第37話あらすじとネタバレ
柳維揚(りゅういよう)は顔淡(がんたん)に化け、お茶に睡眠薬を混ぜ、唐周(とうしゅう)と余墨(よぼく)が眠っている間に神器「楮墨」を盗み出した。顔淡(がんたん)は唐周(とうしゅう)に淡い恋心を抱いているが、自分は妖で、唐周(とうしゅう)は捉妖師という身分の違いから、一緒になることはできないと自分に言い聞かせている。さらに、唐周(とうしゅう)の心には別の想い人がいるため、顔淡(がんたん)は恋に溺れることを避けようとしている。彼女は芝居の脚本作りに打ち込み、この経験がより深く感動的な作品を生み出す助けになると考えている。
かつて花精族の一員で、應淵に仕えることを誇りとしていた螢灯は、今は半人半妖となり、二度と應淵に屈しないと誓っている。彼女は冥力を使って器霊を修復し、顔淡(がんたん)と應淵に受けた苦しみを百倍にして返すと誓っている。顔淡(がんたん)、唐周(とうしゅう)、余墨(よぼく)の三人が柳維揚(りゅういよう)を探すと、彼は既に姿を消していた。唐周(とうしゅう)は昨夜の出来事が柳維揚(りゅういよう)の仕業だと気づいた。なぜなら、彼は「如願酒」を飲んでいなかったからだ。余墨(よぼく)は、柳維揚(りゅういよう)が何かを隠しており、「楮墨」を手に入れるために彼らを利用したのではないかと推測し、魔族との繋がりを疑う。
顔淡(がんたん)は自分が天界の上仙だと偽り、土地神から県誌を取り出し、長生帝君が邪神を封印するために「楮墨」を使って邪神の力の源を断ったことを知る。余墨(よぼく)は、柳維揚(りゅういよう)が魔相から力を吸収できるのに、なぜ「楮墨」を盗む必要があるのか理解できない。唐周(とうしゅう)は、小仙から「楮墨」は万物を蘇らせる力があると聞いたことを思い出し、柳維揚(りゅういよう)が邪神と交換したり、戦死した魔族を蘇らせようとしているのではないかと推測する。
余墨(よぼく)は柳維揚(りゅういよう)の胸にある万魔の眼の印を思い出し、彼が邪神そのものなのではないかと考える。顔淡(がんたん)は土地神に仙魔大戦の歴史を尋ね、仙子・陶紫炁の死がきっかけで始まったことを知る。陶紫炁は仙界と魔界を行き来する中で邪神を愛するようになったが、魔族に騙され、暗殺者として濡れ衣を著せられ、仙魔大戦の導火線となった。実際には、陶紫炁の死は魔族が仮乱を起こすための口実であり、多くの魔族は邪神が彼女を殺害する場面を目撃していた。大戦後、全ての魔族の戦犯は生死の境に追放され、永遠に輪廻の輪から外された。
もし柳維揚(りゅういよう)が本当に邪神なら、「楮墨」を盗んだ目的は魔族の魂を集め、再び天界に戦いを挑むためかもしれない。危険な旅路を考慮し、余墨(よぼく)と唐周(とうしゅう)は顔淡(がんたん)を同行させないことにする。唐周(とうしゅう)は、上神の力を持つ邪神に勝てるとは限らず、もし敗れた場合、顔淡(がんたん)が天界に報告できると言う。それでも顔淡(がんたん)は、いざという時に役に立つと主張し、同行を希望する。余墨(よぼく)は表面上は同意するが、夜にこっそり出発するつもりだった。しかし、顔淡(がんたん)は彼らの計画を見抜き、こっそりと後を追う。
夜忘川の陰陽関に著くと、一行は毒霧に襲われる。顔淡(がんたん)は機転を利かせ、唐周(とうしゅう)を毒から守る。この出来事で、彼女は唐周(とうしゅう)の法環の変化に気づき、彼に想われていることを知る。
尸骨山で柳維揚(りゅういよう))と対峙すると、彼は自分の正体を明かし、「楮墨」を盗んだのは魔族の軍隊を復活させるためではなく、陶紫炁の魂を呼び戻すためだと説明する。玄襄(げんじょう)/柳維揚(りゅういよう)は自分が陶紫炁を殺したことはなく、烁驊が傀儡術を使って自分を装い、殺害したのだと主張する。陶紫炁は自分を邪神ではなく人間として見てくれた唯一の女性だったため、玄襄(げんじょう)/柳維揚(りゅういよう)は彼女の願いを葉え、仙魔大戦を防ごうとした。そのため、彼は万魔の眼を二つに分け、自分が邪神である限り戦争を起こさないと約束した。
しかし翌朝、玄襄(げんじょう)/柳維揚(りゅういよう)が目覚めると陶紫炁の姿はなく、まもなく烁驊が現れ、完全な万魔の眼を手にした。玄襄(げんじょう)/柳維揚(りゅういよう)は邪神殿に幽閉され、烁驊は彼の名を使って仙魔大戦を開始した。数ヶ月後、魔族は大敗し、長生帝君は「楮墨」を使って魔相を鎮圧し、魔界の大部分は廃墟と化した。玄襄(げんじょう)/柳維揚(りゅういよう)は記憶を失う前に、陶紫炁が戦場で戦旗の生贄として殺され、死ぬまで自分を殺したと思い込んでいたことを知る。
今、玄襄(げんじょう)/柳維揚(りゅういよう)は同生共死の法陣を仕掛け、「楮墨」を使って陶紫炁を蘇らせようとしている。皆が協力すれば、共に無事に脱出できるが、そうでなければ共に消滅してしまう。余墨(よぼく)は玄襄(げんじょう)/柳維揚(りゅういよう)にチャンスを与えるべきだと考え、玄襄(げんじょう)/柳維揚(りゅういよう)も蘇ったのが陶紫炁でなければ儀式を中断し、どんな罰も受けると約束する。
陶紫炁の魂を探す途中、顔淡(がんたん)が落下しそうになった時、唐周(とうしゅう)はとっさに彼女の手を掴んだ。この瞬間は彼の夢と重なり、顔淡(がんたん)は唐周の法環が再び動いたことに気づき、彼が危険な状況で自分を助けようとしたことで、彼の気持ちを確認する。唐周は手を強く握りしめ、顔淡(がんたん)への想いを示し、顔淡(がんたん)もまた、唐周の心の中に自分の居場所があることを確信する。
第38話あらすじとネタバレ
唐周(とうしゅう)、余墨(よぼく)、そして玄襄(げんじょう)/柳維揚(りゅういよう)は協力して楮墨を使い、陶紫炁を蘇生させた。陶紫炁の姿を見た玄襄(げんじょう)/柳維揚(りゅういよう)は、かつて戦場で彼女を殺めたのは自分ではないと必死に説明した。陶紫炁はそれを理解していた。たとえ相手が玄襄(げんじょう)/柳維揚(りゅういよう)の姿をしていても、それは本当の玄襄(げんじょう)/柳維揚(りゅういよう)ではないと見抜いていたのだ。彼女は仙魔大戦の結果を尋ね、仙界の勝利を知ったが、その表情は喜びに満ちているとは言えなかった。
唐周(とうしゅう)の法環が再び震えるのを見て、顔淡(がんたん)は胸を痛めた。たとえ唐周(とうしゅう)の心に想人がいても、目の前の大切な人を大切にするべきだと彼女は考えていた。蘇ったばかりの陶紫炁は、魂魄が長い間尸骨山に囚われていたため、体内の陰気が強すぎる状態だった。玄襄(げんじょう)/柳維揚(りゅういよう)は一刻も早く彼女を夜忘川から連れ出そうとした。顔淡(がんたん)は陶紫炁の顔に、かつて自分が持っていたのと同じ青斑が現れていることに気づき、記憶を失う前、自分もここに来たことがあるのではないかと推測した。真実を探るため夜忘川を訪れた顔淡(がんたん)は、唐周(とうしゅう)も後を追って来ていることに驚く。彼女は唐周(とうしゅう)に、この場所に対して何故か懐かしい気持ちを抱いていることを伝えた。そして唐周(とうしゅう)もまた、川辺で提灯を持って川を渡る人々を見て、既視感を覚えた。
顔淡(がんたん)はこの場所に見覚えがあった。魔相の時に見たこの場所で、独り提灯を手に、寒さと飢えに苦しみながら忘川の水を渡ったことを思い出した。唐周(とうしゅう)は、二人がこの場所で記憶を失った可能性があると分析した。顔淡(がんたん)は唐周(とうしゅう)を船に座らせ、彼も提灯を持って忘川を渡れば、もっと多くの記憶が蘇るかもしれない、ひょっとしたら心に想う人をどのように裏切ったのかもわかるかもしれないと提案した。唐周(とうしゅう)は、顔淡(がんたん)もまた記憶を失った者だと気づき、もし過去に囚われなければ、自分も過去を忘れられるかもしれないと思った。顔淡(がんたん)は少し恥ずかしそうに言った。唐周(とうしゅう)は凌霄派(りょうしょうは)の未来の掌門(しょうもん)であり、自分はただのやんちゃな蓮華の精なのに、なぜ唐周(とうしゅう)が自分にこんなにも優しくしてくれるのか理解できなかった。
顔淡(がんたん)が法環が自分のせいで震えているのかと尋ねた時、唐周(とうしゅう)はまだ答えられないうちに、持っていた提灯が突然破裂し、彼は製御を失ってしまった。顔淡(がんたん)に危害が及ぶのを恐れた彼は、彼女に早く逃げるように促した。しかし、顔淡(がんたん)はどうしても唐周を見捨てることができなかった。彼女は唐周の気を安定させるのを手伝った。唐周は心の中で、顔淡(がんたん)は自分の愛する人だと呟いた。葉わぬ恋に苦しみながらも、いつか全てが終わった後、顔淡(がんたん)が自由に幸せに生きていけるようにと願った。
唐周は思わず顔淡(がんたん)にキスをした。このキスによって顔淡(がんたん)は記憶を取り戻し、目の前の唐周こそが天界で深く愛した應淵帝君であることを思い出した。唐周は顔淡(がんたん)が記憶を取り戻したことを知らず、自分が先ほど正気を失って彼女に失礼なことをしたと思っていた。その時、螢灯が現れ、顔淡(がんたん)と唐周を殺そうとした。唐周の仙衣は既に破れていた。螢灯は應淵の仙霊を手に入れようと妄想していた。
全てを思い出した顔淡(がんたん)は、螢灯に天界でも人間界でもなぜ執拗に追ってくるのかと問いただした。彼女は螢灯の霊力の中に花精族の霊気を感じ取り、螢灯が自分の一族を皆殺しにしたことを知った。怒りに燃えた顔淡(がんたん)は螢灯を殺し、花精族の復讐を果たした。帝君への愛が憎しみに変わった螢灯は、ついに灰となって消滅した。気を失っている唐周を見ながら、顔淡(がんたん)は天界でも人間界でも同じ人を愛してしまった自分を責めた。
玄襄(げんじょう)/柳維揚(りゅういよう)は邪神の力を使って唐周から溢れ出す仙力を抑え込んだが、唐周の仙衣はひどく損傷しており、唯一の方法は4つ目の神器を見つけることだった。顔淡(がんたん)は自分の心臓の血を使って唐周を救おうとした。しかし、結局自分が唐周を覚えていても、唐周は全てを忘れてしまうとは思いもよらなかった。唐周が目を覚ましたのを見て、顔淡(がんたん)は立ち去ろうとしたが、衰弱していたため倒れそうになった。唐周は顔淡(がんたん)にどんな方法で自分を救ったのか尋ね、顔淡(がんたん)の心が半分しかないことに気づき、もう半分はどこへ行ったのかと問い詰めた。顔淡(がんたん)は答えず、疲れと落胆を抱えながら去っていった。
玄襄(げんじょう)/柳維揚(りゅういよう)は陶紫炁に薬を飲ませ、陶紫炁は仙魔大戦について尋ねた。そこで、自分の部族である溟雁族も難を逃れられなかったことを知った。待ち伏せに遭い、一族は跡形もなく消えてしまったのだ。陶紫炁は紫雁の簪を見つめた。これは彼女が仙人の位に上がった時、師である計都星君(けいとせいくん)から授かった証だった。彼女は一度も仙族を裏切ったことはないのに、自分の失態によって間接的に仙魔大戦を引き起こしてしまった。陶紫炁は自分と玄襄(げんじょう)/柳維揚(りゅういよう)は元には戻れないと考えた。二人の間には数えきれないほどの仙族の命が横たわっているからだ。彼女は玄襄(げんじょう)/柳維揚(りゅういよう)に自分を解放してくれるように頼んだ。玄襄(げんじょう)/柳維揚(りゅういよう)は別れを惜しみながらも、彼女の願いを聞き入れた。
顔淡は再び夜忘川を訪れ、もう一度川を渡って全てを忘れたいと願った。冥府の役人である乙藏(おつぞう)は顔淡に当時の真実を告げた。沉香炉は燃やされたのではなく、應淵が自ら二人の記憶を消したのだと。小夢蝶の繭はまだ残っており、真実の愛だけが繭を破ることができるのだと。顔淡は應淵がずっと自分を騙していたとは思いもよらなかった。心に自分を想いながらも、天下蒼生を選んだのだ。顔淡はたとえ忘れられなくても、この想いを断ち切り、これからは應淵を愛さず、自分のために生きていくと決意した。
今、唐周の仙体は傷つき、命は風前の灯火となっている。皆は最後の神器を探すため、再び旅に出た。帝君への復帰が間近に迫り、彼の出生の秘密が明らかになるだけでなく、隠された襲撃者の正体も暴かれ、仙魔大戦の謎も解き明かされるだろう。
「前編終了」
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