第85話あらすじとネタバレ
高陽の復讐と感業寺への包囲
宮中を出る前、皇帝は感業寺へ赴いた。高陽公主は辯機(べんき)法師に弔いを捧げるためそこにいた。媚娘(びじょう)が宮中に戻り王皇后を失脚させて以来、高陽は呉王(ごおう)の謀仮事件を利用し、一連の行動を起こしてきた。長年に渡り、彼女の行動は全て辯機(べんき)の仇を討つためであり、長孫無忌(ちょうそんむき)の首で辯機(べんき)を弔うことを誓っていた。この過程で、高陽は次第に我を失い、その行動はますます極端かつ冷酷になり、辯機(べんき)がまだ自分を待っていてくれるのかさえ疑い始めていた。
媚娘(びじょう)の権謀と李勣夫人の玉佩
危機に直面し、高陽は禁軍の到著を1時間遅らせることができれば、一人につき黄金二十両の褒美を出すよう命じた。一方、李義府は苦労の末、媚娘(びじょう)のために李勣夫人の玉佩を手に入れた。これにより、媚娘(びじょう)は少し安堵した。しかし、媚娘(びじょう)が李勣にこの玉佩を確認させると、彼は大きな不安を見せ、夫人の居場所を尋ねた。李勣夫人は無事であったが、彼の家の五十六人は危険な状況に置かれ、禁軍と対峙していた。
感業寺救出と高陽の運命の転換
仮乱軍が感業寺を包囲し、皇帝は中に閉じ込められた。長孫無忌(ちょうそんむき)の忍耐強い説得とは異なり、媚娘(びじょう)は李勣に直ちに感業寺へ救援に向かうよう命じ、さもなければ彼の家族に危害を加えると迫った。この強硬な態度は、危機的状況における媚娘の決断力を示している。
皇恩浩蕩と高陽への恩赦
一年後、皇帝は高陽の死罪を赦免した。房遺愛(ぼういあい)は謀仮への加担により死刑を宣告されたが、兄弟姉妹の中で高陽だけが生き残っていることを考慮し、皇帝は彼女にある程度の寛容を示した。たとえ高陽に謀仮の意図があったとしても。
媚娘の詰問と高陽の懺悔
ある時、媚娘は高陽を呼び止め、彼女が持っているのが辯機(べんき)の遺骨かどうかを問い詰めた。皇帝は最終的に高陽を赦免したが、媚娘は自分の二人の子供を殺害した罪を許すことができず、高陽に自害して血の償いを立てるよう要求した。
皇帝の立后と心の疑念
媚娘を皇后に立てることを決めた時、皇帝は彼女の手を取る際、少し躊躇した。皇后になれば、媚娘の人生は宮廷と切っても切り離せないものになることを彼は知っていた。そしてこの瞬間、皇帝の心には一つの未解決の疑問が残っていた。高陽の死は本当に媚娘と関係があるのだろうか?
第86話あらすじとネタバレ
皇帝は高陽公主の死について、媚娘(びじょう)に関わりがあるのかと尋ねたが、媚娘(びじょう)は何も答えなかった。その後、皇帝は媚娘(びじょう)の手を取り太極殿へ行き、正式に皇后に立てることを宣言した。永徽六年、媚娘(びじょう)が入宮してから皇后になるまで、18年の歳月が流れていた。
太子李忠は武后への敬意を表すため、《孝経》を書き写すことにした。近年、武后の地位はますます盤石になり、後廷を掌握するだけでなく、多くの寒門出身の官吏を登用していた。皇室の天下は依然として李氏のものだが、自身の地位を守るため、太子は武后に極力従順な態度を示すことも屈辱ではないと考えていた。しかし、武后の二人の息子、李弘と李賢は長孫無忌(ちょうそんむき)に認められておらず、太子も次第に長孫無忌(ちょうそんむき)の支持を得ることを諦めていた。
栄国夫人(えいこくふじん)は媚娘(びじょう)が洛陽に送った手紙と贈り物を全て送り返し、二度と手紙を書かないように警告した。一方、宮女が皇帝が未の刻から風疾を起こしていると報告に来た。媚娘(びじょう)は宮女に対し、自分の前でも口を慎み、言うべきでないことは決して漏らしてはならないと厳しく戒めた。
最近、宮中で黒猫がよく見られるようになり、蕭淑妃(しょう・しゅくひ)の亡霊が媚娘に復讐しに来ているという噂が広まっていた。瑞安(ずいあん)は明道長を宮中に招き、祈祷で邪気を払うことを提案したが、媚娘はその提案を拒否した。代わりに、瑞安(ずいあん)に黒猫の出所を調べさせ、自分は黒猫が怖くて眠れないほどだと触れ回るように命じた。媚娘が字を書いていると、突然手が激しく震え始めた。
皇帝はやっと意識を取り戻した。今回の発作で数時間も気を失っていたのだ。媚娘は皇帝の好きなスープを用意し、ゆっくり休養するように、無理に朝議に出る必要はないと告げた。しかし、皇帝の風疾は頻繁に起こり、その度に重篤になるため、体調不良を理由に朝議を欠席すれば、大臣たちの疑念や不安を招く恐れがあった。今回の朝議の主な議題は北漠遠徴の将軍を選定することで、議論の最中に皇帝は再び倒れてしまった。太医の診断では脈拍は安定(あんてい)しており、容態は落ち著いているとのことだったが、三日経っても皇帝は完全に意識を取り戻さなかった。
皇帝の指示により、武后が政務を代行することになった。長孫無忌(ちょうそんむき)は皇帝が病に伏しているため、今日の朝議は中止し、明日改めて議論すべきだと主張した。しかし、その時、西州から緊急の軍事報告が届き、阿史那(あしな)部が再び唐軍に敗れたという知らせだった。媚娘はすぐに葱山道行軍総管を選出しなければならず、協議の結果、老将程知節を任命することに決定した。この戦いで唐は必ず勝利すると信じられていた。
皇帝が再び目を覚ました時、媚娘の政務処理能力を称賛し、彼女が先手を打ち、一歩引いて徐々に関陇門閥の朝廷における勢力を削いでいることを理解していた。しかし、門閥たちは媚娘をまるで刃物のような視線で見ており、媚娘はもうこのような状況に直面したくなかった。黒猫の出所については手がかりが見つかったが、媚娘は確たる証拠を求めていた。そこで、瑞安(ずいあん)に命じて密かに明道長を宮中に呼び寄せ、このことは絶対に口外してはならないと厳命した。
第87話あらすじとネタバレ
媚娘(びじょう)の憂慮と決意
媚娘(びじょう)の手は激しく震えていた。それは、自ら皇上のために薬を試す決意をしたからだった。彼女は、皇上に少しでも危険を負わせたくないと願っていた。しかし、皇上の風疾には、万全な治療法が見つからない。明道長は皇上に、病状が初期より悪化していると告げ、瀉血術による治療を勧めた。しかし、媚娘(びじょう)は断固としてこの方法に仮対し、他の解決策を探し続けている。
宮廷内の暗流
最近、宮中に黒猫が頻繁に出現している。媚娘(びじょう)は、これは神怪の仕業ではなく、誰かが裏で操っていると考えている。太子は最近、母后が刺客を送る夢を見て、目覚めた後、亡き母を弔い、一日も早く即位して武氏一族を排除し、母の汚名をそそぐことを誓った。東宮には多くの黒猫が飼われている。上官儀は太子に、明道長が既に入宮しているので、最近は黒猫を外に出さないようにと忠告した。彼らは長孫大人と、皇后と寒門出身の若者たちへの対処法を相談する計画だったが、長孫大人は何かにつけて非難されるのを避けるため、彼らに会うことを拒否した。
長孫大人の無念と決断
衝児は、皇后が皇上の名で朝政に介入していることを明かし、長孫大人もそれを既に知っていて、時が熟せば行動を起こすつもりだと語った。長孫大人はまだ昭陵へ先帝を弔いに行ってはいない。それは、今の唐の情勢に愧疚の念を抱き、先帝との約束を果たせていないと感じているからだった。彼は時が来れば必ず先帝の傍らへ行くことを誓った。
皇上の苦境と選択
皇后はしばしば皇上の筆跡を真価て奏疎に批閲を加え、朝政を掌握していた。明道長には皇上の風疾を治せる秘術があると知らされたが、皇后はその提案を拒否した。太子は皇上に、明道長が病を治せることを伝えようとした。皇上は明道長を呼び、治療について尋ねた。宦官が媚娘(びじょう)に、黒猫は太子が放ったものだと伝えると、瑞安(ずいあん)も媚娘(びじょう)に、明道長が出宮した直後、皇上に呼び止められ、媚娘には知らせないようにと命じられたと報告した。
情と権力の衝突
皇上は瀉血術による治療を受けることを考えていた。成功率が極めて低いこと、命を落とす可能性もあることを承知の上で、病人としての生活にうんかしていたのだ。媚娘はそれを止めようと駆けつけた。彼女は皇上を夫として愛しており、失いたくないと思っていた。長年、媚娘は献身的に皇上を介護し、自ら薬を試して身体の苦痛にも耐えてきた。皇上もそれをよく知っており、自分が一生苦しむ方が、媚娘が自分のために苦労する姿を見るよりましだと考えていた。
廃后の騒動
太子は皇后の廃位を要求する上書を提出することに決めた。媚娘は李忠の心に恨みがあることを理解していたが、彼を責めることはしなかった。しかし、いかなる脅威も決して許さない。朝廷では、上官儀をはじめとする大臣たちが連名で皇后廃位の上奏文を提出した。この行動は皇上を激怒させた。最終的に、皇上はこれらの大臣たちを名目上は昇進させながら実質的には左遷し、史書の編纂を命じることで政治的権力を奪い、同時に媚娘の安全を守ることを約束した。
第88話あらすじとネタバレ
三日後、九国の使臣をもてなすための闕楼の盛宴が催される。媚娘(びじょう)は皇上に、太子を遣わすか、皇上自らが出席すべきかを伺った。これらの小国は大戦後、大唐に畏敬の念を抱くようになったばかりであるため、皇上自らが出席することが肝要だと進言した。しかし、大唐の国運は武后の治世において衰退しつつあり、一方で武后の権勢は日に日に増大している。太子はこの現状に焦燥し、若く健康な君主による交代が必要だと考え、今回の宴を武后を失脚させる好機と捉えていた。
瑞安(ずいあん)は媚娘(びじょう)に一枚の紙片を渡し、東宮が闕楼の宴で政変を企てていることを告げた。宴の席で、皇上は上機嫌で、媚娘(びじょう)が何度諫めても、酒を飲み進めた。しかし、媚娘(びじょう)は既に万事を整えていた。武后が黒猫を恐れるという噂は長安の内外に広く流布していたが、宴の席では、武后は黒猫を恐れるどころか、一匹抱き上げて弄び、皇上の賞賛を得た。これにより、黒猫に関する流言は消え去るであろうことを示唆した。
太子が手配した宮女が、誤って皇上の酒に毒を入れるふりをしたが、この様子を媚娘(びじょう)は見逃さなかった。媚娘(びじょう)は、皇上は大病明けで飲酒は控えるべきだと理由づけ、太子に皇上の代わりにその酒を飲むよう促し、忠誠心を示させた。しかし、その酒は既に媚娘によってすり替えられており、太子は無事であった。
宴の後、媚娘は太子の住まいを訪ね、なぜ皇上を害そうとしたのかを問い詰めた。媚娘は、もし自分が気づかなければ、太子は弑君の罪を永遠に背負い、千古の罪人になると戒めた。太子の生母と母后は共に媚娘によって命を奪われており、太子が媚娘に恨みを抱いているのは明白であった。媚娘は劉氏に太子のことを託され、彼を真心込めて扱ってきたが、皇上への仮逆行為は許すことができなかった。そのため、媚娘は太子を皇上の傍から遠ざけ、太子位を退くよう要求する一方、命は保証すると約束した。
程なくして、李義府と許敬宗(きょけいそう)は東宮が闕楼の事件に関与していたと上奏し、太子も辞表を提出した。皇上は最終的に上官儀を賜死し、韓瑗とその党羽の官職を剝奪した。長孫大人はこの一連の事件が武媚娘(ぶ・びじょう)の策略であることを見抜き、関隴世家と寒門の争い、そして自身と武后との問題を解決しなければならないと悟った。
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