第37話あらすじとネタバレ
任労(じんろう)は白愁飛(はくしゅうひ) に報告した。北方の密偵は蔡京(さいきょう)の調令を見つけられなかった、おそらく王小石(しょうせき)が持っているのだろうと。任労(じんろう)は既にこの情報を蔡京(さいきょう)に報告済みだという。白愁飛(はくしゅうひ) は表向きは任労(じんろう)を褒めたが、目は鋭く、見る者を凍り付かせるようだった。
白愁飛(はくしゅうひ) は蔡京(さいきょう)に会い、王小石(しょうせき)が戻ってきたことを伝えた。王小石(しょうせき)一人であれば大した脅威ではないが、蔡京(さいきょう)が恐れているのは彼が持ち帰った調令だった。蔡京(さいきょう)はどんな犠牲を払っても調令を取り戻し、関係者全員を始末するよう白愁飛(はくしゅうひ) に命じた。白愁飛(はくしゅうひ) は蔡京(さいきょう)を安心させ、王小石(しょうせき)自ら調令を届けるように仕向けると自信満々に言った。この自信は溫柔(おんじゅう)の居場所を掴んでいることから来ていた。彼は溫柔(おんじゅう)を尾行し、彼女が泊まっている宿を知っていたのだ。
白愁飛(はくしゅうひ) は溫柔(おんじゅう)を愁石斎に招待し、溫柔(おんじゅう)は承諾した。愁石斎の絵画を見ながら、溫柔(おんじゅう)は三人で過ごした楽しい日々を思い出し、胸が苦しくなった。溫柔(おんじゅう)は白愁飛(はくしゅうひ) が師兄の蘇夢枕(そむちん)を殺し、王小石(しょうせき)を傷つけたことを責めた。白愁飛(はくしゅうひ) にとっては、王小石(しょうせき)がいなければ蘇夢枕(そむちん)と義兄弟の契りを交わすこともなかったかもしれない。彼は蘇夢枕(そむちん)が生まれながらに全てを持っているのに、自分が望むものは全て自力で手に入れなければならないことに不満を感じていた。
白愁飛(はくしゅうひ) は、自分が蘇夢枕(そむちん)の代わりに罪をかぶり獄中で屈辱を受けた時、誰も助けてくれなかったこと、今の地位も全て自分の力で勝ち取ったものだから、もう誰の助けも必要ないのだと語った。溫柔(おんじゅう)もそれ以上何も言わず、白愁飛(はくしゅうひ) が描いた絵を返した。この絵は三人の友情の象徴であり、彼女と王小石(しょうせき)が会えない今、白愁飛(はくしゅうひ) にこの思い出を残しておいてほしいと思ったのだ。しかし、白愁飛(はくしゅうひ) が絵を開くと、王小石(しょうせき)が既に絵に自分自身を描き加え、三人一緒の姿を描いていた。この光景は彼の心を揺さぶったが、すぐに冷静さを取り戻し、溫柔(おんじゅう)に再び協力を求めた。
溫柔(おんじゅう)の安全を確保するため、白愁飛(はくしゅうひ)は任労(じんろう)と任怨(じんえん)に彼女を見張らせた。任労(じんろう)はお世辞を言って、白愁飛(はくしゅうひ)は何をしても成功すると持ち上げたが、情報を伝えるのが好きだという理由で、結局白愁飛(はくしゅうひ)に厳しく罰せられた。そこで、白愁飛(はくしゅうひ)は任労(じんろう)にもう一度情報を伝えさせた。一方、皇帝は寺に参拝に来ており、王小石(しょうせき)は象鼻塔(しょうび)の仲間たちに皇帝を諸葛神侯(しんこう)と劉世安(りゅうせいあん)に会わせるよう指示した。二人は命がけで王小石(しょうせき)を推薦した。王小石(しょうせき)は調令を皇帝に提出したが、皇帝はすぐに返答しなかった。無邪は王小石(しょうせき)の身を案じ、他のことには気が回らなかった。その時、任労(じんろう)が溫柔(おんじゅう)を捕らえたと知らせに来た。証拠を渡さなければ溫柔(おんじゅう)の安全は保証できないという。無邪はすぐに王小石(しょうせき)に連絡させ、金風細雨(きんぷうさいう)楼へ向かうよう皆に指示した。無邪たちが去った後、白愁飛(はくしゅうひ)の拷問に耐えかねた任労(じんろう)は自害した。
任怨(じんえん)は白愁飛(はくしゅうひ)に任労(じんろう)を許すよう懇願したが、白愁飛(はくしゅうひ)は怒りに任せて彼を踏みつけ、獄中で生肉を食べさせられた過去を思い出し、権力があれば他人の生死を操れるのだと実感した。白愁飛(はくしゅうひ)は溫柔(おんじゅう)の目の前で任怨(じんえん)を殺し、溫柔(おんじゅう)は大きなショックを受けた。
王小石(しょうせき)と無邪は象鼻塔(しょうび)の仲間たちを引き連れ、大勢で金風細雨(きんぷうさいう)楼に到著し、両者は対峙した。白愁飛(はくしゅうひ)は溫柔(おんじゅう)に、王小石(しょうせき)が作った象鼻塔(しょうび)が来たが、今日は皆ここで死ぬことになると告げた。白愁飛(はくしゅうひ)は溫柔(おんじゅう)を捕らえ、王小石(しょうせき)を誘き出し、ここでとどめを刺そうとした。この時の白愁飛(はくしゅうひ)は正気を失い、兄弟の情など全く残っていなかった。
王小石(しょうせき)は楼に突入し、白愁飛(はくしゅうひ)に溫柔(おんじゅう)を解放し、大哥の蘇夢枕(そむちん)の仇を討つよう迫った。白愁飛は今日の勝敗はまだわからないと言い、王小石(しょうせき)は溫柔(おんじゅう)まで巻き込む白愁飛を非難し、必ず償わせる決意をした。二人は激しく戦い、王小石(しょうせき)はなぜ大哥の蘇夢枕(そむちん)を殺したのかと白愁飛を問い詰めた。激しい戦いの末、白愁飛は一時的に優勢になり、王小石(しょうせき)を足の下に踏みつけた。しかし、王小石(しょうせき)は抵抗し、白愁飛を突き飛ばし、兄弟の情がなぜ私欲の争いになってしまったのかと嘆いた。白愁飛は江湖には一人しか生き残れないと信じているため、蘇夢枕(そむちん)を排除する必要があると考えていた。
椅子に縛り付けられていた溫柔(おんじゅう)は自力で脱出に成功した。彼女は蘇夢枕(そむちん)がかつて話していた傷ついた木のことを思い出した。木の根元には歴代の楼主だけが知る秘密の通路があり、遠くに見える石灯籠が通路を開ける仕掛けになっている。金風細雨(きんぷうさいう)楼が危機に陥った時、そこから外に逃げられるのだ。溫柔(おんじゅう)は急いで石灯籠を回し、通路を開けると、中から雷純(らいじゅん)が出てきた。その後ろには駕籠を担ぐ二人の男がおり、駕籠の中には蘇夢枕(そむちん)が乗っていた。溫柔(おんじゅう)は温家の秘薬「一枝毒鏽」の匂いを感じ、蘇夢枕(そむちん)がそれで命を繋いでいることに気づいた。しかし、この薬は徐々に意識を奪い、彼を操り人形に変えてしまう。
最終回(第38話)あらすじとネタバレ
無邪と朱小腰(しゅしょうよう)は蘇夢枕(そむちん)が生きている姿を目にし、抑えきれないほどの喜びに震えた。一方、王小石(しょうせき)は白愁飛(はくしゅうひ) に過去のわだかまりを捨てようと説得を試みるが、白愁飛(はくしゅうひ) は逆に王小石(しょうせき)を非難する。細柳(さいりゅう)で共に江湖を駆け巡った誓いを破り、蘇夢枕(そむちん)に仕え、かつての友情を忘れたと。そして今、王小石(しょうせき)は蘇夢枕(そむちん)のために自分を討ちに来たのだと責め立てる。
王小石(しょうせき)は、かつて白愁飛(はくしゅうひ) が「いつか鉄の檻に閉じ込められた時、生きるか死ぬか、それとも共に苦難を乗り越えるか」と心配していた言葉を思い出す。王小石(しょうせき)は乱世の覇業など望んでおらず、ただ京城に足を踏み入れなければよかったと嘆く。しかし白愁飛(はくしゅうひ) は、全ては遅すぎると言い、過去は取り戻せないと言い放つ。
その時、溫柔(おんじゅう)が現れ、王小石(しょうせき)は驚きを隠せない。溫柔(おんじゅう)は「もう一人、戻ってきた人がいる」と告げ、続いて雷純(らいじゅん)が蘇夢枕(そむちん)と共に姿を現す。王小石(しょうせき)は感動に包まれる。一方、白愁飛(はくしゅうひ) は妻の雷純(らいじゅん)が蘇夢枕(そむちん)と共にいるとは夢にも思っていなかった。雷純(らいじゅん)は白愁飛(はくしゅうひ) に、彼が全てを掌握したと思っていた時、自分が蘇夢枕(そむちん)を匿っていたことを明かす。金風細雨(きんぷうさいう)楼の秘密の通路は六分半(ろくぶはん)堂に繋がっていたのだ。
白愁飛(はくしゅうひ)は蘇夢枕(そむちん)に雷純(らいじゅん)を信じるなと警告し、彼女が相爺の義理の娘であることを指摘する。しかし蘇夢枕(そむちん)にとって、雷純(らいじゅん)は永遠に心に想う女性だった。王小石(しょうせき)は白愁飛(はくしゅうひ)に、既に官家(皇帝)に謁見し、蔡京(さいきょう)は失脚寸前で、白愁飛(はくしゅうひ)は見捨てられた駒だと伝える。王小石(しょうせき)にとって最も受け入れ難いのは、かつて義兄弟の契りを交わし生死を共にした兄弟が、最後には殺し合わなければならないこと。全ては、この江湖のせいだと嘆く。
蘇夢枕(そむちん)の帰還を機に、王小石(しょうせき)は再び白愁飛(はくしゅうひ)に争いを止めるよう説得する。白愁飛(はくしゅうひ)は負けを認めず、二人は剣を交える寸前までいくが、結局白愁飛(はくしゅうひ)は王小石(しょうせき)を傷つけず、王小石(しょうせき)もまた白愁飛に手を出せない。全てに決著をつけるため、白愁飛は自ら胸に匕首を突き刺す。兄弟の情義に報いるため、そして、まるで出会わなかったかのようにこの世を去るため。
天下を独り占めすることを夢見ていた白愁飛は、最後に潔く死ぬ道を選んだ。金風細雨(きんぷうさいう)楼の屋上から落下する白愁飛。彼の前に雷媚(らいび)が立ち、白愁飛を得られないことよりも、彼が幸せでないことの方が辛いと言う。白愁飛の苦しみを見るに耐えかね、雷媚(らいび)は自ら彼の命を絶つ。
白愁飛の死を確認した後、蘇夢枕(そむちん)は輿から出て、三兄弟で過ごした日々が人生で一番幸せな時間だったと嘆く。雷純(らいじゅん)に約束を守れなかったことを詫び、楼の兄弟たちを王小石に託す。兄と弟の死を目の当たりにした王小石は深い悲しみに暮れ、蘇夢枕(そむちん)は無邪に自分の命を絶つよう頼む。
朝廷が清廉を取り戻し、蔡京(さいきょう)は罷免され庶民に落とされ、二度と京城に戻ることを許されない。王小石は蘇夢枕(そむちん)と白愁飛を火葬し、友情の証である挽留(ばんりゅう)剣を共に燃やす。そして自由に江湖を旅することを決意し、諸葛神侯(しんこう)と劉世安(りゅうせいあん)に別れを告げ、金風細雨(きんぷうさいう)楼の後継者として適切な人材を推薦する。
金風細雨(きんぷうさいう)楼の兄弟たちに別れを告げ、王小石は京城を離れようとする。道中で蔡京(さいきょう)とその一味に遭遇する。官家との会話を思い出す。官家は蔡京(さいきょう)を罷免することはできたが、蔡京(さいきょう)の朝廷内での勢力は根強く、王小石は蔡京(さいきょう)を排除すべきだと暗に示されていた。兄と弟の遺骨を背負い、王小石は奸臣蔡京を討ち取る。多くの誌士が王小石の京城脱出を助ける。
郊外に著くと、溫柔(おんじゅう)、無邪、朱小腰(しゅしょうよう)たちが待っていた。一行は新たな江湖の道を歩み始める。
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