第29話あらすじとネタバレ
大晦日の夜、皇帝は穆川(ぼく・せん)を晩餐に招き、彼の好物の緬瓜を用意した。穆澤(ぼく・たく)も兄に付き添う予定だったが、出発前に屋敷の帳簿を陸安然(りく・あんぜん)に預け、彼女が好きな兎の形をした灯籠を贈った。穆川(ぼく・せん)は陸安然(りく・あんぜん)を抱きしめ、家で吉報を待つように言ったが、陸安然(りく・あんぜん)は胸騒ぎを覚えた。
帳簿を整理していた陸安然(りく・あんぜん)は、大量の緬瓜の購入記録に気づき、衫越(さんえつ)から翊王(よくおう)も同じ瓜を大量に購入していることを知る。さらに、帳簿には大量の花火の購入記録もあったが、その火薬は行方不明だった。異変を感じた陸安然(りく・あんぜん)は、穆澤(ぼく・たく)に謀仮の疑いがあると考え、すぐに宮殿へ向かうことにした。
大殿では、穆川(ぼく・せん)が点灯の儀式を執り行っている最中、翊王(よくおう)の手下が密かに「穆川(ぼく・せん)は毒を盛られた」と伝え、屋根に仕掛けた花火に点火する計画を告げた。穆澤(ぼく・たく)は燃え進む花火の導火線を見つめ、緊張して待っていた。突然、導火線が切れ、灯籠が次々と落下し、騒然となる。しかし皇帝は動揺せず、真相究明を命じた。その時、穆澤(ぼく・たく)は龍椅の下に仕掛けた爆薬を爆発させ、翊王(よくおう)と共にクーデターを起こそうとした。しかし、全てを見越していた穆川(ぼく・せん)は、穆澤(ぼく・たく)に自分の安全だけを願っており、他の者はどうでもいいと言った。
御林軍が突入すると、穆澤(ぼく・たく)は新帝擁立を宣言し、皆が跪いて従った。混乱の中、皇帝が現れ、穆澤(ぼく・たく)の裏切りを責め、彼の苦労を無駄にしたと非難した。二人の言い争いの最中、陸安然(りく・あんぜん)が大殿に飛び込み、穆澤(ぼく・たく)に人質に取られた。皇帝は穆澤(ぼく・たく)の即時処刑を命じ、穆川(ぼく・せん)は命乞いをした。
手下の援護を受け、穆澤(ぼく・たく)は陸安然(りく・あんぜん)を連れて逃走し、蕭驚雀(きょうじゃく)を人質に取ろうとした。蕭驚雀(きょうじゃく)は腹の子を思いながらも、穆澤(ぼく・たく)の敗北を目にし、悲しみの中にも後悔はない様子だった。そして、蕭驚雀(きょうじゃく)は自らの剣で命を絶った。この光景は、前世の運命を思い起こさせるもので、陸安然(りく・あんぜん)は涙を流した。
穆川(ぼく・せん)は穆澤(ぼく・たく)の屋敷を捜索し、隠し部屋に木製の飛鳥を見つけ、大切に懐にしまった。一方、穆澤(ぼく・たく)は陸安然(りく・あんぜん)を縛り上げ、全てが彼女の策略だと知った。彼は、なぜ陸安然(りく・あんぜん)が自分にこれほどの憎しみを抱いているのか、なぜ穆川(ぼく・せん)を慕っているのに自分に嫁いできたのか理解できなかった。陸安然(りく・あんぜん)は穆澤(ぼく・たく)を皇帝に相応しくないと嘲り、蕭驚雀(きょうじゃく)の深い愛を軽んじた哀れな男だと罵った。
穆川(ぼく・せん)は隠し部屋で見つけた証拠を皇帝に提出した。そこには、生母の遺品に加え、不正蓄財の証拠、そして皇帝が若い頃に添削した穆澤(ぼく・たく)の書の手本があった。皇帝に関するものを、穆澤(ぼく・たく)は全て大切に保管していた。皇帝は穆澤(ぼく・たく)への申し訳なさを痛感し、穆川(ぼく・せん)は皇帝に穆澤(ぼく・たく)が本当に何を大切にしていたのかを考えるように促した。皇帝は穆澤(ぼく・たく)の捜索を命じ、説明の機会を与えたいと告げた。
最終回(第30話)あらすじとネタバレ
穆澤(ぼく・たく)は羞憤のあまり陸安然(りく・あんぜん)を無理やり手に入れようとするが、陸安然(りく・あんぜん)はもう何も感じていなかった。穆川(ぼく・せん)に嫁いだ夜、彼女は子孫を残さない決意のもと、避妊薬を服用していたのだ。穆澤(ぼく・たく)の怒りと暴力に対し、彼女は異様なほど冷静だった。出会って以来、穆澤(ぼく・たく)は彼女の心に真に触れたことはなく、この関係によって彼女の憎しみは深まるばかりだったからである。
一方、穆川(ぼく・せん)は穆澤(ぼく・たく)を追跡していた。衫越(さんえつ)は彼に兎灯籠を渡し、陸安然(りく・あんぜん)の言葉を伝える。「もし危険な目に遭っても、全てを捨ててもいい。この灯籠だけは捨てないで」。この灯籠は希望と導きの象徴だった。
穆澤(ぼく・たく)が生涯追い求めながらも手に入れることのできなかったものが、この瞬間に皮肉なほど際立つ。彼は陸安然(りく・あんぜん)を気絶させると、逃亡をやめ、最後の決戦に臨むことを決意する。たとえそれが仮逆者となることを意味していても。彼は皆の前で、共に残る者と去る者の選択を迫り、南星と兵士たちは迷うことなく彼に付き従い、最後の戦いまで共に戦い、皇宮を取り戻すことを誓う。
穆川(ぼく・せん)は手がかりを元に陸安然(りく・あんぜん)を見つけ出すが、穆澤(ぼく・たく)が既に城を攻めていることを知る。決死の覚悟で城下に来た穆澤(ぼく・たく)は、降り注ぐ矢を受け重傷を負う。最後の矢が放たれようとしたその時、穆川(ぼく・せん)が駆けつけ、身を挺して穆澤(ぼく・たく)を庇う。守城軍は攻撃を止めた。皇帝はこれを見て心を痛めるが、穆澤(ぼく・たく)は許しを請うことはなく、ただ自分と母に申し訳ないと思うばかりだった。結局、皇帝は穆澤(ぼく・たく)を許す。
しかし、穆澤(ぼく・たく)の傷は深く、彼は匕首を穆川(ぼく・せん)に渡し、自分の命を絶つよう頼む。母と同じ場所に葬られるためだ。穆川(ぼく・せん)はそれができず、穆澤(ぼく・たく)は穆川(ぼく・せん)の手を取り、自ら胸に匕首を突き刺す。穆川(ぼく・せん)は悲しみに暮れ、陸安然(りく・あんぜん)も涙を流す。
朝廷では、大臣たちが慶(けい)王の厳罰を求める。皇帝は、かつて新帝を擁立した者たちも同罪ではないかと問いただすと、皆、ひれ伏して許しを乞い、もはや重罰を求めることはなかった。
穆澤(ぼく・たく)は亡くなったが、穆川(ぼく・せん)はこれが彼が望んだ人生ではないことを知っている。穆澤(ぼく・たく)を葬る時、穆川(ぼく・せん)の脳裏には穆澤(ぼく・たく)の姿が浮かぶ。冷酷な一面もあったが、穆川(ぼく・せん)には愛情深く、幼い頃から彼を守ってきた兄の姿が。陸安然(りく・あんぜん)は慶(けい)王府を歩き、思い出に浸る。特に、穆澤(ぼく・たく)を深く愛していた日々を。彼女は穆澤(ぼく・たく)が残した離縁状を受け取り、自由に自分の幸せを追求できるようになった。その日、彼女は穆澤(ぼく・たく)に心に秘めていた全ての憎しみを打ち明けた。穆澤(ぼく・たく)はそれをまるで夢のように受け止めながらも、かつて彼女の愛を得ていた自分を羨ましがっていた。
穆川(ぼく・せん)は穆澤(ぼく・たく)の墓前で別れを告げ、度々訪れることを約束する。皇帝は正式に穆川を皇太子に冊封する。
全てが落ち著いた後、陸安然(りく・あんぜん)は思い出の詰まった都を離れ、蘇州で新しい生活を始めることを決意する。穆川はここで待つことを約束し、彼女が今を生き、これからの日々を楽しめるようにと願う。
静かな夜、陸安然(りく・あんぜん)は夢を見る。まだ皇帝になっていない穆川と、何の束縛もない世界で共に暮らす夢を。それは彼女の心の中にある、最も純粋な理想の光景だった。
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