与鳳行(よほうこう)あらすじ21話・22話、ネタバレ

第21話あらすじとネタバレ

西苑に戻った沈璃(シェン・リー)は、門口に自分の好物の料理が並んでいるのを見て、きっと行止(コウ・シ)が用意してくれたのだろうと思いました。振り返ると、案の定、行止(コウ・シ)がちょうど戻ってきたところでした。沈璃(シェン・リー)は静かに部屋に戻り、食事を始めました。行止(コウ・シ)は手に持った傷薬を見ながら、感情を抑えなければならないと自分に言い聞かせながらも、沈璃(シェン・リー)に伝えたい言葉が胸に溢れていました。沈璃(シェン・リー)の想いを無駄にしたくはありませんでしたが、肩に担う責任ゆえに言葉にすることができず、苦しい思いでいっぱいでした。

食事を終えた沈璃(シェン・リー)は部屋から出て、行止(コウ・シ)がよく行く場所がますます気になり、封印を解いて中に入りました。そこには多くの古代神の神牌が祀られており、古代神を祭る場所だと沈璃(シェン・リー)は推測し、恭しく神々へ礼をしました。すると突然、幾つかの神牌が彼女の周りを回転し始め、その中の一つ、「千機(チェン・ジー)」という名の神牌が沈璃(シェン・リー)の前に止まりました。好奇心に駆られた彼女はそっと触れると、目の前に現れたのは行止(コウ・シ)が生まれた時の光景。それは古代神が残した記憶の断片でした。沈璃(シェン・リー)はそれらの記憶に引き込まれ、行止(コウ・シ)の成長と過去を見て、思わず笑みを浮かべました。同時に、ここは悪意ある侵入から守るため、結界を張るべきだと気づきました。

沈璃(シェン・リー)が結界の設置方法を考えていると、背後から行止(コウ・シ)の声が聞こえました。彼は沈璃(シェン・リー)に、ここに勝手に来るべきではないと咎める素振りを見せながら、せっかく来たのだから一緒に祭拝しようと誘いました。行止(コウ・シ)には神牌という寄り添うものがあるとはいえ、孤独を感じていました。大きな責任を背負い、友と呼べる存在もいません。沈璃(シェン・リー)がそのことについて尋ねると、行止(コウ・シ)は責任の重さを語り、できる限り全てのことを全うし、寿命が尽きたら残りの神力を世に残すと答えました。そして、神君が神格を失えば、この世に残した神力も消滅すると付け加えました。それを聞いた沈璃(シェン・リー)は、墟天淵(きょてんえん)の封印が行止(コウ・シ)の寿命と共に消えてしまい、霊界全体が危険にさらされることを心配しました。行止(コウ・シ)は、墟天淵(きょてんえん)は五行の力で封印されており、霊界と密接に繋がっているため、小さな空間であっても霊界の安全を完全に保障することはできないと説明しました。沈璃は行止(コウ・シ)の考えを理解し、より大きな利益のためには犠牲が必要なことを知り、霊界の安寧のために行止には必ず天寿を全うしてほしいと伝えました。

幽蘭(ユウ・ラン)の言葉を思い出し、沈璃は行止に何かあってほしくないという思いをさらに強くしました。彼の存在は三界の平和に関わっているからです。行止もまた、沈璃を好きになってはいけないと思いながらも、彼女に惹かれてしまう自分の矛盾する心に苦しんでいることを打ち明けました。沈璃は行止の行動が理解できないと感じ、以前は彼から別れを告げられ、その後彼から近づいてきて、そして今はまた彼から突き放されていると感じていました。行止は、沈璃への想いを抑えきれないのかもしれないと認めました。それを聞いた沈璃は、二人の間の繋がりを自ら断ち切ると宣言しました。

沈璃が去ろうとした時、行止は、自分が神牌に現れた時には時々見に来てほしい、そうすれば寂しくないだろうと頼みました。沈璃は口では断りましたが、心の中では行止を深く思いやっており、静かにその場を去りました。行止は彼女の後ろ姿に、もし彼女が頻繁に見に来てくれるなら、ここに残っても寂しくないだろうと呟きました。

百花宴(ひゃっかえん)の前夜、沈璃は空腹で食べ物を探していると、幽蘭(ユウ・ラン)が食べ物を差し出してくれました。沈璃は少し不思議に思いました。酔いが覚めた時には既に宴は始まっており、彼女は屋根の上に飛び乗りました。九重天(きゅうじゅうてん)が賑やかに百花宴を祝っている最中、殿の外から火球が飛来してきました。沈璃は霊界に戻ろうとしましたが、火球が西苑を攻撃するのを見て、古代神を祀る場所が被害を受けることを心配し、すぐに引き返して結界を張りました。仙殿はこの知らせを受け、天君(テンくん)は沈璃と祀られている場所の安全を考慮し、行止に対策を尋ねましたが、彼は既にいつの間にか姿を消していました。

沈璃は一人で立ち向かい、仙界からの援軍がないことを悟ると、西苑を守るために全力を尽くし、自らを危険に晒しました。沈璃がもはや限界かと思ったその時、神牌が力を貸してくれたのか、そして行止も駆けつけ、危機を難なく回避しました。沈璃は、なぜ古代神が情を交わしてはいけないのかを理解しました。私情に溺れれば、三界の安定が揺らぎかねないからです。体力の限界で屋根から落ちた沈璃を行止はすぐに受け止め、なぜそこまでして西苑を守ったのかを尋ねました。沈璃は弱々しく、行止の唯一の拠り所を失わせたくなかったと答えました。

第22話あらすじとネタバレ

沈璃(シェン・リー)の帰還と決意

傷ついた沈璃(シェン・リー)は徐々に回復するも、焦燥感は募るばかり。一刻も早く布結界の行止(コウ・シ)の元を離れ、霊界の緊急事態に対処したいと願う。幽蘭(ユウ・ラン)は天君(テンくん)が沈璃(シェン・リー)を探していることを伝え、行止(コウ・シ)はやむなく彼女の出発を許す。

天君(テンくん)から伝えられたのは、仙界が霊界からの警報を受け取ったという衝撃的な事実。北海一族の奇襲により霊都は壊滅状態、霊尊(レイソン)は昏倒し、十数名の将軍が戦死したという。知らせは既に五日前のものであった。沈璃(シェン・リー)は前回の仙界への攻撃が陽動作戦であり、真の標的は霊界だったと悟り、即座に帰還を願い出て霊界へと旅立つ。

行止(コウ・シ)の迷いと別れ

九重天を去ろうとする沈璃(シェン・リー)を、行止(コウ・シ)は見送りに現れる。沈璃(シェン・リー)に言葉をかけずにただ見つめる行止(コウ・シ)。沈璃(シェン・リー)は行止(コウ・シ)の傍らを通り過ぎ際に短い感謝の言葉を述べ、急ぎ霊界へと向かう。彼女の後ろ姿を見つめ、行止(コウ・シ)は複雑な思いを抱え、自らの感情を抑えなければならないと自覚する。

霊界の惨状と沈璃(シェン・リー)の奔走

霊界に到著した沈璃(シェン・リー)が目にしたのは、荒廃した霊都と難民となった民衆、そして士気を失った兵士たちの姿だった。沈璃(シェン・リー)はまず兵士たちの士気を鼓舞し、次に毒に侵され昏睡状態にある霊尊(レイソン)を見舞う。解毒薬が見つかっていないことを知り、天君(テンくん)から授かった仙薬を霊医に託す。霊尊(レイソン)の容態は依然として予断を許さないものの、軍営の状況が芳しくないことを聞き、沈璃(シェン・リー)は自ら軍営へと赴き、兵士たちを激励する。

真相究明と復讐の誓い

尚北をはじめとする将軍たちの不安そうな表情を見て、沈璃(シェン・リー)は事の顛末を尋ねる。わずか二百人ほどの南方からの謎の部隊が、霊界に甚大な被害を与えたという。彼らは体格が良く、鋭利な武器を操り、多様な戦術を用いる上に、各々が特殊な能力を有していた。黒頭巾を被った指導者は戦闘指揮のみならず、斬首した敵兵と霊尊(レイソン)の金印を持ち去ったという。沈璃は単純な権力争いではなく、背後に何か深い目的が隠されているのではないかと疑念を抱き、尚北に戦死した兵士たちの元へ案内するように指示する。

テントに入り、かつて共に戦った仲間たちの亡骸を前に、沈璃は深い悲しみに暮れる。墨方(ボク・ホウ)が敵に喰われ、遺体すら残っていないと聞き、沈璃は必ず墨方(ボク・ホウ)を取り戻すと誓う。沈璃は背を向け、人知れず涙を流し、無力感を表す一方で、生きている者を守るために生き続けると決意を新たにする。

軍営に横たわる無数の戦死者とその家族を前に、沈璃は赤羽槍を手に取り、「吾以吾名引忘川」という無敵の術を発動し、亡霊たちを彼岸へと導く。碧蒼王(へきそうおう)として、必ず仇を討つことを誓う。

苻生(フー・シェン)の陰謀と沈璃の行動

沈璃が霊尊(レイソン)を癒す霊薬を持ち帰り、軍営で兵士たちを慰撫し、霊界が急速に活気を取り戻していることを知った苻生(フー・シェン)は、直ちに配下を送り込み、沈璃を罠に嵌め、彼女の体内に宿る碧海蒼珠を奪おうと企む。しかし、これは少主には内緒で行われている秘密工作であった。

内偵者の捜索と出陣準備

霊界の政務を執り行う一方で、沈璃は今回の襲撃の裏に内偵者がいるのではないかと推測する。行方不明者の調査を指示するのと同時に、墟天淵(きょてんえん)へ向かう怪人の一団の知らせが届く。彼らは道中で残虐な行為を繰り返しているという。将軍たちはこぞって出陣を願い出るが、沈璃は自ら軍を率いることを決意する。彼女は既にこれらの怪人と交戦した経験があったからだ。数名の将軍と共に墟天淵(きょてんえん)へと出発し、怪人を生け捕りにして調査するよう指示を出す。

紅原村の祈りと陥落

墟天淵(きょてんえん)の辺境にある紅原村は、老若男女の村民が暮らす小さな村。村長は霊族(レイゾク)軍の勝利を祈願する儀式を執り行う。祈りの後、子供たちが異変に気付く。阿遠という名の少年は黒い影を見て悲鳴を上げ、逃げ出す。やがて、無数の黒い影が紅原村に押し寄せ、村は瞬く間に絶望の淵へと突き落とされる。