第19話あらすじとネタバレ
環娘(かんじょう)は鋭く、豊蘭息(ほうらんしょく)の狐裘の毛が少し欠けていることに気付いた。幸い鳳栖梧が事前に用意していた古びた狐裘があったため、事なきを得た。任如松(じんじょしょう)は、百裏氏が豊蘭息(ほうらんしょく)を陥れるため、戚澄(せきちょう)を犠牲にするとは思ってもみなかった。豊蘭息(ほうらんしょく)は、百裏氏が常に自分と豊萇(ほうちょう)の関係をかき乱そうとしていることを知っていたが、今回の黒幕は三弟の豊莒(ほうきょ)かもしれないと考えていた。
白風夕(はくほうせき)は豊蘭息(ほうらんしょく)が謹慎処分になったと聞き、見舞いに訪れた。豊蘭息(ほうらんしょく)は心の中で少し慰められた。白風夕(はくほうせき)は、豊蘭息(ほうらんしょく)が兄嫁を殺し兄を傷つけるようなことはしないと固く信じており、謹慎処分は事態にまだ転機があることを示していると考えていた。豊蘭息(ほうらんしょく)は白風夕(はくほうせき)に事件の顛末を詳しく説明し、普段から用心深く準備していたおかげで、そうでなければ今頃は牢獄に入れられていたかもしれないと安堵した。白風夕(はくほうせき)は、豊蘭息(ほうらんしょく)は罠だと知りながら会合に出席したのは豊萇(ほうちょう)を守るためであり、もし彼が姿を現さなければ、豊萇(ほうちょう)はもっと大きな危険にさらされただろうと推測した。しかし、豊蘭息(ほうらんしょく)は相手がここまで残酷な手段を使うとは思っておらず、豊萇(ほうちょう)の足を傷つけただけでなく、戚澄(せきちょう)の死にも繋がった。白風夕(はくほうせき)は常に権力争いを嫌っており、冷酷無情に見える豊蘭息(ほうらんしょく)が実は温かい心を持っていることを知り、彼の知られざる一面を見た。白風夕(はくほうせき)は、豊蘭息(ほうらんしょく)が豊萇(ほうちょう)に本当の気持ちを伝え、誤解を解き、共に敵に立ち向かうべきだと提案した。豊蘭息(ほうらんしょく)もまた、自分の気持ちを伝えることの大切さを認識した。豊蘭息が白風夕(はくほうせき)に自分の気持ちに気づいているかと尋ねると、白風夕(はくほうせき)は照れ隠しに急いで言い訳をしてその場を去った。
豊萇(ほうちょう)の怪我は大事には至らず、療養すれば歩けるようになる。しかし彼は鄭医判に、足の怪我は重く一生杖が必要だと偽り、数日間昏睡(こんすい)状態を装い、脳に瘀血があると診断するよう要求した。鄭医判は恐れたが、豊萇(ほうちょう)に息子を人質に取られ、偽の診断書を書かざるを得なかった。豊萇(ほうちょう)は常に豊蘭息を気にかけており、百裏氏が彼に豊蘭息を攻撃させようとすると考えていた。自分が障害者のように振る舞うことでしか、百裏氏の利用を防ぐことはできないと考えていた。
百裏氏は陰謀を諦めず、豊萇(ほうちょう)の薬に毒を盛らせ、豊蘭息に罪を著せようとした。兄を想う豊蘭息は謹慎処分を無視して見舞いに訪れ、「昏睡(こんすい)状態」の豊萇(ほうちょう)に語りかけ、豊萇(ほうちょう)が罠にはめられたことを知っており、自分も梅見の宴に出席したのは豊萇(ほうちょう)を困らせないためだったと伝えた。このような状況でも、豊萇は今でも彼の心の中では兄であり、母が亡くなってからは唯一の家族だと告げた。
徳叔が煎じ薬を持ってきた時、豊蘭息は異様な臭いに気づき、銀の針で毒を調べると毒が入っていることが分かった。調べた結果、処方箋自体に問題はなく、明らかに誰かが彼を陥れようとしていた。徳叔は、この薬は屋敷に新しく来た百裏氏の侍女が煎じたものだと明かした。豊蘭息は徳叔に、自分が来たことや薬に毒が入っていたことを豊萇に言わないように指示し、自分でこの件を処理することにした。
雍王は豊萇が目を覚ましたと聞き、急いで駆けつけた。しかし彼が心配していたのは豊萇の怪我ではなく、誰が豊萇を楼閣から突き落としたのかだった。雍王の質問に対し、豊萇は落胆しながら記憶喪失を装い、当時の状況を覚えていないと答えた。豊蘭息は鍾離に、任如松(じんじょしょう)に良城の情報を全て集めるように命じた。世子の地位を得て天下を争うには軍隊が必要であり、良城は雍州の中で最も勢力を蓄えるのに適した場所だと理解していた。
張仲革(ちょうちゅうかく)は雍王に、百裏景の狐裘から戚澄(せきちょう)の遺体と同じ臭いが検出されたと報告した。証拠があまりにも出来すぎているように見えたが、雍王は事件の解決を命じ、豊萇は不注意で楼閣から落ち、戚澄(せきちょう)の死は既に発狂している百裏景の責任だとした。
12月24日、豊蘭息は例年通り屋敷を訪れ、豊萇と碁を打った。豊萇は心待ちにしており、豊蘭息が来たことを心から喜んだが、彼を守るため、弟を追い返そうとした。豊萇は百裏氏が人の弱点を巧みに利用することを知っており、自分と豊蘭息が仲直りすれば、自分が百裏氏に利用され豊蘭息を攻撃する突破口になってしまうと考えていた。豊蘭息は兄の苦悩を理解したが、今日の会話に心を痛めた。
街を歩いていると、豊蘭息は土人形を見て母を思い出した。それを見た白風夕(はくほうせき)は、全ての土人形を買って豊蘭息にプレゼントしようと提案したが、店主は土人形は売っておらず、材料の粘土だけを売っていて、その場で作るのだと説明した。そこで二人は一緒に土人形を作り始め、温かく甘い時間を過ごした。
玉無縁(ぎょくむえん)の体内の血の呪いの力は徐々に強まっており、血の呪いを抑え生命を維持するためには蘭因璧月が必要だった。部下は既に玉無縁(ぎょくむえん)が必要とする物を作成しており、黒豊息(こくほうしょく)の正体が永平(えいへい)君豊蘭息であることを明かした。玉無縁(ぎょくむえん)は部下に、自分が雍京に到著したという情報を広めるように命じた。
史書によると、崇徳の変は100年前の政(まつりごと)変で、参加した距虚(きょきょ)軍は三大世家から構成され、大東(たいとう)大王朝を倒し新政(まつりごと)権を樹立することを目的としていた。蛩蛩は距虚(きょきょ)の首領であり、玉家はその一つだった。政(まつりごと)変失敗後、三家は玄極令(げんきょくれい)の影響を受け血の呪いを受け、これが玉家の者が30歳を超えて生きられない原因だった。玉家の先祖は大東(たいとう)を倒し玄機の秘密を握り、遺誌を継ぎたかった。玄極令(げんきょくれい)を掌握することだけが血の呪いを解く方法だった。
豊莒(ほうきょ)は戸部の仕事に携わっており、百裏氏は豊莒(ほうきょ)に戸部の財政(まつりごと)を確保し、父である王に心配をかけないようにと要求した。彼女は三人の役人に不正行為があると指摘し、豊莒(ほうきょ)に罪をでっち上げ、不正に得た金品を没収するように指示した。豊莒(ほうきょ)は母の洞察力に驚いた。
豊蘭息は白風夕(はくほうせき)が作った土人形を見ながら、二人で一緒に作った時間を思い出していた。鍾離は、玉無縁(ぎょくむえん)が雍京に来たという噂が既に街中に広まっていると報告した。これは明らかに玉無縁(ぎょくむえん)が意図的に行ったことだった。豊蘭息は鍾離に、玉無縁(ぎょくむえん)の動向を引き続き監視し、真の目的を探るように指示した。雍王は玉無縁(ぎょくむえん)を宮廷に招き、天下統一の事業に協力させようとしたが、玉無縁(ぎょくむえん)は王室に雇われることを拒否した。
第20話あらすじとネタバレ
旧正月を迎え、豊莒(ほうきょ)は玉無縁(ぎょくむえん)を訪ね、贈り物をするが、玉無縁(ぎょくむえん)は疲れていることを理由にあっさりと追い返してしまう。しかし豊莒(ほうきょ)は気にせず、玉家が博学で有名であり、冀州の世子、皇朝(こうちょう)さえも智者と呼ぶほどであるため、何度訪ねても価値があると考える。玉無縁(ぎょくむえん)は豊莒(ほうきょ)が自分の計略に嵌ったことを理解しており、豊莒(ほうきょ)と豊蘭息(ほうらんしょく)の不仲を利用して豊蘭息(ほうらんしょく)に対抗し、雍州の内紛を誘発しようと企んでいた。豊莒(ほうきょ)は数日後に再び訪れると予想し、玉無縁(ぎょくむえん)は部下に対応を指示する。
新年を迎えて、白風夕(はくほうせき)は韓朴と共に天霜門(てんそうもん)へ下山し、門下生たちが集まり、温かい雰囲気に包まれる。雍州の宮中晩餐会では、豊萇(ほうちょう)が雍王に贈り物を行い、雍王は邸宅と家臣を褒美として与える。大臣たちは、これは閑王への慣例的な褒美であり、豊萇(ほうちょう)は世子候補から外れたことを示唆していると噂する。一方、豊蘭息(ほうらんしょく)は雍州の水利工事計画を描いた絵巻を献上し、雍州軍の強化と国家の繁栄を願うと述べ、雍王を大変喜ばせる。雍王は豊蘭息(ほうらんしょく)に日月珠を下賜する。これは歴代世子決定前の最大の待遇であった。
豊莒(ほうきょ)は枕を献上し、父王の安眠を祈る。雍王は玉如意を贈り、豊莒(ほうきょ)に国事の補佐を命じる。人々は雍王の意図を理解できない。豊蘭息(ほうらんしょく)に日月珠を与えた直後、豊莒(ほうきょ)にも国事に携わらせるという矛盾した行動に困惑する。同時に、冀州の宮中晩餐会では、冀州王が冉太傅の不在を尋ね、皇朝(こうちょう)は老衰で亡くなったと説明する。しかし実際は、冉太傅が御史台の長官時代に朝廷の役人と結託して皇朝(こうちょう)を陥れようとしたため、排除されたのだった。
幽州の宮中晩餐会では、華純然(かじゅんぜん)公主が父王のために舞を披露し、幽州王は喜んで褒美を尋ねる。華純然(かじゅんぜん)は父王の喜びが褒美だと答えるが、来年結婚すれば、もう舞を披露する機会はないと告げる。娘が結婚適齢期を迎えたことを考え、遠くへ嫁がせることを懸念した幽州王は、娘を娶りたい者は幽州に数年住む必要があると宣言する。
ついに玉無縁(ぎょくむえん)は豊莒(ほうきょ)との面会に応じる。豊莒(ほうきょ)は父王が壮健でありながら世子を定めておらず、兄の豊蘭息(ほうらんしょく)が優秀であるため、玉無縁(ぎょくむえん)の支援を求める。玉無縁(ぎょくむえん)は玉家は世子争いに介入しないと断る。豊莒(ほうきょ)は汚職の調査と国庫への返還を望んでいるが、支持者を失うことを懸念していると明かす。玉無縁(ぎょくむえん)は、豊莒(ほうきょ)の支持者を守りつつ豊蘭息(ほうらんしょく)を窮地に陥れる計略を提案する。
天霜門(てんそうもん)は新年を利用して雍京に粥を配る施しを行い貧しい民衆を助けるが、何友徳の部下が彼らを追い払おうとする。その時、鍾離が鳳栖梧の令牌で現れ事態を収拾する。これは実は豊蘭息(ほうらんしょく)の指示であった。朝廷では、豊莒が戸部の役人3人が800万両の銀を横領したことを告発し、雍王は激怒し吏治の粛清を命じる。この3人は豊莒派の役人であり、任如松(じんじょしょう)は豊莒の行動の真意を理解できない。豊蘭息(ほうらんしょく)は、玉無縁(ぎょくむえん)が冀州の皇朝(こうちょう)側の人間であり、雍京訪問には裏があると指摘する。玉無縁(ぎょくむえん)が豊莒を支援しているならば、他にも計画があるはずであり、それは雍州の内乱を引き起こすことだと推測する。
豊莒は雍王に国庫が盗まれ、帳簿も紛失したと報告する。雍王は激怒し、汚職摘発直後に国庫が盗まれるとは重大事件だと考える。豊莒は戸部侍郎(じろう)の周忠も関与していると告げ、周忠は鳳家の姻戚であることを明かす。さらに豊莒は朝議後、鳳栖梧と豊蘭息(ほうらんしょく)が密会しているのを目撃する。雍王は周忠を捕らえ牢に入れるよう命じる。
鳳栖梧は周忠の潔白を保証する。豊蘭息(ほうらんしょく)は鳳栖梧に、豊莒が事実を明らかにする前に真相を突き止め、活路を見出すよう指示し、天牢へ行き周忠にすべてを自白するよう伝える。豊蘭息(ほうらんしょく)と白風夕(はくほうせき)は黒装束で国庫に潜入し、真相究明の手がかりを探す。一方、玉無縁(ぎょくむえん)は蘭因璧月を修練し、血呪(けつじゅ)の影響を一時的に抑えることに成功するが、根本的な解決には玄極令(げんきょくれい)が必要だと悟る。玉無縁(ぎょくむえん)は豊蘭息の対応を見極めるため、雍京に留まることにする。
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