夜明けの薄明かりが差し込む頃、悲痛な鳳凰の鳴き声が、安寧に包まれた九重天宮に響き渡った。数千年の安逸に浸っていた仙君たちは何が起こったのか理解する間もなく、まるで晨鍾暮鼓のように重々しい雷鳴が轟き、徐々に三界へと広がっていった。
ゴロゴロゴロ…ゴロゴロゴロ…ゴロゴロゴロ…
青龍台から響く雷鳴は、まるで永遠に続くかのように途切れることなく、七七四十九回続いた。雷鳴が止むと、仙界全体が異様な静寂に包まれ、玄天宮と御宇殿も例外ではなかった。
三界の誰もが知っているように、青龍台は上古(じょうこ)の時代から伝わる、諸天の仙君が罰を受ける場所である。雷刑は仙人の霊脈の根幹を著しく損ない、重大な過ちがない限り容易に用いられることはない。ましてや天雷の刑はあまりにも強力で、十回の天雷で一人の仙君を重傷に陥れ、上君巔峰であっても十五回までしか耐えられないと言われている。
天地の間では、仙、妖、魔を問わず、皆雷劫を受けて位を上げる。三十六回を超える天雷は九天玄雷と呼ばれ、上神に昇格するための必須の試練である。しかし、この七七四十九回という数は…後古界が開かれて数万年になるが、前例がなく、上古(じょうこ)の時代でも稀であった。
そのため、青龍台で天雷の回数が止まった時、仙界の仙君たちはほとんど仮射的に青龍台へと向かった。
誰が引き起こしたにせよ、これは後古界始まって以来、最も衝撃的な出来事になるに違いない!
玄天宮と御宇殿で同時に驚きの声が上がり、白い光が閃くと、天帝(てんてい)と天后(てんこう)はそれぞれの宮殿から姿を消した。
紫松院で清穆(せいぼく)を待っていた後池(こうち)は、雷鳴のする方へ訝しげに目を向け、清穆(せいぼく)の部屋から慌てて出てきた鳳染(ほうせん)を見て、胸騒ぎを覚えた。
「後池(こうち)、清穆(せいぼく)が部屋にいないの。さっき青龍台で何が起こったの?」明らかに鳳染(ほうせん)もあの激しい雷鳴を聞いていた。後池(こうち)の不安そうな表情を見て、ハッとした。清穆(せいぼく)はまさか…
「四十九回よ。誰かが仙力を使って無理やり玄雷を呼び寄せたの。きっと上神に昇格しようとしている仙君がいるのね。これはいい機会だわ。天宮は大混乱だし、天后(てんこう)はきっと紫松院のことなんて気に留めないでしょう。清穆(せいぼく)はどこに行ったの?」後池(こうち)は上の空で返事をし、鳳染(ほうせん)の様子がおかしいことに気づき、急いで尋ねた。
「後池(こうち)、清穆(せいぼく)はきっと自分の命が景昭(けいしょう)の龍丹で救われたことを知ってしまったのよ…私は…」
「どうしてわかったの?」後池(こうち)の表情が固まり、掌をぎゅっと握りしめた。「景澗(けいかん)が言ったのね。」
九天玄雷…もし龍丹が清穆(せいぼく)の霊脈の奥深くまで入り込んでいたら、それを無理やり取り出すには青龍台の天雷しかない!
十五回の天雷でさえ彼には重傷となる。ましてや四十九回の天雷が落ちたら…さらに、龍丹が取り出されれば、清穆(せいぼく)は龍息に焼かれ、灰になってしまう。どちらにしても、彼は生き残れない。
みるみるうちに顔が青ざめ、後池(こうち)の心は凍りついた。彼女は呆然と顔を上げ、鳳染(ほうせん)を見つめ、目には途方に暮れた茫然とした表情が浮かんでいた。「鳳染(ほうせん)、彼は昨日、私と一緒に瞭望山へ帰るって約束してくれたのに。」
「後池(こうち)…」鳳染(ほうせん)の目には同情の色が浮かび、後池(こうち)の肩に手を置いた。「もう手遅れかもしれないわ。」
玄雷の音が聞こえたということは、清穆(せいぼく)はすでに青龍台に入ったということ…
しかし、彼女の嘆息が終わらないうちに、後池(こうち)は青い光となって青龍台へと向かっていった。
青龍台の上で、青年は赤い衣をまとい、冷ややかな表情で空に集まる雷電を見つめ、無関心な様子だった。
そして彼の周囲、青龍台から一メートルのところに、雷電でできた幕が現れ、青龍台全体を覆っていた。
眩しいほどの電光の下、青年の凛とした姿はひときわ華奢に見え、冷たい空気がゆっくりと広がり、彼から溢れ出る力強い霊力が空中の雷電に抗っているようだった。
しかし、彼の霊力がどれほど強くても、上神に昇格するほどではなく、玄雷を呼び寄せるのは自殺行為に等しい!知らせを聞いて駆けつけた仙君たちは、青龍台に立つ赤い衣の青年を見て、顔を見合わせ、驚きの表情を浮かべていた…
景澗(けいかん)と景昭(けいしょう)が到著した時、まさにこのような光景だった。雷電の下に立つ清穆(せいぼく)を見て、景昭(けいしょう)は景澗(けいかん)を押しやり、よろめきながら青龍台へと走ったが、薄い雷電の幕に阻まれた。
「プツッ」という音とともに、かすかな雷鳴が電光となって景昭(けいしょう)に襲いかかった。景澗(けいかん)は急いで飛んできてそれを防ぎ、心配そうに景昭(けいしょう)を見た。「三妹、もう遅い。玄雷はすでに呼び寄せられてしまった。彼が四十九回の天雷に耐えない限り、この障壁は消えない。」
四十九回の天雷、おそらく落ちる前にすでに…
「そんなはずはない…」景昭(けいしょう)は慌てて振り返り、顔面蒼白で、周囲に浮かぶ多くの仙君たちの視線も気にせず、清穆(せいぼく)に向かって叫んだ。「清穆(せいぼく)、天宮にいてくれなくてもいいの。早く出てきて。龍丹を取り出したら、あなたは死んでしまうわ!」
周囲にいた仙君たちはその言葉を聞いて驚き、何が起こったのかを理解した。青龍台で九天玄雷を呼び寄せたのは、きっと清穆上君だろう。以前、清穆上君が三首火龍(さんしゅか りゅう)の龍息に苦しめられ、後池(こうち)上神が天宮に連れて行き、天帝(てんてい)に助けを求めたと聞いた。どうやらこの清穆上君はおそらく景昭(けいしょう)公主の龍丹によって救われたのだろう…
瞭望山で神兵が降臨した後、清穆上君と後池(こうち)上神は両思いだと噂されていたが、どうやらその噂は本当だったようだ。景昭(けいしょう)公主は片思いだったということか。
「景昭(けいしょう)公主、龍丹で救ってくれてありがとう。でも、清穆の命は、自分で決める。」冷たい声がゆっくりと青龍台から聞こえてきた。振り返ることさえせず、景昭(けいしょう)や多くの仙君たちが来たことを気にも留めていない様子で、清穆はただじっと空に集まる雷電を見つめ、落ち著いた表情をしていた。
「清穆、雷劫を受けないで、早く出てきて…」景昭(けいしょう)は青龍台の傍らで必死に懇願し、後悔の念に満ちた目で、乱れた髪を掻き上げた。碧緑の步揺が地面に落ち、澄んだ音を立て、破片が散らばった。
そばにいた仙君たちは、いつも華麗で上品な景昭(けいしょう)公主がこんなにも取り乱した姿を見たことがなく、驚きのあまり、見て見ぬふりをして頭を下げた。
「景昭(けいしょう)、一体何をしておるのだ!不届き千万!」
天帝(てんてい)と天后(てんこう)が、盛怒の呵責と共に、二筋の白光を放ちながら虚空に現れた。眼下の一幕に、二人の表情は険しかった。
「母后、早く結界を破って清穆を助けて!玄雷が落ちたら、彼は耐えられないわ!」
景昭(けいしょう)は天帝(てんてい)の呵責も気にせず、天后(てんこう)に向かって駆け寄り、切迫した様子で訴えた。
「景昭(けいしょう)、玄雷の幕は天地の理によって生じるもの。玄雷が落ち尽くすまでは、決して破ることはできぬ。」
天后(てんこう)は景昭(けいしょう)を一瞥し、ため息をついた。そして、青龍台に立つ清穆へと視線を移し、その表情は測り知れないものだった。
「清穆、本当に九天玄雷に打たれることを選んで、天宮に残らないというのか?」
清穆の性分がこれほどまでに強情だとは、天后(てんこう)は思ってもみなかった。死を選ぶほどに、天宮の束縛を嫌うとは。
天后(てんこう)の言葉と共に、冷徹な威圧感が青龍台の清穆へとゆっくりと向かった。雷鳴の下、その重圧はさらに恐ろしいものとなった。
青龍台にはしばらく沈黙が続いた。やがて、青年の冷たく、どこか淡々とした声が響いた。
「天后(てんこう)の厚情に感謝いたします。龍丹が出た今、私は天宮に借りはありません。景昭(けいしょう)公主との関係も、一切ございません。」
青龍台の外に立つ景昭(けいしょう)は、紅い影の毅然とした様子を見つめ、立ち尽くした。
目にはみるみる涙が溢れ、体は震えが止まらなかった。
どうして、彼はこんなに冷酷になれるのだろう。三界の誰もが、自分が彼に心を寄せていることを知っている。龍丹で彼を救ったのに、今、多くの仙人の前で、こんな言葉を口にするなんて!
彼が天宮に借りがないのではなく、後池が借りがないと言いたいのだろう……
景澗(けいかん)は心配そうに景昭(けいしょう)を見つめ、そっとため息をついた。そして、景昭(けいしょう)の傍らに歩み寄り、彼女を支えた。清穆の言葉は、父上と母上に聞かせるためのものなのだ。
虚空に立つ天帝(てんてい)と天后(てんこう)は、その言葉を聞いて顔色を変えた。天帝(てんてい)は手を振り、一歩下がって口を閉ざした。天后(てんこう)は表情を曇らせ、目には冷徹な光が宿った。
「ならば、清穆上君が四十九道の九天玄雷に耐えられるかどうか、この目で確かめてみようではないか!」
天后(てんこう)の言葉が終わると、一道の青光が天を切り裂き、人々の前に現れた。雲から降りてきたのは青衣をまとった少女。顔立ちは清楚で、全身から古風で清らかな雰囲気が漂っていた。
景昭(けいしょう)公主の表情が急に硬くなったのを見て、多くの仙人は来訪者が誰なのかを察した。
玄雷の下に立つ後ろ姿は、ひときわ目を引いた。後池は雲から一歩一歩降りてきて、ゆっくりと青龍台へと向かった。
彼女は清穆をじっと見つめた。彼女から発せられる激しい怒りの気配に、広場全体が静まり返った。
何かを感じ取ったかのように、ずっと背を向けていた紅い人影は、背中の後ろで両手を握りしめ、わずかに目を伏せた。
後池は雷電の幕の外に立ち止まった。風は吹いていないのに、青色の長袍がなぜかゆっくりと広がり始めた。鳳染(ほうせん)は雲に乗って遠くから飛んできて、この光景を目にすると、後池の少し後ろに停まり、心配そうに彼女を見つめた。
「あなたは出てこなければならない。霊脈が尽き果てても、凡人に落ちぶれても、龍息に焼かれて精魂だけが残っても、あなたは出てこなければならないの。」
後池の確信に満ちた声が、青龍台の外に響き渡った。ためらいも動揺もない、まるで紛れもない事実を述べているようだった。後池の言葉には、普段の穏やかさとは裏腹に、強い殺気が込められていた。
「あなたが一世の輪廻を必要とするなら、私は一世あなたを待ちます。十世の黄泉を彷徨うなら、私は十世黄泉を守ります!」
天帝(てんてい)と天后(てんこう)は後池を見つめ、意味深な視線を向けた。青龍台の外で泣き叫ぶ景昭(けいしょう)に比べ、後池はたった一言……
青龍台に立つ人影は、ぴくりと動きを止め、そして、かすかに頷いた。
その時、まばゆい雷光が天を切り裂き、轟音が響き渡った。ついに一道の天雷が青龍台の上空に形成され、清穆へと降り注いだ。
轟……
清穆の体から濃い霊力が放出され、炙陽(せきよう)槍を包み込みながら紅い光となって、落ちてきた雷電と激しく衝突した。雷電の精魂の力は炙陽(せきよう)槍を通って清穆の体内へと導かれ、霊脈の奥深くへと浸透し、ゆっくりと龍丹を体外へと導き出した。攻撃の雷光は徐々に消散し、炙陽(せきよう)槍を握る人影は微動だにしなかった。まるで磐石のように。
後池は固く握っていた手をわずかに緩め、そっと息を吐き出した。
自身の霊力で抵抗し、さらに精雷の力を体内に取り込むとは、青龍台では前代未聞のことだった。多くの仙人は清穆の霊力に驚き、同時に雷電の威力に感嘆した。玄雷はやはり並大抵のものではない。まだ始まったばかりだというのに、この気勢だ。
天帝(てんてい)は小さく声を上げ、目には疑問の色が浮かんだ。彼は天后を見て、真剣な表情で言った。
「蕪浣(ぶかん)、この玄雷はどこかおかしい。三首火龍(さんしゅか りゅう)が上神に昇格した時、威力はこれほどではなかったし、三十六道だったはずだ。この清穆はどうして七七四十九道も引き起こしたのだ……どういうことだ?」
「玄雷は、劫を受ける者の霊力の深さによって決まる。三首火龍(さんしゅか りゅう)は凶獣であり、上古(じょうこ)の文献によると、確かに三十六道の玄雷を引き起こすとされている。七七四十九道は、上古(じょうこ)の時代に霊脈の厚い仙人が上神に昇格する時にのみ引き起こされるものだ。しかし、清穆の霊力は三首火龍(さんしゅか りゅう)よりもはるかに劣る。どうしてこんなことが起こったのか……」
天后は首を横に振り、青龍台の外で微動だにしない後池に視線を向け、言った。
「もしかしたら、清穆は将来大きな機縁を持つのかもしれない。だから、この天雷が降り注いだのだろう。しかし、玄雷の力は一道ごとに強くなり、最後は幾重にも重なる。今の彼の霊力では、四十九道の玄雷すべてに耐えることは不可能だ。」
天后の言葉が終わると同時に、また一道の天雷が降り注ぎ、炙陽(せきよう)槍が化身した紅い光と激突した。
轟轟轟……
天雷の速度はますます速くなり、ほんのわずかの間に十五道の天雷が落ち尽くした。青龍台には束の間の静寂が訪れた。
紅い光が散り、周囲を取り囲んでいた仙君たちは、わずかに息を切らしているだけの清穆を見て、目を丸くした。
十五道の天雷は、通常の上君の限界だ。炙陽(せきよう)槍の助けがあったとしても、清穆上君の霊力はあまりにも恐ろしい。
青龍台でわずかに息を切らす人影を見て、後池は足を一歩踏み出したが、結局指先を握りしめ、その場に立ち止まった。
周囲の驚嘆の声がまだ消えやらぬうちに、雷鳴が再び轟き、先ほどよりもさらに恐ろしい雷電が清穆へと集まり始めた。幾重にも降り注ぐ雷電の下、泰山のように揺るぎなかった赤い影は、ついにわずかに震え始め、炙陽(せきよう)槍の赤い光も徐々に弱まっていった……
「カチッ」という鋭い音と共に、紅い光は完全に消え失せ、炙陽(せきよう)槍はかすかな哀鳴を上げながら、空から清穆の傍らに落下した。景昭(けいしょう)は驚き、口を覆い、青ざめた顔で、まるで実体化したかのような雷電が清穆に直撃する様を見つめていた。
雷電が走るたびに、青龍台に立つ影はさらに深く屈んでいき、ついに、重苦しい呻き声が響き渡った。鮮血がゆっくりと清穆の唇から流れ出し、彼は全身を震わせながら片膝をつき、地面に手を突いた。
後池は青龍台の人影をじっと見つめていたが、突然震える手を握りしめ、雷電の幕へと足を踏み出そうとした。しかし、両腕にしっかりと掴まれ、背後から鳳染(ほうせん)のため息混じりの声がゆっくりと聞こえてきた。
「後池、お前には何もできない」
容赦なく降り注ぐ雷電は、彼の肉体に直撃し、雷霆の怒りを一身に受けていた。赤い長袍は徐々に闇い赤色に染まっていく。後池には、どれほどの血が流れて、あのように濃く、闇い赤色になるのか見当もつかなかった。
彼女は振り返ると、玄墨の瞳は深く沈み、その中にはかすかに血のような赤色が滲み出ていた。鳳染(ほうせん)は驚き、思わず後池の手を離した。
「分かっているわ、鳳染(ほうせん)。今までこんなに自分の無力さを恨んだことはない」
淡く冷たい声がゆっくりと響き、空虚な白さを帯びていた。
上神でありながら、霊力が微弱で、清穆のために天雷に立ち向かうどころか、この幕を一步も越えることができない。
私はあなたからわずか一メートルの場所で、あなたが私のためにあらゆる天罰を受けるのを見ていることしかできない。清穆、あなたを想う私の気持ちはどうなるの?
轟く雷鳴は、数を数えるうちに次第に人々を麻痺させていった。誰もが、まるで決して倒れることのない影を見ながら、驚きを次第に感嘆へと変えていった。
最後の五つの雷電が来る前に、空は静まり返った。鮮血が清穆の手からゆっくりと滴り落ち、青龍台を赤く染めていた。その姿は今にも倒れそうで、誰の目にも明らかなほどに、彼はすでに限界だった。もし、さらに雷電が落ちれば、体内の龍丹が排出された時、清穆は体内の龍息に抵抗する霊力さえ残っていないだろう………
最後の五つの天雷は、人々が固唾を呑む中、ゆっくりと集まっていったが、なかなか落ちてこなかった。人々が不思議に思っていると、なんと……五つの雷電がゆっくりと融合し始め、天地を滅ぼすほどの勢いを作り出し、その雷電からは強烈な威圧感が漂い、近くに立っていた仙君たちでさえ、思わず跪いて服従したくなるほどの感覚に襲われた!
後古界以来、九天玄雷をここまで耐え抜いた者はなく、最後の五つの雷電が実は重なり合って一つになることを知る者もいなかった。
人々の顔色は一変した。龍丹を取り出すどころか、この最後の天雷が落ちた時、清穆は消滅してしまうだろう!
「母后、お願いです、彼を助けてください。龍丹はいりません、後悔しています、もう賭けません!」景昭(けいしょう)は独り言のように呟き、突然天后の方向に跪き、目には恐怖と絶望が満ちていた。
「景昭、もう遅い。今、天雷の勢いはすでに完成しており、誰も逆転させることはできない。もし彼が受け止めなければ、この雷刑を受けるのは天宮全体だ」天帝(てんてい)はゆっくりと首を振り、目には驚きと疑念が満ちていた。
彼と蕪浣(ぶかん)と三首火龍(さんしゅか りゅう)は皆、三十六の玄雷を受けて上神へと昇格した。最後の七十七の数に、これほど恐ろしい威力があることを知る由もなかった。彼から見れば、清穆が最初の四十四の天雷を受け止められたこと自体が奇跡であり、しかも今の清穆はわずかな霊気で命をつないでいるだけだと感じていた。助けるか助けないか……実際には生き残る希望は全くない……
天后は景昭を一瞥したが、何も言わなかった。
「父皇、母后、お願いです」景昭は悲しげな表情で、ゆっくりと景澗(けいかん)の腕の中に倒れ込み、目には後悔が満ちていた。「二哥、後悔しています、本当に後悔しています。お願いだから彼を助けてください」
景澗(けいかん)はゆっくりと首を振り、耐えかねる表情でため息をついた。
「清穆、あなたは生きて戻ると約束して」静まり返った部屋の中、後池はゆっくりと口を開き、深い色の瞳には鮮血が滴り落ちていた。彼女の表情は依然として穏やかで、眉さえひそめていなかったが、声はまるで冬の氷のように震え、冷たかった。「清穆、約束して!」
「後池、約束する……必ず……必ず生きて戻る!」
青龍台から弱々しい声が聞こえてきた。片膝をついた青年はゆっくりと振り返り、大量の血が口から流れ出ていた。髪は乱れて肩にかかり、顔はぼやけていたが、両目は昼夜を問わず輝く星のように輝いていた。
視界が徐々にぼやけて涙で潤み、後池は突然抑えきれずに震え始めた。彼女は青龍台に跪く清穆を見つめ、その瞳には、朝聖殿での忘れられない光景がぼんやりと映っていた。
空に浮かぶ祭壇、黒い衣をまとった上古(じょうこ)の神、三界を席巻する洪荒世界、そして……法陣の外に阻まれ、上古(じょうこ)の消失をただ見ているしかなかった黒い影。
果てしない悲しみと憎しみが、まるで潮水のように彼女を飲み込もうとしていた……
あなたが誰であっても、何千年も前、あなたも今の私と同じように、この一メートルの距離に隔てられ、愛する人の命がゆっくりと消えていくのを見ていることしかできず、一歩も踏み出せず、無力だったことを、どれほど憎んだことだろう!
もしそうなら、この世で最も無情な人間は、あなたをそのような目に遭わせた人間に違いない!
「清穆……」
後池の呟きと共に、天地を滅ぼす雷電が空から降り注ぎ、空全体が闇闇に包まれた。
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