第35話あらすじとネタバレ
王小石(しょうせき)と溫柔(おんじゅう)
王小石(しょうせき)は溫柔(おんじゅう)に麺を食べさせます。「しっかりご飯を食べれば、しっかり生きられる」という師の教えを覚えていたからです。しかし、王小石(しょうせき)の悲しみに満ちた表情を見て、溫柔(おんじゅう)は心を痛め、涙が止まりませんでした。
溫柔(おんじゅう)は去ることを決め、手紙を残しました。王小石(しょうせき)が師の死のことで自分を責めることはないと分かっていましたが、自責の念に苛まれていました。師匠のことが二人の間の乗り越えられない壁にならないように、お互いに心の傷を癒す時間が必要だと考えたのです。この決断には大きな勇気が必要でした。なぜなら、溫柔(おんじゅう)にとって王小石(しょうせき)は江湖で最も大切な存在であり、江湖での美しい思い出の象徴だったからです。それでも、彼女は去ることを選びました。
王小石(しょうせき)は溫柔(おんじゅう)の手紙を読み、深い悲しみに暮れました。溫柔(おんじゅう)が側にいれば、本当の幸せは得られないと理解していました。今の状況を考えると、溫柔(おんじゅう)が去る方が安全です。そのため、彼は溫柔(おんじゅう)の選択を尊重し、予定通り関外へ向かい、大胡子、唐宝牛(とうほうぎゅう)、方恨少(ほうこんしょう)に劉世安(りゅうせいあん)様の警護を任せました。
関外への旅と蘇夢枕(そむちん)の運命
関外へ向かう途中、王小石(しょうせき)は雪の中に凍死した狄飛驚(てきひきょう)を発見し、簡単な葬儀を行いました。この出来事は王小石(しょうせき)の心に深い後悔の念を刻み、真の自由はまだ訪れておらず、江湖の争いは終わっていないことを改めて認識させました。最終的に、王小石(しょうせき)は大胡子たちと共に劉世安(りゅうせいあん)様を都へ送り届け、迫り来る困難に立ち向かうことを決意します。
一方、金風細雨(きんぷうさいう)楼では、蘇夢枕(そむちん)は朱小腰(しゅしょうよう)に王小石(しょうせき)の無事を祈るよう寺へ遣わします。無邪は蘇夢枕(そむちん)の体調を深く心配していました。たとえ王小石(しょうせき)が無事に都に戻り、事態が好転しても、白愁飛(はくしゅうひ) に殺されるのではないかと恐れていました。蘇夢枕(そむちん)はかつて、「この世で自分を殺せるのは自分自身か無邪だけだ」と言っていました。そして、ある言葉を聞いたらためらわずに行動を起こすよう、無邪に特別な指示を出していました。さらに、蘇夢枕(そむちん)は翌日に北の野営地で梅の実を採り、雷純(らいじゅん)に最後の果物を作るよう無邪に命じました。
病状が悪化する中、蘇夢枕(そむちん)は無愧が医者を探そうとする申し出を断り、洛陽王に秘薬を依頼し、明日届く予定だと伝えました。実際には、白愁飛(はくしゅうひ) の襲撃が近いことを察知し、無愧を温家の出迎えに出し、楼内の人員の注意を逸らそうとしていました。
白愁飛(はくしゅうひ) の台頭と決戦
白愁飛(はくしゅうひ) は蔡京(さいきょう)から蘇夢枕(そむちん)を殺す絶好の機会となる文書を受け取ります。蘇夢枕(そむちん)は既に体が不自由でしたが、白愁飛(はくしゅうひ) は完璧なタイミングを待っていました。雷純(らいじゅん)は白愁飛(はくしゅうひ) に何故成功を確信しているのか問いただすと、白愁飛(はくしゅうひ) は運命を信じず、自分自身だけを信じていると答えました。彼は雷純(らいじゅん)にある試練を与え、その結果は蘇夢枕(そむちん)を殺すべきではないと示唆していましたが、彼の決意は変わりませんでした。
翌日、白愁飛(はくしゅうひ) は兵を率いて金風細雨(きんぷうさいう)楼へ乗り込み、蘇夢枕(そむちん)と対峙します。蘇夢枕(そむちん)は白愁飛(はくしゅうひ) の緊張を感じ取り、自分も興奮していると認めました。ずっとこの時を待ち望んでいたからです。蘇夢枕(そむちん)が白愁飛(はくしゅうひ) に何故こんなことをするのか問うと、白愁飛(はくしゅうひ) は憎しみだと答えます。それは蘇夢枕(そむちん)が自分を無視した代償だと。蘇夢枕(そむちん)は命乞いをするふりをし、白愁飛(はくしゅうひ) の真意を探ろうとしますが、かえって怒りを買いました。
白愁飛(はくしゅうひ)は蘇夢枕(そむちん)が自分を兄弟と見ておらず、常に王小石(しょうせき)を優遇していたと非難します。この時、蘇夢枕(そむちん)は自分の選択が正しかったことを確信しました。白愁飛(はくしゅうひ)に権力を与えるのではなく、王小石(しょうせき)に希望を託したのです。もはや和解の余地はないと悟った蘇夢枕(そむちん)は、白愁飛(はくしゅうひ)に容赦なく、死闘が始まりました。
無愧は途中で通行証を忘れたことに気づき、取りに戻りますが、金風細雨(きんぷうさいう)楼が白愁飛(はくしゅうひ)に占拠されているのを発見します。楼内へ侵入し状況を探ろうとしたところ、白愁飛(はくしゅうひ)の手下に捕まり殺されてしまいます。白愁飛(はくしゅうひ)は蘇夢枕(そむちん)に重傷を負わせ、瀕死の状態に追い込みますが、蘇夢枕(そむちん)は秘密の通路を使って逃亡します。このことを知った白愁飛(はくしゅうひ)は全力で捜索を命じると同時に、蘇夢枕(そむちん)の死を宣言し、江湖の支配を企てます。
しかし、伝書鳩が王小石(しょうせき)の生存を知らせ、白愁飛(はくしゅうひ)は大きな衝撃を受けます。
第36話あらすじとネタバレ
白愁飛(はくしゅうひ) の変化と王小石(しょうせき)の帰還
王小石(しょうせき)がまだ生きているという知らせを聞き、白愁飛(はくしゅうひ) は誰にも会わずに姿を隠した。同時に、雷媚(らいび)は別の悪い知らせをもたらした。雷純(らいじゅん)も姿を消したのだ。蘇夢枕(そむちん)の遺体はまだ見つからず、雷純(らいじゅん)の失踪は白愁飛(はくしゅうひ) にとって追い打ちをかけるものだった。かつて王小石(しょうせき)が死んだと思い込み、蘇夢枕(そむちん)との関係を断ち、闇に落ちていた白愁飛(はくしゅうひ) 。今、王小石(しょうせき)が生きていると知り、全てが元には戻らないことを悟る。
細雨楼の兄弟たちと無邪の計画
細雨楼の兄弟たちは、無邪が蘇夢枕(そむちん)の仇を討ち、細雨楼を取り戻すべきだと提案する。しかし、朱小腰(しゅしょうよう)は巧みに無邪を遠ざける。これは蘇夢枕(そむちん)の指示であり、彼らを守るため、将来細雨楼を取り戻せるようにするためだと推測される。象鼻塔(しょうび)という騒がしくも静かな場所で、無邪は皆に身を隠して王小石(しょうせき)の帰還を待ち、復讐の計画を練るよう指示する。赤い外套を見ながら、無邪は蘇夢枕(そむちん)の「誰も私を殺せない」という言葉と、今の蘇夢枕(そむちん)の死の知らせとの矛盾に苦しむ。
朱小腰(しゅしょうよう)と王小石(しょうせき)の再会
朱小腰(しゅしょうよう)はずっと苦水鋪で王小石(しょうせき)の帰りを待ち続けていた。彼女の確信はついに報われ、王小石(しょうせき)が現れる。再会した瞬間、朱小腰(しゅしょうよう)は自分の目を疑い、確認した後、喜びの涙を流す。王小石(しょうせき)が何が起こったのか尋ねると、朱小腰(しゅしょうよう)は蘇夢枕(そむちん)が亡くなったと泣きながら伝える。その事実に打ちのめされた王小石(しょうせき)は、近くの棚を拳で打ち壊す。
無邪と王小石(しょうせき)の再会
朱小腰(しゅしょうよう)は王小石(しょうせき)を無邪の元へ連れて行く。王小石(しょうせき)の無事を確認した無邪は、非常に興奮する。彼は、未だに蘇夢枕(そむちん)の遺体は見つからず、赤い外套だけが見つかったことを伝える。蘇夢枕(そむちん)は生前、王小石(しょうせき)が戻ってきたら、今後のことは彼に任せると言っていた。
劉世安(りゅうせいあん)と諸葛神侯(しんこう)の密謀
劉世安(りゅうせいあん)と諸葛神侯(しんこう)は会い、北方の出来事について話し合う。諸葛神侯(しんこう)は天衣居士(てんいこじ)と元十三限(げんじゅうさんげん)が北で亡くなったことを嘆き、まさか蘇夢枕(そむちん)までもがこのような形で亡くなるとは思わなかったと語る。劉世安(りゅうせいあん)は蔡京(さいきょう)を倒せる証拠を見つけたと明かし、二人はその証拠を確実に皇帝に届けるための周密な計画を立てることで合意する。
王小石(しょうせき)と白愁飛(はくしゅうひ) の対決
王小石(しょうせき)と白愁飛(はくしゅうひ) は楓橋酒館で会う。白愁飛(はくしゅうひ) は「まだ兄弟なのか?」と問う。王小石(しょうせき)は、白愁飛(はくしゅうひ) が兄である蘇夢枕(そむちん)を裏切ったのかどうかを先に答えるよう要求する。王小石(しょうせき)は白愁飛(はくしゅうひ) を兄を裏切り、謀仮を起こし、奸臣と結託したと非難する。白愁飛(はくしゅうひ) は蘇夢枕(そむちん)が古臭い考えであり、彼の死は解放だと弁解する。そして、蘇夢枕(そむちん)を自分が殺したことを認め、王小石(しょうせき)の挑戦を受ける準備ができていると告げる。
兄弟の亀裂
王小石(しょうせき)はなぜ兄弟がこんなことになったのか理解できない。白愁飛(はくしゅうひ) は、全ては王小石(しょうせき)のせいだと怒りをぶつける。牢獄で拷問を受けながらも、王小石(しょうせき)の帰還を待ち望んでいた。しかし、王小石(しょうせき)の死の知らせを聞いた後、彼は仁義道徳を捨てたのだ。白愁飛(はくしゅうひ) の変化に、王小石(しょうせき)は深い悲しみを感じ、自分が生き返らなければよかったとさえ思う。
王小石の願い
王小石は蘇夢枕(そむちん)にこれまでの出来事を話したかったが、もう葉わない。各地を旅し、様々な経験をした王小石は、理想の江湖像を描いていた。その理想が蘇夢枕(そむちん)の考えていた江湖と同じだったのか、もう確認することはできない。兄弟を失い、王小石は深い孤独を感じる。
王小石の新たな旅立ち
蔡京(さいきょう)の罪を証明する証拠を手にした王小石は、それを皇帝に渡すことを決意する。しかし、蔡京(さいきょう)の朝廷での権力は大きく、多くのスパイがいるため、証拠を無事に皇帝に届けられるかどうかはわからない。諸葛神侯(しんこう)と劉世安(りゅうせいあん)は自ら皇帝に会うことができず、王小石に来月初一の大仏寺での機会を利用して皇帝に会うよう提案する。
象鼻塔(しょうび)の再生
象鼻塔(しょうび)に流れ著いた江湖の人々は、王小石に付いていくことを決める。金風細雨(きんぷうさいう)楼はなくなったが、人々の心はまだ残っている。人がいれば、江湖の精神は受け継がれていく。無邪は王小石に新しい名号をつけることを提案し、王小石は「象鼻塔(しょうび)」を選ぶ。彼の心の中では、金風細雨(きんぷうさいう)楼だけが真の「楼」であるからだ。
白愁飛(はくしゅうひ)の失敗
白愁飛(はくしゅうひ)は王小石が最近街で江湖の人々と交流し、民衆の心を掴もうとしていると聞く。自分もそれを試みるが、結果は惨めなものであった。去り際に、白愁飛(はくしゅうひ)は陰口を叩いた者たちを1ヶ月以内に殺すよう命じ、小さな男の子を捕らえて任労(じんろう)任怨(じんえん)に渡し、拷問した後に両親の墓前に送るよう指示する。その残忍な行為に、任労(じんろう)任怨(じんえん)は恐怖する。
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