第13話あらすじとネタバレ
越今朝(えつきんちょう)は扁絡桓(へんらっかん)の仮面を剝がし、その顔が自分と瓜二つであることに驚愕する。唯一の違いは顔の傷跡だけだった。居十方と明繡も駆けつけ、この光景を目の当たりにして呆然とする。その隙に、扁絡桓(へんらっかん)は素早く木の上に飛び乗り、逃走した。
啓元(けいげん)宗では、扁絡桓(へんらっかん)が聖宣大人(せいせん おとな)に扮した高骁(こう ぎょう)から功績の報告を受け、指揮を執っていた。高骁(こう ぎょう)が喚形香を使ったことを知り、扁絡桓(へんらっかん)は内心激怒するも、表情には出さず、高骁(こう ぎょう)を褒め称え、将来宗主の座に就けることを約束する。高骁(こう ぎょう)は感激し、その恩に報いると誓った。
洛昭言(らくしょうげん)は目を覚ました閑卿(しずか)を優しく介抱し、彼が起きると静かに立ち去ろうとするが、閑卿(しずか)に引き止められる。閑卿(しずか)は彼女に迷惑をかけたことを謝罪するが、洛昭言(らくしょうげん)は気にせず、むしろ閑卿(しずか)がいなければ扁絡桓(へんらっかん)の正体に気づけなかったと話す。皆、閑卿(しずか)が妖であることを理由に嫌ったことは一度もないと伝える。閑卿(しずか)は洛昭言(らくしょうげん)自身の考えを尋ね、洛昭言(らくしょうげん)は彼を義理堅く正義感の強い兄弟であり先輩だと考えていると答える。閑卿(しずか)は自嘲気味に笑い、彼女に簪を贈る。洛昭言(らくしょうげん)は体が震え、閑卿(しずか)が自分の娘であることを知っていることに気づく。閑卿(しずか)は、洛昭言(らくしょうげん)は自分の命の恩人でもあるため、簪を受け取るのは当然であり、性別など関係ないと語る。
洛昭言(らくしょうげん)は贈り物を受け取らざるを得ず、簪を受け取る。その時、居十方が閑卿(しずか)に薬を届けに入ってくるが、この光景を見て慌てて出ていく。扁絡桓(へんらっかん)と越今朝(えつきんちょう)が同じ顔であることを知った越祈(えつき)は、越今朝(えつきんちょう)の方が温かいと彼を慰める。
一方、扁絡桓は雪原で葛老に厳しく叱責されていた。越今朝(えつきんちょう)に仮面を剝がされ、素顔を晒したことで計画に影響が出たためだ。しかし、扁絡桓は祈を救ったことは間違いではないと主張する。葛老は祈が今は越今朝(えつきんちょう)と共にいること、そして扁絡桓と祈は過去になったことを繰り返し告げるが、扁絡桓は納得できず、自分の何が悪いのかと問う。葛老はさらに怒り、雷撃術で彼を罰する。
葛清霏(かつせいひ)は葛老を宥め、小桓も柷敔(きゅうき)を製するために祈を天晴之海から連れ出すしかなかったのだと説明する。小桓は17年間祈の傍にいて、彼女を育ててきたのだから、責めないでほしいと頼む。
洛昭言(らくしょうげん)の迷いを察した閑卿(しずか)は、彼女が自分が女性であることを皆に伝えるべきか悩んでいることを知る。洛昭言(らくしょうげん)は、生死を共にする仲間には隠すべきではないと考え、越祈(えつき)と居十方に真実を打ち明ける。しかし、居十方以外、越祈(えつき)は特に驚いた様子を見せず、洛昭言(らくしょうげん)は彼女が既に秘密を知っていたことに気づく。
一行は烏岩村へ調査に向かう。村に近づくにつれ、無垢の泉眼に近いことに気づく。烏岩村に著くと、越祈(えつき)と越今朝(えつきんちょう)は故郷の変化に驚く。村は大きく変わり、村人の暮らしも豊かになっていた。閑卿(しずか)の術で、村人が持っている晶石が自分たちが探しているものだと分かる。
かつて自分たちを助けてくれた石奶奶(せき なあない)を探すと、彼女は言葉を濁し、真実を話そうとしない。臨淵(りん えん)叔も同じように、はぐらかすばかりで何も話さない。一行はそれぞれ調査を開始し、閑卿は隠れて石奶奶(せき なあない)が覆面の女に自分たちの調査のことを報告し、指示に従うよう脅されているのを聞く。仲間の元に戻ると、閑卿は遡漩と同じ妖気を感じ、越今朝は臨淵(りん えん)の正体を疑い始める。その後、石奶奶(せき なあない)は一行を見つけ、晶石の場所を教える。越今朝は、これが敵の罠、「請君入甕」だと理解する。
第14話あらすじとネタバレ
一行は石奶奶(せき なあない)から聞いた鉱山跡(こうざんあと)へ向かった。安全のため、居十方と明繡は外で見張ることに。越今朝(えつきんちょう)たちが鉱山跡に入ってしばらくすると、一人の女性がこっそりと後をつけ、臨淵(りん えん)もまたその後を追った。居十方は偶然にも、臨淵(りん えん)の鱗が越祈(えつき)のものと全く同じであることに気付く。
閑卿(しずか)は臨淵(りん えん)に尾行されていることに気付き、彼を包囲する。皆が臨淵(りん えん)に真相を迫る中、女性が突然袖を振って鉱山跡内の爆薬に点火し、次々と落盤を引き起こした。混乱の中、越今朝(えつきんちょう)は越祈(えつき)を庇い、自身は巨石に押し潰されてしまう。一方、閑卿(しずか)と洛昭言(らくしょうげん)も岩で隔てられ、声だけで互いを励まし合う。洛昭言(らくしょうげん)は、通路を開けると越祈(えつき)と越今朝(えつきんちょう)が危険にさらされることを恐れ、閑卿(しずか)を止め、閑卿(しずか)はその心遣いに深く感じ入った。
越今朝(えつきんちょう)が目を覚ますと、越祈(えつき)は気を失った彼を抱きかかえ泣いていた。越今朝(えつきんちょう)は彼女を慰め、3年前にも同じように鉱山跡に閉じ込められた時のことを思い出し、二人は改めて互いの存在の大切さを実感する。その後、居十方と明繡が駆けつけ、居十方は小豆包を使って巧みに洞窟の入り口を開け、皆は合流できた。明繡は急いで師匠の薬を越今朝(えつきんちょう)に渡し、すぐに飲むように促す。洛昭言(らくしょうげん)は危機の時に守ってくれた閑卿(しずか)に感謝し、閑卿(しずか)は「礼には及ばない」と答えた。
実は石奶奶(せき なあない)に連絡を取っていたのは葛清霏(かつせいひ)の手下で、越祈(えつき)たちを傷つけるつもりはなく、晶石(しょうせき)を運ぶ時間を稼ぐために洞窟に閉じ込めようとしただけだった。しかし、臨淵(りん えん)将軍の出現で計画は狂い、葛清霏(かつせいひ)は天晴之海(てんせいのかい)の人々が晶石を集めていることを知っていると考え、手下たちに馭界枢(ぎょかいすう)へ戻るよう命じた。結局、臨淵(りん えん)は捕らえられ、事実を認め、越祈(えつき)に跪いて謝罪した。
越祈(えつき)が天晴之海に住む禺族(ぎょぞく)の少君であるという事実に、皆は驚愕する。越今朝(えつきんちょう)からの問いに、臨淵(りん えん)は、越祈(えつき)が人間界に流れ著いたのは、彼女が人間の少年に扈生之術(ほせい の じゅつ)―記憶を失わせ、術者にのみ尽くさせる術―を使ったためだと説明した。君上は彼女を罰するために烏岩村(うがんそん)で修行させ、臨淵(りん えん)と遡漩に密かに守らせていたのだ。この人族の少年こそが越今朝(えつきんちょう)であることは、皆が理解した。それでも越今朝(えつきんちょう)は天晴之海へ行くことを決意し、臨淵(りん えん)もそれに同意した。ほとんどの人は同行を望んだが、明繡だけは過去のトラウマから、妖と関わることすら拒んだ。
閑卿(しずか)は明繡の心の傷が母親を妖魔に殺されたことに起因すると理解し、術を使って彼女を一時的に眠らせた。目覚めた明繡は閑卿(しずか)の真の姿に思わず笑みをこぼし、妖魔を本当に退治するためにはまず彼らを理解する必要があると諭された。こうして、一行は天晴之海へと旅立った。そこで彼らは、空に浮かぶ都市―禺族(ぎょぞく)の故郷―を発見した。
天晴之海に入ると、皆はどこか寂れた雰囲気を感じた。臨淵(りん えん)は、十数年前の大災害の影響が未だに残っていると説明した。大殿前に著くと、威厳に満ちた禺族(ぎょぞく)の君上、柷敔(きゅうき)に会った。彼女は越祈(えつき)の母親だった。臨淵(りん えん)は越祈(えつき)に、彼女の中に鯤(こん)の血が流れており、鱗が生えたということは力が目覚めつつあるのだと告げた。しかし、越今朝(えつきんちょう)はまだこのことの真偽を疑っていた。臨淵(りん えん)は、彼と越祈(えつき)の心有霊犀(しんゆうれいさい)こそが証拠だと指摘した。君上は越祈(えつき)を迎えるための式典を準備していたが、越今朝(えつきんちょう)は二人の間の感情が真実なのか疑問を抱き始めた。
臨淵は外出時の報告で、扈生之術は真実を隠すための嘘だったと明かした。君上は彼を責めなかった。そうでなければ、彼女と越祈は会うことができなかったからだ。
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