第31話あらすじとネタバレ
魔王妃の言葉に、魏枝(ぎし)は魔王と妃の深い愛情に羨望の念を抱いた。しかし、妃の目には、今は全てが変わっても、夫である魔王は変わっていないように映っていた。かつては明日さえ知れぬ不安定な日々の中で、ただ生き延びることに必死で、他のことを考える余裕などなかった。だが、全てが安定した今、夫の心の奥底にはどうしても入り込めない。自分では彼を理解しているつもりでも、本当の彼には触れられていないのだと悟った。

阿崖(あがい)が去った後、魏枝(ぎし)は鏡の前に一人座り、自分の顔をじっと見つめ、炎越(えんえつ)への想いを断ち切り、彼と阿崖(あがい)の幸せを願うことを決意した。夜、魔王はベッドで寝返りを打ちながら、彫刻刀を手に何かを丁寧に彫っていた。一方、人間界では、意児(いじ)は大桃(おおもも)を見つけ、毎日黙々と畑仕事に励んでいた。笑顔は少なく、瀛洲の皆が初めて見るほど痛ましい姿だった。傍らの天兵も神仙の暮らしの退屈さを嘆き、来世は人間に生まれ変わりたいと願っていた。
魔界では、魏枝(ぎし)が幼い小魔王に勉強を教え、自分がいない時でも努力を続けるように諭していた。師である魏枝(ぎし)がもうすぐ去ると知り、小魔王は名残惜しそうにしながらも、もっと頑張ると約束した。外で働く人々を見て、魏枝(ぎし)は自分の誕生日が近いことに気付いた。台所で忙しくしていると、魔王と鉢合わせになり、無理に明るく振る舞っていることを見抜かれてしまう。魔王が長寿麺を食べている時、魏枝(ぎし)が誕生日について話すと、炎越(えんえつ)が彼女にしてくれた過去の出来事が断片的に蘇り、魔王は涙を流した。魏枝は彼の元を去り、静かに暮らせるようにしようと決意する。魔王は彼女への感謝の気持ちを表し、魏枝の誕生日プレゼントとして、彼女の願いである夕日を見せることを約束した。

夕焼けの中、魔王は魏枝に過去にとらわれず前を向くように励ました。小魔王の誕生日が近づき、阿崖(あがい)は息子の誕生日を全く覚えていないことに気付く。自分の誕生日さえも思い出せない。疑問を抱いた阿崖(あがい)は魏枝に相談し、彼女の助言に従って息子と共に故郷へと向かった。
同じ頃、慕南(ぼなん)への想いを断ち切れない意児(いじ)は大桃(おおもも)の元を訪れた。大桃(おおもも)の言葉に後押しされ、相思豆の手串を手に、意児(いじ)は慕南(ぼなん)を追いかける決意を固めた。夢の中で、まだ大尊になる前の慕南(ぼなん)に出会い、以前一度だけ会ったことがあると気付く。意児(いじ)はさらに奥へと進もうとするが、天后(てんこう)に阻まれる。天后(てんこう)は慕南(ぼなん)と共にいるためなら幽閉されても構わないと告げる。姪の頑固さに怒った天后(てんこう)は、彼女を天界に閉じ込めた。

魔王が息子に術をかけると、金色の羽が現れ、その羽は魏枝の元へと飛んでいく。魏枝は遠い昔、鳳凰と赤日神君(せきじつしんくん)の恋物語を語った。帰り際、阿崖(あがい)は魏枝にむやみに出歩かないよう忠告した。藍蘇(らんそ)は眠っている欧亜(おうあ)を起こし、一緒に鳳凰の卵の様子を見に行く。
第32話あらすじとネタバレ
鳳凰の卵を前に、欧亜(おうあ)と藍蘇(らんそ)は途方に暮れていた。どうすればいいのか分からず、知恵を借りようと大桃(おおもも)を訪ねるが、意児(いじ)は不在だった。藍蘇(らんそ)は卵を抱え、立ち去ろうとするが、欧亜(おうあ)は諦めきれず、再び術を試みようとする。しかし、効果はなく、子供を救う唯一の方法は魏枝(ぎし)を探すこと、それも魔界に行くしかないと藍蘇(らんそ)は考える。

一方魔界では、魔君が息子の炎越(えんえつ)の術の鍛錬不足を叱責しようとしていた。魏枝(ぎし)は炎越(えんえつ)をかばい、自ら術を披露する。その力に感銘を受けた魔君は、魏枝(ぎし)から術を伝授される。炎越(えんえつ)は帰りの道すがら、魏枝(ぎし)の教えを仮芻し、術の成功に喜び、思わず魏枝(ぎし)の名を叫ぶ。それを聞いた阿崖(あがい)は、失望の色を浮かべ立ち去る。
阿崖(あがい)は魏枝(ぎし)が夫に気があると勘違いし、魏枝を問い詰める。魏枝は毅然と仮論するが、その後、魔界に来た藍蘇(らんそ)と欧亜(おうあ)は、木老(もく ろう)の助けを借りて潜入するも、阿崖(あがい)に見つかり捕らえられる。欧亜(おうあ)は逃げるが、藍蘇(らんそ)は牢に閉じ込められ、体内の鳳凰の卵を奪われてしまう。

鳳凰の卵を見て、魏枝の言葉を思い出した阿崖(あがい)は何かを悟り、卵を持って魏枝の元へ向かう。魏枝は夫と作った彫刻を見て驚き、阿崖(あがい)は自分の所有権を主張し、魏枝の失われた容貌に気づき、魔君の側室の座を狙う。そして魏枝を気絶させ、北境へ追放するよう命じる。
小魔君は師の魏枝が連れ去られるのを見て、魔君に報告する。阿崖(あがい)は魏枝が夫を探しに自ら去ったと主張するが、魔君は魏枝への想いを隠せない。木に縛られた魏枝は、旧友と再会し、炎越(えんえつ)が魔界で幸せに暮らしているが記憶を失っていることを知る。魏枝は炎越(えんえつ)を過去の出来事に巻き込みたくないと思いながらも、諦めきれない。

夜、眠れない魔君は牢にいる藍蘇(らんそ)を訪ねる。藍蘇は魔君の冷酷さを責めるが、記憶を失った炎越(えんえつ)には意味が分からない。藍蘇から妻が胎児を奪ったと聞かされ、炎越(えんえつ)は慌ててその場を去る。魔界の人々が魏枝を連れ出そうとした時、欧亜(おうあ)が現れ真実を明かす。魏枝は子供と夫を取り戻す決意をする。
阿崖が鳳凰の卵を始末しようとしたその時、魔君が駆けつけ阻止する。卵に触れた瞬間、魔君は魏枝との思い出を取り戻すのだった。
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