第31話あらすじとネタバレ
敖宣(ごうせん)は南海に攻め入り、朝瀾(ちょうらん)と朝衍(ちょうえん)を捕らえました。これをきっかけに、螢灯は余墨(よぼく)が九鰭の後裔であることを知ります。唐周(とうしゅう)と余墨(よぼく)は協力して敖宣(ごうせん)に立ち向かいますが、敖宣(ごうせん)は朝瀾(ちょうらん)を人質に取り、三日後に東海で婚礼を行うと宣言。朝衍(ちょうえん)に余墨(よぼく)の首を祝いの品として持参するよう要求し、期限までに従わなければ東海の大軍で南海を侵略し、青龍族を滅ぼすと脅迫します。
敖宣(ごうせん)の暴挙により、四海の平和は危機に瀕します。東海には余墨(よぼく)を封じることができる金鉤(きんこう)の法器がありますが、朝瀾(ちょうらん)の命が危険にさらされているため、敖宣(ごうせん)を直接倒せば更に大きな混乱を招く恐れがあります。螢灯は、この一族の争いが兵変に発展する可能性があると見て、唐周(とうしゅう)の立場を考慮し、彼には自身の使命に集中すべきで、この争いに巻き込まれるべきではないと進言します。余墨(よぼく)は、螢灯のような小さな派閥の術士が天界の秘密や四海の動向を把握し、彼らに指示を出せることに疑問を抱き、螢灯の法力の源と門派について尋ねます。螢灯は、顔淡(がんたん)の菡萏(かんだん)の心を手に入れる上で余墨(よぼく)が最大の障害だと認識し、彼を排除しようと決意しますが、自身の力不足を自覚し、協力者を探す必要性を感じます。
朝衍(ちょうえん)との会談で、朝衍(ちょうえん)は余墨(よぼく)に敖宣(ごうせん)の地位に就くよう頼みます。余墨(よぼく)は朝瀾(ちょうらん)の救出は当然の責務だとしながらも、九鰭の身分で仮乱を率いることは自身の信念に仮するため拒否します。そして、九鰭が英雄と崇められているならば、なぜ九鰭一族が滅ぼされた時、水族は東海の白龍族の支配を受け入れたのかと朝衍(ちょうえん)に問いただします。朝衍(ちょうえん)は跪いて過ちを認め、九鰭の滅亡は陰謀によるものであり、本来余墨(よぼく)が四海の主となるべきだったと明かします。真実を明らかにし、敖宣(ごうせん)の支配を覆すためには、証拠を見つけ、余墨(よぼく)が正当な後継者であることを証明しなければなりません。
螢灯は唐周(とうしゅう)の命の恩に報いるため、月見糕(つきみがし)を作り、彼の体力の回復を助けます。顔淡(がんたん)は、螢灯が十年の修練の力を込めた糕で唐周(とうしゅう)の苦痛を和らげようとしていることに驚きます。螢灯の行動は恩義だけでなく、唐周(とうしゅう)への好意も含まれているのです。顔淡(がんたん)はそれに気づき、複雑な気持ちになります。そして、唐周(とうしゅう)への想いが他の妖怪と過ごした時とは違うことに気づき、自分が唐周(とうしゅう)を好きになっているのだと自覚し始めます。
顔淡(がんたん)は唐周(とうしゅう)に、螢灯が彼を深く想い、彼の好みや健康を常に気にかけていることを伝えます。唐周(とうしゅう)は、相手が自分が大切に思う人であれば、何をされても感動するが、そうでなければ負担に感じると答えます。そして、螢灯の気持ちを知っていたなら、誤解を深めないよう早くに伝えるべきだったと明言します。
余墨(よぼく)と朝衍(ちょうえん)は西海に援軍を求め、西海の主の協力を得ます。北海の主の肖像画を見た余墨(よぼく)は微笑み、筆と墨と紙を借りて北海の主に手紙を書きます。彼は北海の主が助けに来てくれると確信しています。実は北海の主は録鳴(ろくめい)であり、余墨(よぼく)の自信の理由が分かります。
朝瀾(ちょうらん)は心から敖宣(ごうせん)と結婚したいと思っていますが、敖宣(ごうせん)は疑り深く、彼女の真意を信じません。朝瀾(ちょうらん)は敖宣(ごうせん)の残酷な行為を非難し、そんな愛はいらないと言います。そして、余墨(よぼく)に危害を加えれば自害すると敖宣(ごうせん)を脅迫します。敖宣(ごうせん)は、朝瀾(ちょうらん)の心が手に入らないなら、彼女を東海から出さないと言い放ちます。
螢灯は敖宣に協力を持ちかけ、余墨(よぼく)が朝瀾(ちょうらん)の逆鱗を持っているため、碎魂鉤(さいこんこう)が無効であることを指摘します。二人は共に余墨(よぼく)の死を望んでおり、螢灯は余墨(よぼく)の唯一の弱点である顔淡(がんたん)を捕らえることで彼を追い詰めることを提案します。
余墨(よぼく)は録鳴(ろくめい)に会い、顔淡(がんたん)が八百年もの間、忘川(ぼうせん)の水の中で過ごしていたことを知ります。録鳴(ろくめい)は余墨(よぼく)を慰め、應淵が顔淡(がんたん)を助けてくれたことを幸いだと思うように言います。余墨(よぼく)は顔淡(がんたん)と應淵の関係に触れたがらず、應淵が何をしようと顔淡(がんたん)に与えた傷を償うことはできないと考えています。彼は顔淡(がんたん)が過去にとらわれず、幸せに生きていけることを願っています。
録鳴(ろくめい)は顔淡(がんたん)と再会し、感動のあまり涙を流します。顔淡(がんたん)は録鳴(ろくめい)のことを覚えていませんが、二人は話が弾みます。顔淡(がんたん)は余墨(よぼく)に、敖宣を倒せば万妖の王となり、四海の主となるのかと尋ねます。余墨(よぼく)は、顔淡(がんたん)が側にいればそれで良いと答えます。顔淡(がんたん)は余墨(よぼく)の気持ちを理解せず、冗談だと思っています。大戦前夜、顔淡(がんたん)は犠牲を減らす方法を提案します。
第32話あらすじとネタバレ
明日の決戦を控え、螢灯は顔淡(がんたん)と余墨(よぼく)に作戦を尋ねた。顔淡(がんたん)によると、余墨(よぼく)は螢灯の挙動に不審を抱き、事態の緊急性を鑑みて軽挙妄動を慎むよう忠告していた。しかし、顔淡(がんたん)は荊軻刺秦王の故事になぞらえた奇策を提案し、余墨(よぼく)を困惑させた。螢灯は弱々しく、かつて唐周(とうしゅう)に命を救われた恩義に報いるため、彼を危険に巻き込みたくないと訴え、自ら唐周(とうしゅう)の身代わりとなることを申し出た。
三海は敖宣(ごうせん)の政権打倒を目指し、余墨(よぼく)を主将に推挙しようとしていた。唐周(とうしゅう)は同行を申し出たが、余墨(よぼく)は彼の身分が露見した場合の危険性を考慮し、これを拒否した。唐周(とうしゅう)は余墨(よぼく)の能力を信頼しつつも、慎重を期して同行を強く主張した。螢灯は唐周(とうしゅう)の愛を得られないと悟りながらも、彼を守り抜くことで人生の意義を見出そうとしていた。その後、螢灯は盗み聞きした作戦計画を無影獣を使って敖宣(ごうせん)に密告した。
婚礼当日、余墨(よぼく)一行は当初の計画を変更した。顔淡(がんたん)は朝瀾(ちょうらん)に扮し、敖宣(ごうせん)を奇襲した。当初、唐周(とうしゅう)は顔淡(がんたん)の法力が不足していることを懸念し、この計画に仮対して余墨(よぼく)と対立したが、最終的には狸猫換太子のような複雑な計略を採用することにした。
敖宣(ごうせん)が怒りに燃えて顔淡(がんたん)を襲おうとした時、唐周(とうしゅう)は身を挺して彼女を守った。戦闘中、顔淡(がんたん)は敖宣(ごうせん)の弱点を発見し、唐周(とうしゅう)に攻撃を指示した。衆人の協力により、敖宣(ごうせん)は抵抗できなくなり、螢灯を人質に取って逃走し、螢灯が余墨(よぼく)が青離帝君・応淵(おうえん)の助力を得ていることを報告しなかったと責め立てた。螢灯は嘘を重ねようとしたが、敖宣(ごうせん)は彼女が妙法閣の元掌事であることを既に突き止めており、朝瀾(ちょうらん)の自由と引き換えにするに足る重要人物であるべきだと警告した。
敖宣(ごうせん)は応淵(おうえん)の生存を報告しようとしたが、螢灯は応淵(おうえん)を守るため、敖宣(ごうせん)を殺害し、無影獣も破壊した。顔淡(がんたん)と余墨(よぼく)が螢灯を見つけ出した時、敖宣(ごうせん)の霊獣が負傷しているのを発見し、螢灯の行動に疑念を抱いた。敖宣(ごうせん)の死により、東海の兵士たちは次々と寝返った。
余墨(よぼく)は朝瀾(ちょうらん)の恩に報いるため、そして孝行を尽くすため、出兵することを承諾した。この過程で、彼はある指輪から創世の戦の裏に隠された真実を知ることとなった。それは、九鰭一族が何者かの策略によって修羅族に滅ぼされ、白龍族が水族の頂点に立ったという事実だった。無影獣を証拠として、九鰭一族滅亡の真相がついに明らかになる。
朝衍(ちょうえん)は、応淵(おうえん)が二度の大戦を生き延びた将軍であり、天界に戻れば真犯人究明に役立つと指摘した。余墨(よぼく)は唐周(とうしゅう)の下界での試練における危険を心配したが、朝衍(ちょうえん)は南海に唐周(とうしゅう)を助ける宝があると告げた。
顔淡(がんたん)は唐周(とうしゅう)に、決戦前の螢灯の不可解な行動と、あの指輪の不審さを指摘した。唐周(とうしゅう)は螢灯が本当に敖宣(ごうせん)と通じていたならば、王宮での出会いは仕組まれたものだったのではないかと推測した。顔淡(がんたん)は裴洛(はいらく)が絳辰(こうしん)への想いの変化だけで殺害に及んだとは考えにくく、裴洛(はいらく)の強大な力は螢灯と関係があるかもしれないが、証拠がないと考えた。顔淡(がんたん)は安神湯を準備し、唐周に螢灯を試す機会として利用し、彼女が唐周の夢の女性かどうかを確認することを提案した。
唐周が螢灯に安神湯を届けると、螢灯は弱ったふりをして唐周に脈を診てもらい、抱きついた。唐周は嫌悪感を抱き、螢灯に七日間、黒い斑点が体中に広がる忘痴呪をかけ、警告とした。螢灯は諦めきれず、唐周の仙衣が破損していることを持ち出し、顔淡(がんたん)の命を薬にしないと仙力が暴走して魂飛魄散すると仄めかした。これを聞いた唐周は螢灯を問い詰め、顔淡(がんたん)に危害を加えれば命はないと警告した。
螢灯の挑発を受け、唐周は朝衍(ちょうえん)に、天界にいた頃に誰かに対して過ちを犯したことがあるか尋ねた。夢の中で橋から身を投げる女性の後ろ姿を見るたびに、罪悪感に苛まれていたのだ。朝衍(ちょうえん)は唐周に喚憶珠を与え、服用すれば記憶が戻り、神器を取り戻し、天界に戻ることができ、それが三界の幸福につながると告げた。
四海の主の座が空位となったため、皆は朝瀾(ちょうらん)にその座を継いでほしいと願った。朝瀾(ちょうらん)は指導者の経験も乏しく、法力も平均的だったが、持ち前の慈愛こそが良き君主となるための重要な資質だった。余墨(よぼく)は、それが彼女の最大の強みだと励ました。
第33話あらすじとネタバレ
余墨(よぼく)は逆鱗の特別な意味を深く理解しており、当然この重い贈り物を受け入れることができず、朝瀾(ちょうらん)に返そうと決めた。しかし、一度贈ったものを返すのは体裁が悪い。そこで、朝瀾(ちょうらん)は一つの条件を提示した。彼女が四海龍尊に即位する際、余墨(よぼく)に戴冠式を行ってもらうこと、これを逆鱗を返す理由とする、と。余墨(よぼく)はなぜ自分がこの大役を担うのか疑問に思ったが、朝瀾(ちょうらん)は余墨(よぼく)に恋心を抱いており、彼にプレッシャーを与えないため、二人の深い友情のためだとだけ言った。
朝瀾(ちょうらん)が正式に即位する日、彼女は華麗な盛装でひときわ輝いていた。顔淡(がんたん)は、今日の朝瀾(ちょうらん)はいつにも増して美しく、無理やり著飾らされたあの日よりもずっと綺麗だとからかった。朝瀾(ちょうらん)は冗談めかして、顔淡(がんたん)が余墨(よぼく)と結婚する日もきっと同じように美しいだろうと言った。顔淡(がんたん)は、名目上は余墨(よぼく)の伴侶だが、実際は忠実な助手であるという約束をしており、余墨(よぼく)の心には別の女性がいると説明した。朝瀾(ちょうらん)はそれを聞いて微笑み、余墨(よぼく)は顔淡(がんたん)を大切にしすぎて、彼女を怖がらせてしまうのを心配し、本当の気持ちを告白できないのだろうと思った。顔淡(がんたん)は朝瀾(ちょうらん)の言葉の意味が分からず、困惑した。
朝瀾(ちょうらん)が無事即位し、四海に平和が訪れた。余墨(よぼく)はこの時、朝瀾(ちょうらん)に別れを告げ、彼女を宝物のように大切にする人を見つけられるよう祝福した。天界に戻ると、録鳴(ろくめい)は芷昔(しせき)に顔淡(がんたん)の様子を伝え、彼女が余墨(よぼく)と一緒に楽しく自由に過ごしていると告げた。芷昔(しせき)が顔淡(がんたん)を心配しているのを見て、録鳴(ろくめい)は下界へ会いに行くことを勧めたが、芷昔(しせき)は断った。顔淡(がんたん)は過去の全てを忘れ、自分にも会う資格がないと思い、顔淡(がんたん)を守れなかったことを深く後悔していた。
蛍灯(けいとう)について、余墨(よぼく)は彼女が神器理塵の起動方法を知っていると確信し、唐周(とうしゅう)に彼女を師門に送り返すべきかどうか尋ねた。唐周(とうしゅう)は顔淡(がんたん)と相談し、蛍灯(けいとう)が本当に悪巧みをしているなら、この機会に彼女の意図を探り、理塵の使い方を理解するのも良いと考えた。三人が蛍灯(けいとう)を鶴心門へ護送する途中、神器が突然異変を起こし、蛍灯(けいとう)はここがかつて理塵の隠し場所だったことを認めた。
その後、蛍灯(けいとう)は豹変し、顔淡(がんたん)を殺そうとした。そして、裴洛(はいらく)の野心と唐周(とうしゅう)への執著を利用した自分の計画を明かした。彼女は唐周(とうしゅう)が顔淡(がんたん)のために自分の気持ちを無視したことを恨み、唐周(とうしゅう)の記憶を消して顔淡(がんたん)を忘れさせ、自分と一緒になることを企んでいた。同時に、顔淡(がんたん)と余墨(よぼく)が石像になるのを見届け、人間界を支配しようと企んでいたのだ。黒い霧の攻撃に対し、顔淡(がんたん)は唐周(とうしゅう)に朝衍(ちょうえん)からもらった珠を飲んで記憶と仙術を取り戻すよう促し、余墨(よぼく)は唐周(とうしゅう)に理塵を使って戦争を阻止するよう励ました。皆で力を合わせ、蛍灯(けいとう)の陣法を破った。
その後、唐周(とうしゅう)は蛍灯(けいとう)の正体とその目的を問い詰めた。蛍灯(けいとう)は、全ては唐周(とうしゅう)が自分の人生を狂わせたせいだとし、唐周(とうしゅう)に永遠に後悔させると言った。唐周(とうしゅう)の夢の中の女性と前世については、蛍灯(けいとう)はわざと謎めいたままにし、唐周(とうしゅう)を困惑させた。言い終わらないうちに、蛍灯(けいとう)は石像になった。顔淡(がんたん)は絳辰(こうしん)がこのことを知れば、少しは気持ちが楽になるかもしれないと思った。
一行は蛍灯(けいとう)の鶴心門での出来事をさらに調べ、彼女が邪術を修炼したため同門から嫌われ、最終的に裴洛(はいらく)を魅瞭して側妃となり、去る前夜に火事を起こし多くの人々が亡くなったことを知った。顔淡(がんたん)は『暁寒経』がなければ、自分たちも同様の運命を辿っていたかもしれないと気づいた。そのため、彼女はもう付き人をやめることを決意し、余墨(よぼく)に修炼を教え、強くなって将来余墨(よぼく)を守れるようになりたいと頼んだ。この言葉は余墨(よぼく)を喜ばせたが、唐周は少し嫉妬した。
ある日、宿屋で食事をしていると、顔淡(がんたん)は喉に食べ物を詰まらせた子供を助けた。老婆は感謝の気持ちとして、三人を夕食に招待し、雄黄酒を用意した。顔淡(がんたん)と余墨(よぼく)は妖怪なので雄黄酒を飲むことができず、唐周が代わりに酒を飲んだ。しかし、唐周は酔っ払い、さらにもう一杯と頼んだ。余墨(よぼく)は酔っ払った唐周を部屋に連れて帰り休ませた。朦朧とする意識の中で、唐周は余墨(よぼく)を顔淡(がんたん)と間違えた。夜、唐周は再びあの悩ましい夢を見て、涙を流した。
翌日、唐周は目を覚ますと神器理塵がないことに気づいた。調べた結果、この宿屋には既に誰も住んでおらず、老婆と子供は彼らを罠に嵌めるために仕組まれたものだったことが分かった。実は、神霄宮(しんしょうきゅう)の宮主が老婆に理塵を盗ませたのだ。彼が手に入れても使うことはできない。なぜなら、彼は理塵の持ち主ではないからだ。彼の目的は、この機会に三人をおびき出し、自分の目的を達成することだった。雄黄酒に混ぜられた狭葉蒲根(きょうようほこん)の薬の粉は、他の匂いを隠すだけでなく、唐周の警戒心を解き、理塵を盗む機会を与えたのだ。
これが罠だと気づいた顔淡(がんたん)たちはすぐに行動を起こし、手がかりを元に朱翠鎮へ行き、尽歓坊(じんかんぼう)で蛍灯(けいとう)に関する情報を集めようとした。
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