武則天あらすじ69話・70話・71話・72話、ネタバレ

第69話あらすじとネタバレ

皇帝は全てが天意なのかと嘆いた。戴青(たいせい)の調査によると、寿宴の酒や料理には異常はなく、媚娘(びじょう)の髪を整えた芍薬と緑芙が使った二つの物が毒性を生じさせ、流産を引き起こしたことが判明した。媚娘(びじょう)が目覚めたと聞き、長孫無忌(ちょうそんむき)は三人の大臣と共に皇帝に上奏。媚娘(びじょう)は既に流産しており、宮中に留まるべきではないため、速やかに感業寺へ戻すべきだと進言し、離宮の日取りを決めるよう求めた。

皇帝はここ数日、皇后を寝所に召しておらず、皇后はどんなに霊薬を飲んでも懐妊できないという妄想に囚われていた。媚娘(びじょう)の状況を知り、皇后は侍女に補薬を用意させ、自ら見舞いに行くことにした。もはや媚娘(びじょう)は脅威ではなく、自身も皇子を産めない。今宵、二人は宮中の失意の者として、同じ境遇を分かち合うことになるだろう。

媚娘(びじょう)は突然の流産に困惑していた。最後の一杯の茶を飲んでから激しい腹痛に襲われたことを思い出し、その茶に問題があったのではないかと疑っていた。皇后が用意させた茶だと聞き、蕭淑妃(しょう・しゅくひ)か皇后か、それとも皇帝が我が子の命を奪ったのかと疑念を抱くが、皇帝が我が子にそのような仕打ちをするとは信じられなかった。

見舞いに来た皇帝から、流産の原因をずっと調べていると聞き、媚娘はあの茶が皇后から賜ったものだと告げた。皇帝は既に調べさせ、茶には問題がないと答えた。媚娘は皇帝の心遣いに感謝しつつも、我が子を守れなかったのは、軽率に宮中に戻った自分の過ちだと考えていた。瑞安(ずいあん)は媚娘が取り乱すことを心配し、部屋中の鋭利な物を片付けたが、媚娘は自害などしないと告げ、感業寺にいた頃に我が子のために縫っていた服を仕上げ、哀悼の意を表すつもりだと話した。

皇后は見舞いに行く途中、失意の皇帝と出会い、自分も皇帝にこれほど心を痛めてもらいたいと密かに願った。媚娘は皇帝が自分を宮中に戻したのは善意からだと理解し、彼を責めるつもりはなかった。しかし、最後の一杯の茶への疑念は消えず、皇帝を苦しめまいと、一人で秘密を抱え込むことにした。

長孫無忌(ちょうそんむき)は皇帝を訪ね、武太妃の去就について話し合った。先帝の皇子が亡くなったことを受け、一月後に感業寺へ戻して静養させることを提案し、皇帝は同意した。

媚娘は高陽に助けを求めた。高陽は媚娘が宮中を出たがっていると思い込み、全ての手配をすると約束した。しかし、媚娘は死ぬつもりも、宮中を出るつもりもなく、我が子を殺した真犯人を探し出し、必ず復讐すると心に決めていた。皇帝を苦しめまいと、一人で調査を進めることにした。

蕭淑妃(しょう・しゅくひ)は、もし媚娘が皇帝を誑かすつもりなら、この子は媚娘と皇帝の間の障害になると考えていた。皇后に媚娘を警戒するよう忠告し、今回の流産は媚娘が皇帝の寵愛を永遠に得るための策略ではないかと疑った。媚娘の冷淡な態度に、皇帝は深く悲しんだ。

第70話あらすじとネタバレ

皇帝の苦悩と媚娘(びじょう)の決意

媚娘(びじょう)を幸せにするためならば、皇帝は自分の命も天下さえも投げ出す覚悟です。しかし、今や天子となった彼には、媚娘(びじょう)への愛を表現する資格さえ失われてしまいました。媚娘(びじょう)は皇帝の気持ちに気づかないふりをすることもできますが、その存在を無視することはできません。彼女は今の皇帝がかつての李治(り・ち)ではないことを、そして自分が同じ過ちを繰り返すべきではないことを理解しています。それでも、皇帝は媚娘(びじょう)を失いたくありません。

高陽の疑問と提案

高陽は皇帝に問いただします。苦労して媚娘(びじょう)を宮中に連れ戻したにもかかわらず、なぜ長孫大人に一月後に媚娘を感業寺に戻すという要求を簡単に承諾したのかと。すでに三人の大臣が媚娘の宮中滞在は礼に仮すると上奏しています。しかし、媚娘にとって今一番望んでいるのは宮中に留まることです。寿筵で最後に飲んだ茶に何か問題があったのではないかと疑い、我が子の仇を討つ決意を固めているからです。

暗中捜査の黙認と身分の変化

皇帝は媚娘が宮中に留まり、ひそかに調査することを黙認できますが、自分がそれを許可したことを媚娘に知らせることはできません。媚娘がひと月後に感業寺に戻らなくて済むように、高陽は唯一の方法を提案します。それは、媚娘を皇帝の後宮の一員にすることです。これは媚娘にとっての機会であると同時に、皇帝自身にとっても媚娘を救い、自らの地位を固める機会となります。

真相の浮上

高陽は大理寺(だいりじ)に記録されている媚娘の流産の記録を持ってきました。表面上は異常は見られません。しかし、媚娘はあの茶に問題があったと感じ続けています。ある時、高陽は王皇后が媚娘に贈った帝女花の絵に異変を見つけます。金蚕糸の帯から不思議な香りが漂っていたのです。周太医の検査により、金蚕糸には確かに毒が染み込ませてあり、甘草茶を飲むことで媚娘の血崩と流産を引き起こしたことが判明します。

決戦前夜

一ヶ月の期限が迫り、皇帝はまだ武媚娘(ぶ・びじょう)を感業寺に送り返していません。長孫大人は明日、朝廷の四品以上の官僚と共に皇帝に媚娘を追い出すよう上奏することを決意します。同時に、王皇后は蕭淑妃(しょう・しゅくひ)に手紙を書き、明日、甘露殿(かんろでん)の外で媚娘追放の上奏をする準備をします。この時、媚娘は王皇后こそが自分の子の命を奪った真犯人であることを突き止めています。この状況に対し、高陽は皇帝に訴えることを勧めますが、媚娘は皇帝を苦しめたくなく、自分で解決しようと決意します。王皇后が皇帝と后位を重視していることを踏まえ、高陽は媚娘に皇帝の支持を得て冊封を受け、合法的に宮中に留まるよう助言します。もしそれができなければ、彼女は感業寺に戻されるでしょう。媚娘は復讐を望んでいますが、皇帝を愛していないため、行動を起こすことに葛藤しています。

先帝の遺詔が巻き起こす波紋

高陽は媚娘が先帝に深い愛情を抱いていることを知っています。皇帝が突然、先帝を賢明な帝王だと興奮気味に語り、天下のために全てを犠牲にしたと述べた時、皇帝は先帝の遺詔を取り出し、天下のために我が子をも犠牲にしたという事実を明らかにします。高陽はそれが自分たちの父である先帝の行いとは信じられません。皇帝は目眩を起こし、高陽に遺詔を燃やすよう命じますが、高陽はそれに従わず、媚娘に渡します。

第71話あらすじとネタバレ

武媚娘(ぶ・びじょう)は先帝の遺詔の真偽を疑い、これほど冷酷な内容を信じられずにいた。高陽は、媚娘(びじょう)が長年幻想に生きていることを理解し、このままでも良いと考えた。というのも、先帝は崩御(ほうぎょ)前に媚娘(びじょう)腹の子を始末するよう言っていたのは事実であり、今の皇帝の温情がなければ、王皇后の企みは成功していたかもしれないからだ。高陽は媚娘(びじょう)に身の安全のため宮中に留まるよう説得し、甘露殿(かんろでん)へ行き位を賜るよう勧めた。後宮で生まれ育った媚娘(びじょう)にとって、宮中こそ唯一の安息の地であることを、彼女は誰よりも理解していたからだ。

高陽は、媚娘(びじょう)が甘露殿(かんろでん)へ行く以外に道はないと確信していた。案の定、媚娘は皇帝の元へ向かうことを選んだ。長孫府の密偵から長孫無忌(ちょうそんむき)が媚娘を感業寺へ戻すよう命じたとの報告を受けた皇帝は、二度と媚娘を誰にもいじめさせないと断言した。

皇帝と媚娘が手を取り合って甘露殿(かんろでん)から出てくる様子を見た長孫無忌(ちょうそんむき)は、事態の重大さを悟った。皇帝は正式に媚娘を昭儀に封じた。これは、子を持たない媚娘が太妃ではなく、元々は房玄齢の侍女であった彼女の身分が上がったことを意味する。そして、皇帝が媚娘を守ると決めた以上、もう誰も彼女を追い出すことはできない。しかし、長孫無忌(ちょうそんむき)は皇帝の決定を阻止しようと、裴炎に上奏文を書かせた。もし皇帝が考えを変えなければ、裴炎は死諫するとまで言った。

高陽は当初、媚娘が甘露殿(かんろでん)へ行かないと思っていたため、自分の努力は無駄になったと思っていた。しかし、皇帝が甘露殿(かんろでん)で媚娘を昭儀に封じると宣言したと侍女から聞かされた時、高陽は歓喜した。多くの臣官が皇帝に命を取り消すよう進言し、裴炎は死をも覚悟で仮対したが、呉王(ごおう)李恪(り・かく)は疑問を抱いた。なぜ裴炎は先帝の時代にはここまで強く仮対しなかったのに、今になって後宮のことに命を懸けるのか、と。結局、皇帝は裴炎を太極殿から追放し、西州都督府へ左遷した。こうして、武媚娘(ぶ・びじょう)が昭儀となることが決定した。

蕭淑妃(しょう・しゅくひ)は武媚娘(ぶ・びじょう)の能力に驚き、今は直接対抗できないと悟り、静観することにした。一方、王皇后は黙って引き下がるはずがなく、他の勢力と激しい権力闘争を繰り広げるだろう。呉王(ごおう)は皇帝がなぜ媚娘にこれほど寵愛を注ぐのか理解できなかったが、既に起こったことなので受け入れるしかなかった。そして、自分の弟である皇帝を誰にもいじめさせないと心に誓った。

王皇后の地位を強固にするため、王仁佑と長孫無忌(ちょうそんむき)は新たな策を練った。それは、王皇后の養子を皇太子にすることだ。王皇后に実子がいなくても、既存の皇子から一人を選び、養子に迎える計画だった。皇帝が媚娘を昭儀に封じたことで、長孫無忌(ちょうそんむき)は妥協し、今、皇太子を立てることを提案すれば、皇帝は仮対しないだろうと考えた。

第72話あらすじとネタバレ

宮廷の権力争いは激しさを増す。子供がいれば王皇后は盤石となる。王皇后は子供を養子にするため、実母の説得に動き出す。

一方、媚娘(びじょう)は偶然、净初池のほとりで遊ぶ李忠に出会う。李忠は池に落ちそうになるが、媚娘(びじょう)が助ける。しかし、李忠は媚娘(びじょう)を見て驚き、逃げ出してしまう。媚娘(びじょう)は李忠を追いかける。

李忠は、内侍監(ないじかん)での証言は賢霊宮の人間に脅されて仕方なく行ったことだと媚娘(びじょう)に説明する。母親を掖庭(えきてい)獄に入れられると脅されたため、嘘をつかざるを得なかったのだ。媚娘(びじょう)は李忠の状況を理解し、責めることはしなかった。実は媚娘は、李忠の母である劉侍女と以前一度だけ会ったことがあった。劉侍女もあの日の内侍監(ないじかん)での出来事について媚娘に説明する。

李忠は自分の住まいを「家」と呼ぶ。媚娘は宮中で暮らす者がそこを「家」と呼ぶのを初めて聞いた。劉侍女はもともと普通の宮女だったが、偶然皇帝の寵愛を受け、李忠を身ごもった。その後は皇帝から顧みられることはなく、元の身分に戻っていた。李忠が生まれてから、彼女の人生には新たな意味が生まれた。李忠がいる場所が、彼女にとっての「家」なのだ。媚娘は劉侍女に、困ったことがあればいつでも相談するようにと伝え、劉侍女は深く感謝する。

皇帝は媚娘が見つからず心配していたが、早朝後に一人で散歩に出かけたと知り、落ち著きを取り戻す。高陽は媚娘の帰りを待ち、考えがまとまったかどうか尋ねる。媚娘は子供を殺した犯人を必ず見つけ出すと決意を新たにする。感業寺で絶望の淵にいた時、子供こそが生きる希望だった。その希望を犯人に奪われたのだ。媚娘は王皇后から全てを奪い、同じ苦しみを味わわせることを誓う。

高陽は、王皇后を倒すことは長孫無忌(ちょうそんむき)に逆らうことになると理解していた。しかし、媚娘には既に計画があった。李義府のような寒門出身の官僚を利用し、王皇后を弾劾させ、長孫無忌(ちょうそんむき)の権力を弱体化させるのだ。王皇后を倒すには、彼女に子供がないという弱点を突くしかない。媚娘は昭儀として宮中に残り、王皇后が地位を守るため皇子を養子に迎えようとするだろうと予測していた。

媚娘は皇帝の元へ向かう。他に彼女が行く場所はなかった。媚娘が宮中を去った後、皇帝は彼女を引き留めようとはせず、ただ彼女の決断を待っていた。媚娘が戻ってきたことを皇帝は心から喜ぶ。理由は何であれ、媚娘がそばにいてくれるだけで、全てに意味があると感じていた。これからどんな困難が待ち受けていようと、媚娘は皇帝と共に乗り越える覚悟だった。

最後に、媚娘は瑞安(ずいあん)を通して李義府に、許敬宗(きょけいそう)のような信頼できる大臣たちと密かに連絡を取るように指示を出す。さらに、媚娘は呉王(ごおう)に、王皇后が養子に迎える皇子について相談する。呉王(ごおう)は、長孫無忌(ちょうそんむき)が決めるのであれば李忠が選ばれる可能性が高いと考える。一方、宮女は王皇后に、媚娘と呉王(ごおう)が頻繁に会っていることを報告する。二人は北境の戦場で知り合い、呉王(ごおう)は媚娘を助けたことがあるという。皇帝が二人の親密な関係を知ったら、どう思うだろうか、と宮女は不安を口にする。