第13話あらすじとネタバレ
雍王(ようおう)は勅命(ちょくめい)を出し、豊蘭息(ほうらんしょく)を朝廷官吏(ちょうていかんり)への誣告罪(ぶこくざい)で告発し、自宅謹慎(じたくきんしん)を命じた。同時に、張仲革(ちょうちゅうかく)に科挙試験(かきょしけん)の不正事件(ふせいじけん)の再捜査(さいそうさ)を命じた。貢生(こうせい)の宋思翰(そうしかん)は、試験問題(しけんもんだい)は裴有説(はいゆうせつ)から提供されたと自白(じはく)した。張仲革(ちょうちゅうかく)の調査(ちょうさ)により、裴有説(はいゆうせつ)は試験前(しけんまえ)に筆記用具(ひっきようぐ)を要求し、下人(げにん)を遠ざけて四人の受験者(じゅけんしゃ)と話し、自ら全ての試験会場(しけんかいじょう)を検査したことが判明した。この事実を知った雍王は、裴有説(はいゆうせつ)を投獄(とうごく)した。
宋思翰(そうしかん)の証言(しょうげん)により裴有説(はいゆうせつ)は牢獄(ろうごく)に入れられた。鳳棲梧(ほうせいご)は豊蘭息(ほうらんしょく)の嫌疑(ぎわく)が晴れないことを心配し、なぜ自分が罪を被らないのか理解できなかった。しかし、豊蘭息(ほうらんしょく)は百裏氏(ひゃくりし)の陰謀(いんぼう)、つまり自分を誣告の窮地(きゅうち)に陥れる計画を既に看破していた。鳳棲梧(ほうせいご)が身代わりになれば、百裏氏の計画は失敗に終わる。
全ては予定通りに進んでいるように見え、まるで準備されていたかのようだ。豊蘭息(ほうらんしょく)は最初から梁国公(りょうこくこう)が真の漏洩者(ろうえいしゃ)ではないと疑っており、罠(わな)だと知りつつも敢えて踏み込んだのは、百裏氏をおびき出し、真の証拠(しょうこ)を集めるためだった。今、百裏氏は形勢が有利だと考えているだろう。次の段階は証拠隠滅(しょうこいんめつ)だろうが、それは真相究明(しんそうきゅうめい)の好機となる。
白風夕(はくほうせき)は如玉軒(じょぎょくけん)からの手紙を受け取り、師匠(ししょう)が旧友(きゅうゆう)を訪ねた際に偶然、太陰(たいいん)老人(たいいんろうじん)の継承(けいしょう)の話を耳にしたことを知った。そこで、白風夕(はくほうせき)は霧山(きりやま)へ向かい、機(き)を伺うことにした。太陰(たいいん)老人は霧山で試練(しれん)を設けているため、伝書鳩(でんしょばと)は師匠を見つけられない。琅華(ろうか)は父の知らせを聞き、霧山へ行きたがったが、白風夕(はくほうせき)は病気を治してから連れて行くように説得した。
鍾離(しょうり)は豊蘭息(ほうらんしょく)に、梁国公府と親しくしているのは盧休穆(ろ・きゅうぼく)府の人間だけだと報告した。豊蘭息(ほうらんしょく)は鍾離に穿雲穿雨(せんうんせんう)を派遣し、盧府を監視させた。六合宴(りくごうえん)から戻った豊莒(ほうきょ)は、百裏氏から盧休穆の排除(はいじょ)を命じられた。顧宇(こう)は賭博(とばく)の借金(しゃっきん)を抱えていたが、何者かがその借金を肩代わりし、千銀葉(ぎんよう)で盧休穆の闇殺(あんさつ)を依頼した。顧宇(こう)は金に目がくらみ、依頼を引き受けた。
顧宇(こう)は盧府に忍び込み、盧休穆を闇殺した。息を引き取る間際、盧休穆は「木蘭(ムーラン)」と呟いた。白風夕(はくほうせき)は顧宇(こう)を追跡したが、闇殺を阻止することはできなかった。その後、顧宇(こう)が隠泉水榭(いんせんすいしゃ)の人間に捕らえられるのを目撃した。永平(えいへい)君府(えいへいくんふ)に隠泉水榭(いんせんすいしゃ)の人間が現れたのを見て、白風夕(はくほうせき)は両者の繋がりを察し、すぐに黒豊息(こくほうしょく)が豊蘭息(ほうらんしょく)本人であることに気づいた。
白風夕(はくほうせき)は黒豊息(こくほうしょく)に、彼の正体を知っていると単刀直入(たんとうちょくにゅう)に告げた。実際、黒豊息(こくほうしょく)は隠すつもりはなく、ただ適切な機会(てきせつなきかい)を待っていただけだった。白風夕(はくほうせき)は顧宇(こう)が利用されたと考えていると述べ、黒豊息(こくほうしょく)は科挙試験の不正事件の詳細(しょうさい)を説明した。白風夕(はくほうせき)は江湖(こうこ)の単純明快(たんじゅんめいかい)さを好み、朝廷(ちょうてい)の権力争い(けんりょくあらそい)は江湖(こうこ)よりも危険だと感じた。その時、顧宇(こう)が尋問前(じんもんまえ)に服毒自殺(ふくどくじさつ)したという知らせが届いた。
盧休穆が殺害され、顧宇(こう)が獄中死(ごくちゅうし)したことで手がかりが途絶え、黒豊息(こくほうしょく)は盧休穆が試験問題を盗んだ証拠を見つける方法に悩んでいた。顧宇(こう)の死を受け、白風夕(はくほうせき)は豊蘭息(ほうらんしょく)に協力し、真犯人(しんはんにん)を見つけ出すことにした。白風夕(はくほうせき)は試験問題を確認した際、王印(おういん)が薄いことに気づき、分印掌(ぶんいんしょう)の技を使って二種類の試験問題を発見した。
鳳棲梧(ほうせいご)は雍王に、試験問題は原本(げんぽん)ではなく、漏洩できるのは盧休穆だけだと報告した。つまり、豊蘭息(ほうらんしょく)は裴有説(はいゆうせつ)を庇って(かばって)梁国公を陥れたのではなく、誰かが意図的に疑いを豊蘭息(ほうらんしょく)に向けさせたのだ。鳳棲梧(ほうせいご)は雍王に盧休穆の屋敷の捜索許可(そうさくきょか)を求め、許可を得た。
豊蘭息(ほうらんしょく)は盧休穆が最後に言った「木蘭」を分析した。地方の方言(ほうげん)では「哨鹿(しょうろく)」を意味する。水榭から、盧休穆が狩猟道具(しゅりょうどうぐ)を保管する専用の庭を持っているという情報が入った。豊蘭息(ほうらんしょく)と鳳棲梧(ほうせいご)はその場所へ急行し、放火犯(ほうかはん)を捕まえ、決定的な証拠(けっていなしょうこ)を発見した。鳳棲梧(ほうせいご)は証拠を雍王に提出し、豊蘭息(ほうらんしょく)の潔白(けっぱく)を証明した。
豊蘭息が科挙試験の不正事件について雍王と相談した際、雍王はこれ以上追及しないように提案した。しかし、豊蘭息は表面上は科挙試験の不正事件だが、実際は自分に対する陰謀であり、真相が明らかになった以上、父王に真犯人の追及を願った。雍王は裴有説(はいゆうせつ)と他の無実の貢生(こうせい)を釈放すると言い、永平(えいへい)君として天下を思うべきであり、全ての罪は盧休穆で終わらせるべきだと諭した。豊蘭息は落胆した。なぜなら、調査を続ければ黒幕(くろまく)を捕らえられると分かっていたが、雍王は動こうとしなかったからだ。
雍王は百裏氏と科挙試験の不正事件について話し合った。百裏氏は今回の事件で豊蘭息の失脚(しっきゃく)を望み、過去の恨み(うらみ)を晴らそうとしていた。雍王は、彼女が放った放火犯を処理したことを伝え、豊蘭息に調査を止めさせたことを告げた。彼女がすべきことは雍王と歩調を合わせることだけで、そうすれば権力闘争(けんりょくとうそう)で優位に立てる。
任如松(じんじょしょう)は豊蘭息の無念を理解しつつも、目先の損得(そんとく)は気にせず、大局(たいきょく)を重んじるべきだと諭した。世子(せいし)になるためには、多少の不当な扱い(ふとうなあつかい)は我慢しなければならない。また、百裏氏が豊蘭息の妃選び(きさきえらび)について尋ねていると聞き、余計な問題(よけいなものだい)を避けるため、鳳棲梧(ほうせいご)を検討するように勧めた。豊蘭息は拒否した。彼が歩む道には情愛(じょうあい)の入る余地はなく、妃選びは後回しにした。豊蘭息は心の中で不満を感じていた。皆が彼に大局を重んじるように言うが、彼がこの状況に巻き込まれたのは、まさにその大局を考えてのことだった。
第14話あらすじとネタバレ
蘭雲楼で白風夕(はくほうせき)を待つ豊蘭息(ほうらんしょく)。この楼閣は彼のものであり、名前の「蘭」は彼の名から、「雲」は惜雲を偲んで付けられたものだった。風惜雲(ほうせきうん)への想いは未だ消えず、六合宴での出会いを回想する。蘭雲楼はあの頃の純粋な友情の証なのだ。
白風夕(はくほうせき)が心の迷いを解いてくれたことに感謝する豊蘭息(ほうらんしょく)。皆が彼に大局を優先するように説いた中で、ただ一人、白風夕(はくほうせき)だけが彼の気持ちを理解してくれた。彼女は、豊蘭息(ほうらんしょく)が身分を隠していたのは彼女を束縛しないためだと分かっていた。朝廷での生活に飽き、江湖(こうこ)の自由を求める彼女のことを深く理解していたのだ。かつては豊蘭息(ほうらんしょく)の深謀遠慮を警戒していた白風夕(はくほうせき)だが、今では権力争いにおいては必要なことだと理解している。彼の野心は雍州に留まらない。その時、二人の関係はどうなるのだろうか?
朝廷の争いに身を置く豊蘭息(ほうらんしょく)と、江湖(こうこ)の自由を謳歌する白風夕(はくほうせき)。彼女を自分の世界に巻き込まないために、豊蘭息(ほうらんしょく)は白風夕(はくほうせき)に去るように仕向ける。琅華の病が癒えた後、白風夕(はくほうせき)は彼女を霧山へ連れて行く約束をし、豊蘭息(ほうらんしょく)に別れを告げる。去っていく白風夕(はくほうせき)の後ろ姿を見送りながら、豊蘭息(ほうらんしょく)は名残惜しさに胸を締め付けられる。
鍾離は豊蘭息(ほうらんしょく)が白風夕(はくほうせき)を見送らなかったことに疑問を抱くが、豊蘭息(ほうらんしょく)はただため息をつくだけだった。長年、陰謀渦巻く世界で生きてきた彼は、白風夕(はくほうせき)の自由奔放な生き方に憧憬を抱いていた。これからの道のりは険しい。進む道が違うのならば、無理に一緒にいるべきではない。白風夕(はくほうせき)が自分の夢を追いかける姿を見ているだけで、彼は満足だった。
雍王から軍馬の調達を命じられた豊蘭息(ほうらんしょく)。だが、彼はそれが口実に過ぎず、父王が王相を牽製するために自分を利用しようとしていることを理解していた。彼はすぐに穿雲と穿雨に東疆での馬の買い付けを指示し、同時に鳳栖梧には王明海(おうめいかい)の不正の証拠を見つけるように依頼する。
王相は百裏氏を利用して弟の王明海(おうめいかい)を支援し、豊蘭息(ほうらんしょく)に経済的な圧力をかけようとする。百裏氏は再び豊蘭息を窮地に陥れるため、王明海(おうめいかい)に馬の価格をつり上げるよう指示し、同時に百裏氏は豊莒(ほうきょ)を東疆へ送り、寧王叔から馬を借りさせ、豊蘭息の計画を妨害しようと画策する。豊蘭息はこれらの動きを予測し、商(しょう)人から王明海(おうめいかい)の不正に関する情報を集め始める。多くの者に恨みを買うことになるだろうが、それは雍王の狙いである勢力均衡を実現するための一部なのだ。
百裏氏は豊萇(ほうちょう)を宮中に呼び、戚国公の娘との縁談を持ちかける。科挙と軍馬の件で立て続けに失敗した豊萇(ほうちょう)にとって、母后からの突然の好意は不自然に感じられた。戚国公の娘婿になれば、必然的に豊蘭息と対立することになる。豊萇(ほうちょう)は、これが自分と豊蘭息の兄弟仲、そして豊蘭息の政(まつりごと)治的立場を弱体化させるための策略だと気付く。
母后に結婚を迫られた豊萇(ほうちょう)は、仕方なく戚澄(せきちょう)と会う。しかし、戚澄(せきちょう)は豊萇(ほうちょう)を見下し、宮女生まれの庶子であることを侮辱する。百裏氏は豊萇(ほうちょう)に戚澄(せきちょう)との結婚を強要し、拒めば母子断絶を言い渡す。このことを知った豊蘭息は、百裏氏が自分と豊萇(ほうちょう)の関係に気づき、兄弟の最後の絆を完全に断ち切ろうとしているのだと悟る。
玉無縁(ぎょくむえん)と皇朝(こうちょう)は霧山を訪れる。皇朝(こうちょう)は玉無縁(ぎょくむえん)が太陰(たいいん)老人の伝承を求めて来たと思っていたが、実は玉無縁(ぎょくむえん)は多くの江湖(こうこ)人が霧山に囚われている謎を解きに来たのだった。霧山を進む一行。楓の葉がまるで剣のように舞い落ち、危険な罠となる。琅華が洞窟に落ちてしまった時、修久容(しゅうきゅうよう)は助けようとして共に落ちかける。二人の身を案じる白風夕(はくほうせき)。その時、太陰(たいいん)老人の声が聞こえ、二人は無事だと告げ、試練を乗り越えて進むよう促すのだった。
コメントする