第29話あらすじとネタバレ
雷純(らいじゅん)の茶と王小石(しょうせき)の訃報
雷純(らいじゅん)は蔡京(さいきょう)にお茶を点てながら、王小石(しょうせき)の死の真偽を尋ねた。蔡京(さいきょう)は、王小石(しょうせき)が方應看の手によって確かに殺されたと明かした。一見無能に見える方應看の凶暴さに雷純(らいじゅん)は驚いた。蔡京(さいきょう)は、かつて親友同士だった雷純(らいじゅん)が王小石(しょうせき)の死を悲しむだろうと推測した。しかし、雷純(らいじゅん)はそれを否定し、義父を探し始めてからの長い歳月で過去の記憶は薄れ、王小石(しょうせき)の死には悲しみはないと述べた。ただ、この知らせを誰に伝え、誰の心からどのような仮応を引き出すかを考えているだけだと語った。
白愁飛(はくしゅうひ) と蔡京(さいきょう)の取引
一方、白愁飛(はくしゅうひ) は蔡京(さいきょう)の前に連れてこられた。蔡京(さいきょう)は江湖を掌握し、有橋集団をも動かすことができる印鑑を見せた。蔡京は白愁飛(はくしゅうひ) に何を交換条件にするか尋ねたが、白愁飛(はくしゅうひ) は全く興味を示さなかった。蔡京は白愁飛(はくしゅうひ) を挑発し、たとえ自由の身になっても副楼主のままで、それ以上にはなれないと暗示した。白愁飛(はくしゅうひ) は、権勢を握る蔡京がなぜ自分に執著するのか疑問を抱き、自分が悪事に手を染める道具として利用されるだけだと考えた。
かつて仁義を軽んじていた白愁飛(はくしゅうひ)だが、細柳(さいりゅう)鎮で兄弟たちと出会い、人らしく生きることを誓った。兄弟たちさえいれば、何も失うものはないと考えていた。蔡京は白愁飛(はくしゅうひ)が出会ったのが王小石(しょうせき)だと推測し、彼の死を告げた。この知らせに白愁飛(はくしゅうひ)は大きなショックを受け、最後の支えを失ったかのように絶望した。
金風細雨(きんぷうさいう)楼の秘密作戦
諸葛神侯(しんこう)は金風細雨(きんぷうさいう)楼に刑部大牢の配置図を送った。白愁飛(はくしゅうひ)の立場を考慮し、蘇夢枕(そむちん)は偽の騒動を起こして白愁飛(はくしゅうひ)を脱獄させる作戦を提案した。指揮は朱小腰(しゅしょうよう)が執ることになった。しかし、作戦実行直前、無邪は王小石(しょうせき)の死の知らせを受け、特に蘇夢枕(そむちん)には秘密にするよう指示を出した。実は蘇夢枕(そむちん)は昨夜すでにこの事実を知っており、王小石(しょうせき)の死を知った白愁飛(はくしゅうひ)が耐えられるか心配し、救出作戦の迅速化を命じていた。
そして、白愁飛は王小石(しょうせき)の死を知り、完全に心が砕けた。
溫柔(おんじゅう)と方應看の対決
溫柔(おんじゅう)は方應看に木に縛り付けられ、挑発を受けながらも涙をこらえ、屈服しなかった。方應看は13歳の時に人を崖から突き落とした話を語り、冷酷さを誇示した。溫柔(おんじゅう)は彼の残忍さを非難したが、方應看は復讐を望むなら体力を温存するべきだと忠告した。復讐のため、溫柔(おんじゅう)はやむを得ず食べ物を口にした。
方應看の隙を突き、溫柔(おんじゅう)は縄を解こうとしたが、すぐに発見された。方應看は逃げるのではなく、自分の「妻」になるように言った。溫柔(おんじゅう)は彼を蔡京の犬と罵り、彼の逆鱗に触れた。王小石(しょうせき)から教わったサバイバル術を使い、松脂で火を起こし、脱出に成功した。
王小石(しょうせき)の生存
崖から落ちた王小石(しょうせき)は奇跡的に生きていた。洞窟の中で目を覚まし、脱出方法を考えたが、うまくいかなかった。洞窟の中で先人の遺骨を見つけ、自分もこのままでは同じ運命を辿ると悟った。
溫柔(おんじゅう)は王小石が落ちた崖で彼の名を呼び、幸運にも返事が返ってきた。二人は互いの位置を確認し、王小石は溫柔(おんじゅう)にまず休むように言った。溫柔(おんじゅう)は重傷を負っていたが、王小石への想いを伝えた。王小石も溫柔(おんじゅう)への気持ちを告白し、過酷な状況の中で二人は愛を確かめ合った。
溫柔(おんじゅう)は王小石に教わったサバイバル術で安全な場所を見つけ、傷の手当てをし、木に「不離不棄」の言葉を刻んだ。
第30話あらすじとネタバレ
崖下からの救出
溫柔(おんじゅう)は王小石(しょうせき)の安否を気遣い、眠気をこらえていた。野営地に戻ると、テントを解体し、布を裂いて繋ぎ合わせ、ロープを作った。一方、崖下に落ちた王小石(しょうせき)は、先輩の教えを受け、刀剣の道を悟っていた。溫柔(おんじゅう)は自作の布ロープを崖下に垂らし、安全な場所に固定した。全てを終えると、彼女はついに力尽き、倒れ込んでしまった。
布ロープを伝って崖を登ってきた王小石(しょうせき)は、倒れている溫柔(おんじゅう)を見つけ、驚き心配しながらすぐに抱き起こし、彼女の無事を確認した。
方應看の心の傷
方應来は崖っぷちの布ロープを見て、溫柔(おんじゅう)がまだ人を救うだけの力を持っていたことに安堵し、大事には至っていないだろうと考えた。崖下に降りると、彼は一つの髑髏を見つけた。それは彼の心の影、方歌吟(ほうかぎん)だった。方歌吟(ほうかぎん)に不満を抱いていた方應看は、自分が方歌吟(ほうかぎん)にとってただの養子に過ぎないという事実に憤りを感じていた。ついに、その仕打ちに耐えられなくなった方應看は方歌吟(ほうかぎん)を殺害し、今となっては後戻りはできない。方歌吟(ほうかぎん)の実の息子を殺し、復讐を完遂することを決意する。
吹雪の中での懸命な努力
溫柔(おんじゅう)を背負いながら困難な道のりを進む王小石(しょうせき)は、激しい吹雪に見舞われながらも、どうにか薪を集めたが、火打石に火がつかない。寒さで震える溫柔(おんじゅう)を見て、王小石(しょうせき)は彼女を強く抱きしめ、体温で温めるしかなかった。彼は溫柔(おんじゅう)に「頑張って生きよう。きっとこれから、たくさんの良い時を一緒に過ごせる」と励ました。
白愁飛(はくしゅうひ) の心の葛藤
白愁飛(はくしゅうひ) は自称白高唐(はくこうとう)という男に出会う。白高唐(はくこうとう)は、白愁飛(はくしゅうひ) に「取るに足らない原則のために命を懸ける必要はない。出世の機会があれば、それを掴むべきだ。高い地位に立つ者だけが道義を定めることができる」と説得する。白高唐(はくこうとう)は若い頃に都を駆け抜けた日々を思い出し、当時、壁に文字を刻み、白愁飛(はくしゅうひ) と名乗ったことを語った。今となっては、それは若気の至りだと感じていた。実際、白高唐(はくこうとう)とは白愁飛(はくしゅうひ) の心の投影であり、彼の精神的な苦悩の産物だった。
一方、王小石(しょうせき)は白愁飛(はくしゅうひ) の夢を見る。どんなに呼びかけても、白愁飛(はくしゅうひ) は振り返らない。白愁飛(はくしゅうひ) の心の中の灯は消え、彼は闇に囚われ、冷酷無情(むじょう)になっていた。
師匠による救助
白衣居士は王小石(しょうせき)と溫柔(おんじゅう)を救出し、溫柔(おんじゅう)の治療にあたった。溫柔(おんじゅう)は刀傷に加え、その後、風邪をこじらせて重症化していた。師匠は使える薬を全て使ったが、回復できるかどうかは溫柔(おんじゅう)自身の意誌力次第だった。師匠は二人の若者の深い愛情を見抜き、王小石(しょうせき)は溫柔(おんじゅう)の傍をずっと守ると誓った。
劉世安(りゅうせいあん)の秘密
白衣居士は王小石(しょうせき)と溫柔(おんじゅう)を関所から送り出そうとする。同時に、自分は諸葛神侯(しんこう)に頼まれ、劉世安(りゅうせいあん)大人を関所内で待ち構えていることを明かす。劉世安(りゅうせいあん)という名前に聞き覚えのある王小石(しょうせき)は、かつて有橋集団に追われていた劉世安(りゅうせいあん)を蘇夢枕(そむちん)が関所外へ護送したことを思い出した。今回の帰還は、蔡京(さいきょう)を倒すための重要な証拠を手に入れるためだった。その証拠は、蔡京(さいきょう)が密かに義軍を壊滅させ、忠臣を陥れていた事実を明らかにするもので、入手できれば王小石(しょうせき)の汚名返上となる。
白愁飛(はくしゅうひ) の選択
蔡京(さいきょう)は白愁飛(はくしゅうひ) に、望むものは何でも与えると約束し、「どこまでやれるか」と尋ねる。白愁飛(はくしゅうひ) は「六親を捨て、情義を断ち切ることすらできる」と答える。朱小腰(しゅしょうよう)は、王小石(しょうせき)が生きていれば必ず白愁飛(はくしゅうひ) を救おうと命を懸けるだろうと分かっていたが、今は自分が不在の王小石(しょうせき)の代わりにその願いを葉え、白愁飛(はくしゅうひ)を救い出す決意をする。
しかし、朱小腰(しゅしょうよう)が仲間と共に白愁飛(はくしゅうひ)を救出しようとした時、白愁飛(はくしゅうひ)の仕掛けた罠にかかり、捕らえられてしまう。かつての仲間からの非難に対し、白愁飛(はくしゅうひ)は完全に変わり果てた決意を示し、朱小腰(しゅしょうよう)の目の前で龍嘯青を殺害する。過去の情誼を完全に捨て去ったことを示したのだった。
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