第27話あらすじとネタバレ
張屏(ちょうへい)が連れ去られた後、蘭珏(らんかく)は辜清章(こせいしょう)に計画の変更の有無を尋ねた。辜清章(こせいしょう)は全て予定通りだと答え、まずは自分が奪われたものを取り戻し、その後、実力のある者に皇位を譲ると言った。蘭珏(らんかく)は朝廷と民衆の動揺を懸念したが、辜清章(こせいしょう)はそんな状況こそ面白いと一笑に付した。
柳太傅(たいふ)は玉牒を見つけたが、中身は空だった。皇子誕生の時、玉牒に掌印を押したことを思い出し、この玉牒は今まで大切に保管されてきたはずだった。柳太傅(たいふ)は自分が支えてきた聖上が偽物だと悟った。宮中に号角が響き渡り、柳太傅(たいふ)は太后崩御の知らせを伝え、皇帝は遠徴中のため、葬儀は大臣たちが執り行い、千秋儀(せんしゅうぎ)典礼で行うと宣言した。他の大臣たちが去った後、柳太傅(たいふ)は蘭珏(らんかく)に、真の皇位継承者が太后の葬儀中に即位することを告げ、全ての手配を彼に委ねた。
蘭珏(らんかく)は、辜清章(こせいしょう)が柳太傅(たいふ)の力を借りて即位し、その後譲位するつもりだと理解した。千秋儀(せんしゅうぎ)盛典には各地の藩王が集まるため、皇位争奪で混乱が生じ、国が不安定になる可能性が高い。そこで蘭珏(らんかく)は曹将軍を訪ね、辜清章(こせいしょう)の計画を阻止しようと協力を求めた。曹将軍は張屏(ちょうへい)も同じことを話していたと明かし、張屏(ちょうへい)には二人に伝えたい重要なことがあるが、蘭珏(らんかく)が来るまで待つように言われたと付け加えた。
曹将軍が張屏(ちょうへい)を連れてこさせると、張屏(ちょうへい)は辜清章(こせいしょう)が今日太后を殺したことに疑問を抱いた。辜清章の性格からすれば、一刀両断ではなく、もっと苦しめるはずだと言う。さらに、辜清章の計画では、千秋儀(せんしゅうぎ)大典で太后の罪を暴くはずなので、太后を今殺すのはおかしい。火事の後、太后は顔だけでなく喉も損傷していたことを考え合わせ、張屏(ちょうへい)は辜清章が既に太后をすり替えており、焼かれたのも殺されたのも偽物だと推測した。
この推測を検証するため、曹将軍は応熹など太后をよく知る者に遺体の確認をさせ、熊副将に周囲を捜索させることを提案した。しかし、応熹は太后に近づくことができず連れ出され、熊副将も隠れている人物は見つけられなかった。蘭珏は、人を隠し、かつ大典の様子を見せることができる場所は、千秋儀(せんしゅうぎ)の頂上しかないと考えた。千秋儀(せんしゅうぎ)は外からは封鎖されているが、蘭珏が以前見た設計図によると、底部に宮中の主渠に繋がる修繕用の通路があり、そこから千秋儀(せんしゅうぎ)に入れるはずだった。通路は老朽化して通りにくいが、情報漏洩を防ぐため、張屏と熊副将はそこから調査することにした。
二人が行動を起こそうとした時、陳籌(ちんちゅう)が現れ、蘭珏が張屏に渡したいものがあると伝え、同行を申し出た。蘭珏は外に残って太后の葬儀を執り行い、張屏に時間を稼ぐことにした。張屏は通路内で水銀を発見した。これは太后の小斂儀式で使われるものだった。その後、何者かに通路を包囲され、捕らえられてしまう。辜清章が現れ、張屏の才知を褒め称えながらも、事あるごとに邪魔をすることに苛立ちを露わにした。
熊副将は突如張屏を刺し、新君を支持すると宣言した。辜清章の挑発に対し、張屏はたとえ一万回やり直しても自分の選択を後悔しないと断言した。陳籌(ちんちゅう)は泣き崩れ、辜清章に自分の命も奪うよう懇願したが、辜清章は陳籌(ちんちゅう)を生かし、張屏の死体処理をさせることにした。
張屏がなかなか戻らないため、蘭珏は不吉な予感を抱いた。その時、柳太傅(たいふ)は太后の実の息子に太后を見送らせようと提案し、周囲を驚かせた。辜清章が現れると、柳太傅は彼こそがかつての太子だと紹介し、大臣たちはざわめき始めた。
第28話あらすじとネタバレ
門外に突如無数の黒い影が現れ、断末魔の叫び声が響き渡った。再び門が開いた時、外の人々は皆倒れており、太后が血書を身に纏い門口に立っていた。血書には、三十年前の皇子すり替えの真相が記されており、太后が秘密を守るため、摩箩村の村民や蘭(らん)府の関係者など、すべての関係者を殺害したことが明かされていた。
柳太傅(たいふ)が玉牒を取り出すと、大臣たちは玉牒が空であることに気づき、騒然とした。柳太傅(たいふ)は辜清章(こせいしょう)に玉牒を見せて身分を証明するように求めた。辜清章(こせいしょう)が玉牒を取り出すと、司天監(してんかん)少監が確認を行い、掌紋が一緻することを確認した。これは、辜清章(こせいしょう)がかつて行方不明になった皇子である可能性が高いことを意味していた。
柳太傅(たいふ)は正統の君主を立てるべきだと主張し、群臣を率いて辜清章(こせいしょう)に即位を懇願した。喪の最中に即位式を行うのは礼に適っていないという声もあったが、柳太傅(たいふ)は蘭珏(らんかく)に尋ね、歴史上同様の例があったことを確認した。
しかし、即位の準備が進む中、陳籌(ちんちゅう)に支えられた張屏(ちょうへい)が現れ、全てが自分の計画であったことを明かした。皇子すり替えなど存在せず、辜清章(こせいしょう)は本当の皇子ではないと指摘した。実は張屏(ちょうへい)は熊副将にわざと刺されていたが、重傷に見えても急所は外れていたのだ。本当の玉牒は張屏(ちょうへい)がずっと持っていたため、辜清章(こせいしょう)の玉牒が偽物であることは明白だった。
張屏(ちょうへい)は棺を開けて確認することを提案したが、辜清章は太後の遺体は怨霊に連れ去られたと主張した。張屏(ちょうへい)はそれらの「怨霊」は辜清章の手下だと見破り、本当の太后は火事の後に入れ替えられ、暗渠(あんきょ)に隠されていると指摘した。曹将軍は、太後の侍女がすでに太后が棺の中にいることを認めたと証言した。人々が棺を開けると、果たして意識を失った太后が発見され、針を抜くと意識を取り戻した。
張屏(ちょうへい)は、辜清章は太后を拉緻した後に掌紋を手に入れたのだと説明した。しかし、太後の手は出産後に水疱瘡を患い、独特の痕が残っているため、真偽を確かめることができると述べた。証拠を突きつけられ、辜清章は玉牒が偽物であることを認めたが、なぜ張屏が今になって態度を変えたのかを問いただした。張屏は、辜清章こそが鏡(きょう)湖先生(きょうこせんせい)と呼ばれる、王位を狙う狂人であることを暴露した。
さらに驚くべきことに、辜清章は夜幽曇の花蕊に血霧(けつむ)毒素を仕込んでおり、花が咲けば都の民が皆死の危機に瀕すると明かした。辜清章が笛を吹くと、夜幽曇はたちまち咲き始め、毒気が広がり始めた。衛兵たちは次々と倒れていった。張屏が調べると、辜清章は事前に土に埋めた硝石を水で活性化させ、夜幽曇を早く咲かせたと分かった。
危険を察知した人々はパニックになり逃げ始めた。張屏と蘭珏(らんかく)は人々を組織し、濡れ布で口と鼻を覆い、避難誘導を行い、できる限り多くの命を救おうと尽力した。
最終回(第29話)あらすじとネタバレ
辜清章(こせいしょう)は太后を都で一番高い場所に連れて行き、都の民が毒に苦しむ惨状を見せつけた。かつて権力のために実の息子を見捨てた太后だが、今、辜清章(こせいしょう)は彼女の最後の権力を奪おうとしていた。この光景を前に、太后は異様なほど冷静で、権力闘争とはこういうものだと語り、今夜以降、自分の秘密を知る者はもういないと辜清章(こせいしょう)に感謝さえした。辜清章(こせいしょう)は太後の改心のなさにあきれ、立ち去ろうとしたその時、太后は彼の乳名が「曇児(タンアル)」だと明かした。血の霧がついに高所にまで達し、太后もその毒から逃れることはできなかった。
一方、蘭珏(らんかく)と張屏(ちょうへい)は民を伴月楼へ避難させ、戸締まりを厳重にして毒霧の侵入を遅らせようと奔走していた。しかし、これは一時しのぎに過ぎず、皆で解決策を模索する。張屏(ちょうへい)は人工降雨器を使って雨を降らせ、花粉の拡散を防ぐことを提案する。天気予報では雨は近いものの、正確な時間は不明だった。都の人工降雨器は既に壊れている可能性があるため、曹将軍は火砲で塩弾を打ち上げる代替案を出し、皆で手分けして準備を始める。
陳籌(ちんちゅう)は街中で民に口と鼻を覆って高所へ避難するよう指示していた。彼一人では都全体をカバーすることは難しいが、多くの士子たちが彼の呼びかけに応じ、救助活動に加わった。張屏(ちょうへい)は塩弾に必要な塩を集めるため奔走し、幸運にもある塩商人から数百斤の塩の寄付を受けることができた。
辜清章(こせいしょう)は街を歩き、逃げ惑う人々を見ながら、復讐を果たした後の複雑な、そして迷える心境だった。赤ん坊の泣き声を耳にした彼は、同情の念に駆られ、子供を抱き上げるが、すぐに駆けつけた母親に返す。この瞬間、辜清章(こせいしょう)は自分が世界に見捨てられた存在だと感じ、一人で血の霧の中へと消えていった。
塩弾を詰め込んだ火砲が空へ打ち上げられ、人々は期待を込めて空を見上げる。ついに待望の雨が降り始め、都を覆っていた血の霧を洗い流した。雨上がり、民衆は歓喜に沸き、張屏(ちょうへい)は蘭珏(らんかく)に老蘭大人から預かっていた香袋を返し、二人は安堵の表情を浮かべた。陳籌(ちんちゅう)は夫を失った女性を慰め、皇帝が凱旋し、この危機に終止符が打たれた。
その後、皇帝は張屏(ちょうへい)を自ら見送り、血筋についてどう思うか尋ねた。張屏(ちょうへい)は「重要ではない」と答えた。太后の残党の脅威が完全に消えていないことを考慮し、皇帝は張屏の性格が正直すぎるため、彼を宜平県の県令に数年任命し、後に呼び戻して大理寺卿に任命すると告げた。陳籌(ちんちゅう)は張屏と共に赴任し、県令の仕事に不安を感じる必要はない、きっと良くなると励ました。王墨聞は大理寺卿に就任後、すぐに未処理の案件に著手した。蘭珏(らんかく)も父の冤罪が晴れたことで、子供を呼び戻すことを計画した。
宜平県で県令を務める張屏は、時折街に出て麺を買っていた。ある日、巡撫使となった蘭珏(らんかく)が宜平県を通りかかり、張屏との出会いを思い出し、五文銭を取り出して「麺一杯分足りるか?」と尋ねた。それはまるで、あの日の二人の出会いと同じ光景。二人は顔を見合わせ、微笑み合った。まるで時間が二人の間の友情と默契を変えることができなかったかのように。
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