与鳳行(よほうこう)あらすじ25話・26話、ネタバレ

第25話あらすじとネタバレ

時の流れ、交錯する運命

三ヶ月後、苻生(フー・シェン)は復活の力を持つとはいえ、沈璃(シェン・リー)が東海で放った炎は凄まじい威力だった。墨方(ボク・ホウ)を守るため、彼は身を挺して炎を防ぎ、墨方(ボク・ホウ)の体を利用して沈璃(シェン・リー)にダメージを与えようとした。しかし、墨方(ボク・ホウ)は断固としてこの行為に仮対し、無理やり苻生(フー・シェン)を体から追い出し、沈璃(シェン・リー)に手を出してはならないと非難した。苻生(フー・シェン)は自分の行いは全て正しいと信じ、生涯墨方(ボク・ホウ)に尽くしてきたにもかかわらず、何度も妨害されていると感じていた。

千年の誓いと裏切り

千年前、行止(コウ・シ)が墟天淵(きょてんえん)を開闢して魑魅(チミ)を封じ込めた時、苻生(フー・シェン)は幼い墨方(ボク・ホウ)を連れてその場から逃走した。墟天淵(きょてんえん)の外にいる行止(コウ・シ)を見つめながら、苻生(フー・シェン)は密かに彼を仇敵と見なすと誓った。その後三百年間、苻生(フー・シェン)は自らの心臓の血で墨方(ボク・ホウ)を養い、彼の心疾を治療した。未来の復讐計画のため、墨方(ボク・ホウ)を霊界に送り込み軍に入隊させた。

しかし、時が経つにつれ、墨方(ボク・ホウ)は戦友たちの誠意に心を打たれ、いつしか沈璃(シェン・リー)を愛するようになっていた。そのため、苻生(フー・シェン)は墨方(ボク・ホウ)に六冥(リウミン)王を救い出す任務を忘れるなと絶えず促した。墨方(ボク・ホウ)が次第に愛の沼に沈んでいくのを見て、苻生(フー・シェン)は彼に戦友を殺させ、霊界との繋がりを断ち切らせようと企てた。苻生(フー・シェン)の要求に、墨方(ボク・ホウ)は恐怖を感じ、認めようとはしなかった。

抗えない運命

子夏(ズー・シャ)が墟天淵(きょてんえん)を調査しに来た際、様子を見に来ていた墨方(ボク・ホウ)と遭遇し、誰かが彼を「少主」と呼ぶのを耳にした。そして、信じられないことに彼が六冥(リウミン)の子であることを知った。実際、子夏(ズー・シャ)は魑魅(チミ)に殺されたのではなく、墨方が毒を盛ったのだった。この一件により、彼は二度と沈璃(シェン・リー)に近づくことができなくなり、逃れられない運命を背負うこととなった。

霊力が失われても、希望は消えず

一方、満身創痍の沈璃(シェン・リー)は陣に囲まれた場所に囚われていた。目を覚ました彼女は、全ての霊力と五感が失われていることに気づき、かろうじて周囲の音を聞くことしかできなかった。彼女と共に囚われていたのは北海三皇子、北小炎だった。彼は既に運命を受け入れ、自分の霊丹を渡し、一刻も早くこの場を離れることだけを考えていた。北小炎は沈璃(シェン・リー)に敵の要求を受け入れるよう説得したが、彼女は希望を捨てていなかった。霊界の霊尊(レイソン)、肉丫(ロウ・ヤー)と嘘嘘、そして仙界の神獣、そして常に心に懸けている行止(コウ・シ)のことを思い、行止(コウ・シ)が三界の衆生に神として接してくれることを願っていた。

行止(コウ・シ)の目覚めと後悔

東海王宮では、東海の封印を解いた後、気を失っていた行止(コウ・シ)がついに目を覚ました。東海龍王は喜び勇んで、沈璃(シェン・リー)の赤羽槍の破片が見つかったと告げたが、既に元の形は留めていなかった。行止(コウ・シ)は赤羽槍の破片にそっと触れ、沈璃(シェン・リー)への扱いを後悔し、深い悲しみに包まれた。拂容(フウ・ヨウ)は、行止(コウ・シ)の沈璃(シェン・リー)への好意は三界の誰もが知るところだと述べたが、行止(コウ・シ)は沈璃(シェン・リー)がもうこれら全てを見ることはないと嘆いた。

苦難の中での信念

極寒の鉄鎖に縛られる時間が長くなるにつれ、沈璃(シェン・リー)の体内の火灼の力は徐々に抑えられ、五感も次第に失われていった。北小炎は脱出は不可能だと悟り、沈璃に錬成を受け入れるよう勧めた。しかし、沈璃は運命に屈せず、必ず脱出する方法があると信じていた。たとえ仙界の人間に遭遇しても助けを求めることができると考えていた。墨方に憑依した苻生(フー・シェン)は沈璃を拷問し続け、碧海蒼珠を渡すよう迫った。当初、苻生(フー・シェン)は陣を使って沈璃を錬成しようとしたが、効果が薄いため毒針を使って拷問することにした。北小炎はこの光景を目の当たりにし、恐怖で耳を塞ぎながらうずくまっていた。沈璃は目が見えなくても、肉体的な苦痛は容赦なく襲いかかった。

第26話あらすじとネタバレ

沈璃(シェン・リー)の苦しむ姿を見て、墨方(ボク・ホウ)は心の葛藤に耐えかね、自らの身体の製御を取り戻し、彼女を傷つけるのをやめた。この一部始終を目撃した北小炎は、先ほどまで悪戯っぽく笑っていた墨方(ボク・ホウ)が突如苦しみ出し、沈璃(シェン・リー)を一瞥した後、急いで立ち去る様子に驚愕した。北小炎は沈璃(シェン・リー)にまだ耐えられるかと尋ねるが、彼女は毅然とした態度で立ち上がり、なぜ北海王族を裏切ったのかと問いただした。北小炎は、自分が痛みに弱く、王族の中でも冷遇されていたため、北海への思い入れは深くないと白状した。しかし、沈璃(シェン・リー)は裏切りは決して許されないこと、悪人の脅威に屈することなく、碧海蒼珠を渡すくらいなら自らの命を犠牲にする覚悟だと断言した。沈璃(シェン・リー)の揺るぎない意誌に、北小炎は心を打たれた。

碧海蒼珠を手に入れるため、苻生(フー・シェン)は糸の陣を張り、三日もすれば沈璃(シェン・リー)の体内の宝物を精錬できると墨方(ボク・ホウ)に告げた。沈璃(シェン・リー)は墨方(ボク・ホウ)にとって心の支えだった。彼は苻生(フー・シェン)の隙を突き、密かに牢に潜入して陣を解き、沈璃(シェン・リー)を連れて脱出した。それを見た北小炎も一緒に逃げることを提案し、墨方(ボク・ホウ)が拒否しなかったため、彼の後を追った。

墨方(ボク・ホウ)は沈璃(シェン・リー)を海辺に連れて行き、何かを言おうとしたその時、苻生(フー・シェン)が再び彼の身体を乗っ取ろうとした。意識を取り戻した沈璃(シェン・リー)は、墨方(ボク・ホウ)が自分を助けてくれたことに気づき、彼が苻生(フー・シェン)を裏切ったのではないかと推測した。たとえそうであっても、霊族(レイゾク)と仲間を裏切ったことは許されることではなく、もし赤羽槍を取ることができれば、必ず彼と戦うと心に誓った。墨方(ボク・ホウ)は必死に身体を製御し、追手が迫っていること、玄鉄釘を抜く時間がないことを告げ、急いでその場を去った。沈璃(シェン・リー)はまだ何かを言おうとしたが、そのまま倒れ込み、鮮血が東海に流れ込んだ。

東海で静養していた行止(コウ・シ)は、突如懐かしい気配を感じ、周囲を探し始めた。案の定、ある岩礁の傍らで沈璃(シェン・リー)を発見し、胸を締め付けられる思いで彼女を抱き上げ、玄鉄釘を抜こうとしたが、彼女の苦痛の声に手を止めた。沈璃が弱音を吐くことは滅多になく、その姿に心を痛めた行止(コウ・シ)は、今後彼女をあらゆる危害から守ると心に誓った。

再び目を覚ました沈璃は、何も見えず、何も聞こえず、墨方(ボク・ホウ)が戻ってきたと勘違いした。たとえ墨方(ボク・ホウ)が自分を助けたとしても、将来戦場で出会えば容赦しないと告げた。行止(コウ・シ)は一刻も早く沈璃を治療に連れて行こうと、彼女を抱えて安全な場所へ向かった。沈璃は抱き上げているのが墨方(ボク・ホウ)ではないことに気づき、相手の意図を尋ね、漁師だと勘違いした。沈璃が何も見えず、何も聞こえないため、行止(コウ・シ)は漁師のふりを続けることにした。

静かな小院で、沈璃は寝台に横たわり身動きが取れなかった。周囲は見えないものの、ここは見覚えのある場所だと感じていた。三日経っても視力は回復せず、彼女は一刻も早く霊界に戻りたいと願った。王尊は自分が既に亡くなったと思っているだろう、仙界の人々は自分に無関心で、行止(コウ・シ)以外、会うたびに怪我をしている。しかし、行止(コウ・シ)はいつも自分が一番必要としている時に現れる。

深く考えないようにした沈璃は、目が見えなくても自分を世話している人がとても細やかな気遣いをしていると感じ、痛覚が戻る前にぐらついている玄鉄釘を抜いてほしいと頼んだ。行止(コウ・シ)は承諾し、慎重に作業を進めた。その過程で、沈璃は涅槃重生し、鳳凰の羽根を放ち、体内に激しい熱を感じた。行止(コウ・シ)は羽根に触れ、術で彼女の熱を冷まし痛みを鎮めた。彼女の苦しむ姿を見るのは、耐え難いものだった。ついに全ての玄鉄釘が抜かれ、行止(コウ・シ)は急いで沈璃の出血を止めた。沈璃は朦朧とする意識の中で、自分が小院に戻ってきたように感じ、行止(コウ・シ)の腕の中にいる心地よさに浸っていた。そうあるべきではないと分かっていながらも、この夢の中に溺れていたいと願った。

日が経つにつれ、沈璃はまだ目を覚まさず、行止(コウ・シ)は不安を募らせていた。その時、沈璃は既に視力を取り戻していたが、光に慣れておらず、少し眩しさを感じていた。彼女は弱々しく起き上がり、命の恩人に会いたい一心で窓の外を見ると、魚に餌をやっている行止(コウ・シ)の姿が目に入った。天は自分を見捨てていなかったのだと、安堵の気持ちで胸がいっぱいになった。行止が重大な任務を背負っていることを知っている沈璃は、彼が身分を明かさないのなら、自分もそれに合わせ、この貴重な時間を大切に過ごそうと決めた。

沈璃が物が見えるようになったと聞いて、行止は慌てて炭のように黒い漁師、余一に変身した。漁師の姿をした行止を見て、沈璃は笑いをこらえ、彼の芝居に合わせた。