『皇后劉黑胖』 第23話:「黒胖ぶよの淡い恋心」

黒い玉のような帛の黒袍を纏った則玉は、軽く頷いて言った。「先生、随分と風流ですね。」

しかし、金鳳(きんぽう)は彼の目に隠しきれない軽蔑の光を見つけてしまい、この男への印象はガタ落ちした。

魚長崖(ぎょ・ちょうがい)の方ははるかに温厚で、「先生、そろそろ乾羅殿へ陛下に謁見する時間です。諸兄が待っております」と言った。

周大才子はまるで聞いていないかのように、手のひらの中の紙扇を弄びながら言った。「ところで、この池の畔の木芙蓉は誰が植えたものか。実に美しい眺めだ!」

金鳳(きんぽう)の黒い顔の下は、ほんのりと赤らんだ。

周大才子の視線は金鳳(きんぽう)に留まり、一瞬光った。「これは誰だ?」

魚長崖(ぎょ・ちょうがい)は言った。「先生を探して出て来たのですが、誤って御花園に入ってしまいまして。この小宮人に道案内をしてもらったおかげで助かりました。」そう言うと、意味深長に金鳳(きんぽう)を一瞥した。まるで「お前が黒胖(こくはん)ぶよだってことは分かっている。安心しろ、バラしたりしない」と言っているようだった。

金鳳(きんぽう)は冷や汗をかいた。

周大才子は金鳳(きんぽう)に向かって拱手した。「小宮人よ、礼を言う。」

則玉は唇の端に嘲りの笑みを浮かべながら言った。「先生、この小黒胖(こくはん)ぶよは何も役に立っていません。先生を見つけたのは徳勉です。」

周大才子は則玉を非難するように一瞥し、それから金鳳(きんぽう)に優しく微笑みかけた。「小宮人よ、気にするな。則玉はこういう性格なのだ。」彼は辺りを見回し、回廊の側で木芙蓉の枝を一本折った。

「小宮人よ、『千林掃作一番黄、隻有芙蓉独自芳』。この世に生きる者は、この木芙蓉のようにあるべきだ。他人がどう見ているかは気にせず、大切なのは自分がどう見ているかだ。」彼は真面目な顔で、その芙蓉を金鳳(きんぽう)の目の前に差し出した。

金鳳(きんぽう)の心はふわふわと舞い上がり、太液池の上を何度も旋回したが、著地する場所が見つからなかった。

本当は、この言葉は菊や桂花、梅にも当てはまると思った。しかし今回は、口を閉ざし、琴を焚いて鶴を煮る得意技を、不思議と発揮しなかった。

ただ手を伸ばし、木芙蓉を受け取った。

周大才子は意味深長に彼女を一瞥し、背を向けて去っていった。二人の弟子は彼女が手に持っている木芙蓉をちらりと見て、同じく去っていった。

金鳳(きんぽう)は一人、その木芙蓉の枝を握りしめ、太液池の畔で長い間立っていた。

少し後の恩栄の宴で、段雲嶂(だん・うんしょう)は天子として与えられる最大の恩栄を余すところなく表現した。十年近く皇帝を務めた後、十七歳になった段雲嶂(だん・うんしょう)は帝王としての立ち居振る舞いを完璧に身につけていると言わざるを得なかった。

しかし、珠簾の後ろ、段雲嶂(だん・うんしょう)の傍らに控える金鳳(きんぽう)の意識は、既に九天のかなたへ飛んでいた。

宴は歓声と笑いに満ち、大変な賑わいで、酒も進み、ついには酒令が始まった。出席しているのは皆十年間、苦学に励んできた者たちであり、科挙の順位こそ上下があるものの、皆天子の前で詩文の才能を披露したくてうずうずしていた。

酒令が中盤に差し掛かった頃、一人の若い進士は恐らく酔っていたのだろう、立ち上がってこう言った。「かねてより皇姨の白玉様の才女ぶりは京城一だと聞いております。一つ酒令を賜り、我々に見せていただけませんか?」

この言葉が出ると、宴は急に静まり返った。

しかし、酔っていたのはその若い進士だけではなかったようで、まばらに数人が賛同の声を上げ、一同はどっと笑った。

段雲嶂(だん・うんしょう)は眉をひそめたが、怒る様子もなく、右側の珠簾の後ろにいる劉白玉(りゅう・はくぎょく)の方を向いて言った。「白玉、興を添えるために酒令を一つ詠んでくれるか?」

珠簾の後ろから鶯の囀るような美しい声が聞こえた。「それでは、白玉、拙い歌を詠ませていただきます。」

酒令は劉白玉(りゅう・はくぎょく)の番になり、ちょうど芙蓉の籤を引いた。

劉白玉(りゅう・はくぎょく)は優雅に微笑んだ。「今日の太液池の木芙蓉は実に美しく咲いておりますので、白玉は芙蓉を詠む歌を一首詠もうと思います。」

そう言って象牙の箸を一本手に取り、杯を軽く叩きながら、ゆっくりと詠み始めた。「太液水沉煙波晩、翠華梢頭玉嶙峋。未若池上梧桐惨、敢笑人間少麗人。(太液池の水は夕靄に沈み波静か、天子のおられる梢には玉のように美しい芙蓉の花。池の畔の梧桐は色あせて見えるが、麗しき人は少ないと笑うなかれ)」

宴席は拍手に包まれ、段雲嶂(だん・うんしょう)も感動して言った。「さすが才女の名は伊達ではない!」

一同は口々に褒めたたえた。人を褒める者、詩を褒める者、褒めるところは様々だったが、最終的には皆皇帝と威国公を褒めることに繋がっていた。酔っていても、そこには線引きがあったのだ。

この称賛の声の中、異質な声が響いた。

「臣は、この詩はあまり良いとは思えません。」

一同は驚き、見ると、あの傲慢な状元、柴鉄舟(さいてっしゅう)、字は則玉であった。

柴鉄舟(さいてっしゅう)は官僚の家に生まれ、また才気に溢れていたため、当然ながら人を見下す癖があり、普通の人間は眼中になかった。滑稽なことに、威国公劉歇(りゅう・けつ)はこの性格を気に入り、大いに評価しており、百官もどうしようもなかった。

柴鉄舟(さいてっしゅう)は続けた。「皇姨のこの詩は、言葉の美しさは言うまでもありません。しかし、視線は狭い場所に限られ、個人の栄辱に囚われており、行き著くところは『容姿』の二文字だけで、浅薄ではないでしょうか。」

一同は顔色を変えたが、困った柴鉄舟(さいてっしゅう)は少し間を置いてから、また言った。「とはいえ、閨秀の身でこのような詩文を作れるのは、素晴らしいことです。」

「……」一同はしばらくの間、何も言えなかった。

しばらくして、劉白玉(りゅう・はくぎょく)は青白い顔で言った。「それでは、白玉、自罰として一杯いただきます。」

この酒令は大騒ぎになり、金鳳(きんぽう)はやっと注意を惹かれ、この様子を見て、内心おかしく思った。彼女は目を転じ、近くの侍従を呼び、何やら指示を出した。

柴鉄舟(さいてっしゅう)は立ち上がり、杯を高く掲げて言った。「それでは、臣が先に乾杯させていただきます。」彼は文人でありながら、行動は大胆で、烈酒を一気に飲み幹したが、表情は変わらなかった。

一同は内心でため息をつき、思った。後ろ盾があるというのは、やはり違うものだな、と。

柴鉄舟(さいてっしゅう)は大胆不敵に杯を置き、裾を直し、腰を曲げた――

ドスンと床に倒れた。

宴席は静まり返った。

しばらくして、哄笑が爆発した。温厚な魚長崖(ぎょ・ちょうがい)でさえも、柴鉄舟(さいてっしゅう)の肩を叩きながら笑った。「則玉、お前は酔っている。」

柴鉄舟(さいてっしゅう)の顔は青と白が入り交じった。もちろん自分が酔っているわけではないことは分かっていた。しかし、背後の椅子がなぜ勝手に一尺も後ろに下がったのだろうか?

ある奇妙な直感が彼に、一番上の珠簾を見上げさせた。

その視線は珠簾を突き抜け、金鳳の神経を少しだけ焦がした。金鳳の手は震えた。

こうして、皆が見ている前で、みずみずしい木芙蓉の花が一輪、珠簾の後ろからコロコロと転がり出てきた。

この恩栄の宴で、柴鉄舟(さいてっしゅう)、魚長崖(ぎょ・ちょうがい)、周大才子、劉黒胖(こくはん)ぶよ、そして皇帝段雲嶂(だん・うんしょう)でさえも、運命の小さな歯車がキーキーと音を立てて回り始めたことを、そして彼らがそれぞれ未知の奔流へと押し流されていくことを、まだ知らなかった。

柴大状元は家に帰ってから、あらゆる人脈を駆使して、乳母の伯父の甥の義兄弟の従姉妹の宮中の養女まで巻き込み、ついに一つの事実を突き止めたという。

宮中には黒胖(こくはん)ぶよの宮女は一人もいない。

しかし、現在の皇后娘娘、威国公の娘は、紛れもなく黒胖(こくはん)ぶよである。

柴大状元は当代きっての儒林の奇人、鉄の男の中の男であったが、この話を聞いて思わず汗で衣が重くなったという。

もちろん、これは後の話である。

恩栄の宴の後、段雲嶂(だん・うんしょう)は金鳳に尋ねた。

「今日は何か考え事をしているようだが、何を考えているのだ?」

金鳳はしらじらしく言った。「何も考えていません。」

「あの木芙蓉はどういうことだ?」

金鳳の頬は薔薇色に染まり、恥ずかしそうに微笑んだ。「人からもらったものです。」

段雲嶂(だん・うんしょう)は何故か身震いした。