斛珠夫人~真珠の涙~あらすじ7話・8話・9話、ネタバレ

第7話あらすじとネタバレ

帝旭(ていそく)は、偶然緹蘭の侍女たちの会話を耳にします。侍女たちは、緹蘭が注輦で湯乾自と知り合っており、兄妹のように親しかったと話していました。これを聞いた帝旭(ていそく)は、すぐに穆徳清に命じ、翌日辰の刻、湯乾自を黄泉関へ送り出すこと、そして緹蘭に特別に送別を許すという勅命を伝えさせます。しかし、侍女は緹蘭に、妃と外臣は距離を置くべきだと忠告し、送別には行かないようそれとなく促します。

緹蘭は送別を避けるため、わざと冷水をかぶり風邪をひき、湯乾自を送ることができなくなります。帝旭(ていそく)は知らせを聞きつけ癒安宮へ駆けつけますが、緹蘭の病状を心配する素振りを見せながらも内心ではほくそ笑んでいます。そして、この機会に乗じて緹蘭に宮外へ避疫に行くよう提案し、彼女を宮廷から追い出そうと企みます。この状況に追い込まれた緹蘭は、湯乾自と知り合いだったことは認めますが、男女の関係はないと主張し、湯乾自に罪を及ぼさないよう帝旭(ていそく)に懇願します。身の潔白を証明するため、緹蘭は自ら内獄に入ることを申し出ます。これを見た帝旭(ていそく)は興がそれて追及をやめ、癒安宮を去ります。

方海市(かいし)は最近、科挙の準備に追われており、師である方諸も頭を悩ませていました。方海市(かいし)には宮中の仕事もあるため、師に指導を頼み、師はそれを引き受けます。方諸は方海市(かいし)に稽古をつけ、同時に方卓英(ほうたくえい)は師に、綾錦司に新しい官袍が用意されているので、方海市(かいし)と一緒に行ってすぐに帰る許可を求め、師はそれを許します。

綾錦司へ行く途中、方卓英(ほうたくえい)は上の空で、方海市(かいし)は彼が病気になったのではないかと心配します。綾錦司に著く直前、方卓英(ほうたくえい)は腹痛で厠へ行きたいと言い訳し、姿をくらまします。方海市(かいし)なら一人で大丈夫だと考えたのです。方海市(かいし)は綾錦司に入り、盲繍の練習をしている柘榴(しゃりゅう)に出会います。柘榴(しゃりゅう)は足音を聞き、「お嬢さん」と呼びかけますが、相手が男性だと気づくと、布を上げて確認します。

方海市(かいし)は方卓英(ほうたくえい)の官袍を受け取りに来たと説明し、柘榴(しゃりゅう)が刺繍している美しい巾著に目を留めます。柘榴(しゃりゅう)は官袍を渡し、方海市(かいし)はそれを持って綾錦司を後にします。鞠典衣は柘榴(しゃりゅう)に、なぜ方海市(かいし)を「お嬢さん」と呼んだのか尋ねます。柘榴(しゃりゅう)は事情を説明しますが、鞠典衣は霽風館には男性しかいないことを考え、それ以上深く問い詰めません。

方海市(かいし)が方卓英(ほうたくえい)に官袍を渡すと、柘榴(しゃりゅう)の美しさをしきりに褒めます。方卓英(ほうたくえい)は嫉妬し、柘榴(しゃりゅう)を見つめていた方海市(かいし)の軽薄さを咎め、雑念を払うために霽風館に戻って馬歩の稽古をするよう命じます。霽風館に戻ると、方卓英(ほうたくえい)は柘榴(しゃりゅう)が刺繍した官袍を抱きしめ、にやにやと自分の世界に浸っています。

夜、方海市は夕食を用意して師に届けますが、師は食べません。部屋に戻った方海市は灯りを点けて刺繍の練習をしますが、食事の時の上の空の様子に方卓英(ほうたくえい)は気づきます。方卓英(ほうたくえい)は方海市の部屋に行き、彼女が作った巾著を見て、下手だとからかいます。翌朝、方海市は自分で作った巾著を持って師の部屋の前をうろうろし、師に会うと恥ずかしそうに巾著を渡して逃げ出します。

木の根元に座る方海市は、科挙の身体検査で女であることがばれるのではないかと不安でいっぱいです。方卓英(ほうたくえい)はいくつか提案しますが、どれも有効ではありません。方海市は方卓英(ほうたくえい)に身体検査の代役を頼みます。方卓英(ほうたくえい)は、三年前に科挙を受けているため、顔を知られている可能性があると断りますが、綾錦司に好きな人がいるかもしれないと方海市に脅され、結局引き受けます。

身体検査で方卓英は別人だと見破られますが、自分は方海市だと主張し、科挙の名簿を持っているため、役人たちはそれ以上問い詰めません。蘇鳴はこのことを知り心配しますが、方卓英は役人であるため、直接介入することはできず、部下に方海市の監視を続けるよう指示します。

方卓英は試験に合格し、証明書を方海市に渡します。そして、科挙本番では無理せず著実に進むよう忠告します。方海市は会選に参加し、他の受験生たちと同じ部屋に泊まります。受験生たちはひ弱に見える方海市にきつく当たり、口論になります。方海市は、皆科挙を受けに来たのだから口論はやめるよう諭します。哨子は方諸に全て順調だと報告しますが、敵意を持つ者もいるのではないかと懸念を伝えます。方諸は哨子に、方海市に危害が及ばないように会選の様子を見守るよう指示します。

夜、眠れない方海市は外の廊下で休んでいました。それを見た受験生たちは彼女を襲おうとしますが、方海市には敵わず、返り討ちに遭います。何衝という受験生は方海市を庇い、彼らが先に手を出したのだと主張します。調査に来た役人は、受験生たちにいじめがあった証拠を見つけ、方海市を保護します。

第8話あらすじとネタバレ

今回の科挙の策問では、方海市(かいし)は鮫珠に関する論文を提出しました。蘇鳴は論文を読んだ後、激怒し、方海市(かいし)に流言蜚語を流布しているのではないかと問い詰め、彼女自身の考えではないのではないかと疑いました。帝旭(ていそく)は、これは試験問題の漏洩であり、試験官の責任だと断言し、蘇鳴を慌てさせました。しかし、帝旭(ていそく)は方海市(かいし)の論文の鋭い思考力と美しい文章を賞賛し、女性らしい繊細さがあるものの、甲の成績を与え、蘇鳴はそれに従うしかありませんでした。

朝議にて、帝旭(ていそく)は方海市(かいし)の論文に激怒し、大臣たちに珠税設立の当初の目的を問いただしました。当時、儀王の乱が鎮圧されたばかりで、国家経済を立て直すため、帝旭(ていそく)は珠税の増税を命じました。表向きは税収のためでしたが、実際は物々交換の手段でした。しかし、実際には徴税の名目で、10倍、100倍もの珠税を徴収し、支払えない村人に対しては村を焼き払うなどの極端な手段が取られていました。村人たちは子供を連れて鮫海へ行き、子供を餌にして鮫珠を得ることを強いられていました。苛烈な税によって民は苦しめられており、方海市(かいし)の論文がなければ、帝旭(ていそく)は珠害の深刻さを未だに知らなかったかもしれません。そこで、帝旭(ていそく)は廷尉の姚傑に越州へ行き調査するように命じ、職務怠慢な大臣たちを厳罰に処すことを決めました。

合格発表で、方海市(かいし)は策問の首席を取りました。彼女の論文は朝議で大きな仮響を呼び、帝旭(ていそく)の好意も得ました。帝旭(ていそく)は方諸を呼び出し、珠害の問題について話し合い、なぜ早く報告しなかったのかと責めました。帝旭(ていそく)は今、方海市(かいし)が自分を暗殺しようとした動機は、緹蘭のことだけでなく、珠害にも関係していることに気づきました。実は、方諸はずっとこの件を水面下で調査しており、大事にならないように慎重に行動していました。帝旭(ていそく)は方諸に姚傑と共に越州へ行くように考えましたが、方諸は科挙期間中は天啓城内の人員が複雑で、帝旭(ていそく)の警護のために宮中に残る必要があると断り、既に方卓英(ほうたくえい)を越州に派遣して対処させていると伝えました。

霽風館に戻った方海市(かいし)は、方卓英(ほうたくえい)に科挙会場での劣悪な環境を愚痴りました。方卓英(ほうたくえい)は、不正役人の証拠は既に揃っており、もうすぐ方海市(かいし)の故郷は平和になると伝えました。方海市(かいし)は、師匠はずっと珠害のことを密かに調べていたが、慎重に行動していたことを知りました。方諸は方海市(かいし)の論文を読み、間近に迫った弓馬騎射の試験に向けて、彼女に玉の扳指を贈りました。その夜、方海市(かいし)は師匠と一緒にいる夢を見て、恥ずかしさでいっぱいになりました。

弓馬騎射の試験では、何者かが方海市の馬に細工をしましたが、彼女は無事に甲の首席を取りました。次は重要な殿選です。帝旭(ていそく)自ら出席し、方海市が優秀な成績を収めて選ばれれば、官職に就くことができます。方諸は殿選で方海市に危害が加えられるのではないかと心配していましたが、現場で全てが順調に進むように見守るつもりです。

方卓英(ほうたくえい)は緹蘭を訪ね、方海市が彼女の龍尾神のペンダントを心配していることを伝え、平安珠とウサギを贈りました。女の子はウサギが好きだろうと考え、柘榴(しゃりゅう)にもウサギを贈りました。越州へ出発する前に、方卓英(ほうたくえい)は方海市に母親に渡すものがないか尋ねました。方海市は母に渡す金子と手紙を託し、母は字が読めないため、方卓英(ほうたくえい)に代読を頼みました。

方海市は方卓英(ほうたくえい)の体からいい香りがするのに気づき、柘榴(しゃりゅう)からもらった餅を持っていることに気づきました。方海市は思わず餅を一つ食べ、方卓英(ほうたくえい)は困りながらも怒りをこらえました。方海市は方卓英(ほうたくえい)が顔を赤らめているのに気づき、好きな人ができたのに恥ずかしくて言えないのではないかと推測しました。

ウサギをもらってから、緹蘭は久しぶりに笑顔を見せました。勝手に贈り物を受け取ることはできないので、侍女は科挙が終わってから祝いの名目で返礼することを提案しました。ウサギがいなくなったことに気づいた緹蘭は慌てて探すと、ウサギは帝旭のところにいました。彼女は急いで跪き、罪を謝り、癒安宮に戻って謹慎したいと申し出ました。

帝旭は緹蘭の手にある平安珠を見て、白雲寺に行ったと勘違いしました。緹蘭は方海市からもらったとは言えず、府庫からもらったと嘘をつき、ウサギは宮人からもらったと言いました。帝旭は緹蘭に珠の本当の入手先を言うように求め、正直に話せば癒安宮でウサギを飼ってもよいと約束しました。帝旭は方海市からもらったのだと気づき、外臣と私的に贈り物を取り交わすのは罰せられるべきだと緹蘭に警告しました。帝旭は、明日の殿選で方海市が首席を取れなければ、宮中に残す必要はないと宣言しました。そして、突然、明日の殿選に緹蘭を同席させることにしました。

第9話あらすじとネタバレ

殿試の波乱

殿試当日、試験会場は湖上に設けられました。方海市(かいし)は幼い頃の辛い記憶から水への恐怖心が強く、試験中も極度に緊張していました。鼓から滑り落ちそうになり、危うく水中に落下する寸前、缇蘭は心配そうに彼女の身を案じていました。帝旭(ていそく)はこの缇蘭の態度に気づき、心中穏やかではありませんでした。

そして、更に悪い事態が起こります。方海市(かいし)は何者かの策略によって水中に落ちてしまいます。それを見た方諸は迷わず水中に飛び込み、彼女を救出します。その際、彼の仮面が外れ、清海公 方鑑明(ほうかんめい)であることが皆に知られてしまいます。さらに、方海市(かいし)が落ちた場所から黒い血痕が見つかり、毒を盛られた可能性が浮上します。激怒した帝旭(ていそく)は、湖と科挙会場の封鎖、そして関係者全員の徹底的な調査を命じました。

鞠典衣と柘榴(しゃりゅう)の会話

鞠典衣は柘榴(しゃりゅう)に、玉蘭の刺繍が施された帯を持ってくるように命じ、なぜ猛獣の模様ではないのか尋ねます。柘榴(しゃりゅう)は、方海市(かいし)の容姿と雰囲気を考慮し、玉蘭の方がより相応しいと説明します。鞠典衣は考え込み、自ら霽風館へ帯を届けに行くことにしました。その時、方諸は既に毒に侵され意識を失った方海市(かいし)を霽風館へ連れ帰り、解毒の手当てをしていました。この様子を、見舞いに訪れた鞠典衣は偶然目撃してしまいます。

何衝の死と真相

調査を担当する哨子は方諸に、科挙受験者と科挙会場を全て調べたものの、手がかりは見つからなかったと報告します。しかし、亡くなった何衝の遺書が見つかり、彼は方海市(かいし)をライバル視し、毒を盛ったことを認めていました。方諸は、これは何衝が証拠隠滅のために仕組んだものだと考えます。

方諸と帝旭(ていそく)の会話

帝旭(ていそく)は方諸を呼び出し、今日の殿試について意見を求めます。方諸は方海市の容態は安定しており、責任追及については自身で判断するつもりだと答えます。帝旭(ていそく)は方諸に昭明宮に住むように言い、信頼の証としました。方諸は罰を受けることは受け入れましたが、結婚の提案は拒み、生涯帝旭(ていそく)に仕え、妻帯しないと誓いました。

夜の回想と警告

夜、鞠典衣は綾錦司の庭で、かつて父と方諸の父が交わした婚約を思い出していました。当時、方諸はその場で婚約を断り、鞠典衣とは世交としての付き合いしか望まないと告げていました。一方、朝廷では蘇鳴が受験生の保護を怠ったとして降格処分を受けます。身分を回復した方諸は蘇鳴に、今後自分の部下に手を出せば命はないと警告しました。

師弟の深い情

霽風館で、方諸は自ら方海市の世話をしています。彼女が目覚め、目の前に師匠の姿を見つけると、複雑な感情が込み上げてきました。その時、彼女は最も大切な人が師匠であることに気づきます。衝動的に、方海市は師匠に口づけをし、自分の想いを伝えました。

帝旭と缇蘭

缇蘭は方海市の身を案じ、侍女に見舞いに行かせますが、偶然帝旭に見られてしまいます。帝旭は缇蘭の行動を誤解し、方海市が昭明宮へ入ることを企んでいると考えます。缇蘭は慌てて弁明し、方海市を友人として心配しているだけだと説明します。しかし誤解は深まり、帝旭は缇蘭が方海市に気があると勘違いします。緹蘭は帝旭だけを想っていると訴えますが、その夜、侍寝した缇蘭はわざと紫簪(しさん)姉さんのことを口にし、帝旭を激怒させ、南宮へ送られ、二度と会うことはなくなりました。