『皇后劉黑胖』 第18話:「兄弟の語らい」

閭王段雲重(うんちょう)は王位を授かり宮廷の外に移り住んで以来、この上なく楽しい日々を送っていた。

宮外は宮中に比べて遥かに面白い。街をぶらつき、茶館に入り浸り、軽食をつまみ、講談を聞き、遊郭で様々な女たちと戯れることもできる。さらに興奮するのは、これらのことをしている間、宮中の年長者たちは遠く離れていて、幹渉することもできないことだ。

一年も経たないうちに、段雲重(うんちょう)は都でちょっとした名の知れた放蕩息子になった。宮廷の外で遊び呆けて、宮中に戻る回数は徐々に減っていった。太后と徐(じょ)太妃に呼ばれない限り、自分から宮中へ行くことはなかった。

この日、召命を受けて宮中に入り、太后と徐(じょ)太妃に謁見した後、軒羅殿へ皇帝段雲嶂(だん・うんしょう)に挨拶に行った。段雲重(うんちょう)は、この兄の様子がどうもおかしいことに気づいた。

「陛下、何かお悩み事ですか?」

段雲嶂(だん・うんしょう)は茶碗を手に持ち、蓋で湯の表面を何度も撫でていたが、彼の心はどこか遠くへ飛んでいた。

段雲重(うんちょう)は目をくるりと回し、「白玉という才媛が皇后のお付きとして入宮し、陛下が大変お心を配っておられると聞いておりますが…今のお姿を見ると、噂は本当のようですね」と、からかうような口調で言った。

段雲嶂(だん・うんしょう)は彼の言葉に仮論することもなく、深くため息をついた。

「お前にはわからない」

段雲重(うんちょう)は途端に兄への尊敬の念を深めた。女がいる男は違う。二人の女がいる男は、さらに違う。この兄を見てみろ、なんと深遠で、なんと思慮深いことか。

宜春院で新しく知り合った紅顔の知己のことを考えると、ああ、所詮は野花だな、とため息をついた。

「兄上、何かお悩みがあれば、弟に話してみてください。私がお悩みを解決して差し上げましょう」と、段雲重(うんちょう)はもったいぶった様子で近づいた。

段雲嶂(だん・うんしょう)は眉をひそめた。皇叔の段攏月(だん・ろうげつ)は今都におらず、それに長輩にこのような相談をするのは気が引ける。考えてみれば、話せるのは段雲重(うんちょう)しかいない。

「雲重(うんちょう)よ…」段雲嶂(だん・うんしょう)は言葉を詰まらせた。

段雲重(うんちょう)はまるで心に羽根でくすぐられたように感じた。「兄上、話があるなら早く言ってください」

段雲嶂(だん・うんしょう)は再びため息をついた。「朕は皇后に対して、あまり良くないのではないかと思うのだ」

段雲重(うんちょう)は驚いた。「兄上、皇后のことですか?劉白玉(りゅう・はくぎょく)のことではないのですか?」

「皇后のことだ!」

段雲重(うんちょう)は真剣に考えた。「兄上、あの小太り黒女に対しては、もう十分すぎるほど尽くしていると思います。彼女があんな容姿なのですから、夜毎春宵を共に過ごせると期待するのは無理というものです」

「雲重(うんちょう)!」段雲嶂(だん・うんしょう)は咳払いをした。この弟は、ますます言葉を選ばなくなってきた。

「しかし…」段雲重(うんちょう)は顎を撫でながら、「そうは言っても、あの小太り黒女は本当にかわいそうだ」と続けた。

「どういうことだ?」

「あの小太り黒女は入宮してから、太后様に気に入られず、皆も陰で嘲笑っていて、誰も彼女を本当の皇后だと思っていない。今、兄上には新しい寵愛の相手もいる。もしかしたら、彼女の皇后の座もいつかは危うくなるかもしれない。ああ、あの小太り黒女は何の罪があるというのか。暇な時に彼女と話をしたり、お茶菓子を食べたりするのは、なかなか楽しいものですよ」

段雲嶂(だん・うんしょう)は黙り込んだ。

「ああ、宮廷の外でこんな噂を聞きました。あの小太り黒女は、威国公夫人の本当の娘ではないらしいのです」

「ほう?」

「あの小太り黒女の本当の母親は、身分の低い下人だったそうで、だから威国公邸でも、彼女はあまり良い立場ではなかったそうです」

「そうなのか…」段雲嶂(だん・うんしょう)は金鳳(きんぽう)に劉歇(りゅう・けつ)に懇願するように迫ったことを思い出し、心に幾分かの罪悪感を覚えた。

「兄上、どうして急にあの小太り黒女のことを気にするようになったのですか?」段雲重(うんちょう)は皇帝の顔の微妙な変化を観察していた。

段雲嶂(だん・うんしょう)の顔にわずかな戸惑いがよぎった。

「え…皇后はこの数日、少し悲しんでいるようで、朕はどう慰めて良いかわからないのだ」

段雲重(うんちょう)は合点がいった。

女の寂しさか。

女の寂しさは、美しく言えば長門賦であり、悪く言えば嫉妬だ。

「兄上、私が代わりにあの小太り黒女を慰めて差し上げましょうか?」

「お前が?」段雲嶂(だん・うんしょう)は信じられないというように彼を睨んだ。段雲重(うんちょう)が宮廷の外で女遊びをしていることは知っているが、女を慰めるなど…

段雲重(うんちょう)は彼の心中を察し、胸を叩いた。「弟に任せください」

段雲重(うんちょう)は香羅殿に著くと、素方(そほう)から金鳳(きんぽう)がいつものように殿の裏で物憂げに空を見上げていると聞かされた。

段雲重(うんちょう)は口に含んでいた茶を三尺も吹き出した。

あの小太り黒女が、空を見上げている?しかも物憂げに?

女の寂しさは本当に人を変えるものだ。あの小太り黒女さえも、こんなに感傷的になってしまうとは。

彼はため息をつき、この珍しい光景を自分の目で確かめることにした。

金鳳(きんぽう)の背後からそっと近づき、驚かそうとしたのだが、彼女が手に持っている紙に気を取られてしまった。

金鳳(きんぽう)が握りしめていた紙は、すでにしわくちゃになっていた。紙には、墨をたっぷりと含ませた筆で、奔放な草書体で次のようなことが書かれていた。

「愛娘 黒女へ、母さんは最近元気に過ごしているよ。趙の肉屋が豚を屠ると、いつも一番新鮮な肉を分けてくれるんだ。おかげで、母さんはまた少し太ってしまったよ。奥様からはたくさんの金銀財宝をいただいたので、母さんはもう刺繍をして生計を立てなくても、絹の布団が買えるようになったよ。表通りの張の小瘦君は、ぽっちゃりした娘さんと結婚したそうだ。色白でかわいらしい子らしい。それから、昔お前と一緒に勉強していた小魚は、科挙に合格して来年は進士の試験を受けるそうだ。偉くなったものだね。

母さんは字が書けないから、今まで手紙を書いたことがなかった。この手紙は趙の肉屋に代筆してもらったから、お前にもわかるだろう。手紙を書いたのは、どうしても伝えたいことがあったからなんだ。お向かいの蔡諸葛が結婚することになった。相手は私じゃない。山西から来た未亡人で、細くて色白で、ネギみたいにひょろっとしているんだ。

結婚式は三日後だそうだ。蔡諸葛は母さんを祝宴に招待してくれたけど、母さんは行くべきかどうか迷っている。黒女、お前ならどうする?」

金鳳(きんぽう)はその手紙を見つめ、静かに涙を拭った。

段雲重(うんちょう)は手紙の内容を二回じっくりと読み、ついに我慢できずに尋ねた。「蔡諸葛とは誰ですか?」

金鳳(きんぽう)は急に振り返り、金の簪が段雲重(うんちょう)の鼻に当たった。段雲重(うんちょう)は鼻を押さえてその場に倒れ込んだ。

金鳳(きんぽう)は冷ややかに眉を上げた。「覗き見していたのですか?」

段雲重(うんちょう)は泣きそうになった。見てみろ、彼の義姉は機嫌が悪い時、どれほど残酷になることか。

「義姉上…」彼は何とかして立ち上がった。「お悩みの内容はだいたいわかりました。その蔡諸葛とは…」

「その蔡諸葛とは、もしかして義姉上の本当の母親の恋人ですか?」段雲重(うんちょう)はできるだけ遠回しに自分の推測を伝えた。

金鳳(きんぽう)は何も言わなかった。

段雲重は少し考えて、「義姉上、私が京兆尹に人を遣って、その結婚式をめちゃくちゃにして、結婚できないようにしましょうか?」と言った。

金鳳(きんぽう)は白痴を見るような目で彼を上から下まで見下ろした。

段雲重は途方に暮れた。

「では、義姉上はどうすればいいとおっしゃるのですか?」

金鳳(きんぽう)は遠くの空を見つめ、悲しそうにため息をついた。

段雲重はそのため息に耐えかねて、髪をかきむしりそうになった。彼は段雲嶂(だん・うんしょう)の気持ちが少しわかったような気がした。あの小太り黒女が物憂げにしているのを見るのは、この世で一番の苦痛だ。

「義姉上、私は兄上の命令で、あなたを慰めるために来たのです。私にできることがあれば、何でもいたします」

金鳳(きんぽう)は彼を一瞥し、しばらくして「本当ですか?」と言った。

段雲重は三本の指を立てて誓った。「本当です!」

金鳳(きんぽう)はまた少しの間黙っていた。

「雲重、私を宮廷の外に連れ出して」

段雲重は口をあんぐり開け、頭上に闇雲が立ち込めたように感じた。

「義姉上…それは…ちょっと…」

「雲重、先月、皇帝は小太監に変装してあなたと宮廷の外に出かけましたね。どこへ行きましたか?太后様はきっと興味を持たれるでしょう」

「こほん…義姉上…冗談でしょう」

夕暮れ時、閭王段雲重は付き添いの二人の小太監を連れ、尻に火がついたように宮廷を後にした。

朝陽門を守る衛兵たちは皆、閭王の真っ赤な顔と、付き添いの小太監のふくよかな腰つきを目撃したのだった。