第15話あらすじとネタバレ
修久容(しゅうきゅうよう)と琅華は山穀に落ちたが、幸運にも藁の上に落ちて無事だった。間もなく物音を聞き、振り返ると、なんと父親の白建徳(はくけんとく)が目の前に現れた。父に会えた琅華は、非常に興奮した様子だった。白建徳(はくけんとく)は、試練に合格できなかった者たちは皆、様々な方法でここに集められるのではないかと推測し、これが太陰(たいいん)老人が試練の詳細を明かさない理由で、誰かが試練に合格するまでここに閉じ込められているのだろうと考えた。
豊萇(ほうちょう)は心に苦しみを抱え、酒に溺れていた。父王は彼に冷たく、母后は彼を利用して弟の豊蘭息(ほうらんしょく)を牽製し、最も信頼していた弟の豊蘭息(ほうらんしょく)にも裏切られたように感じていた。それでも、自分のせいで豊蘭息(ほうらんしょく)に迷惑をかけたくはなかった。豊蘭息(ほうらんしょく)が豊萇(ほうちょう)を訪ね、戚澄(せきちょう)との結婚に同意しなければ父王に掛け合って結婚を取りやめられると伝えたが、豊萇(ほうちょう)はもはや豊蘭息(ほうらんしょく)を信じず、自分は豊蘭息(ほうらんしょく)と百裏氏の争いにおける駒でしかないと思った。
豊蘭息(ほうらんしょく)を試すため、豊萇(ほうちょう)はわざといくつかの状況を作り出した。結果、豊蘭息(ほうらんしょく)は武功だけでなく計略にも長けていることがわかった。豊蘭息(ほうらんしょく)は豊萇(ほうちょう)を陥れようとしたことは一度もなかったが、豊萇(ほうちょう)はもはや彼を信じることができず、戚澄(せきちょう)の件に幹渉させないようにと告げた。豊萇(ほうちょう)は深く自責の念に駆られ、自分のせいで兄の豊萇(ほうちょう)が好ましくない相手と結婚させられることを申し訳なく思い、混乱する思考の中で白風夕(はくほうせき)を思い出し、この道には孤独しかないと嘆いた。
穿雲から、戦馬の価格が一頭十銀葉(ぎんよう)に高騰したという知らせが届いた。王明海(おうめいかい)が豊蘭息(ほうらんしょく)の馬の購入を阻止するため、資金を惜しまずに買い占めているのは明らかだった。豊蘭息(ほうらんしょく)は資金はあったものの、父王の疑念を招くことを懸念し、まずは穿雲に指示の手紙を書くことにした。一方、穿雲と穿雨は既に東疆で四銀葉(ぎんよう)の価格で千頭の戦馬を買い付け、玉如軒の人間に雍京へ送るよう手配していた。
父王に良い知らせを報告していると、兵部侍郎(じろう)の王明海(おうめいかい)が現れ、これらの軍馬は豊蘭息(ほうらんしょく)が密売で購入したものだと告発した。雍王は激怒したが、豊蘭息は落ち著いて、馬は密売されたものではなく、以前の恩に報いるために馬孟起が用意してくれたものだと説明した。そして、王明海(おうめいかい)が易馬資金を横領していた事実を証拠と共に暴露した。雍王は激怒し、王明海(おうめいかい)を天牢に投獄するよう命じた。王明海(おうめいかい)は最終的に獄中で「自縊」した。王相はこれが百裏氏の仕業だと気づき、この一件を深く心に刻んだ。
一方、白風夕(はくほうせき)と玉無縁(ぎょくむえん)は崖穀を渡り、相談の上で別行動をとった。白風夕(はくほうせき)はわざと仕掛けを壊して地震を引き起こし、自ら閉じ込められた。それを見た太陰(たいいん)老人は、玉無縁(ぎょくむえん)を雁帰陣へと導き、白風夕(はくほうせき)を救出させようとした。
東疆から雍京へ新たな馬が送られたという知らせが広まり、二殿下の豊蘭息は再び世子位に近づいた。しかし、百裏氏はこれを阻止しようと、馬を奪う計画を立てた。突然の地震と村が壊滅したという知らせに、豊蘭息は白風夕(はくほうせき)の身を案じた。馬賊が集結して商(しょう)隊を襲撃しようとしていることを知り、豊蘭息は迅速に対処し、馬を守った。
馬賊の事件を解決後、豊蘭息はすぐに霧山へ向かい白風夕(はくほうせき)を探した。幸いにも、海東青(せい)が白風夕(はくほうせき)を見つけ、溶岩洞から救出した。白風夕(はくほうせき)がこの数日間、玉無縁(ぎょくむえん)と行動を共にしていたと聞き、豊蘭息は嫉妬し、翌日からは二人で行動するよう求めた。二人は六爻陣が仕掛けられた洞窟を探検し、息の合った連携で仕掛けを解いた。
難関を突破した後、白風夕(はくほうせき)は太陰(たいいん)老人に師匠の行方を尋ね、師匠は今のところ無事だが、救出するには蘭因璧月の任務を達成しなければならないことを知った。太陰(たいいん)老人は、英雄帖を受け取った者は皆試練を受けなければならないと強調し、今後の成り行きは彼らの運命次第だと告げた。豊蘭息は、二人で力を合わせれば必ず成功すると確信していた。
第16話あらすじとネタバレ
黒豊息(こくほうしょく)は太陰(たいいん)老人との対局に招かれた。始めは幻覚に陥り、数々の分身が現れ、最大の敵は自分自身だと悟る。幻影は精巧だが、所詮は盤上の駒に過ぎない。幼少期の記憶が蘇り、遊びに夢中で宮殿を抜け出した帰り、母后が既に亡くなっていた時の衝撃を思い出す。もし遊んでいなければ、母后は死ななかったかもしれないという自責の念が、心の奥底に深く刻まれていた。長年、心の闇と戦い、過去を乗り越えることで前に進めると励まし、自責の念は無意味で、勇敢に立ち向かわなければならないと自覚する。
太陰(たいいん)老人は黒豊息(こくほうしょく)の成熟した心性を称賛し、最後の試練は人生如棋、盤は三千煩悩を表すと告げる。この局面を打開するには、煩悩を断ち切らねばならない。しかし、黒豊息(こくほうしょく)は情を捨てきれず、それを見た白風夕(はくほうせき)が盤を壊す。彼女は自身に何の執着もなく、当然ながら棋局に囚われることもない。白風夕(はくほうせき)は優しく黒豊息(こくほうしょく)の汗を拭き、遊び呆けているだけの男だと自嘲する彼をたしなめる。
こうして対局は終わり、二人は遂に太陰(たいいん)老人の真の姿を目にする。太陰(たいいん)老人は、江湖(こうこ)の人々が皆「蘭因璧月」の功法を狙う中、黒豊息(こくほうしょく)と白風夕(はくほうせき)だけが互いに譲り合っていることを感慨深く語る。黒豊息(こくほうしょく)は秘笈を求めて霧山に来たが、たとえ何も得られなくても構わないと考えている。白風夕(はくほうせき)は師匠と師妹(しまい)を救うために来たのであり、秘笈には興味がない。彼女は、もし黒豊息(こくほうしょく)が秘笈を得て絶世の武功を身につけたなら、自分も教えてもらうとまで言い、互いを認め合う好敵手を失いたくないという思いを明かす。
太陰(たいいん)老人は二人に蘭因璧月の功法を伝え、その優れた悟性に驚く。修行中、黒豊息(こくほうしょく)は内力(ないりょく)が乱れ、暴走寸前となる。白風夕(はくほうせき)は碧月心法を用いて彼を救い、経脈の流れを変えて状態を安定させる。
黒豊息(こくほうしょく)は、人生においては何かを得るために何かを諦めなければならないが、しかし、どうしても捨てきれない情もあることを悟る。自分は全てを捨て去ることができると考えていたが、白風夕(はくほうせき)だけは諦められない。三千煩悩のうち、一つだけ残したとしても構わない。この情の糸に一生縛られていたいと願う。白風夕(はくほうせき)は彼の内力(ないりょく)を回復させるが、正気に戻すには百会、神庭など四つの致命的なツボを正確に押さねばならない。黒豊息(こくほうしょく)の生死は白風夕(はくほうせき)の手に委ねられた。そしてついに、二人は蘭因璧月を修得する。太陰(たいいん)老人は、この功法は互いの信頼と犠牲、生死を共にする覚悟があってこそ完成するものだと理解する。
玉無縁(ぎょくむえん)は雁帰陣に仕掛けた天険死局が破られたことから、誰かが突破したと推測する。断魂門(だんこんもん)の少主として、門人たちを霧山の外に配置し、蘭因璧月を手に入れた者の出現を待つ。
黒豊息(こくほうしょく)と白風夕(はくほうせき)が霧山を突破した後、太陰(たいいん)老人は自らの死期を悟り、社稷堪輿(こし)図を黒豊息(こくほうしょく)に託し、正しく使うよう願う。また、自ら育てた数十年に一度しか咲かない蘭因璧月の花を白風夕(はくほうせき)に贈る。この花は内力(ないりょく)で養えば永遠に枯れることはなく、生死の境で命を繋ぐ力となるかもしれない。
太陰(たいいん)老人は側近に二人を霧山から送り出すよう指示する。二人が去った後、霧山は地震で崩落し、太陰(たいいん)老人の永遠の眠りの場となる。玉無縁(ぎょくむえん)は太陰(たいいん)老人の側近に蘭因璧月を誰が手に入れたのかを問い詰め、答えない側近に催心掌を使う。蛩蛩の後裔である玉無縁(ぎょくむえん)は、側近を殺した後、黒豊息(こくほうしょく)と白風夕(はくほうせき)に出会う。二人を試すため、山の下で争いが起きていると告げる。心配した白風夕(はくほうせき)はすぐに駆けつけ、断魂門(だんこんもん)が白建徳(はくけんとく)たちを襲っているのを発見する。二人は協力して敵を撃退し、玉無縁(ぎょくむえん)は陰から全てを見届け、真相を悟る。
朝議で、豊蘭息(ほうらんしょく)の帰還が遅れたことに雍王は怒り、戦馬の件で傲慢になっていると非難する。豊莒(ほうきょ)は豊蘭息(ほうらんしょく)を弁護し、その時、豊蘭息(ほうらんしょく)が到着し、社稷堪輿(こし)図を献上し、図の護送が遅れた理由だと説明する。豊莒(ほうきょ)は図の真偽を疑うが、秦相は本物だと確認する。皆が豊蘭息(ほうらんしょく)と太陰(たいいん)老人の関係を不思議がる中、彼はかつて水に落ちた時に助けてくれたのが太陰(たいいん)老人だと説明する。
雍王は大いに喜び、豊蘭息(ほうらんしょく)の功績を称え、盛大な褒美を与えることを決める。その時、帝都の使者が依歌公主の四十回忌の祭礼のために聖上の命で到着する。これは豊蘭息(ほうらんしょく)の立場を強固にするためのものだった。使者は公主の廟に参拝しようとするが、雍王は慌てふためく。豊蘭息(ほうらんしょく)の母后を陵墓に葬っていないからだ。豊蘭息(ほうらんしょく)は機転を利かせ、母后の命日前までに祭壇を設けるよう父王に進言する。
翌日、先王后の祭礼は二時間かかる予定で、百里(ひゃくり)氏(ひゃくりし)は参列したくないため、雍王の前で仮病を使う。しかし、雍王は見破り、出席を強要する。豊蘭息(ほうらんしょく)はこの機会を利用し、母后の命日を百里(ひゃくり)氏(ひゃくりし)への牽制に使う。彼は母后に祈りを捧げ、母后は自分が他人に策略を使うことを好まないと知っているが、それでも様々なことをしてきた、正しかったことも間違っていたこともある、母后が喜んでくれるか、それとも嫌悪するかはわからないが、流れに抗い、自分の立場を勝ち取るために戦うと誓う。
コメントする