第15話あらすじとネタバレ
王小石(しょうせき)と溫柔(おんじゅう)は庭に向かい、婆婆(ばあば)の手伝いをしようとしました。しかし、そこにいたのは、夫子(ふうし)の姿はなく、ただ一人寂しく座り、悲しみに暮れる婆婆(ばあば)だけでした。異変を感じた王小石(しょうせき)は急いで駆け寄り、残酷な事実を知ることになります。夫子(ふうし)は関七(かんしち)に殺害されていたのです。息絶え絶えの夫子(ふうし)は、剣を手に命を狙う者と、血を浴びて道を問う者がいると言い、婆婆(ばあば)のことを頼むと言い残しました。夫子(ふうし)の死に、王小石(しょうせき)は深い悲しみに打ちひしがれ、声を上げて泣きました。
夫子(ふうし)の遺体を背負って戻ってきた王小石(しょうせき)に、溫柔(おんじゅう)は気づき、迎え出ました。彼女の目には涙が溢れましたが、婆婆(ばあば)に聞かれないよう、声を押し殺して泣きました。目が見えない婆婆(ばあば)でしたが、何が起こったのかを理解していました。彼女は王小石(しょうせき)に、夫子(ふうし)を客間の正面に向け、足元に灯を灯し、屋根瓦を一枚剝がすように指示しました。「天を見せる、地に足をつけない」という亡者への敬意を示すためです。
一方、傅宗書(ふそうしょ)は蘇夢枕(そむちん)と雷損(らいそん)を出し抜こうと誓っていました。その時、下人が駆け込んできて、関七(かんしち)が何人もの人間を殺し、その中には老人も含まれており、王小石(しょうせき)がその遺体を背負って行ったと報告しました。蘇夢枕(そむちん)はそれが夫子だと推測し、傅宗書(ふそうしょ)に関七(かんしち)の凶行が街中に広がり、朝廷の耳に入れば誰も責任を取れないと警告しました。雷損(らいそん)もまた、六分半(ろくぶはん)堂と金風細雨(きんぷうさいう)楼がどれだけ強力でも、関七(かんしち)の狂気から街の人々を守りきれないと同意しました。最終的に、傅宗書(ふそうしょ)は自らが囮となって関七(かんしち)をおびき寄せることに同意しました。
蘇夢枕(そむちん)は王小石(しょうせき)と白愁飛(はくしゅうひ) に、傅宗書(ふそうしょ)が囮となり、今夜三合楼で関七(かんしち)を討つ計画を伝えました。計画の成功には皆の協力が必要だと念を押しました。夜になり、三合楼では朱小腰(しゅしょうよう)が琴を弾いていましたが、臆病な傅宗書(ふそうしょ)は関七が現れると恐怖に慄き、その場から逃げ出してしまいました。
金風細雨(きんぷうさいう)楼と六分半(ろくぶはん)堂は協力して関七と戦いました。狄飛驚(てきひきょう)は関七に一掌打ち込み、蘇夢枕(そむちん)は紅袖刀で関七を捕らえましたが、とどめは刺しませんでした。その隙に、朱小腰(しゅしょうよう)は深手を負った関七を救い出しました。怒り狂った雷損(らいそん)は、関七と朱小腰(しゅしょうよう)の捜索を命じ、白愁飛(はくしゅうひ) はこれが蘇夢枕(そむちん)の策略ではないかと疑いました。
実は、朱小腰(しゅしょうよう)はかつて迷天盟のメンバーであり、今でも関七に忠誠を誓っていました。蘇夢枕(そむちん)は、もし朱小腰(しゅしょうよう)に悪意があれば、江湖に「紅袖刀」の名は残っていないことを知っていました。雷損(らいそん)が関七に手を出せば、朱小腰(しゅしょうよう)が止めるだろうと読んでいましたが、結果的に関七を逃がすことになってしまいました。
朱小腰(しゅしょうよう)と小双(しょうそう)の手当てを受け、関七は意識不明の重体でした。小双(しょうそう)は父の姿を見ながら、もし関七が殺人鬼や狂人ではなく普通の父親だったら、自分の人生は違っていただろうかと考えました。朱小腰(しゅしょうよう)が関七を助けたのは、かつて関七に命を救われた恩があったからです。
無邪は白愁飛(はくしゅうひ) に、関七が弱っている今こそ絶好の機会だとし、一刻も早く見つけて始末するよう促し、朱小腰(しゅしょうよう)が関七を隠しているであろう場所をいくつか挙げました。白愁飛(はくしゅうひ) はこれらの場所で捜索を行うことで、朱小腰(しゅしょうよう)が関七を街の外へ逃がそうとするように仕向け、城門で見張ることにしました。一方、王小石(しょうせき)は自分を責め、関七を放ったせいで夫子が死んだと思い、関七を殺して復讐することを決意し、溫柔(おんじゅう)に必ず生きて戻ると約束しました。
第16話あらすじとネタバレ
翌日、朱小腰(しゅしょうよう)と小双(しょうそう)は別行動をとることにした。空馬車を操縦する小双(しょうそう)は白愁飛(はくしゅうひ) に遭遇。白愁飛(はくしゅうひ) は小双(しょうそう)から、たとえ父親がどんなに残虐な殺人鬼でも命を懸けて守る覚悟だと聞かされる。これが調虎離山之計だと気づいた白愁飛(はくしゅうひ) は、すぐさま部下たちに馬を用意させ城門へ向かうよう指示を出す。一方、朱小腰(しゅしょうよう)は関七(かんしち)を護送して城外へ脱出を図っていた。金風細雨(きんぷうさいう)楼と六分半(ろくぶはん)堂の双方から命を狙われている関七(かんしち)を安全な場所へ逃がすためだ。
しかし、狂気に陥っているとはいえ武術の達人である関七(かんしち)は、護送中に内力を用いて囚籠を破壊、朱小腰(しゅしょうよう)の首を絞めようとする。危機一髪、朱小腰(しゅしょうよう)は昨夜関七(かんしち)の息子を介抱したことを明かし、彼の心を揺さぶろうとする。関七(かんしち)が正気を失いかけたその時、王小石(しょうせき)が駆けつける。道義のためではなく私怨により、王小石(しょうせき)は関七(かんしち)と激闘を繰り広げ、朱小腰(しゅしょうよう)を救出する。
関七を殺さないでほしいという朱小腰(しゅしょうよう)の懇願に、王小石(しょうせき)は躊躇する。関七は数えきれないほどの罪を犯してきたが、朱小腰(しゅしょうよう)にとってはただの哀れな男でしかなかった。蘇夢枕(そむちん)から託された任務と、関七がすでに廃人となっている現状を考慮し、王小石(しょうせき)は最終的に彼を見逃すことにする。そして関七から「有橋集団」に関する秘密を聞き出す。それは、火薬兵器を密造し遼国に売りさばき、莫大な利益を得ている組織だった。
朱小腰(しゅしょうよう)の助けもあり、関七は逃亡に成功する。しかし、その後すぐに白愁飛(はくしゅうひ) が現れ、関七を斬殺。師への仇討ちを果たす。雷損(らいそん)と狄飛驚(てきひきょう)は関七の首級を傅宗書(ふそうしょ)に届け出る。傅宗書(ふそうしょ)は雷損(らいそん)に、二度と関七のような失態を起こさないよう警告し、狄飛驚(てきひきょう)に関七の遺体の処理を命じる。
事件後、王小石(しょうせき)は白愁飛(はくしゅうひ) の行動が罪のない朱小腰(しゅしょうよう)を傷つけたとして、関七と変わらないと非難する。二人は口論となり、溫柔(おんじゅう)は仲裁に入ることができない。また、関七との決闘が原因で蘇夢枕(そむちん)は体力を大きく消耗し、病状は悪化の一途を辿る。雷純(らいじゅん)は亡き母を弔う父の雷損(らいそん)の悲嘆に暮れる姿を目にし、父の母への深い愛情を感じ取り、静かにその場を離れる。
蘇夢枕(そむちん)は王小石(しょうせき)から有橋集団の情報を受け、無邪に鳩の組を率いて六分半(ろくぶはん)堂の火薬工場を捜索するよう指示を出す。朱小腰(しゅしょうよう)の裏切り行為に対しては、金風細雨(きんぷうさいう)楼の掟に従い破門とするが、楼主として自身の責任も認め、自ら杖刑を受ける。
婆婆(ばあば)が都を離れることになり、王小石(しょうせき)と溫柔(おんじゅう)は見送りに訪れる。白愁飛(はくしゅうひ) は別れを惜しみ、部屋に閉じこもる。婆婆(ばあば)は夫子(ふうし)との日々を思い返し、三人でかつてよく訪れた、彼らの住まいを見下ろせる高台へ行くことを提案する。高台に立ち、懐かしい景色を眺めながら、婆婆(ばあば)は感慨にふける。
最後に、王小石(しょうせき)は旅日記にこう記す。「人生は出会いを大切にし、別れを軽く扱うべきだが、すれ違った瞬間が永遠の別れになることもある。別れを軽く捉えることができないのなら、なおさら出会いを大切にしよう。」
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