関係を成功させるため、徐恵(じ・ょけい)は後宮で太子の勢力を削ぐことに全力を注ぐ必要がある。見返りとして、魏王(ぎおう)は計画が成功すれば、徐恵(じ・ょけい)が武媚娘(ぶ・びじょう)に代わり皇帝の寵愛を一身に受けることを約束した。

皇帝と太子

皇帝は太子に踏雪烏骓という名馬を贈った。晋王もこの馬に強い興味を示した。最近、皇帝は太子が提出した仮省文を読み、太子の著しい変化に安堵した。武氏に関する噂も沈静化し、皇帝は太子の潔白を確信している。しかし、長孫無忌(ちょうそんむき)はかつて若いうちは困難を恐れてはいけないと言っていたことを思い出し、皇帝は太子への要求が厳しすぎたのではないかと自省した。それでも、大唐の未来を担う太子には大きな責任があり、皇帝は心の中では常に承乾(しょうけん)を太子と考えている。この気持ちは揺るがない。

魏王(ぎおう)の陰謀

魏王(ぎおう)が東宮に送り込んだ密偵からの報告によると、太子は近いうちに称心(しょうしん)を長安から出すようだ。魏王(ぎおう)は称心(しょうしん)が故郷の漠北に帰り老母を扶養するためだと知った。徐恵(じ・ょけい)が協力を承諾したという知らせに、魏王は大いに喜んだ。皇帝は太子に、彼と称心(しょうしん)の関係を疑う多くの奏状を見せた。皇帝自身は太子を信じているが、民衆の目は違う。疑いを晴らすため、太子は断固とした行動で称心(しょうしん)が男色相手ではないことを証明する必要がある。皇帝は称心(しょうしん)の運命は太子が決めるべきだと言い、太子ができないのであれば自分が代わりにやると告げた。太子は最終的に、この件を自分で処理すると約束した。

宮廷の波乱

蕭薔(しょう・ちょう)は胎児が消える夢を見て、韋妃から厳しい叱責を受けた。落ち込んだ蕭薔(しょう・ちょう)は気分転換に外出したが、侍女に時間が遅いことを理由に拒否された。蕭薔(しょう・ちょう)は激怒し、春盈(しゅんえい)がなだめに戻らせた。

太子妃の憂慮

太子妃は、武氏に関する予言は過ぎ去ったものの、媚娘(びじょう)は後宮で自分の立場をさらに固める方法を考えるべきだと考えている。韋妃は常に媚娘(びじょう)を狙っており、今はちょうど良い口実が見つからないだけだ。太子妃は自分の努力は全て太子のためだと理解しているが、時には太子にもっと優しくしてほしいと思っている。

晋王の支持

晋王は媚娘(びじょう)に兵法書を2冊贈り、国事への関心と責任感の強さを示した。媚娘(びじょう)は晋王の成長ぶりに驚き、そして彼の支持に感謝した。晋王は皇族としての責任だと述べ、これらの書物が将来媚娘(びじょう)の役に立つことを願った。

魏徴(ぎちょう)の忠告

魏徴(ぎちょう)は太子と称心(しょうしん)が一緒に帰る姿を見て、称心は死ななければならないと心の中で嘆いた。それは太子の将来のためだけでなく、称心自身の運命でもある。魏徴(ぎちょう)は太子に、最大の敵は自分自身であると諭し、正しい選択をすることを期待した。

媚娘の願い

皇帝が北方の仮乱軍討伐に出陣するという知らせを受け、媚娘は同行を希望した。しかし皇帝は、戦場の苦難から媚娘を守るため、その願いを断った。

第30話あらすじとネタバレ

灯火、永遠に 過ぎ去りし日々を偲ぶ

皇帝は媚娘(びじょう)を、無数の長明灯が灯る部屋へと案内した。それぞれの灯火は、皇帝が自ら体験した、あるいは戦友が残した、そして皇帝が命を絶った者たちの、戦と殺戮の記憶を象徴していた。いつの間にか、これほどの数の灯火が灯るようになっていた。皇帝は、これ以上新たな後悔を増やすことなく未来へと進んでいきたいと願っていた。

生死の別れ 断ち難き情

太子は称心(しょうしん)の運命を直視することができず、酒に溺れて罪悪感に苛まれていた。称心(しょうしん)の望みは、安らかにこの世を去ることだった。二人は幾度も共に酔い潰れたが、今回は、称心(しょうしん)は太子に清醒なまま見送ってほしいと願った。林の奥深くへと進んだ二人は、太子が称心(しょうしん)の故郷の母を必ず守ると約束し、最後は自らの手でこの尊い友情に終止符を打った。一方、媚娘(びじょう)は李君羨のために長明灯を灯した。会ったことのない友人への歉意と敬意の証として。この灯火は、媚娘(びじょう)の心の唯一の慰めとなった。

朝廷の動乱 権力の変遷

太子は朝議に遅刻し、重い「贈り物」――称心(しょうしん)の首級――を持参した。これは、過去の愚行と決別し、信頼に足る大唐の皇太子となる決意の表れだった。皇帝は太子の行動を認め、皇太子としての自覚を示したものだと評価した。この知らせを聞いた太子妃は、称心(しょうしん)の死によって東宮に平穏が訪れたと嘆息した。

宮廷内の秘密 静かにうねる波

蕭薔(しょう・ちょう)の懐妊後、韋妃の睡眠の質は意外にも改善した。蕭薔(しょう・ちょう)が無事皇子を出産できるよう、殿内の窓は常に閉ざされていた。春盈(しゅんえい)は、蕭薔(しょう・ちょう)が皇子を出産すれば、韋妃はさらに機嫌が良くなると信じていた。しかし、蕭薔(しょう・ちょう)は偶然韋妃と春盈(しゅんえい)の会話を耳にしてしまい、もし自分が産褥で死んだ場合、生まれてくる子の実際の守護者は韋妃になるのだと気づいた。

夜宴の裏に潜む陰謀

夜のとばりが下りると、周密に計画された夜宴が闕楼で催された。太子妃は韋妃を招待し、出席者には蕭薔(しょう・ちょう)とその入宮時の友人である馮才人(さいじん)と鄭美人も含まれていた。韋妃は蕭薔(しょう・ちょう)も夜宴に出席させることにした。蕭薔が自分の計画を知らないと確信していたため、秘密が露見する心配はしていなかった。しかし蕭薔は、この機会を利用して、友人たちに皇帝に真実をすべて報告させ、自らの身を守ろうと画策していた。

心を巡らす駆け引き 真実の情

夜宴で、蕭薔は媚娘(びじょう)に近づいて悩みを打ち明けようとしたが、機会を得ることができなかった。蕭薔の苦悩に気づいた徐恵(じ・ょけい)は、優しく彼女の話を聞こうと申し出た。その時、韋妃が現れ、蕭薔に薬を飲むように促し、寝宮へと連れ戻した。宮殿に戻った蕭薔は、徐恵(じ・ょけい)が作った菓子のことを思い出し、侍女に徐恵(じ・ょけい)を呼ぶように命じた。韋妃もその場に居合わせ、蕭薔の頼みを聞いていた。蕭薔が懐妊して以来、徐恵(じ・ょけい)は一度も見舞いに来ていなかった。今晩、二人の間で何らかの話が交わされることは避けられないと思われた。

第31話あらすじとネタバレ

乾祥宮(けんしょうきゅう)にて、蕭薔(しょう・ちょう)は徐恵(じ・ょけい)に助けを求めた。後宮での自分の立場を理解している蕭薔(しょう・ちょう)は、韋妃の陰謀によって窮地に立たされ、徐恵(じ・ょけい)しか頼れる人がいなかった。韋妃こそが蕭薔(しょう・ちょう)を陥れようとしている張本人だと、徐恵(じ・ょけい)もすぐに気づいた。蕭薔(しょう・ちょう)は、生まれてくる子供と共に殺されることを恐れていた。そこで、皇帝に現状を訴え、庇護を求めるよう徐恵(じ・ょけい)に頼んだ。しかし、徐恵(じ・ょけい)は皇帝が後宮の争いに介入しないのは、意図的に避けているのだと理解していた。

韋妃の策略により、蕭薔(しょう・ちょう)は絶体絶命の状況に追い込まれていた。自身と子供を守るため、彼女は決断を迫られていた。韋妃の真の狙いは、蕭薔(しょう・ちょう)の子供を自分の後継ぎにすることだった。これまで、韋妃によって後宮で命を落とした子供は数知れなかった。徐恵(じ・ょけい)は、蕭薔に極端な手段を提案した。子供を犠牲にして韋妃に罪を著せ、生き延びる道を探るのだ。この提案を受け入れなければ、蕭薔に待つのは死のみだった。

韋妃は蕭薔と徐恵の会話を全く知らなかった。春盈(しゅんえい)は、二人が言い争いをしているようだと報告した。韋妃の狙いは、蕭薔に後宮で彼女を許容する者は誰もいないと分からせることだった。徐恵もまた宮中で孤立していたが、蕭薔に贈り物をしようと考えた。しかし、彼女と文娘(ぶんじょう)が直接渡すのは都合が悪いため、別の人物に頼むことにした。

媚娘(びじょう)は徐恵が辛い思いをしていると知り、見舞いに訪れた。そこで、蕭薔への贈り物の話を聞き、自ら届けると申し出た。入宮当初の無鉄砲な少女ではなくなったことを示すかのように。徐恵は媚娘(びじょう)に、妊婦の健康に良いものが入った香囊も一緒に蕭薔に渡すよう頼んだ。

皇太子は皇帝の遠徴の祈願のため、邙山(ぼうざん)の流韻寺に数日滞在することにした。魏王(ぎおう)は楚客(そきゃく)を通じて皇太子妃に密かに手紙を送った。手紙には、称心(しょうしん)が生きており、邙山(ぼうざん)に隠遁しているという内容が記されていた。驚愕した皇太子妃はすぐに邙山(ぼうざん)へ向かった。そこで、皇太子と称心(しょうしん)が密会している場面を目撃し、皇太子が欺君之罪を犯したという事実を受け入れられずにいた。

宮殿に戻った皇太子妃は、媚娘(びじょう)に相談しようと焦っていたが、彼女の姿はどこにも見当たらなかった。皇太子妃の動揺ぶりを見て、徐恵は皇太子に何かあったと察した。普段はあまり接点のない二人だったが、徐恵は助けになりたいと申し出た。彼女は、皇帝が真実を知る前に事実を隠蔽し、称心(しょうしん)が既に亡くなったことにするよう助言した。そして、この問題を解決できる魏徴(ぎちょう)に相談するよう勧めた。皇太子妃は徐恵の助けに感謝したが、媚娘(びじょう)側についた徐恵の介入は、皇太子妃をより深い危機へと突き落とす可能性を秘めていた。

第32話あらすじとネタバレ

媚娘(びじょう)の行動と太子の秘密

媚娘(びじょう)は徐恵(じ・ょけい)の代わりに蕭薔(しょう・ちょう)に贈り物をする際、蕭薔(しょう・ちょう)は韋妃の隙をついて香囊を盗み取った。実は、太子は称心(しょうしん)を殺害しておらず、邙山(ぼうざん)にかくまっていた。この事実に媚娘(びじょう)は疑問を抱く。なぜ徐恵(じ・ょけい)は皇帝が称心(しょうしん)が生きていることをすぐに知ると確信していたのか?魏徴(ぎちょう)が称心(しょうしん)の問題を処理する前に、この情報が皇帝の耳に届くのを阻止しなければならない。

徐恵(じ・ょけい)の計略と意外な暴露

太子妃は魏徴(ぎちょう)を御花園の龍爪槐の下へ呼び出し、重要な話を持ちかけた。しかし、徐恵(じ・ょけい)は意図的に皇帝を同じ場所へ誘導し、太子妃と魏徴(ぎちょう)が称心(しょうしん)の生存について話すのを偶然聞かせてしまう。激怒した皇帝はその場を去る。後から来た媚娘(びじょう)に徐恵(じ・ょけい)は、皇帝の御花園行きを止めることができず、全てが皇帝に知られてしまったと説明する。

太子の願いと回想

かつて太子は、天子になったら長安を自由に駆け巡りたいという夢を持っていた。しかし今の彼は、羊飼いの日々を送る静けさを望んでいる。称心(しょうしん)が太子から特別な寵愛を受けていたのは、その容姿や立ち居振る舞いが、幼い頃の遊び相手、承訓(しょうくん)にそっくりだったからだ。承訓(しょうくん)は太子より三歳年下で、既に亡くなっている。称心(しょうしん)を見るたびに、太子は承訓(しょうくん)の姿、そして玄武門の変で命を落とした兄弟たち、承徳や承道の姿を思い出す。これらの辛い記憶に再び苦しめられないよう、太子は称心を守ることを決意する。

魏王(ぎおう)の矛盾する気持ち

邙山(ぼうざん)の方角を見つめ、魏王(ぎおう)は今日の天気の良さを肌で感じる。しかし、表面上は穏やかだが、内心は複雑な思いを抱えている。太子の兄弟として、今日の出来事が無事に終わることを望む一方で、兄弟が不幸になるのを見たくはない。

称心の運命の転換

皇帝は自ら邙山(ぼうざん)を訪れ、称心と対面する。称心は全ての過ちが自分から始まったことを認めるが、既に太子には取り返しのつかない影響を与えていた。皇帝は最終的に称心の処刑を決定し、怒りの中で太子と対峙する。太子にとって、称心を諦めることは、残りの人生を不安定(あんてい)に過ごすことを意味する。なぜなら、称心は承訓(しょうくん)の記憶を繋ぐ存在だからだ。

魏王(ぎおう)と韋妃の陰謀

皇帝は媚娘(びじょう)を甘露殿(かんろでん)に呼び出す。太子が皇帝を欺いたことで、今回は厳しい状況にある。魏王(ぎおう)は韋妃に媚娘(びじょう)の様子を尋ね、彼女が最近蕭薔(しょう・ちょう)と親しくしていることに気づく。蕭薔(しょう・ちょう)は韋妃の駒であるため、魏王(ぎおう)はこの関係を利用できると考える。太子を排除し、自分が皇位に就けば、韋妃は後宮で好きなようにできると企んでいる。

皇帝の仮省と媚娘の選択

常に明かりが灯る部屋で、皇帝は媚娘の到著を待つ。今回の死は唐にとって悪いことではないかもしれないが、死んだのは太子ではなく称心であることに、皇帝は思い悩む。太子が称心を承訓(しょうくん)に価ていると言った時、皇帝は称心が李建成の息子であることに気づき、殺すことが当然ではなくなる。熟慮の末、皇帝は部屋を出ることを決める。媚娘は、もっと良い場所へ案内すると申し出る。