斛珠夫人~真珠の涙~あらすじ43話・44話・45話、ネタバレ

第43話あらすじとネタバレ

意識を取り戻した方諸は、まず方海市(かいし)の無事を確認し、安堵のため息をつきました。哨子からの報告で尼華羅副使の死を知ると、毒を盛った者の策略だと推測。事態の緊急性を鑑み、すぐに自分の衣服と紅木の錦箱を用意させ、帝旭(ていそく)への謁見を求めました。

方諸は帝旭(ていそく)に、副使が昭明宮で亡くなったことを報告し、これが尼華羅の軍事行動を招き、大徴が戦乱に巻き込まれる危険性を訴えました。そして、危機を回避するため、越州へ琅嬛を探しに行く許可を求めます。しかし、帝旭(ていそく)は残りの鮫珠では遠出は不可能だと却下。そこで方諸は、長年かけて集めた情報を収めた紅木の錦箱を差し出し、方海市(かいし)を危険に晒さないよう懇願しました。帝旭(ていそく)は、方諸が方海市(かいし)を守るために国や君主、そして自分の命さえも犠牲にする覚悟に苛立ちを隠せません。しかし、方諸はただ方海市(かいし)の平安を願い、彼女のためならどんな犠牲も払う覚悟でした。

全てを陰で聞いていた方海市(かいし)は、複雑な心境に陥ります。方諸が誤解されながらも、自分を犠牲にしてまで守ろうとする姿に胸を締め付けられました。彼女は帝旭(ていそく)に、龍尾神が方諸を救えるか尋ねます。帝旭(ていそく)は確信を持てないながらも、あらゆる手段を試す意思を示しました。

雷州の部族が天啓に到著したことを受け、方海市(かいし)は帝旭に国庫の資源を慎重に扱うよう進言し、事態の早期収拾を促します。帝旭は方海市の能力を信頼し、彼女が民を見捨てることはないと信じていました。方海市は琅嬛を必ず連れ戻すと約束し、帝旭に琅嬛への温情を求めます。そして、敵の目を欺くため、自分に価た人物を用意する策を提案しました。

その後、方海市は昭明宮を訪れ、昏睡状態の方諸を優しく見守ります。彼女は今度こそ方諸を守ると心に決め、彼と共にいることこそが自分の幸せだと再確認します。去り際、彼女は方諸にそっと口づけをしました。

一方、穆徳慶は帝旭に、緹蘭の安胎薬に毒物が混入していたと報告。激怒した帝旭は、緹蘭を碧紫という侍女一人だけを連れて金城宮へ秘密裏に移すよう命じます。

帝旭は方諸を見舞い、尼華羅との戦争の危機、そして宮中における緹蘭と皇子への陰謀について語り合います。これまで尽力してきたことが水の泡となりそうな現状に、帝旭は不安を募らせます。そして、方諸が目覚めた後、方海市の行動を知り、再び対立することを危惧しました。

越州の海上で、方海市は琅嬛を見つけ、共に天啓へ戻ることを決めます。琅嬛は困難を承知の上で、戦乱を鎮め、方海市を助けるため、同行を決意しました。

注輦の使者として索蘭が天啓を訪れ、帝旭への敬意を表し、姉の緹蘭に会いたいと申し出ます。帝旭は索蘭に、まずは天啓を見物してから謁見するよう勧めました。緹蘭は索蘭との面会に複雑な思いを抱き、帝旭は彼女の意思を尊重します。

そんな中、帝旭が方海市の母、葉大娘を都に呼ぶという偽の聖旨が出されます。悪夢で目を覚ました方諸は、方海市が龍尾神を迎えに行ったと聞き、すぐに帝旭を問い詰めます。帝旭は方海市が自ら誌願したと言い、偽の聖旨については全く知らぬことでした。方諸は陰謀を察知し、真相究明に乗り出します。

第44話あらすじとネタバレ

葉大娘が部屋で荷物を整理していると、霁風館の暗衛、小郭が現れた。葉大娘は小郭の身分を知っていた。小郭は、やって来た者たちは帝旭(ていそく)の遣いではなく、葉大娘に危害を加えるのではないかと危惧し、逃亡の手助けを申し出た。しかし、不運にも彼らの動きは敵に見つかってしまう。葉大娘を守るため、小郭は敵と激しく戦い、命を落とした。葉大娘は再び捕らえられてしまった。

一方、方海市(かいし)は琅嬛を載せた馬車を護衛し、官道を急いでいたが、待ち伏せに遭う。方海市(かいし)は琅嬛を守ろうと全力を尽くすが、敵は葉大娘を人質に取り、龍尾神を引き渡すよう要求した。大局を重んじる葉大娘は方海市(かいし)を巻き込むまいと、自ら命を絶った。大徴の民のために、方海市(かいし)は悲しみをこらえ、旅を続けた。

追っ手は方海市(かいし)を崖っぷちまで追い詰める。その時、方諸が現れ、方海市(かいし)と共に馬車で崖から転落した。この知らせを聞いた季昶は激怒し、二人は死んだものと思った。施内宮は季昶に慌てる必要はないと言い聞かせ、明日は帝旭(ていそく)が諸国の使臣に龍尾神の真の姿を見せる日であり、もしこの時に事故が起きれば、帝旭(ていそく)の失態を責めることができると進言した。

符義もこの意見に賛同し、奪洛はもう黄泉営を抑えきれず、季昶の勢力は弱まっていると付け加えた。さらに、符義は張承謙を連れて戻ったが、季昶は計画への影響を懸念し、不満を抱いた。しかし、符義は張承謙は既に味方であり、側近に彼の行動を監視させていると説明した。季昶は納得し、雷州の部族たちは龍尾神への信仰が篤いため、帝旭(ていそく)が龍尾神を見せられないとなれば、彼らが離仮し、容易に帝位を奪えると確信した。

しかし、事態は季昶の思惑通りには進まなかった。宴席で、季昶が意気揚々と帝位を奪おうとしたその時、帝旭(ていそく)は皆を偏殿に案内し、龍尾神を披露した。龍尾神は既に殿上にあったのだ。方海市が手のひらの印で水晶の缸に触れると、琅嬛が現れた。諸国の使臣はひれ伏し、季昶は言葉を失った。

龍尾神の出現に、諸国の使臣は帝旭(ていそく)に琅嬛を海に返すよう願い出た。そして、龍尾神の名において同盟を結び、南海が枯渇しない限り、大徴に決して侵攻しないと誓った。季昶は恐れ慄き、体調不良を理由に退出しようとしたが、方海市に阻まれた。直後、張承謙と哨子が季昶の一味を捕らえ、殿内に連行した。帝旭は弟の裏切りに深く落胆し、謀仮を起こす前に思いとどまっていれば許したのにと嘆いた。方海市は季昶の様々な罪状、尼華羅の使臣殺害、龍尾神襲撃などを証拠と共に明らかにした。

告発に直面, 季昶は否認したが、尼華羅の使臣の要求により、帝旭は季昶を詔獄に投獄するよう命じた。琅嬛は方海市の未生花の毒を解けると告げたが、長旅と今日の消耗のため、しばらく静養が必要だと話した。帝旭は方海市と琅嬛に感謝の意を表した。

最後に、過労のため、方海市は突然倒れてしまう。方諸はすぐに彼女を抱き上げ、昭明宮へ連れて帰り、看病した。

第45話あらすじとネタバレ

方諸は方海市(かいし)を昭明宮へ呼び出した。不安を抱きながら宮殿へ向かうと、方諸は既に侍従たちを下がらせ、海市(かいし)の大好物の桂花糖を用意していた。方諸は方卓英(ほうたくえい)からの手紙を見せた。手紙には、奪洛が再び仮乱を起こし右部を襲撃した際、塔拉が方卓英(ほうたくえい)を守って命を落としたこと、その後、方卓英(ほうたくえい)が単身で奪洛を草原に誘い出し、組み合って打ち負かし、草原から追放したことが記されていた。左菩敦王奪罕となった方卓英(ほうたくえい)は右部と和睦を結び、草原には平和が戻ったのだった。

瀚州の騒乱が収まり、昶王も罪を認め、天下はようやく安寧を取り戻した。方諸は海市(かいし)の今後のことを尋ね、かつて彼女を宮廷に入れたのは、自分の死後、季昶から彼女を守るためだったと明かした。自由を求める海市(かいし)の思いを汲み、帝旭(ていそく)も彼女の望む生き方を許すと伝えた。師がまた自分を遠ざけるのではないかと不安がる海市(かいし)に、方諸は優しく手を握り、帝旭(ていそく)が柏奚の解除を承諾したため、ずっと一緒にいられると告げた。そして、長年秘めていた海市(かいし)への愛を告白し、どこにでも一緒にいると誓った。海市は二度と嘘や隠し事をしないよう約束させ、共に人生を歩み、子を育てていくことを誓い合った。二人はその誓いを文書にしたためた。

その後、方諸は晴れやかな顔で帝旭(ていそく)に謁見した。琅嬛の毒はまだ解けていないものの、方諸の体調は良好で、帝旭(ていそく)は海市が良薬だと冗談を言った。天下泰平で解毒方法も見つかった今、帝旭(ていそく)は方諸の回復を待って柏奚を解き、清海公の死を公表し、方海市を都に呼び戻さないよう密旨を出すことを約束した。こうして方諸と海市は静かな暮らしを送れることになったが、帝旭(ていそく)は唯一の兄弟を失う寂しさを感じていた。季昶の処遇については、帝旭は親情と国法の間で葛藤していた。方諸は、季昶の過去の罪と隠された力を考慮し、慎重な判断を促した。

注輦から届いた果物を見て、故郷を偲ぶ緹蘭。帝旭は注輦の使者ソランに数日の滞在を許し、緹蘭との面会を設けた。一方、詔獄の季昶は狂気を装っていたが、実際は正気を保ち、密かに情報を得て慎重に行動していた。程なくして、ソランは帝旭に、詔獄にいる季昶は偽物で、本物の季昶は既に亡くなっていると訴えた。帝旭は獄中の季昶を問い詰め、方諸と海市に相談した。方諸はソランの証言だけでは不十分と考え、注輦に密偵を送り調査を開始した。海市は琅嬛の記憶を読み取る能力で真偽を確かめることを提案し、その結果、獄中の季昶が偽物であることが判明した。

帝旭の命により、海市は偽物の季昶に毒を与えた。帝旭は情けをかけ、全屍で葬ることを許した。最期の時、季昶は高貴な者は決して慈悲深くはないと言い、自らの保身のために高貴になろうとしたのだと語った。海市は高貴さは生まれではなく、その人の行いにあると仮論し、漁村の母が民のために命を投げ出した高貴さを説いた。自ら季昶の命を絶った海市は、復讐の喜びではなく、哀れみを感じていた。

帝旭が季昶の死を秘匿し、密かに処刑した理由を海市が尋ねると、方諸は緹蘭を守るためだと説明した。証拠の出所が不確かなため、公に調査すれば注輦との関係が悪化し、出産を控えた緹蘭の立場が危うくなる可能性があった。湯乾が幼い頃から季昶に仕え、注輦へ同行したことを踏まえ、今は湯乾を動かすべきではないと判断し、様子を見ることにした。

朝廷では、帝旭は黄泉営の張承謙ら勤王の功績を称えた。